遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
マスター・ヒュペリオン(効果モンスター)
星8
光属性/天使族
ATK 2700/DEF 2100
(1):このカードは自分の手札・フィールド・墓地の「代行者」モンスター1体を除外し、手札から特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、自分の墓地から天使族・光属性モンスター1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、この効果は1ターンに2度まで使用できる。
都「出ました太陽の神様! フィールドのカードを破壊する効果を持ってるよ!」
桜「レベル8で光属性と扱いやすいステータスを持っている、除外を絡めた戦法を天使族デッキに取り入れやすいのも利点だ。攻撃力がやや物足りない部分はエクシーズ等で補ってくれ」
都「ちなみに召喚制限は無いし、特殊召喚効果は1ターンに何度でも使える。墓地リソースさえあれば相手フィールドは焼け野原にできるかも!」
SIDE:フィオ
「黎ぃーーー!」
気が付いたら一目散に走り出していた。
目の前で倒れる彼。
右腕から顔の右顎あたりまで黒いナニカに塗り潰されており、原形の無い彼の右腕が黒い蛇のように彼を呪い殺す幻想すら見える。
何が出来るのでも無いけれど、それでも何かしたいという衝動に任せて、わたしは彼に駆け寄り抱き上げた。
「しっかりして! 黎! 黎っ!」
返事は無い、完全に気を失ったらしい。肌は青白いとか土気色とかを通り越して気色悪い暗い色になっている。
呼吸も酷く浅く、空気が通る音が全く聞こえない。普通なら「はぁはぁ」とか「ぜぇぜぇ」みたいな音がする筈なのに、そよ風のような弱さで息をしている証拠だ。
サッと自分が青褪めるのが分かった。ちょっと泣いているかも知れない。
わたしはこれまで彼が傷付く様子は何度も見て来た。プライドとの死闘でズタズタになった姿の彼も、他の護衛との戦いでミイラみたいな姿になった彼も見た。
でもこれは違う。
悍ましい何かに体を浸蝕された状態。怪我ではない、病でもない、明らかにダメージとしては異質だ。
何だこれ。
何なんだこれ。
何が彼の肉体を破壊しているのか全く分からない。
ただただ死にかけている事だけが事実で、そんな弱った黎が生きている間に眼前に現れるなんて考えもしなかった。
こんな彼は、いや人間は見た事が無い。
「フレイ、黎を……黎を助けて!」
「分かってます! 2人とも!」
「承知!」
「……ん!」
わたしが言うが早いか、フレイと桜さんとポーラは既に黎を助けるために動き始めていた。
桜さんは懐から植物の種を取り出して魔力を注ぎ急成長させ、ポーラさんは黎の肩関節を凍らせ痛覚を鈍らせる。そして。
「ァッ!」
フレイは手刀を一閃、黒く歪んだ黎の右腕を切断したのだった。
「わ、ぁ……」
そのまま血が噴き出るが素早く桜さんは急成長させた肉厚な葉を包帯のように巻き、ポーラは斬り飛ばした右腕を氷漬けにした。
確かに呪いの源になってる右腕を切り離すのは理に適ってるとは思うけど、3人とも躊躇が無いなぁ……。これが年の功かぁ……。
「事前に魔法で掛け合わせたアロエとチドメグサの混合種、その葉で作った包帯だ。失血の心配は少なくとも不要だろう」
「……痛みもほぼ無かった筈。……まぁ、こんな状態では痛かったとしても呻き声すら出せなかったかも知れないけど」
「右肺を始めとして腕から先にも浸蝕されています。ただ幸いここは聖なる領域、ここで安静にしていればこの程度の余剰分は自然消滅するでしょう」
返り血を浴びた桜さんも表情を変えないポーラもしれっと言うなし……。
いやぁ自分が小娘だって思い知らされるね。
「念のため、ここで治癒術をかけ続ける。問題無いな、ジョーカー卿?」
「ああ、構わねぇさ」
「うわっ」
いつの間にかわたしの後ろには、さっきまで黎とデュエルをしていた武人がいた。紫色の鎧は砕けてしまったため、その姿は少し目付きがキツいだけの青年みたいになっている。
「黎、治るよね」
「その男は、産まれながらにして大いなる宿業を背負っている」
わたしの問いには答えず、武人は粛々と己の見立てを語った。
「宿業?」
「そうだ。オレの眼には見える、その男が腹に持つ闇が。怒り、憎しみ、妬み、恨み。そうした力と同時に、友愛や親愛、希望を持っている。己を支えてくれる者達への感謝の念だ」
感謝、か……。
あの時黎の見せてくれたビジョンは兎角酷かった。殺すために殺し、生きるために殺し、その狭間で拷問をしたり拷問を受けたり。死にたくないと懇願する相手も殺したし、殺したくない相手も殺した。そうしないと自分が、そして義理の妹さんが死んでしまうから。
そんな生活を都ちゃんは支えてくれたんだろうけれど、黎から感謝の心を削ったんだろう。人間社会で行動出来るよう仮面を被る日々が、彼の心を疲弊させた。
彼が自分達を狙う存在がいないこの世界に転生したのは、この上無い僥倖なんだと思う。
なのにその隣にはたった1人だけの家族がいない。
果たしてそれが彼にとって、どれだけ耐え難い事なのか。
故にこそ、黎は命懸けで戦っているんだ。命より大切な家族と友達を守りたいのだから。
「相反する光と闇が原動力となり、光を内に闇を外にした黒鬼が如き苛烈な騎士。それがその男だ。だから闇に傾いたなら、お前らで光に戻してやれ。どちらかに倒れれば、そいつは死ぬぞ」
「へぇ、優しいんだ」
「アホ抜かせ。……光の聖域に揺さぶられない精神は証明された、合格だ」
「え?」
「その男に伝えておけ、目が覚めたらオレの所に来い、ってな」
それだけ言うとジョーカーはのっしのっしと建物の奥の扉に入って行ってしまった。
☆
聖堂の床で黎が眠っている。
隻腕で、酷く衰弱した状態で。
それを精霊の3人が3種類の治癒術を使って回復しようとしている。
「……」
わたしに出来るのは、祈る事のみ。
「……」
正直、100%全てを思い出したワケじゃない。
わたしこと神山フィオは間違いなく神山一家に生まれた人間の少女だし、超能力者でも魔法使いでも妖怪でも無い、デュエルアカデミアの1人の生徒だ。
幼稚園の思い出も、小学校の記憶も、アカデミア中等部での経験もしっかりある。
でも同時に分かっているんだ。
この『わたし』は『わたし』だけれども、『私』でもある、と。
奇妙な感覚だ、二重人格に近いかも知れない。
わたしは神山フィオだけれど、■■■■■でもある。■■■■■が地上に降り立ち赤ん坊に生まれ変わったのが、わたし。確証は無いけど。
でも神様が人間に生まれ変わって目的を果たす物語は、この世にいくらでもある。
インドのラーマーヤナなんかがそうだし、北欧のワルキューレは人間に恋をして人間に生きたまま零落する。神道では人間は神様の子孫という考え方だからある意味『人間=神様』と言えるんじゃないだろうか。中国の仙人も人間の赤ん坊に転生する秘術を持っているとか。
きっとわたしもそうなのだろう。
どうして人間になったのかは、そしてこの予想の真偽は、分からないけど。
「黎……、わたしは君を信じる。君はわたしを1度とて疑わなかった、だから君の信じるわたしである事を誓うよ」
ただただ彼のため、彼の願いを叶えるため、わたしは彼に助力したい。
自身の真実は分からなくとも、その思う心は真実だから。
「今の言葉、聞いてた? いつかちゃんと答えてね。そのまま眠り続けたら、わたし怒るからね」
なんて、ヒロインめいた事をボヤいてみたり。
わたしにそんな役割は似合わない。彼をこんな姿にした【元凶】なのだから。
ピシリ
「ん?」
その時、わたしの耳に小さな音が届いた。
フレイ達は……、回復魔法が奏でる小さな音に遮られて聞こえていないらしい。
ピシピシ、ピキキキ
だがわたしには聞こえる。
どこだ? どこからこの音は鳴っているんだ?
ガラスがヒビ割れるようなこれは一体?
周囲を見渡すが聖堂のガラスの窓に異変は見られない。
ではガラスでは無いのだろう。
ガラスじゃなく、割れる時に高い音がして、しかも割れるようなものと言えば──
「黎の腕か!」
フレイが切り落とし、ポーラが凍らせた彼の右腕。完全に氷に閉ざされ、彼から数メートルばかり離れた所に放置された肉の塊。
それに視線をやれば、小さく蠢いているように見える。
慌てて近くに行くと。
ビキッ!
間違いない、音はここから発生している。
何か分からないけど、ヤバい。
そう判断したわたしは、咄嗟に思い切り凍った腕を蹴り飛ばした。
「うりゃあぁぁっ!」
「マスター!?」
「何か分からないけどヤバそうだった、ごめん!」
今日は分からない事ばっかだ、本当に。
そんな小言と同時に、彼の腕は氷の戒めからいきなり解き放たれた。
ガシャーンと景気の良い音と共に切り落とされた腕は別の生き物のように氷の中から飛び出し、黒いオーラのようなものをまといながら浮き上がる。
「……くっ、完全に停止させるために氷漬けにしたのに!」
「想定以上に厄介ですね、邪神というのは!」
「どういう事!?」
「主殿の右腕を乗っ取った邪神の残滓が、別の生き物に
うわぁ、何だそりゃ。
なんてツッコミを入れる暇も無く、黒いオーラは人型になっていく。
見た目は妙齢の女性。吸血鬼のように鋭い犬歯と爪を持ち、優雅なドレスを台無しにするような歪んだ顔をしている。オーラがそのまま人間の形に固まったようで、残念ながらカラーリングは不明。
まるで黎の右腕が心臓になったかのような、不気味な人造人間みたいだ……!
『ア、ァァ……、ァァァ……!』
「カミューラ……!」
「知ってるの、フレイ!?」
「古い知人ですよ。昔のヨーロッパでヴァンパイア一族として覇権を得ていたのですが、いつの間にか姿を消していました。邪神に姿を真似られるという事は生きてはいるんでしょうが……」
なおカミューラがセブンスターズの一員としてアカデミアに乗り込んで来た事、その時に高田と接触した縁で姿形が模倣された事、そして彼女が黎の勝利とほぼ同時刻に、『幻魔の扉』に吸収された事を、わたし達は戦いが終わってかなり経った後で知る事になる。そして「幻魔から魂が解放されたなら彼女もどこかで復活したでしょう」とフレイは後に語ったりする。
それはさて置き、次第に黒い人型は輪郭を明確にしていき、色以外は本物のヒトとなった。
「フフフフフ……」
「!」
「誇り高きヴァンパイア一族の再興のため、生贄となって貰うわ!」
「デュエルディスク……、わたし達とデュエルがしたいって事か……!」
向けられるのは明らかな敵意。黎の右腕とはいえ、その実体化には邪神のエナジーが使われている。敵対する理由はさて置き、敵と見て間違いない。
生贄って言ってるから、確実に敗者の命を奪う闇のゲームだ。
でもジョーカーはどっか行っちゃったし、フレイ達は治療に専念している。
今この場で戦えるのはわたしだけ。
勝てるのか、黎の右腕、そして邪神の力に。あの高田にすら勝てなかったわたしが。
(迷っていられる状況じゃない)
ディスクの電源を入れてデュエル開始の準備をする。
起動からデュエルが出来るようになるまで10秒も要らない。その僅かな時間で腹を括れ、覚悟を決めろ、弱気な自分を切り捨てろ。彼の背中を見て来たわたしなら出来る筈だ!
「マスター!」
「フレイ?」
「これを使って下さい!」
相棒の精霊が投げたのは革のベルト、そしてそこに付いているデッキケース。
的確に受け取ったそれを、わたしは躊躇い無く腰に装着してデッキを引き抜く。
「これは……」
フレイが投げ渡して来たのは新しい天使族のデッキ。
だがエクストラデッキに入っていたのは白や黒や青のカード……、つまり学校では絶対に手に入らないカード達だ。これでデュエルしろという事はつまり──、いや深く考える必要は無い。フレイはとても長生きな天使だ、わたしが心配するような事なんてとっくに対策済みだろう。
ただ1つ、聞きたい事があった。
「フレイ、いつの間にこれを?」
「黎さんの部屋からパチッてきました」
てへぺろ、な表情で誤魔化すわたしの天使。
後で黎には謝ろう。パチるって可愛く言ってるけど、万引きと同じ泥棒だからね?
「待たせたね、吸血鬼さん。わたしが相手だ!」
デッキをディスクから抜き取り、ベルトのホルスターの物と交換。
中身を確認する余裕は無い、ぶっつけ本番だ。
髪をまとめる白いリボンを締め直し、気合い充填。行くよ!
「「デュエル!」」
フィオ:LP 4000
幻影カミューラ:LP 4000
☆
デュエルが開始し、わたしのアカデミアから支給された白いディスクと、カミューラの蝙蝠の皮膜を思わせるような金色のディスクが起動する。同時にフィールドに合計26マスのカードゾーンが浮かび上がった。
これはさっきまで黎がやっていた奴……、同じ場所でデュエルをしているから同じフィールドを使うのか。ペンデュラムとやらはこのデッキには入ってないっぽいから、内2マスは完全に腐るけど。
「先攻は私よ。手札から『テラ・フォーミング』を発動! デッキからフィールド魔法『ヴァンパイア
いきなりフィールド魔法か……。
聖なる神殿のような周囲が夜の草原に変わり、相手の後ろに白い城が筍のように地面から突き出す。それだけならヨーロッパの粋な風景だったかも知れないが、月光が赤い。吸血鬼の恐ろしさを知らしめるかのように。
ヴァンパイア帝国
【フィールド魔法】
フィールド上のアンデット族モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ500ポイントアップする。
また、1ターンに1度、相手のデッキからカードが墓地へ送られた時、自分の手札・デッキから「ヴァンパイア」と名のついた闇属性モンスター1体を墓地へ送り、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
「続けて魔法カード『テイク・オーバー5』を発動! デッキの上からカードを5枚墓地に送り、次のターンに1枚ドローする!」
【幻影カミューラのデッキから墓地に送られたカード】
『ハリケーン』
『ヴァンパイア・ロード』
『龍骨鬼』
『闇より出でし絶望』
『魔のデッキ破壊ウイルス』
「そして手札から『不死のワーウルフ』を召喚!」
『ウォオオオオオン!』
不死のワーウルフ:ATK 1200
「カードを1枚セット、ターンエンドよ!」
幻影カミューラ:LP 4000
手札:1枚
フィールド
:不死のワーウルフ(ATK 1200)
:伏せカード1枚、ヴァンパイア帝国(フィールド魔法)
「わたしのターン、ドロー!」
相手フィールドにいるのは緑のズボンを履いた銀色の毛並みを持つ狼人間。見た事が無いモンスターだけど、“不死”って事は破壊耐性か蘇生効果持ちって所かな。
だったら、その後ろにいるプレイヤーが死ぬまで打ち込むまで!
「マジック発動、『天空の聖水』! デッキから『天空の聖域』か、それをテキストに持つカードを手札に加える! 私が選ぶのは──」
デッキを抜き取り、カードを探す。
正直初手にこれが来て助かった、お陰である程度はデッキの中を見回す事が出来る。
「永続魔法『パーシアスの神域』! このカードはデッキでは『天空の聖域』としては扱わないけど、フィールドや墓地では扱うため『天空の聖水』でサーチできる! そのまま発動!」
「マスター、気を付けて下さい。『パーシアスの神域』の効果は相手にも及びます」
「了解!」
天空の聖水
【通常魔法】
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):デッキから、「天空の聖域」1枚を発動するか、「天空の聖域」のカード名が記されたモンスター1体を手札に加える。
その後、フィールドまたは墓地に「天空の聖域」が存在する場合、自分フィールドの「ヒュペリオン」モンスター及び「代行者」モンスターの数×500LP回復できる。
(2):「天空の聖域」のカード名が記された自分のモンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。
パーシアスの神域
【永続魔法】
(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「天空の聖域」として扱う。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、フィールドの天使族モンスターの攻撃力・守備力は300アップし、フィールドにセットされた魔法・罠カードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(3):1ターンに1度、自分の墓地の天使族モンスター及びカウンター罠カードの中から、合計3枚を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。
そのカードを好きな順番でデッキの上に戻す。
成程、『天使族を強化する』効果と『セットされたカードを守る』効果は別なのか。
アドバイスありがとう、相棒。
「わたしは手札から『創造の代行者 ヴィーナス』を召喚!」
『ハァッ!』
一番手として手札から出したモンスターが、わたしの右隣の召喚ゲートを通ってフィールドに現れる。
金色の髪と服、そして翼を持ち、赤・青・紫の球体を従える新しい天使。それがこのデッキのお披露目に出せた、個人的には割と満足だ。
「『パーシアスの神域』の効果で攻撃力・守備力が300アップ!」
創造の代行者 ヴィーナス:ATK 1600→1900
「何、レベル3でありながら攻撃力1900ですって!?」
「『ヴィーナス』の効果発動! このカードはライフを500払う事で、デッキから『
フィオ:LP 4000→2500
神聖なる球体:DEF 500→800
神聖なる球体:DEF 500→800
神聖なる球体:DEF 500→800
金色の天使が従える3つの球体が透き通り、そのままフィールドにモンスターとして出現する。
同時に全身に気怠さにも似た重みが加わり、疲労感のような息切れが沸き上がった。
「ぐ、っ、ぅうううう……!」
おっも……! これが、闇のゲームでライフを払うって事か……!
それでも、ライフコスト1500でモンスターが4体並んだのならお釣りが来る!
創造の代行者 ヴィーナス(効果モンスター)
星3
光属性/天使族
ATK 1600/DEF 0
(1):500LPを払って発動できる。
手札・デッキから「神聖なる球体」1体を特殊召喚する。
星2
光属性/天使族
ATK 500/DEF 500
聖なる輝きに包まれた天使の魂。
その美しい姿を見た者は、願い事がかなうと言われている。
「行くよ」
すぅ、と息を吸う。
きっとこのデッキは元の世界では使えない。
黎や桜さんから聞いた、エクシーズを使った精霊が闇に呑まれて消えたと。黎や桜さんが使えるのは特例であり、多分わたしは特例側にいない。このデッキはきっと、条件を満たさない限りは精霊界以外では使えないんじゃないかな。
だから今ここで思い切りブン回す!
「現れろ、天光の煌めくサーキット!」
上に向けて力いっぱい手を伸ばす。その指先から紫電が走り、黎がやっていたように銀色の円盤型回路が上空に産まれた。
大丈夫、出来る。黎が何度もやってたからやり方も覚えている。
「召喚条件は天使族モンスター2体以上! わたしは『神聖なる球体』3体をリンクマーカーにセット! サーキット・コンバイン!」
わたしの場に展開された3つのガラス玉のようなモンスターがエネルギーの鏃になり、回路のマーカーに宿るため飛び込む。条件の揃ったサーキットは光を放ち、モンスターをその中心から呼び出すゲートと化した。
「燦々と輝く剣を携えし聖騎士よ、神罰の代行者を襲名すべく天馬を駆れ!」
「リンク召喚! 『
『ハァァァ、タァッ!』
「『パーシアスの神域』の効果で攻撃力300アップ!」
天空神騎士ロードパーシアス:ATK 2400→2700
わたしの前に華麗に降り立つのは8本脚の馬の下半身を持つ天空の騎士。クリスタルのように美しくも逞しい馬の体と、神々しい神の騎士としての上半身を以て、闇を滅するがために剣を抜く。
ちなみにわたしのディスクにはEXモンスターゾーンは無いのだが、どういう事か『ロードパーシアス』は右から2番目のモンスターゾーンより少し奥に支えも無く浮遊している。こういう所も、現世では使えない理由になりそうだ。陰になってて見えなかったけど、もしかすると黎とジョーカーの戦いの時もこうだったのかも?
「わたしは『ロードパーシアス』の効果発動。手札を1枚捨てて、デッキから『天空の聖域』関係のカードを手札に加える。わたしはデッキから『神罰』を手札に加えるよ」
リンク3
光属性/天使族
ATK 2400
【リンクマーカー:左下/下/右下】
天使族モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。
「天空の聖域」またはそのカード名が記されたカード1枚をデッキから手札に加える。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、手札に加えるカードを天使族モンスター1体にできる。
(2):自分フィールドの表側表示の天使族モンスターが墓地へ送られた場合、自分の墓地から天使族モンスター1体を除外して発動できる。
除外したモンスターよりレベルが高い天使族モンスター1体を手札から特殊召喚する。
ここで更にモンスターを加えて戦線を強化するのも手だけど……。問題は相手の場の伏せカード、あれの中身次第では返しのターンにやられる展開も有り得る。
闇のゲームは負けたら死ぬ、ここは慎重に……!
「バトル! 『ヴィーナス』で『不死のワーウルフ』を攻撃! “ヴィーナス・フラッシュ”!」
「フィールド魔法『ヴァンパイア帝国』の効果! アンデット族モンスターはバトルの時、攻撃力が500アップする!」
不死のワーウルフ:ATK 1200→1700
「それでも『不死のワーウルフ』は破壊だ!」
「ぐうぅっ!」
幻影カミューラ:LP 4000→3800
「『不死のワーウルフ』は破壊された時、デッキから同じ名前のモンスターを特殊召喚する! 来なさい、『不死のワーウルフ』!」
「っ、リクルーターか!?」
「この時攻撃力は500アップする!」
金色の光が放たれ、凶暴そうな狼人間が焼き払われる。
しかし死んだ筈の魔獣は、再びその地に降り立った。
不死のワーウルフ:ATK 1200→1700
攻撃力は『ヴァンパイア帝国』で強化しても『ロードパーシアス』の方が高い。
でもアイツを倒しても次の『不死のワーウルフ』が場に出て来てしまう。そうなるとデッキの2枚分の圧縮に加えてモンスターも残るし、そこで相討ちに持ち込まれたらこっちの首が絞まってしまう。
だったら、あのモンスターをデッキに1枚残して腐らせた方がまだマシ。最善を選べないのなら、最悪を防ぐのが鉄則だ。
不死のワーウルフ(アニメオリジナル)(自己解釈効果)
星4
闇属性/アンデット族
ATK 1200/DEF 600
(1):このカードが破壊された場合に発動できる。
デッキから「不死のワーウルフ」1体を特殊召喚する。
(2):このカードが(1)の効果で特殊召喚された時、攻撃力は自分の墓地の「不死のワーウルフ」の数×500アップする。
「1枚カードをセット、わたしはこれでターンエンド!」
フィオ:LP 2500
手札:3枚
フィールド
:天空神騎士ロードパーシアス(ATK 2700)
:創造の代行者 ヴィーナス(ATK 1900)
:伏せカード1枚、パーシアスの神域(永続魔法)
「私のターン、ドロー! 墓地の『テイク・オーバー5』の効果を発動して1枚ドロー!」
わたしの場に『神罰』があるって事は、あっちも分かってる筈。迂闊に消費せず、マストカウンターを見極めないと。
これで相手の手札は3枚、果たしてどう出るか。
「場の『不死のワーウルフ』をリリースして『ヴァンパイア・グレイス』をアドバンス召喚!」
『フッフフフフフ』
ヴァンパイア・グレイス:ATK 2000
狼男が召喚の渦に消えて、代わりに如何にもな貴族の奥様が登場する。
優雅な濃紺のドレスを羽織っているが、手にした錫杖の宝石と同じ色の赤いドリンクが不気味さを加速させていた。
「『ヴァンパイア・グレイス』の効果発動! 1ターンに1度、相手のデッキからカードを1枚墓地に送らせる! 罠カードを墓地に送りなさい!」
ここだ、召喚権を使って1ターンに1度の効果ならカウンターするに相応しい!
「カウンター罠オープン、『神罰』! 『天空の聖域』がある時、カードの発動を無効にして破壊する!」
「カウンター罠発動、『ヴァンパイアの支配』! 私の場に同族が存在する時、相手のカードの発動を無効にして破壊する!」
「なっ!?」
神罰
【カウンター罠】
(1):フィールドに「天空の聖域」が存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
ヴァンパイア・グレイス(効果モンスター)
星6
闇属性/アンデット族
ATK 2000/DEF 1200
このカードが墓地に存在し、アンデット族モンスターの効果によって自分フィールド上にレベル5以上のアンデット族モンスターが特殊召喚された時、2000ライフポイントを払って発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
「ヴァンパイア・グレイス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、1ターンに1度、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。
相手は宣言された種類のカード1枚をデッキから墓地へ送る。
ヴァンパイアの支配
【カウンター罠】
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドに「ヴァンパイア」モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、破壊したカードがモンスターカードだった場合、自分はその元々の攻撃力分だけLPを回復する。
神聖な赤い雷撃で相手の吸血鬼夫人を焼き尽くそうとする私のカード。しかし相手の場に蝙蝠の群れが突如現れ、それは防がれてしまった。
カウンター用のカードを元から伏せていた……、最初から『神罰』は通らなかったか!
「これで『ヴァンパイア・グレイス』の効果は無効にならないわ!」
「……わたしはデッキから『神の宣告』を墓地に送る!」
「この瞬間『ヴァンパイア帝国』の効果発動! 相手のデッキからカードが墓地に送られた事で、デッキから“ヴァンパイア”モンスターを墓地に送って相手フィールドのカードを1枚破壊できる! 私は『ヴァンパイア・レッドバロン』を墓地に送り、『ロードパーシアス』を破壊する!」
『ぐぉおおおおっ!』
「ろ、『ロードパーシアス』が……!」
「まだよ! 魔法カード『生者の書-禁断の呪術-』を発動! アンタの墓地から『ロードパーシアス』を除外し、たった今墓地に送った『レッドバロン』が復活!」
「何っ!?」
ヴァンパイア・レッドバロン:ATK 2400
生者の書-禁断の呪術-
【通常魔法】
(1):自分の墓地のアンデット族モンスター1体と相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
その自分のアンデット族モンスターを特殊召喚する。
その相手のモンスターを除外する。
抜かったかも……。一番強いモンスターを失っただけじゃなく相手のモンスターの復活まで手伝わせるなんて。
相手の召喚した黒い鎧の騎兵の攻撃力はフィールド魔法の効果で2900になる。わたしのモンスターは攻撃力1900のモンスターが1体だけ、これはかなり危ない。
ところで『レッドバロン』と言っておきながら赤色なの馬のタテガミだけなんですが……。
「バトルよ! 私は『ヴァンパイア・グレイス』で『創造の代行者 ヴィーナス』を攻撃! フィールド魔法の効果で攻撃力500ポイントアップ!」
「ま、マスター!」
「フィオ殿!」
「……フィオ!」
ヴァンパイア・グレイス:ATK 2000→2500
錫杖から赤いオーラを産み、禍々しい槍に変えて飛ばす血の伯爵夫人。
これを受けたらわたしのフィールドはガラ空きになる、モロに喰らってたまるか!
「こっち向いてる暇があるなら回復に専念しろっ! 墓地の魔法カード『天空の聖水』の効果! 『天空の聖域』に関わるモンスターがバトルで破壊される時、破壊を無効にしてこのカードを除外できる!」
「でもダメージは受けて貰おうかしら!」
「ぐっ、うぅうううう!」
フィオ:LP 2500→1900
「まだ終わってないわよ! 続けて『レッドバロン』で攻撃ぃ!」
「ぐっ、うぁああああああああああああ!」
ヴァンパイア・レッドバロン:ATK 2400→2900
フィオ:LP 1900→900
いっっっ、たぁあああいっ!
めっちゃ痛い! 高田の馬鹿の時より更に痛い! 四方八方からプロボクサーに殴られてるみたいにあちこちが凄い痛い! 悲鳴をあげたけど全然足りない! 痛みにのたうち回って泣きたいくらい痛い! ってか吹っ飛んだ衝撃で息ができない! モンスター越しのダメージなのにこんなに痛いの!?
ってか何これ黎達はこんなのに耐えてたの、耐久力どうなってんの、本当に人間なの!? バカなの、死ぬの!? 死ぬよ、わたしが!
高田の馬鹿とのデュエルの時も思ったけど闇のゲームでの衝撃って下手するとライフより先に身体が駄目になるわ!
「『レッドバロン』の効果発動! バトルフェイズが終わった時、戦闘破壊した相手モンスターを私のフィールドに特殊召喚する! お前の墓地の『ヴィーナス』は私のものよ!」
創造の代行者 ヴィーナス:DEF 0→300
くっ、『パーシアスの神域』が奪われたモンスターまで強化しちゃった……。
この吸血鬼、強い!
「まだまだよ! 私はレベル6の『ヴァンパイア・グレイス』と奪った『ヴィーナス』でオーバーレイ!」
「エクシーズ召喚!? レベルが全く違うのに!?」
「お勉強不足よ! 奪った相手モンスターをレベル6扱いにして、エクシーズ召喚できるモンスターがいるって教えてあげるわ!」
そ、そんなのアリか!?
☆6×☆3=★6
「赤き月夜よ! 今ここに伝説の幕開けとなり世界を恐怖に染め上げろ! エクシーズ召喚! 『
『ハアッ!』
交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン:ATK 2600
ヴァンパイア・レッドバロン(効果モンスター)
星6
闇属性/アンデット族
ATK 2400/DEF 1000
(1):1ターンに1度、1000LPを払い、相手フィールドのモンスター1体とこのカード以外の自分フィールドの「ヴァンパイア」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター2体のコントロールを入れ替える。
(2):このカードが戦闘でモンスターを破壊したバトルフェイズ終了時に発動できる。
そのモンスターを墓地から可能な限り自分フィールドに特殊召喚する。
交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク6
闇属性/アンデット族
ATK 2600/DEF 1000
レベル6モンスター×2体以上
元々の持ち主が相手となるモンスターをこのカードのX召喚の素材とする場合、そのレベルを6として扱う。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送る。
(2):1ターンに1度、フィールドのモンスターカードが、効果で相手の墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され相手の墓地へ送られた場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスター1体を自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。
わたしのモンスターと吸血鬼の女貴族が銀河の渦に飛び込み、別のモンスターに生まれ変わる爆発を起こす。
光の中から出て来たのは金髪の背の高い吸血鬼。如何にも由緒正しい貴族様といった見た目だが、肩に乗ったしゃれこうべが普通の人間じゃない雰囲気を醸し出していた。
「『シェリダン』の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手フィールドのカードを1枚墓地に送る! ……あら、残ってるのは『パーシアスの神域』しか無いわねぇ!」
「わざとらしい台詞をっ! 『パーシアスの神域』はこれで墓地に送られる!」
交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン:ORU 2→1
これでわたしのフィールドは文字通り丸裸。しかもこっちの墓地に『ヴィーナス』が戻らなかったって事は、墓地に行ったのは『グレイス』の方。オーバーレイ・ユニットはまだ1つ残ってる上に、攻撃力は実質3100だ。
対するわたしのライフは残り900、追い詰められたなぁ。
「私はこれでターンエンド。さぁ、吸血鬼一族復活の時は近いわ!」
何が復活の時だ、見た目だけ真似した偽物のクセに! せめて色を黒一色じゃなくオリジナルのにしてから言え!
幻影カミューラ:LP 3800
手札:1枚
フィールド
:交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン(ATK 2600・ORU:1)、ヴァンパイア・レッドバロン(ATK 2400)
:ヴァンパイア帝国(フィールド魔法)
「わたしのターンだ!」
「諦めなさい、今ならサレンダーも許してあげるわよ?」
「断固拒否する!」
気炎を滾らせて吠えるが、状況は完全にこっちが不利。それでも諦めないのがデュエルなんだよね。
さてさて、この恐ろしい吸血鬼をどうやって倒そうか。
「ドロー!」
……良し、この手札なら逆転できる!
「わたしは魔法カード『テラ・フォーミング』を発動! デッキからフィールド魔法『天空の聖域』を手札に加え、そのまま発動!」
お互いの場の丁度境目で大地が分割され、その土地の様子が変化していく。
カミューラのフィールドは不気味な白い古城の庭のまま、わたしのフィールドは雲の上にある古代遺跡へと書き換わっていく。まるで2枚の絵を隣り合わせているように、わたし達の足元は断絶した。
「手札から『神秘の代行者 アース』を通常召喚!」
『ハァッ!』
神秘の代行者 アース:ATK 1000
「召喚成功時に効果発動! デッキから新たな“代行者”を手札に加える! ただし『天空の聖域』が存在する場合、『マスター・ヒュペリオン』を選ぶ事ができる!」
「『マスター・ヒュペリオン』ですって!? でもそのカードの召喚には“代行者”を除外しないといけない、お前の唯一召喚した『創造の代行者 ヴィーナス』はまだオーバーレイ・ユニット! つまりその『アース』を除外する以外に無い!」
「わたしは墓地から『英知の代行者 マーキュリー』を除外し、『マスター・ヒュペリオン』を特殊召喚!」
『ヌゥン!』
マスター・ヒュペリオン:ATK 2700
白い彫像のような天使に導かれ、赤く燃える大きな天使がフィールドに現れる。
太陽を背負ったかのような輝きを持つこのモンスターなら、吸血鬼という夜の種族を相手するに相応しい!
「いつの間に……!」
「仕込んでおいたんだよ、さっき『ロードパーシアス』の効果を使った時にね」
神秘の代行者 アース(チューナー・効果モンスター)
星2
光属性/天使族
ATK 1000/DEF 800
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「神秘の代行者アース」以外の「代行者」モンスター1体を手札に加える。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、手札に加えるモンスターを「マスター・ヒュペリオン」1体にできる。
マスター・ヒュペリオン(効果モンスター)
星8
光属性/天使族
ATK 2700/DEF 2100
(1):このカードは自分の手札・フィールド・墓地の「代行者」モンスター1体を除外し、手札から特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、自分の墓地から天使族・光属性モンスター1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、この効果は1ターンに2度まで使用できる。
さて、『マスター・ヒュペリオン』はフィールドのカードを破壊する効果がある。でも攻撃力は『アース』と合わせても3700、相手のライフを削るには100足りない。
次のターンでまたこっちのモンスターがやられてしまったら、残りライフ900のわたしが生き残る事はほぼ不可能だろう。
ここはダメージよりも、盤面のアドバンテージを優先だ。
「『マスター・ヒュペリオン』の効果発動! 1ターンに1度、墓地の光属性・天使族モンスターを除外する事でフィールドのカードを1枚破壊する! 更にこの効果は『天空の聖域』がある時、もう1度だけ使用が許可される! 墓地から『神聖なる球体』を2体除外し、『ヴァンパイア・シェリダン』と『ヴァンパイア帝国』を破壊する!」
「何ですって!?」
「『ヴィーナス』は返して貰うよ、“バニシング・ブレイズ”!」
両手に炎のエネルギーを込めて火の玉を作る『マスター・ヒュペリオン』。小型の太陽のようになったそれを太陽神は大きく振り被って投擲し、金髪の吸血鬼と赤い月を背負う城を粉砕した。
「これで攻撃力は2400から上がらない! 行け、『マスター・ヒュペリオン』! 『ヴァンパイア・レッドバロン』を攻撃! “ソーラー・ブラスター”!」
『ハァァァァァ、タァァッ!』
『ギィヤアアアアアアアア!』
太陽神は続けて両手を互い違いに向き合わせ胸元で金色に輝く炎の玉を作り出し、そこから一直線に伸びる炎のようなビームを撃ち出す。
吸血鬼の騎兵を貫き一瞬で火達磨にした灼熱の熱線は、文字通り灰も残さずヴァンパイアを滅したのであった。
「まだ攻撃は残ってる! 続けて『アース』でダイレクトアタック!」
「ぐっ、おのれぇっ!」
幻影カミューラ:LP 3800→3500→2500
これで相手のフィールドは丸裸、形勢逆転。
後は返しのターンに備えるだけ!
「わたしはレベル8の『マスター・ヒュペリオン』にレベル2の『神秘の代行者 アース』をチューニング!」
「リンク召喚の次はシンクロ召喚ですって!?」
白い天使が翼や服と同じ緑色の2つの輪になり空へと飛び立つ。緑のリングは上空で一列に整列すると、その中に赤い炎を携えた太陽神が潜り込み全身を輪郭と8つの星に変え、やがて一本の光の柱となった。
「革命の白百合! 勝利をこの手にもたらすために今、咲き狂え!」
☆8+☆2=☆10
「シンクロ召喚! 出でよ、『フルール・ド・バロネス』!」
『ハァァッ!』
フルール・ド・バロネス:ATK 3000
現れたのは先程ジョーカーが使っていた百合の被り物をした白い騎士。
このカードなら相手が何をやっても1度だけ無効にできる。あの吸血鬼の手札は残り1枚、これで十分制圧可能だ。
エクストラデッキにはもう2枚レベル10のシンクロモンスターがいたけど、今回はこっちを選んだ。どのカードにも言える事だけど、破壊された後で相手に『死者蘇生』で奪われないよう注意しないと。
「……フィオ、本当にこの世界の人間? ……リンク召喚もシンクロ召喚も、スムーズにやり過ぎ」
「彼女は主殿の近くでずっとデュエルを見ていた、やり方を自然と覚えていたのだろう」
「ええ……、そうかも知れませんね」
「リバースカードを1枚セット、わたしはこれでターンエンド」
フィオ:LP 900
手札:1枚
フィールド
:フルール・ド・バロネス(ATK 3000)
:伏せカード1枚、天空の聖域(フィールド魔法)
フィールドは何とかわたしの方に勢いの波を持って来た。
後はこのまま勝つだけ。
大丈夫だよ、黎。この吸血鬼さんが何を求めてるのか知らないけど、君を傷付けようとする奴はわたしがブッ倒す!
to be continued
感想、評価頂けると幸いです
最近は主人公達の絵を描こうかと思ってるけど、絵心皆無過ぎて泣きそう
よくこれで高校の選択授業で美術選んだな俺……