ひねくれいろは!   作:アイロハ

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ひねくれいろは にっ!

 

 

 

鎖が解き放たれて、自由になった心は

それはそれは軽く、

持ち主の意志など関係なく、動き回る。

 

 

 

…なんて、詩人めいた事を言っても先輩は頭から離れてくれなくてー

 

(こんな気持ち、知らないままなら幸せだったのかなぁ…)

 

あぁ駄目、今日の主役は先輩たち。

私は別れを惜しみつつ送り出す為に来たのに

 

本当に、憎い。この先輩はー

だから、好き。この先輩がー

 

 

 

私の胸中は穏やかではないもので満たされようとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッキー!私、ヒッキーのこと大好きだよ!」

 

穏やかじゃない私の胸中とは裏腹に、部室は静寂に包まれていた。そんな中、結衣先輩が急に大声を上げた。

 

…羨ましいな

 

「ゆ、由比ヶ浜さん?急にどうしたんだ?今日はそういうの無しな雰囲気なんじゃないの?ハブられてるの俺だけ?」

 

「ヒッキーのせい!あんなに嬉しいこと言われたら、さ…我慢する身にもなってよ、ばか!」

 

「罵倒してるのか褒めてるのかどっちだよ…」

 

「ルール違反、由比ヶ浜さんは一回ペナルティね」

 

「えっ!?ゆきのん、ひどい!」

 

……なんか、私以外の三人が通じあってる

拗ねてもいいかな?

 

「はぁ…何か勘違いしてるだろ、一色。あとで言おうと思ってたんだが二次会用意してんだよ。お前も含めて、世話になった人呼んでな。まぁそいつらにとっては一次会になるわけだが…それまで色恋沙汰はNG、全員がいる前で宣言してこそ…」

 

 

「…本物ってことですね、先輩」ボソッ

 

「…まぁ、ソウイコトダ……」

 

「ん?というか、私は大丈夫ですか?割りとNGな話題ふってますよね?」

 

「知らないやつにNGは流石に厳しいだろ。」

 

「それもそうですね。ではでは、次からは気を付けますねー」

 

そうか…もしかしたら、公開告白とか考えてるのかな?この先輩たち。

 

だとしたら、私が頑張る必要もないよね。

私は私で楽しもう!

 

「ちなみに、ペナルティって何をするんですかー?」

 

「そういえば、内容は聞いていないな。確か、雪ノ下が考えてきてるんだったか?」

 

「ええ、そうよ。さっそく一枚引いてもらおうかしら」

 

雪乃先輩が鞄からカードを取り出す。

たかが罰ゲームの小道具なのに、トランプみたいな素材で作られている。

 

「雪乃先輩、本気で作りすぎてません?」

 

「興が乗ったのよ。姉さんに言ったら大学の友人を紹介してくれたの。私だけだと、どうしても罰ゲームの内容が物理に寄ったのよ。それでお願いしたら、先輩方と盛り上がっちゃって…」

 

業者に依頼するまでになったと…

というか物理的な罰ゲームってなんですか?

雪乃先輩、将来的にDVしたりしないですよね…

 

「あら、普段は精神的な方が好きよ?あなたも受けてみる…?」

 

ゾクッ!?

 

恐る恐る振り向くと、目が笑っていない雪乃先輩がいた。だめ、表情だけで堕ちそう…

 

「ひぇっ…ど、どうしたんですか、雪乃先輩…突然…」ガクガク…

 

「えぇ何でかしら?私、別にDVしそうとか思われた事に腹をたててはいないのだけれど」

 

怖いっ、やられる!?

こんなときは先輩に限る!

 

「八幡先輩助けてください。助けてくれたら…その…何でもしてあげます…よ?」

 

「ゴクリッ…なん、でも…?」

 

「はい…好きに、してください…」ウルウル

 

ふっ、ちょろいな

 

「はい一色、アウトだな。不純異性交遊にひっかかりそうな言動をしたためペナルティだ」シラー

 

んまっ!?

いたいけな後輩に容赦ないカウンターですか?

 

あ、でも顔は赤い…ふふっ、可愛い…

 

「えぇ、そうね。では、由比ヶ浜さん、一色さん、カードを引いてちょうだい」

 

ぐっ…引くしかないんですね。

このストレスは二次会とやらで発散させてもらいますよ!

 

悪態をつきながらも、指示された通りカードから一枚めくった…

 

「…へっ!?何ですかこれ…」

 

「ゆきのぉん…ほんとに、これやるの…?私にさせるの…?」

 

 

 

一色いろはが引いたカード

『近くにいる異性に壁ドンし、身体を密着させて愛を耳つぶ』

 

由比ヶ浜結衣が引いたカード

『好きな異性を指名し、あすなろ抱き5分(引いた人が抱きしめてね)』

 

 

 

(は、はぁぁぁぁ!?みみみ密着!?先輩にっ!?しかも愛を耳元で呟くって…えぇ!?)

 

(うぅ…ヒッキーを後ろから抱きしめるのかぁ…胸、当たっちゃうなぁ…引かれないかなぁ…)

 

 

「さぁ、どちらから行くのかしら?両方とも異性が絡むから、比企谷君お相手お願いね」

 

「まて、俺のメンタルが持たないんだが…」

 

「あら、なら他の男性を連れてきてもらえるかしら?あなたが望むなら」

 

ーっえ…?

うわ、先輩の前で他の人に愛囁くんですか?

嫌です、血ヘド吐きそうです。

でも先輩ならやりかねない…阻止する方法は結衣先輩を利用する!というか、すでに結衣先輩動いてる!はっやっ!

 

「…そこまで嫌じゃないから、別に探しに行かなくていいだろ…二回しかないし、お前らなら平気だ…たぶん」

 

 

 

わぁーわぁー、何ですか、この男!

今日に限って素敵すぎるでしょ!

間違えた!素直すぎるでしょ!

 

うぅ…顔あつい…

 

ダキッ!ムギュ…

「えへへ…嬉しいな、ヒッキーありがと…」

 

「っむゅ…あ、あぁ…というかいきなり抱きつくな…準備ができていない…」

 

はっ!顔をあげると、結衣先輩は既にあすなろしてた。

 

いいなぁ、位置変わりたいなぁ…

結衣先輩の胸が背中に押し付けられるのって、どんな感じなんだろう?知りたい。

 

……後でお願いしよう。

 

そんなことを考えていると、雪乃先輩がタイムを計りだす。

 

「5分間ね。ちなみに、比企谷君もペナルティよ。異性3名を口説くなんて、節操ないわね」

クスクス…

 

まさに秀才!

最初から泥試合になると見て、序盤は口を出さなかった雪乃先輩が、ここぞとばかりに動き出した!

そして、先輩にカードを3枚おしつける…ん?3枚も?

 

「…多くないか?」

 

「あら、言わなかったかしら?ここにいる女性を口説いたのだと…ここにいる女性は3人…ならペナルティも3回分だわ」

 

「くっ、ルール上は正しいな…わかった。だが、今みたいに異性とか相手がいるカードを引いた場合、1人を選んで実行することにしてくれ。3人ずつやるのはペナルティが重すぎる」

 

「えぇ、いいわよ。ただし同じタイミングでペナルティが発生した場合、個人を指定できる回数は対象となるカードに依存する事も追加ね」

 

「…例えばだが、今回俺がカードを引いていくなかで、全てに相手を指定する必要があった場合、雪ノ下を2回以上指定できないということか」

 

「その通りよ。不平等さを減らすためにね」

 

「くっ…了解…」

 

諦めはやっ!……でも、これ普通の男子なら喜ぶところじゃないのかなぁ?

 

「……ムゥ」

 

?おや、結衣先輩の様子が…?

 

「…エィ」ムギュ

 

「ぬぁ!?ゆ、ゆいが、はまさん!?」

 

先輩の頭半分、結衣先輩に食べられた!

 

「グググ…」

 

雪乃先輩は目から血を流しそうな勢いで睨んでる。かくいう私も心中穏やかではないんですけどね!

 

「ふ…フフフ、ヒッキーどう?キモチイイ…?」

 

「…あぁ…」ポー…

 

先輩、昇天しかけてません!?

…はっ、3人とも意識ここにあらず…

ということは、次に先輩が引くカードをいじれるのでは…

 

 

 

 

……ゴクリッ

 

へ、変なのが来たら嫌だからね…

確認するだけ…

 

ペラッ

 

『異性とディープキス』

 

……ペラッ

 

『異性に胸を1分間触らせる』

 

……………ペラッ

 

『2人を指名し、3分間イチャイチャさせる指令を出す。拒否権はなし。イチャイチャしているかは指示を出した人が判断する』

 

……………フゥ

 

いや

 

いいんだよ?

 

 

 

いいんだけどさぁ…

 

 

 

 

 

王様ゲームかよっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思ったより欲望に忠実な札に、私の恥ずかしさは消失していた。

 

あれだ、緊張しているときに自分よりも焦っている人がいたら妙に冷静になる感じに似ている。

 

「はい、5分間たったわ。今すぐ出て…離れなさい」

 

「意外に足りないなぁ…もっと…シタイ…」スポッ

 

「はっ!………俺は、何を…」ハァ…ハァ…

 

…格差社会って、どうにかならないかなぁ?

 

そんなことを考えていると、いよいよ私の番がきた。

 

えっと、先輩を壁ドンして、耳元で囁けばいいんだよね…

 

「ではでは、先輩?壁際まで移動してください」

 

「………」ポー

 

ムッ、次私の番なのに!意識ここにあらずじゃないですか!

 

…面白くないなぁ

 

「先輩っ!」グイッ

 

「おっ、おぉ!?」ダンッ

 

手近にあった机に先輩を押し倒す。

 

「先輩……?私だって、先輩の事………」コゴエ

 

「いっ、しき……今はヤバい…」コゴエ

 

「あはっ、ヤバいですねぇ……んっ、私の太ももに何か、かたぁい…モ・ノ当たってますよ………?」コゴエ

 

「それはベルトだ……!って、そうじゃなくてっ…」コゴエ

 

「ね?先輩……」

 

「………」ゴクリッ

 

「……だいすき」

 

 

 

 

 

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