「…………」
「………ジュルルルル………」
「………あ、はは……」
「………えぇ…………」
私は今、不機嫌だ。大好きなフラペチーノを飲んでも心は晴れない。
というか、何でお昼休憩を先輩、ユウ先輩、私の友人マコちゃんの四人でとってるんですかねぇ?
「……で、先輩?何か言うことは?」
「……何かって、なんだよ?」
さっきから、この押し問答が続いている。
双方自分が悪であることを認めないスタンスだ。
いや、もちろん、私は悪じゃないんですけどね?
でも、私だって女の子なんですよ!?
流石に……流石に………!
「…一緒にお風呂入ったのに!思い当たる節はないんですかっ!?」
「「!!!!?」」
なんか、ユウ先輩とマコちゃんが面白い顔してるけど、知ったこっちゃない!
「………お前が入ってきた、の間違いだろ?それに、その話は終わったはずだ」
「なに!?」
「百歩譲って、終わったとしましょう。けど、私が気を失ってから何をしたんですかっ!?」
「……へっ!?きぜつ………?」
「お前の身体を拭いて、ベッドまで運んだんだが?割りと軽かったな、飯食ってんのか?」
「拭いた!?」
「一緒にごはん食べてたじゃないですかっ!軽いのは元からですぅ」
「ご飯に、お風呂です……??」
「まぁ、そうか。俺の好物ばっかり作ってくれてたもんな。ありがとう」
「好物!?ハチの好物ってマッカンだけじゃないのか…?」
「…えへへ……どう、いたしまして……」
「ところで、ユウとマコさんはさっきから何してんだ?」
「何してるって……ハチよ、お前さんら」
「つつつ、付き合ってるんですか!?」
「「は?」」
「い、いや、さっきから同棲してるみたいな痴話喧嘩しかしてねぇから…」
「何言ってんだよ……この前は、いろはにテニスの動き方教えたから、その礼に飯をご馳走してもらったんだよ。こいつの料理旨いし」
「ですです。何でも色恋沙汰に結びつけるのはどうかと思いますよ?」
「「………」」
(マコチャン?これ、俺らがズレてるのかな?)
(いえ、ユウ先輩。私も同感です。男女の関係じゃなければ、夫婦の域です、これ)
「で、せんぱい?今日はどうします?」
「…そうだな、腰の使い方が甘いんじゃないか?そこを重点的に直してみるか?」
(……テニスの話だよね…?)
「あー、やっぱりそうなんですか?次の日、歩きにくかったんですよねぇ…妙に痛くて…」
(だめだ、一回意識すると、そういう内容にしか聞こえねぇ)
((だって、この人ら、風呂一緒に入って片方気絶してるんだろ!?))
「ふむ、もっと腰を落とした方がいいんですかね?」
「そうだな、とりあえず俺が支えるから好きなように動いてみたらいいんじゃないか?」
「んー…わかりました。リードしてくださいね」
「ん。なら、そろそろ行くわ。また、放課後に」
「はーい、お気を付けてー」
スタスタスタ…
「ふー、ほんと、先輩って頼りになるのか、ならないのか分からないよねー」
「…いろはちゃん?」
「?どったの、マコちゃん?」
「いろはちゃんはさ、ハチマン先輩と付き合ってないんだよね?」
「だから、そう言ってるじゃん」
「じゃあ何で、あんなに夫婦感だせるの!?それに痴話喧嘩だったよね!?裸の付き合いしといたあげく、身体を拭かれて抱っこでベッドに連れてってもらって!!何もない訳がない状況で付き合ってない!?」
「ま、マコちゃん?落ち着いて?私と先輩は仲良いけど交際は…」
「仲が良いとか、そういう次元じゃないの!!むしろ付き合ってないのにお風呂で気絶するなんて何やってたのさ!?いや、やっぱり言わないで!恥ずかしい!」
「えっと……その、先輩に、耳を……あぅあぅ…」
「かわいいけど、あぅあぅ言いたいのはこっちだよー!健全ないろはは何処に行ったのさ!?」
「お、落ち着こう?私はここに居るよ?」
「落ち着いてらんない!んがぁぁぁ!」
まさか、先輩と言い争いをしただけで、友人の口から「んがぁ」が出るとは思わなかった。
なかなか怒り狂うのは珍しいし、ストレスもあるんだろう。たまには発散させてあげよう。そうだ、先輩の良いエピソードを話したら元気になるのかな?
「もうやめて!私、甘いの苦手なの!食べ物も恋愛も!」
【おまけ】
「……ハチ、本当に身体拭いただけで何もしてねぇの?」
「…………………あたりまえだろ、相手は一色だぞ?」
「何だ、その間?まぁいいけど」
「………Cカップって、いいな」ボソッ
「ん?何か言ったか?」
「なんでもねぇ」