ここは雄英高校。
ヒーローを数多く輩出する名門校としてよく知られており、国民的ヒーロー、オールマイトの出身校としても有名だ。
そんな雄英高校はヒーロー科、サポート科、普通科、経営科からなる4つの学科にわかれ、今日も今日とて未来のヒーロー達を育成している……。
これはそんなサポート科のとある一幕……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私の名前は守衛 防(もりえ さき)。個性は『開発』。あらゆるモノ作りに天才的な才能を発揮するぞ!
そんな私だが実は転生者らしい。
らしい、というのは私が生まれた頃には既に知っていた知識があったということから勝手に推測したわけなんだが。はっきりと前世の記憶があるわけじゃないし。
しかもそれがこの世界にはない謎の技術にまつわるものばかりと来た。これは異世界転生というやつなのだろうが、その割には前世の記憶は全くと言っていいほど何も無い。
そんなわけで特に気にすることも無く生きていたのだが、私の個性が『開発』とわかってからはこの知識をフル活用することにした。
だってロマン兵器が頭の中に詰まってるんだよ? そりゃ作らない訳にはいかないよね?
ってことで国内最大規模のヒーロー学校、雄英高校のサポート科に入学したのだった。
ここなら設備も申し分ないし、好きなだけ作り放題! いやあ、ここは天国ですか? 雄英です。
そんなこんなで1年生時代もあと僅かになった今日この頃。パワーローダー先生が帰ってきた。
「……守衛か。まだ作ってたのか」
「はい! 作ってました! 守衛です!」
「で、今度は何だ。明らかにサポートアイテムには見えないこのデカブツは」
「バラムです! 全高50mの歩行要塞! 巨大なヴィラン相手にもタイマン張れますよ! ちょっと鈍臭いですけど」
「街の被害がでかくなるのが目に見えてるじゃねーか。なんでこんなもん作ろうと思ったのさ」
「何故って、そりゃあロマンですよ! 思いついてしまったからには作らずにはいられない! 実用性は二の次! 見栄え重視! それが私!」
「……この短時間でここまで骨格を完成させたことは褒めてやるが、これは解体しろ。流石に『さっちゃん通り』にも置いておけん」
ちなみに『さっちゃん通り』とは、守衛 防が開発したアイテムが並んだ廊下の通称である。
「そんなこと言わないでくださいよ! 確か次の一般入試に仮想ヴィランとしてロボットを使うんでしたよね? でしたらこれをお使いください! よく働いてくれますよ!」
「お前いつそれを……まあいいや。そういうことなら話はつけておいてやる。これは特例だからな? 次はちゃんとしたものを作るんだぞ。というか今までのも許した訳じゃないからな!」
「はーーーい」
まあそれでも反省はしないけどね。挑戦無くして新しいものは生まれないよ! まあ私が作ってるのは既に頭の中にあるやつなんだけどね。
♪《守衛 防のやらかしダイジェスト》♪
・最初期
「新型雷撃銃の完成ー! 早速試射するぞー!」
バシュゥゥ!
「あだーーーっ! どこ狙ってやがる!」
「すいません、このグロームちゃん、機嫌が悪いみたいですね」
バシュバシュバシュ!
「やめろー! これ以上周りを壊さないでくれー!」
・中期
「このプラズマコア、もっと改良できそうですね」
カチャカチャ……カッ!
「あ」
ドガァァァァン
「やっちゃいました♪」
「やっちゃいましたじゃねーよ! なに部屋いくつもぶち抜いてんだよ!」
・末期
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「勝手にロケットを打ち上げるなーーーっ!!」
「ノートゥングの打ち上げに水を差す気なら容赦しませんよ!」
「そりゃこっちのセリフだ! 他国からも目ぇつけられちまうだろうが! だいたいお前一人で何をしでかす気だよ!」
「ロマンの成就」
♪《ダイジェスト終わり》♪
まあかなり自由にやらせてもらったことは自覚してます。はい。
あ、そうだ。
「先生、これ新しい強化外骨格『パワードスケルトン』の計画書です。目通しておいて気になるところがあったら言ってください」
「ん、妙に丁重だな。どれどれ………………」
『パワードスケルトン』計画書
貨物の運搬や土木建築においてパワー系の個性以外でも活躍出来ることがコンセプトであり、サポートにより1トン以上の重さの物体を軽々と持ち上げることが出来る。
技術を転用することで他業種においても活躍の場が広がると想定する。
現在以下の3タイプを構想中。全身のアクチュエーターを調整することで各機能を強化出来る。
・土木作業用(パワー重視)
腕力を単純に強化するもの。歩行速度が著しく低下するのが欠点。
・災害救助用(移動性重視)
足周りのアクチュエーターを強化し、歩行速度が上昇。
・治安維持用(機動力重視)
背部のスラスターにより瞬間的な加速、大ジャンプが可能になる。
「……随分まともじゃないか。どうした?」
「ひっど! 私をなんだと思ってるんですか! 発明において私の右に出るものはいない! スーパーサイエンティスト、防ちゃんですよ!?」
「この『パワードスケルトン』だったか。サポートアイテムの枠を越えた一大事業になりそうだ。生徒が噛むにはデカすぎるな。今すぐ広めたいならお前名義でどこかの会社に委託するって手もあるが」
「無視!? ……まあいいです。いやよくありませんが。そうですね、特許は取らせてもらいましょうか。私、サポートアイテムだけで生きていくつもりないので。いずれ会社を興したら我が社の発明品として大々的に売り出しましょうかね」
「それじゃあ今は広めないってことでいいのか?」
「いや、先生に預けます。あ、特許は私が貰いますけど。広めるにしても先生が任せられるところひとつにだけ提供して欲しいですね」
「大雑把……まあそれでいいなら俺は何も言わんぞ」
全然構わんよー♪ ぶっちゃけ今の世間の技術でも作れるレベルのものだから模倣されても当然だと思う。
ちなみに悩んでたもう一つの案があるんだけど、PAギアはエナジージェムで動いてるから再現が難しいのよね。
そんな理由もあってフェンサーを作ろうってなったんだよね。
「とにかく、このデカブツは許可が降りるまで作るのを禁止する。大人しく待ってろ」
「そんなーー」
ともあれロマンを実現するにはまだまだ道は険しいようだ!
「とりあえずかんしゃく玉をグレードアップさせなきゃな!」
「今でも建物破壊できるのにそれ以上の強化はやめて!」