仮面ライダーカブト〜ワームに恋するカブトムシ〜   作:桂ヒナギク

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Episode 11

 輝と恵子はサリスに追われていた。

 背後から迫るサリスの中に、ウカワームの姿がある。

「逃げても無駄だ! 川越 輝! 三沢 恵子! お前たちのしでかしたことは万死に値する!」

「しつこいやつらだ!」

 後方に手榴弾を投げる輝。

 爆発に巻き込まれ、何体かのサリスが霧散する。

 ウカワームがクロックアップで二人の正面に回り込んだ。

 挟み撃ちに遭う輝と恵子。

 万事休すか、そう思った刹那、カブトとガタックのマスクドフォームが現れて銃撃をしてきた。

 ウカワームにライダーの弾丸が被弾する。

「く! なんだ!?」

「やめろ! そいつらは人間だ!」

 カブトの仮面の下で光一が叫んだ。

「人間だがネイティブの協力者だ。お前たちが使ってるシステムも、元はこの二人がワームを殲滅するために開発したツールだ」

「なに?」

「ち、違う! 人違いだ!」

 輝と恵子は隙をついてその場から離れようとする。

「待てと言っただろうが!」

 ウカワームが二人の前に先回り。

「よもや我々ワームのクロックアップを知らないわけではないだろう?」

 その時、ウカワームが頭を抱えた。

「逃げて……!」

 ひとみの姿に変わるウカワーム。

「貴様、邪魔立てをするのか?」

 輝と恵子は逃げ出す。

「ま、待て!」

 ひとみは二人を追って振り返り、もう片方の手を伸ばした。

「ぐ!」

 ウカワームは意識を失った。

「はあ……はあ……」

 息切れを起こすひとみ。

「ひとみ様、逃がすのですか?」

「例え敵対していても、彼らは地球人よ。原住民を傷付けず任務を遂行するのが組織の命令じゃない」

「ひとみ様……」

 カブトとガタックが変身を解くと、光一と真理絵の姿が顕になった。

「助かりました。えっと……?」

「赤井 光一」

「柊木 真理絵です。あなたは、オペラ歌手の霧島 ひとみさんですよね?」

「ええ、まあ……」

「彼らは?」

「彼らはZECTでライダーシステムを開発していたものたちです。人間ではありますが、もう一人の私とは価値観が違い、彼女は彼らを消そうと」

「ZECTとは一体なんだ?」

「ネイティブが作り上げた対ワーム組織です。あなた方地球人を巻き込んでしまい、申し訳ありません」

 ひとみは真理絵を見て気づいた。

「あなたはワーム(なかま)なんですね?」

「はい」

 ひとみは光一を見る。

「……?」

「お願いです。私たちに協力してもらえませんか?」

「協力ったって、何をすれば?」

「ネイティブの殲滅」

「それは俺も考えていた」

「それでは、あなたにはこれを託します」

 ひとみは懐からハイパーゼクターを取り出した。

「これは!?」

 驚き戸惑う光一。

「私の仲間がZECTの開発部に潜入した時に見つけた資料を参考に作ったものです」

「助かる」

 光一はハイパーゼクターを受け取った。

 ゴトリ、と何かが落ちる音が聞こえる。

 一同が振り返ると、風間 和樹がいた。

「ひとみさんが……ワーム?」

 和樹はことの一部始終を見ていた。

 落としたのはドレイクグリップだった。

「俺にはできない! できない、俺にはできない!」

 和樹の周囲をドレイクゼクターが飛び回っている。

 


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