仮面ライダーカブト〜ワームに恋するカブトムシ〜 作:桂ヒナギク
その日のこと。
光一がバイクを駆っている。
「……?」
路地裏で何者かがワームと話しているのを見かけた光一はバイクを止めた。
話し終えたのか、その何者かが路地裏から出てくる。
「……!」
何者かの正体は真理絵だった。
(柊木さん!?)
光一は真理絵の後を追った。
真理絵がZECTに囲まれる。
「ワームめ! もう逃さんぞ!」
真理絵はワームに変態すると、クロックアップでゼクトルーパーを翻弄する。
「うわあ!」
「ぎゃあ!」
次々に空中へ舞うゼクトルーパー。
その一部始終を見ていた光一の周りをカブトゼクターがクルクルと飛び回っている。
(柊木さん……)
「……!?」
クロックアップ空間から戻ったワームは光一の存在に気付いた。
「赤井くん!?」
「柊木さん、ワームだったのか」
「どうするの?」
光一は飛び回るカブトゼクターを掴んだ。
「君がワームなら……」
光一はカブトゼクターをベルトにセットした。
{Heshin}
スーツが形成され、カブトに姿を変える光一。
クロックアップするワーム。
カブトは目にも留まらぬ攻撃を受けて宙に舞い上がり、地面へと叩きつけられる。
「キャストオフ」
カブトはゼクターホーンを展開した。
{Cast off}
ファンデルワールス
{Change beetle}
「きゃあ!」
飛散したマスクドアーマーがワームを襲い、クロックアップ空間から放り出される。
「本気なんだ?」
ワームはクロックアップする。
「クロックアップ」
カブトがサイドバックルを叩く。
{Clock up}
カブトもクロックアップ空間に入り、ワームと応戦する。
だが、戦況は劣勢だった。
カブトの攻撃も虚しく、壁へと追いやられてしまう。
{Clock over}
クロックアップ空間から追い出されるカブト。
「私の勝ち、ってことでいいかしら?」
「強いんだな」
殺せよ——と、続けるカブト。「戦いに於いて敗者には死だろ?」
「いや、殺さない」
「どうして?」
「事情があってね」
「事情?」
「それは言えないわ」
「なんなんだよ事情って?」
「しつこい!」
ワームがカブトを殴り飛ばした。
「うわ!」
弧を描き、地面に落下するカブト。
ゼクターが外れ、変身が解除される。
ワームも真理絵の姿になる。
「私、ワームだけど、人間でもあるんだ」
「え?」
「お父さんが人間なの」
「ハーフなのか?」
「お母さん、さっきの人たちに殺されちゃった。だから、私はあいつらを許さない」
「復讐、するのか?」
「もちろん」
光一は真理絵にライダーベルトを投げた。
「これは?」
「ZECTとやりあうにはそいつが必要だろ? とっとけ」
「いや、そういうことじゃなくて、どうしたの?」
「別のワームが持ってたから奪い取った」
「それってもしかして、目が黄色の?」
「ああ」
「そのワームは?」
「粉砕した」
「そうなんだ」
あ!——と、なにかを思い出す真理絵。
「いけない! 晩のおかず買わないと!」
それじゃあね!——そう言って去っていく真理絵。
光一はバイクに跨がり、帰路に就くのであった。