仮面ライダーカブト〜ワームに恋するカブトムシ〜   作:桂ヒナギク

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Episode 4

 学校。

 光一は昇降口で真理絵と出会(でくわ)す。

「おはよう、赤井くん」

「ああ、おはよう」

 教室に向かい、席に着く。

 光一は真理絵を見る。

(柊木さん、産むのは卵なのかな)

「うん? なに?」

 光一の視線に気付いた真理絵が振り返って訊ねた。

「え? あ……いや、なんでもないよ!」

 前を向く光一。

 教師が入ってきてホームルームが始まる。

 

 

 昼休みのことだ。

 光一は一人屋上で食事をしていた。

 そこへ真理絵が弁当を持ってやってくる。

「なんだ?」

「一緒に食べようと思って」

「ワームって何食べるの?」

「人間の肉?」

「ブフー!」

 光一は口に含んでいたものを吹き出してしまう。

「いや、冗談だって。人間と同じもの食べるよ。まあ、人間食べてるやつも中にはいるけどね」

「笑えねえよ!」

 弁当箱を開ける真理絵。

「ん? なんだそれ?」

「うん? カエルのからげだよ」

「え……」

「カエル美味しいよね」

「普通は食べないな」

「え、そうなの?」

「食べるとしても中国人ぐらい」

「マジか」

 それより——と続ける真理絵。「魔法の鏡って知ってる?」

「魔法の鏡?」

「この学校にあるんだけど、その鏡の前でお願い事を言うと願いが叶うんだって」

「怪しいな」

「私もそう思う。確かめてみようか?」

「放課後でいいか?」

「うん。じゃあ、放課後に」

 食べ終えた二人は空の弁当箱を手に教室へと戻る。

 

 

 放課後だ。

 光一と真理絵は例の鏡の前に立っていた。

「なんの変哲もない普通の鏡に見えるけどな」

「これのどこが魔法の鏡なのかしら」

「とりあえず、なんか願ってみる?」

「そうね……」

 真理絵は考える。

「お母さんに帰ってきてほしい!」

「いや、無理だろ」

 ……………………。

 なにも起こらなかった。

「何も起きないね」

「帰るか」

 二人は帰路に就く。

 光一と別れ、家に帰ってくる真理絵。

「ただいまー」

「お帰りなさい」

 出迎えてくれたのは。

「お、お、お、お母さん!?」

 驚き戸惑う真理絵。

「ゆ、幽霊……じゃないよね?」

「何言ってるのよ」

「だって、だってお母さんはZECTに殺されて……!」

「そんなこと……」

 母親の顔に影が差さる。

「違う……」

「え?」

「お母さんじゃない。あなたはお母さんの姿をした別の人」

「何言ってるの? 明子よ。正真正銘あなたのお母さんよ」

「嘘! だったら私がどうやって産まれたか言ってみなさいよ!」

「お腹から産まれて……」

「違う! 私はお母さんが産んだ卵から孵化したのよ! お父さんから聞いたわ! 人間から卵が産まれるなんて、最初は驚いたらしいけど! それでお父さん、お母さんの正体がワームだって知って、お母さんが殺されたとき教えてくれたわ! 流石のワームでも死後の記憶は読めなかったみたいね!」

「あら、残念。なにも感じないうちに入れ替わってもらおうと思ったけど」

 明子と名乗る女性がワームに変貌する。

「思う存分痛めつけてから交代してもらおうかしら!」

 明子だったワームの元にさなぎワーム、もといサリスが現れる。

 真理絵は家を飛び出した。

 追いかけてくるワームとサリス。

 真理絵は取り出したベルトを腰に巻き、ダークカブトゼクターを呼び出す。

「へ……」

 変身しようとした真理絵にワームがクロックアップで攻撃する。

「きゃあ!」

 壁に激突する真理絵。

「嫌な予感がしてついてきてみたら、やはりそういうことかよ」

「……!?」

 声のした先をワームとサリスが振り返ると、光一がゆっくりとこちらに迫ってきていた。

「貴様は……」

「柊木さんのクラスメイトだよ」

「何者だ?」

 光一は飛来したカブトゼクターを掴む。

 空が曇り始め、雨が降り出した。

「変身」

{Henshin}

 カブトに変身した光一は襲いかかってくるサリスにカブトクナイガン・アックスモードを叩き込んで粉砕した。

 仲間を殺され、怒り狂ったワームがカブトを襲う。

 攻撃を受け、転がるカブト。

 ワームの追い討ちが立ち上がったカブトに炸裂し、再び倒される。

「赤井くん! どうして!?」

 でくの坊と化したカブトに真理絵が問う。

「あなた、まさか!?」

「どうする? 決めるのは君だ」

 ワームが真理絵を見る。

「私を消したりなんかしないよね? あなたは私の自慢の娘なのよ」

「……もうやめて! カブト、頼んだわ!」

 カブトは立ち上がる。

「キャストオフ」

 ゼクターホーンを展開し、ライダーフォームに移行する。

{Cast off——Change beetle}

「クロックアップ」

 サイドバックルを叩くカブト。

{Clock up}

 電子音と共に、降り頻る雨粒が空中で静止すると、カブトの怒涛の反撃が始まった。

 カブトはワームの攻撃の一切をかわし、カウンターを浴びせて確実に弱らせていく。

 そして、ゼクターについている三つのフルスロットルを押した。

{One two three}

 ゼクターホーンをマスクドフォームの状態に倒し。

「ライダーキック」

 再度展開する。

{Rider kick}

 電子音に合わせ、背後から迫りくるワームに回し蹴りを叩き込む。

 ワームは吹っ飛び、地面に転がる。

{Clock over}

 立ち上がったワームが真理絵に手を伸ばす。

「真理絵……!」

 刹那、ワームは大爆発を起こして霧散した。

 雨が止み、カブトの変身が解ける。

 光一は無言のまま真理絵を見つめていた。

 

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