提督がブラック鎮守府を変えるだけの話   作:えーぬ

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どーもです!12話目を書いてみました!投稿頻度が若干落ちてきていてごめんなさい…見てくださる方、いつも感謝です!では12話目をどうぞ!


作戦開始

「それでは…キス島沖攻略部隊の編成を発表します…呼ばれた艦娘は返事をして下さい…今回の作戦は何としても成功させなければならない作戦です…よって、我が鎮守府の精鋭水雷戦隊を派遣します」

 

司会の艦娘が震える声で話す。その目にはうっすら涙が浮かんでいた。それは他の艦娘も同じ様で、みんな下を向いて黙り込んでいた。提督は戦艦の練度ばかりを優先していたので精鋭と言えど水雷戦隊の練度などたかが知れていた。その為、今回のキス島沖への出撃…いや、もはや特攻と言っても過言ではない今回の作戦は完全なる捨て艦戦法であると誰もが理解していた。長い沈黙の後、司会の艦娘が口を開く。

 

「…旗艦、軽巡洋艦長良」

 

「えっ……嘘…私なの…??」

 

「随伴艦、駆逐艦夕立」

 

「……腹くくるっぽい」

 

「同、駆逐艦島風」

 

「連装砲ちゃん…頑張ろうね…」

 

「キュー…」

 

「同、駆逐艦時雨」

 

「選ばれたからには…やるしかないね」

 

「同、駆逐艦浜風」

 

「……………」

 

「そして…」

 

いよいよ最後の艦娘の発表になった。場に緊張が走る。

 

「…同、駆逐艦雪風、以上の艦娘は後ほど詳しい作戦概要を説明しますのでここに残って…」

 

(………えっ?)

 

今なんて言った?呼ばれたのは本当に自分なのか?練度も装備も経験も何もかもが圧倒的に周りに劣る自分がなぜ?なんで?どうして?そんな疑問ばかりが浮かんで止まらない。時間は無情にも過ぎ去り、気がついた時には作戦概要の説明に入っていた。

 

「………という作戦です…」

 

長々と難しい言葉を並べて遠回しに作戦の説明をしてきたが、その内容は実に簡単だった。比較的幼い駆逐艦でも容易に理解できる。要は

 

 

『”最悪の場合爆弾を抱えて敵主力に体当たりしてこい”』

 

 

と言っているのだ。どうやら生きて帰すつもりはないらしい。

 

「…必ず成功させようね!みんなの…姉妹の為にも」

 

長良が絞り出すかのような掠れた声で言う。溢れ出る感情を無理やりねじ伏せながら話しているのがわかる。

 

「時雨ぇ…時雨ぇ……」

 

「大丈夫だよ、夕立。僕も側にいるからさ」

 

夕立は時雨に抱きつきながら泣いており、時雨もまた夕立を優しく抱き返していた。時雨の表情は穏やかな物の、その目尻には小さな涙が浮かんでいる。

 

「……………」

 

浜風は静かに俯いたまま目を閉じていた。きっと彼女なりの覚悟を決めようとしているのだろう。

 

「磯風……浦風……谷風……行ってくるわ………」

 

淋しげにボソっと呟いたその声は誰にも聞こえる事もなく空気の中に消えていった。

 

(雪風は……雪風はどうしたら…………)

 

雪風は自分の役割を未だ呑み込めずにいた。認めたくない。出撃したら自分はもう二度とここに戻って来られないかもしれない。そう考えるだけで吐き気がする。

 

「雪風ちゃん…」

 

そんな中、島風が呟くように雪風に話し掛けて来た。

 

「私ね……今まで雪風ちゃんと過ごせて楽しかったよ…もし…もし海の底に沈んじゃっても……また雪風ちゃんに会えるのかな…?」

 

島風は若干涙混じりの笑顔で雪風に向き合っていた。

 

「島風ちゃん……」

 

姉妹艦のいない島風にとって、いつも当たり前の様に一緒にいた雪風は大切な親友…いや、もはや姉妹のような存在だった。次第に嗚咽を漏らし始める島風。

 

「きっと……きっと大丈夫です!雪風には幸運の女神がついてますから…沈む訳にはいきません!」

 

島風の手を雪風は優しく握った。

 

 

『ぜったい!大丈夫!』

 

 

雪風はぱぁっとした笑顔で島風に微笑んだ。その笑顔は島風だけでなく、作戦メンバー全員の心に響いた。

 

「そうだね!頑張ろう!」

 

「止まない雨はないさ」

 

「突撃するっぽい!」

 

「そうですね…全力を尽くしましょう」

 

「うん……そうだよね…!きっと大丈夫だよね!だって速いもん!」

 

雪風の言葉と笑顔で作戦メンバー全員が勇気づけられた。

 

「よし!みんな!頑張ろうね!」

 

長良が号令をかけ、全員で円陣を組む。小さな手が何重にも重なり合った。

 

 

『おー!!!』

 

 

 

(作戦当日)

 

 

 

「よーし、みんな……出撃するよ!」

 

6人は険しい顔でキス島沖へと向かった。港では多くの艦娘達が手をで振って見送ってくれていた。その後は羅針盤妖精の誘導に従い、何とか目標の近くにまで辿り着く事が出来た。

 

「この辺りのはずなんだけど…」

 

目標である敵主力艦隊の付近まで来ているはずなのだが、一向に姿が見えない。

 

「もう少し奥の方にいるっぽい?」

 

「そうかもしれないね…電探に反応もな…」

 

 

『『ゴッ…パアアアアン』』

 

 

刹那、轟音と共に時雨の声と姿が消える。紅い鮮血が陽の光を浴びて輝く。その血は海面に広がり、粉々の艤装と共に浮いていた。

 

「……時雨っ!!!」

 

「夕立ちゃん!!駄目!!!」

 

長良の必死の叫びも夕立には届かず、夕立は肉片と化した時雨の方へと踵を返す。その瞬間を狙ったかのように二度目の轟音が鳴り響く。

 

 

「しぐ……『ゴパアアアアン』

 

 

「ヒッ……!」

 

雪風の顔にビチャビチャと夕立の生温かい血が降り注ぐ。夕立の艤装と思われる鋼鉄の塊はボコボコと泡を吹きながら沈んでいった。

 

「南の方角!elite級戦艦です!今の我々の装備では太刀打できません!それに…主力とは別の艦隊であると予測されます!」

 

浜風が声を張り上げる。現場での指揮権は旗艦である長良に一任されている。長良は迷う事なく迅速に判断を下した。

 

「…総員、全速力で北東に逃げるよ!私達が戦うべき相手はあいつらじゃない!」

 

そう言うと長良は限界に近いスピードで北東の方角へ走り出した。浜風と島風と雪風もそれに続く。艤装は唸りを上げ、物凄い熱を持っていた。幸いにも戦艦の速力は低速だったのか、長良達を追って来る事はなかった。

 

「はぁ…はぁ…ここまで来れば……」

 

何とか逃げ切れた4人は夕立と時雨の轟沈という事実を未だ受け入れられずにいた。時刻は2000を過ぎ、辺りはすっかり暗くなっていた。

 

「ごめん…私のせいで…夕立ちゃんと……ひぐっ…時雨ちゃんが……ううっ…」

 

長良が謝り倒す。だがその言葉に反応する者はいなく、ただ俯くしかなかった。それからどのくらいの時間が経ったのだろうか。浜風がとある異変に気が付く。

 

「………!!波の向きが変わりました!風向きは変わっていないので…」

 

恐らく敵が近いです…そう言おうとした時、少し離れた場所でチカっと光が見えた。

 

「全艦回避運動!早く!」

 

長良の叫びに4人は単縦陣のまま一斉にジグザグ航行を始めた。さっきまでいた場所に水柱が上がる。水柱の大きさからして軽巡洋艦か駆逐艦だろう。

 

「それっ!」

 

島風が照明弾を打ち上げる。そのまばゆい光によって5つの黒い影が照らし出される。

 

「軽巡1駆逐4!恐らく敵主力艦隊です!」

 

首元の双眼鏡を覗いた雪風が声を張り上げる。

 

「よし来た!任せといて!」

 

長良は流れるように水面を滑り、主砲を向けて鮮やかに敵駆逐艦を一隻沈めた。しかし、砲撃をした時の光が目印となってしまったのか、敵の砲撃が一斉に長良に集中する。

 

 

『あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!』

 

 

駆逐艦の砲撃といえど、過剰なまでの集中砲火と至近弾で長良は轟沈寸前の状態にまで追いやられた。

 

(このまま……ゆっくり沈んでいくのかな……)

 

長良が瀕死の状態で死を覚悟した時、突然辺りが明るくなった。

 

「敵の注意は私が引きます!雪風さんと島風さんは雷撃を!早く!」

 

浜風が探照灯で敵を照らし始めたのだ。敵の位置を視認できた雪風と島風は一斉に魚雷を海面に放出させる。

 

「お願い…!当たって!」

 

島風が祈るように叫ぶ。二人の魚雷が水面を滑っている間も、敵の砲撃は浜風に集中していた。浜風はジグザグ航行でかろうじて致命傷は免れているものの、少しづつ小さなダメージがじわじわと蓄積されていった。

 

「…………がああっ!!!」

 

砲撃の一つが足に命中した。バランスを崩す浜風。海面に転倒し、へたり込んでしまう。

 

「………!!」

 

次の瞬間浜風の目に映ったのは、自分に向いて飛んでくる砲弾の雨だった。

 

「後は……頼みまし『ドガアアアアン』

 

所持していた爆弾に引火、大爆発を引き起こし、メラメラと音を立てながら浜風はゆっくりと海底に沈んでいった。

 

 




はい12話目が終わりました!回想長くてすいません!もう少しだけお付き合い下さいね!もしよかったら感想と評価の方のよろしくお願いしますー!ではまた次回、会いましよー!

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