提督がブラック鎮守府を変えるだけの話   作:えーぬ

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ふぁああああ遅くなって申し訳ありません!ちびちび書いてたらめっちゃ遅れてしまいました!待ってて下さった方、本当にお待たせしました!では14話目です!どうぞ!


こうしょうしせつ

(工廠)

 

「さて、大分片付いてきましたねー」

 

明石はお粥を食べ終わった後、工廠の片付けに追われていた。

 

「ん?なになに?」

 

沢山の妖精が明石の周りに群がり、口をパクパクさせていた。何かを伝えようとしているのだろうか。

 

「……えーっと………??」

 

明石は簡単なジェスチャー等を用いてかろうじて妖精とコミュニケーションを取れる物の、完全なる意思疎通は出来ないでいた。

 

「お腹……引っ込めて……?あ!お腹空いたのね!」

 

その言葉に妖精の顔がぱあぁっと晴れやかになる。どうやら妖精達は明石の言葉を理解しているようだ。

 

「ごめんねー私だけ先に食べちゃってて…っとはい、どうぞ!一人3つまでですよ!」

 

明石がリュックから取り出した金平糖の入った大きな瓶を前にしてピシッと一列に並ぶ妖精達。みんな目をキラキラと輝かせて今か今かと待ちわびている。争いをしない辺り、妖精同士のコミュニケーションは取れているように思える。

 

「はいどうぞ!ゆっくり食べてねー」

 

明石はそんな妖精達に対してひとりひとり丁寧に金平糖を渡していく。

 

「はい次の子……ん?あなた達は……??」

 

そこには見慣れない妖精達が数人程度いた。挙動はオドオドとしており、何かに怯えているようにも見える。確かに新しい妖精がいつの間にか増えている様な事は決して珍しい事ではないのだが、その妖精達の服はみんなボロボロになっており、目の下の隈も深かった。明らかに新しい妖精ではない。

 

「えーっと……とりあえずこれ食べます?」

 

ボロボロの妖精達は明石のその言葉に首をブンブンと縦に振った。明石から金平糖を三粒づつ貰うと、目を星の様にキラキラさせてからお辞儀をしてどこかへ走っていった。

 

「ふぅ……じゃあそろそろ作業しますかー」

 

軽く伸びをした明石はおもむろに何かの設計図を書き始めた。

 

 

 

(工廠深部)

 

 

 

「ふしぎなたべもの…きれいでおいしいです…」

 

「あまくてげんきのでるあじですね」

 

ボロボロの服を着た妖精達は初めて食べる金平糖を味わっていた。

 

 

『ここのちんじゅふのようせいですか?』

 

 

「!?」

 

妖精達はバッと声のした方を向き、警戒し始めた。

 

「おっとしつれい。おどろかせるつもりはなかったんだ」

 

そこにふよふよと浮いていたのは明石の連れてきた妖精だった。その妖精はにこっと微笑むとスーッと下に降りた。

 

「はじめまして、わたしはあかしさんとともにここにやってきたものです。いご、おみしりおきを」

 

ぺこりとお辞儀をする明石妖精に反射的にお辞儀を返してしまう。

 

「…なにしにきたんですか?」

 

「わたしたちはここのこうしょうについてもうすこしくわしくしりたい。ただそれだけです。あなたたちならよくしっているとおもいましてね」

 

「……べつになにもありませんよ」

 

「…うそですね。ちゃんとめをみてはなしてください」

 

さっきまでの笑顔ではなく強い目つきで目を見る明石妖精。

 

「そんなこわいかおされてもいわない…いや、いえないですよ」

 

悲しそうに目線を外す妖精を見て明石妖精は何かを察したのか、これ以上掘り下げる事はしなかった。

 

「……わかりました。あ、ごはんのじかんは7じと13じと19じにあかしさんのところです。たまにおやつがでるときもあるので15じにもいくことをおすすめします。では」

 

そう言い残すと明石妖精はふよふよとどこかへと飛んでいってしまった。それからしばらくして一人の妖精が口を開く。

 

「わるいかたではなさそうでしたけど…」

 

「いや、まだわからない。またまえみたいにひどいことをされるかもしれないぜ」

 

「とりあえずはようすみですね…ごはんはたべたいですけど」

 

「あかしさん……??はわたしたちのことをたいせつにしてくれるんでしょうか…」

 

「…かんがえるな。またおなじめにあうだけだ」

 

(そう…あのときのように…)

 

 

 

(かつての〇〇鎮守府工廠)

 

 

 

「おいおいおい!何回失敗したら気が済むんだよこの無能共がよぉ!」

 

今日も提督が吠える。その目は怒りの感情で燃え上がっていた。妖精達は必死に失敗理由を伝えようとしているが、その声が提督に届くことはなかった。

 

「ごめんなさい……せめて…せめてもうすこしだけしざいを…」

 

「あ?何言ってるかわかんねーよ。言い訳してる暇あんならさっさと装備作れチビ共」

 

「かいはつしざいもこうざいもようせいもなにもかもがたりてないのにむちゃです…」

 

「そーかそーか!作ってくれるか!そういう事だよな!出来なかったら……どうなっても知らねぇぞ?」

 

そう言い残して提督はしわしわの軍服のポケットに手を突っ込みながら工廠を去っていった。

 

「がんばるしかないです…」

 

「でもぜつぼうてきなじょうきょうです…」

 

「どうしたらいいですか…」

 

妖精たちは何もできないまま次の日を迎えてしまった。

 

「よぉ妖精共!…もちろん、もう既に完成してるよな?」

 

提督が鋭い目つきで妖精たちを見下す。今日の提督の機嫌が一層悪いのは誰が見てもわかる程表情に出ていた。そんな提督を前に、妖精たちはただブルブルと震えているだけだった。

 

「は?何やってんの無能共が」

 

提督の冷たい声が静かに響く。

 

「…チッもういいわ。やる気ないんだろお前ら」

 

「ち…ちがいます!しざいさえあれば…!!」

 

一人の妖精が前に出て必死に提督に説得をしようとする。しかしやはり提督には一切の言葉が通じない。

 

「あ?なんだお前目障りだわ」

 

「……!!」

 

提督は必死に説得している妖精を鷲掴みにした。妖精は息が出来ないのか、苦しそうに提督の手の中でもがいている。すると提督は何かを思いついたのか醜く唇を歪ませ、工廠のとある場所へと向かった。そこにはとても大きな錆びついた鉄の箱がいくつもあった。その箱には汚いマジックの字でこう書かれていた。【解体,廃棄】と。提督はその箱の中に妖精を叩きつけるように投げ入れ、重い鉄の蓋を閉めた。中からはゴンゴンと鉄を叩く音が聞こえる。

 

「…もし失敗したらこれから一人づつこうだからな」

 

そう言うと提督は鉄の箱をベルトコンベアーに乗せ、重いレバーを引いた。その瞬間警報のような音が鳴り響き、鉄の箱が大きな機械の中に吸い込まれていく。

 

「…………!!!!!!」

 

妖精の悲痛な叫びも箱の外には全く聞こえなかった。そこからは実に単純で、ベルトコンベアーに乗せられた鉄の箱が大きな機械の中に入り、しばらくして機械から出てきた箱の中にはさっきまでいた妖精の姿はなく、変わりに少量の鉄が入っているだけだった。機械の中で何が起こっているのかなんて誰も知らない。知りたくもない。

 

「なんだこれ、ゴミみたいな量しか出ねぇじゃねぇか。ま、いいや。この鉄を足しにしてまた何か作れよな」

 

提督がそう吐き捨てると、妖精だったはずの鉄を床に捨てた。それからというもの、この地獄の無限ループが延々と続いていき、気がついた頃には妖精は両手で数えられるくらいの人数になっていた。

 

(きょうもまたひとり、だれかが……)

 

だがある日を境に提督が来る事はパッタリと無くなった。再び着任したという提督も最初は好印象であったが、数年が経つと前任のように人の形をした動物に変わってしまった。それと同時に工廠も悲鳴と断末魔しか聞こえない生き地獄へと姿を変えた。

 

(われわれようせいはなんのためにそんざいしているのだろうか…)

 

妖精達はそんな事を考えながら時間も忘れ、ただただ生きるだけの毎日を過ごしていった。そんな時、明石という妖精を連れた艦娘と出会った。

 

(あかしさんといっしょにいたようせいさんはみんなしあわせそうでしたね…)

 

そんな事を思っていると、奥から声が聞こえてきた。しかもその声はだんだんと近付いて来ている。

 

「ちょ、ちょっとー服引っ張らないでくださいよー」

 

明石が服の袖を妖精に掴まれて引っ張られて来た。その妖精は紛れもなくさっき話しかけてきた妖精だった。

 

「もう…伸びちゃいますって…あら、さっきの……」

 

明石がこちらに気が付く。何かされるのだろうか…そう考えるだけで自然と体が震え出した。

 

「そんなに怯えなくても大丈夫よ。私達は何もしないから」

 

明石が優しい笑顔で妖精達に話しかける。そんな明石の様子を見て少し震えが収まる妖精達。少しの無言の後、妖精がぎこちなくも明石にジェスチャーを送った。

 

「お!んーっと……なになに………」

 




いやー梅雨イベ楽しみですね!さて、主の諸事情(もうお分かりかと思いますが)によりまたしばらく投稿頻度が落ちてしまいます!温かい目で見守ってくれたら嬉しいです!感想と評価もモチベが上がりますんでそちらの方もよろしくお願いします!ではまた15話でお会いしましょう!

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