提督がブラック鎮守府を変えるだけの話   作:えーぬ

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おっくれましたー!!リアルや梅雨イベが忙しくてなかなか執筆できませんでした!待ってて下さった方、本当に申し訳ないです!それとお気に入り200人突破ありがとうございます!これからもこんな駄文をどうぞよろしくお願いします!さて16話です!どうぞ!


午後に

「失礼します」

 

ゆっくりと開いた扉から既視感のある袴を履いた艦娘が表れた。

 

「鳳翔さんでしたか。どうかしましたか?」

 

「実はちょっとご相談がありまして…」

 

鳳翔は若干申し訳なさそうな表情をしている。

 

「何でしょうか?俺に出来る事なら協力しますよ」

 

「……!!ありがとうございます!」

 

鳳翔は提督に向かってペコリとお辞儀をした後、ゆっくりと話し始めた。

 

「……実は私、商店街へ行きたいんです」

 

「しょ、商店街ですか?」

 

思わず聞き返してしまった。この近くにある商店街といったら吹雪と一緒に行ったあそこの商店街しかないので多分そこの事を指しているんだろう…そんな事を考えながら提督は続く鳳翔の話を聞いていた。

 

「はい。実は私前の提督が居なくなってから一度だけ商店街の方へ向かってみたんです。そこには美味しそうなお肉やお野菜が沢山並んでいたんですけど…」

 

鳳翔の言葉が詰まる。

 

「それを貰う為にはどうもお金…?という紙や円形の金属片がどうしても必要らしくて……だから私達は鎮守府に生えてる野草等で何とか食いつないでいましたが…やっぱり限界があるので……だから商店街に行って栄養たっぷりの食べ物が欲しいんです」

 

『……え?』

 

その場にいた鳳翔以外の全員が驚きと戸惑いを感じていた。

 

「ほ、鳳翔さん。商店街の件は勿論大丈夫です。問題はそこではなくてですね…」

 

「お金……貰った事ないんですか?」

 

吹雪が心配そうな顔で鳳翔に尋ねた。

 

「お恥ずかしい話なのですが……」

 

鳳翔が俯きながら更に申し訳なさそうに聞いてきた。

 

 

 

『お金って……何なんですか?』

 

 

 

「なっ……」

 

鳳翔のその言葉に提督はただ絶句するしかなかった。長門と吹雪も目を見開いて驚いている。提督は戸惑いつつも冷静にお金の説明を始めた。

 

「鳳翔さん、お金というのはですね……」

 

「……なるほど!お金は商品と交換する為に必要な物だったんですね!」

 

「そういう解釈で大体合ってます。しかし……給料とかは支給されてなかったんですか?」

 

「きゅう……りょう…??」

 

鳳翔は首を傾げながら聞き返してきた。頭の上に?マークが浮いているように見える。

 

「私達艦娘でもきちんとお金を受け取れるようになっているはずなんですが…」

 

「おそらく、前の提督が横領なりなんなりしていたんだろうな……」

 

一気に執務室内の空気が重くなる。そんな空気を察した提督が少し明るめに話し始めた。

 

「ま、まぁ今回の食費は俺が建て替えますよ!後で大本営にもその辺の費用の件を問い合わせるのでとりあえず商店街に急ぎましょう!」

 

「は、はい!それじゃあ私はお出かけの準備をしてきますね!」

 

「了解です。準備が出来たら駐車場まで来てくださいね」

 

「はい、ではまた後で」

 

ガチャンと静かな音を立てて扉が閉まった。一瞬の沈黙があった後、長門が話し始める。

 

「提督…もし深海棲艦との戦いが終わった後彼女達は…」

 

「…あぁ、社会復帰は難しいだろうな。あの様子じゃ人間の一般常識のほとんどが分かってないかもしれない。その為の対策も後々練っていかないとな…」

 

するべき事が雪だるま式にどんどん増えていく。そんな先の見えない〇〇鎮守府の現状を受け止めつつ、提督は前向きに対処すると決めた。

 

「さ、司令官!私達も準備しましょ!」

 

「おっけー…って言っても準備する事無いんだけどな…」

 

 

(まさか一日に二回も商店街に行く事になるとは…)

 

 

 

 

(商店街)

 

 

 

 

「着いたぞー……っておい…」

 

車を商店街近くの駐車場に停めて後部座席を振り返るとそこには気持ちよさそうにすやすやと寝息をたてる長門と吹雪がいた。

 

「あらあら…二人ともお疲れのようですね…」

 

助手席の鳳翔がくすくすと笑いながら呟いた。

 

「まったく…気持ちよさそうに寝てんな……鳳翔さん、俺達だけで行きましょうか」

 

「はい…って置いて行っちゃうんですか?」

 

「二人共今日はよくやってくれましたからね…なーに!荷物は俺が持ちますよ!」

 

艦娘が熱中症になるのかは定かではないが念の為に車のエアコンは付けたままにして二人は車を降りた。それから二人は他愛もない話をしながら商店街へと向かった。

 

「鳳翔さん、どんな物を買うんですか?」

 

「そうですね…とりあえず今欲しい物はこれくらいですね」

 

そう言うと鳳翔はポケットから一枚の紙切れを取り出した。提督はその紙を受け取り、さっと目を通した。

 

「追加のお米に野菜に魚…新しい包丁……結構ありますね…」

 

「お粥だけだとどうしても補えない栄養もありますし、道具も大分使い込んでいまして……」

 

「なるほど…っとそうだ、これを渡しておかないと」

 

提督は数枚のお札を鳳翔に渡した。

 

「これがお金です。これだけあれば大体の物は買えると思いますが…足りない場合はまた呼んでくださいね」

 

「本当に…何から何までありがとうございます…」

 

「いえいえ、上の立場の者として当然の事をしたまでですよ!」

 

少し恥ずかしそうにはにかむ提督を見て鳳翔はとある異変を感じていた。

 

(何でしょう…胸が締め付けられてるみたいです…)

 

「鳳翔さん?」

 

「ひゃ、ひゃい!?」

 

提督が鳳翔の顔を覗き込んだその時、鳳翔は思わず変な声が出てしまった。

 

「大丈夫ですか?なんか心なしか顔が赤いような…」

 

「だ、大丈夫です!大丈夫ですから!!」

 

(かっ顔が近いですって……)

 

「そうですか…何かあったら遠慮なく言ってくださいね」

 

「どうしちゃったんでしょう私ったら…」

 

胸に手を当て考えてみるが、この感情が何なのか鳳翔にはわからなかった。それから少し無言の時間が続き、二人は商店街の入り口にたどり着いた。

 

「よし!じゃあ俺は野菜や魚を買ってくるんで!鳳翔さんは包丁などの器具を買って下さい!」

 

「はい!ではまた後で」

 

提督は食料品、鳳翔は調理器具と二手に別れて行動を始めた。

 

 

 

(提督side)

 

 

 

「えっと…とりあえずお米か…」

 

米屋を目指して商店街を歩くが、周囲の視線が冷たく提督に刺さる。すれ違う人も明らかに提督から距離を置き、目を合わせようともしない。

 

(うーん…どうも俺は歓迎にされていないようだな…)

 

そんな事を思いながらゆっくりと歩いていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「おーい兄ちゃん、さっきぶりだな」

 

その声の方を向くと米屋の店主が大きな手を振っていた。どうやら考え込みながら歩いていたらいつの間にか米屋までたどり着いていたらしい。

 

「ど、どうも!すいません一日に何度も…」

 

「全然大丈夫だ。それで?あの大量にあった米がもう足りなくなったのか?」

 

「実はそうでして…また沢山買わせて頂けたらなと」

 

「そーかそーか!んじゃこれ持ってけ!」

 

そう言うと店主は笑いながら店の奥から大きめの米俵を一つ運んできた。

 

「これくらいでどうだ?」

 

「ありがとうございます!えーと…サイフは…っと」

 

「お代はいい、サービスって奴だ」

 

「えっ!?いや…そういう訳には…」

 

申し訳なさそうにする提督に向かって店主は少しだけ真面目な表情で話す。

 

「いいんだ、最初来た時ろくに兄ちゃんの話も聞かずに追い返しちまっただろ?それにその時貰った金のお釣りでもあるんだ。あいにく俺は借りた物はきちんと返す主義なもんでな…だからこの米を貰ってくれやしないか」

 

提督は少しだけ考える素振りを見せ、口を開いた。

 

「……分かりました!ありがたく頂きますね!」

 

「おう!美味しく食べてやってくれ!」

 

「ありがとうございます!…えーっと…」

 

「…テツでいいぞ、みんなそう呼んでる」

 

「……!!はい!テツさん!」

 

その後提督はテツと色んな事を話した。過去にここで何が起きたか、基本店はいつ頃閉まるか、八百屋の娘が美人だとか、たまに来る黒猫がかわいいとか、真面目な話から笑い話まで、二人は時間を忘れる程話に夢中になって話し込んでいた。

 




はい16話目が終わりました!これからはもう少し投稿頻度戻そうかなとも思っているのでこの先の話も暖かい目で見守って下さい!ではまた次回で会いましょー!

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