俺のサーガはセカンド・シーズンから始まるようだ   作:魔女太郎

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第十五話「遭遇する別のギルド、そして、そうじゃない」

 現地に集合した俺たちを待っていたのは、予め連絡があったAランクギルド。

 名前は、確か。

 

「あなた達が『超越の勇士』の皆さんですね。どうもはじめまして。『比類なき一団』ギルドリーダーのキャーレです」

 

 血族(ペムト)、だろうか。どうも外見判断ではそのように見える男──長身の鎧姿に剣を背負って、俺よりよほど()()()格好をしている──が細い目の笑顔で握手をしてきた。

 彼の背後のメンバーを含めて合計で七人。

 この人達が今回同行してくれる仲間というわけだ。

 

「『超越の勇士』ギルドリーダーミナト、それと」

「ベルです!」

「セレメア・キャロルディアよ」

「クルクス・アッカ」

 

 こちらの自己紹介は済んだので、『比類なき一団』のメンバーを紹介してもらおうと待つ。

 けれど、キャーレは笑うだけで進まない。

 

「いや、失礼──まさか本当に三人で来るとは」

 

 めちゃくちゃ喧嘩を売られていないか?

 あと、四人だって。まあ戦力的に俺はゼロみたいなものだが。

 しかしそんなことを口に出すわけにも行かない。

 

「最初は私達、この街のAランク三組で行こうと言ったのにも関わらず、フルメンバーでもないSランクが出張ると……それも、同行するのは一組でいいなどと言うものですから、一体どんな者達が来るかと思えば、ダンジョン攻略に適さないものばかり……」

「Aランクの同行を一組だけにしたのは街の防衛のためだよ」

 

 と、いうのも受け売りなので、あんまりはっきりと言い切ることは出来ないのだけれど。

 だって初めてだから自信もないんだよ。

 

「ええ、そうでしょう。けれどね、はっきり言って、頼りにならないんですよね。魔人を倒せるなど、私達にだってできる。先の魔人は、住民の避難の方へと回されましたので叶いませんでしたが。本来は私達が倒す存在だったのです。無論、あなた方よりも時間をかけることもなく」

 

 魔人に関しては、殺さずにというのがあったので時間をかけてしまったのは確かだ。

 もっと早く倒せれたというのも、確かなのだろう。

 

「フルメンバーなら、それは素晴らしいのでしょうが。戦力の欠けた状態では、協力が必要なダンジョンでは足手まといでしょう」

「その分頑張るよ」

 

 なにせ初心者なので、正直よろしく頼みたいというような思いだ。

 

「はっ、頑張るのは当たり前ですよ。Sランクと聞いて少しは期待していましたが、がっかりですね。いいですか、まずダンジョン攻略に必要なのは事前準備、つまり構成です」

 

 確かに事前にセレメアから聞いた知識でもそんなことを言っていた。

 自分達以外の意見というものは貴重だ、興味深い話なので聞いておく。

 

「あなたは見たところ剣士、アタッカーとタンクを担っているのでしょう、しかし後ろの二人は魔術師と呪術師でしょう?」

「見ただけで分かるのか」

「フッ……杖を持っていれば魔術師、おかしな格好していれば呪術師と決まっています。確かに魔物討伐ならそれだけでも有効かもしれませんが、ダンジョンにおいて重要なのは未開拓の場所を安全に進めること、攻め手と搦手だけでは、手数が足りない。みなさい、私達のメンバーを」

 

 そうしてキャーレの発言にまず前に出てきたんのは、耳の尖った女性、森族(エルフ)だろう。

 民族衣装のような、簡素だが意味を持たせているであろう服装に、武器として鎖鎌を持っている。

 

「ジーレオンの一族で最も土地の声を聞くとされた戦士、キャインド・ジーレオン。祈祷師(シャーマン)の力を用いて、ダンジョンでは地図の作成を担当する」

 

 隣にいる石族(ドワーフ)、だろうか、体躯が一回り小さな女性。

 ゴチャゴチャと様々な工具のようなものを服に引っ掛け吊るしている。

 

「師匠の名前はあの伝説の職人カンナ、その技術を受け継いだのが私、ナベス・パロ。罠の分解・再利用ならおまかせあれ!」

 

 続いて出てきたのはネコミミをつけた少女、牙族(ナガン)

 動きやすいようにか、要所要所、致命的な部分だけを鎧で隠した活発な見た目。

 

「私はグイーン・ベルリッキー! 斥候っていうべきかな、どんな敵からも逃げ切れなかったことも振り切れなかったこともないよ! ま、正面から戦って負けたこともないけど!」

 

 次は全身を緑の鱗で覆われた大男、鱗族(ドラド)

 その身の丈と同じように大きな斧を抱え、大きな声で笑う。

 

「我はゲンサ。すべての攻撃を受け止め、すべての守りを崩す。我を崩せるのは我だけ」

 

 四本の腕、青い色の甲殻、虫のような外観で性別はわからないが甲族(ゼクト)

 それぞれの腕に杖、剣、盾、槍。

 

「僕の名前はクーガ・タランドゥ。オールマイティー、なんでもござれ」

 

 最後に、水かきが特徴、魚人の男、海族(マーメ)

 短剣を持ち、装備はコートのようなものを羽織っている。

 

「ペブ・タンマ。毒と治療」

 

 ここにおそらく指揮系統であるキャーレを合わせた七人が『比類なき一団』。

 紹介されてみると、確かにバランスがとれている……というべきか、状況に合わせて対応できるだろう。

 

「いいギルドだな」

「はっ、まあね。『比類なき一団』というのも、私達に並ぶべきものなどないという思いから……そうじゃない!」

 

 褒めたのに怒りだした。

 

「ともかく、私達だけで攻略は十分可能だ……むしろ、あなた達のような不確定要素は大人しくしてもらいたいのです」

「ああ、分かったよ」

「とはいえ、あなた達もそれでは納得が……いいのですか!?」

「確かに君たちの言う通り、こちらはフルメンバーじゃないからね。攻略さえ、街の安全さえ確保できればこちらとしても問題はない」

 

 突っかかってくるのは、まあ、少し腹立たしい部分はあるけれど。

 先程から黙って殺意を放ってる後ろの三人を見ると、やや冷静になっていくし。

 活動拠点としては彼らの方が主なようだ、波風立てても仕方ない。

 名声はついで、沈静化による強化さえできればいいのだ。

 

「それに、君達が足手まといがいる程度で苦戦するなら怖いし」

 

 なにせ俺という不確定要素を超えたド級の地雷があるのだ、みんなを巻き込むわけには行かない。

 と、まあそれを正直には言えないので、言葉を濁したのだが。

 

「……ずいぶんと、言いますね」

 

 先程までニコニコとしていたのになぜだか怒り出した。

 後ろの六人も不機嫌になっている。

 

「ど、どうした?」

「うっわ、ミナトさんエグいですね」

「あんた、『俺達はお前ら足手まといがいる程度どうでもないけど、お前らはやっぱそうじゃないよね』なんて」

「いくらなんでも煽り過ぎ、お姉ちゃん心配しちゃう」

 

 ああ、確かにそういう風にもとれてしまう。

 いや、違う、これは自分を卑下して言っただけなんだ!

 

「ふん、せいぜいダンジョン内では気をつけることですね」

 

 弁明しようとしたが、キャーレ達は先にダンジョンへと潜っていく。

 

「どうするのよミナト。ムカついたとは言え、これじゃあ協力、非協力どころじゃなくて敵対関係よ」

「……とりあえず付いていこう」

 

 入る前にこんなことになるなんて。本番──ダンジョン内ではどうなることやら。

 不安なまま、初めてのダンジョン攻略へ急いで踏み出した。

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