ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
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アキラは偶然に居合わせたことから、ルイーダの酒場のアリアハン支部長のカナブンからベロニカの妹を救出する緊急依頼を受けることになる。
場所はアリアハンの西の小島ある塔──通称、ナジミの塔。
原作では、地下1階、地上4階の構成になっており、最上階には【とうぞくのかぎ】を持っている【老人】がいた。
ベロニカとアキラは準備もそこそこに、町の外で聖水を振りまいた後、ナジミの塔に向けて出発した。
ただ、カナブンから聞いたナジミの塔へのルートには、途中に通る”岬の洞窟”の入り口にごろつきの見張りが複数おり、侵入はかなり難しかった。
そこで、アキラがベロニカに別の方法を提案するのであった。
アキラはナジミの塔への行き方には複数あるのを知っている。
それは、ナジミの塔の更に西にある洞窟──岬の洞窟──から入るか、アリアハンの北にあるレーベ南の草原にある地下道から入るかである。
岬の洞窟に玉砕で行ってもやられてしまう可能性がかなり高いので、アキラは──原作知識を使うかどうかを──悩んだ挙げ句にレーベ南の草原にあるルートを教えて向かうことにした。そこは人命優先である。
「本当にこんなところに地下道に続く道があるの?」
「ええ、多分ですけど……っと、
アキラが指を指した方向には地下道に入る階段があり、地下道の存在を怪しんでいたベロニカもその言葉を聞いて期待を膨らませたような顔をした。
「こ、ここね……」
「はい。ここを通っていけば見張りを掻い潜って妹さんのところまで行けるかもしれません」
「さっさと行きましょ!」
ベロニカは階段の先が真っ暗なのにも関わらず、我先にとどんどん降りていく。
妹がそれだけ心配なのだなと妹想いのベロニカに対し、嬉しそうな顔をしてその後ろについていく。
そして階段を降りたところでベロニカが急に立ち止まった。
「
ベロニカがそう言った瞬間に、アキラは反射的にどうのつるぎを抜く。
目の前にはいっかくうさぎが身構えていた。
「ここは私に任せて。…………『メラ』!」
ベロニカが詠唱を終えて『メラ』を放つ。
小さな火球が現れ、いっかくうさぎに飛んで行く。
『メラ』はいっかくうさぎに当たると衝撃音が鳴り──洞窟内なので外よりも大きく響く──その息の根を止めた。
「ま、こんなもんね!」
ベロニカは自身の身長よりも大きな杖をくるくる回して地面に突き立てたあと、左手でアキラに向かってピースサインをする。
その様子を見て、アキラは思わずベロニカの頭に手が伸びてしまい、子供のように撫でてしまう。
「な、な、なにすんのよ!?」
不意に撫でられたベロニカはその手を振り払う。
振り払われた痛みで正気に戻ったアキラは自分のやってしまったことに慌ててしまう。
「え! あ! ご、ごめんなさい! つ、つい……」
「レディの頭を気軽に撫でていいと思っているの!? それに子供扱いしないでよね!」
顔を若干赤らめながらも早口でまくし立てている、見た目は完全に赤ずきんちゃんなベロニカ。
それに対してひたすら頭を下げ続けているアキラというなんともシュールな姿が数分続くのであった。
「はぁ、はぁ。も、もうこんなところで時間を無駄にしている場合じゃないのよ。早く助けに行かないといけないんだから、行くわよ」
「……はい」
ずっと叫んでいたのはベロニカだったのではないかと思っていたアキラだったが、それを口に出すほど空気が読めない人ではないので、素直についていくことにしていた。
そして見張りのごろつきに出会うこともなく、ナジミの塔へ侵入することに成功するのであった。
「ここがナジミの塔ね」
ナジミの塔へ入ったアキラ達は早速どこに行こうか悩んでいた。
ベロニカの妹がどこに連れて行かれたのかが分かっていなかったためだ。
「たくさん部屋があるけど、1つずつ見ていったらどれだけ時間が掛かるか分からないし、それだけ敵に見つかる可能性が増えてしまうわ」
「どうしようかな……」
悩みながらも警戒しつつ進んでいくアキラはあることを思い出す。
(そういえばここって、確か宿屋があったよな。その店主に聞けば、何か教えてもらえるかもしれない)
ナジミの塔にはお客さんが全く来ない
そこに行って話を聞いてみる価値があると判断したアキラはベロニカに提案をして──他に手も思いつかないため──了承をしてもらったのであった。
◇◇◇◇◇◇
「多分……この辺のはずなんですけど」
アキラは懸命にナジミの塔のマップを思い出していた。
やり込んでいたとはいえ、全てを完璧に覚えているわけではなかったので自信はなかったのだが、周辺を少し探しているとすぐに宿屋らしき看板を発見したのであった。
「あ! あそこですね!」
「……ちょっと待って。もしかしたらごろつき達のたまり場になっているかもしれないから、慎重に行くわよ」
ベロニカの言うとおりで、こんな目立つところに宿屋があってごろつき達に見つかっていないはずがない。
それであれば宿や自体がごろつきのたまり場、もしくは乗っ取られてしまっていてもおかしくはなかったのである。
アキラ達は息を殺して慎重に宿屋の入り口までたどり着く。そして小声で話し合う。
「中で騒いでいるような声はしないですね」
「そうね。気配も2人……くらいかしら?」
今であれば入っても問題ないと判断したアキラ達は──武器を構えつつ──宿屋に入っていくのであった。
そこには恰幅のいい男性とボロボロになってベッドで寝ている老人がいた。
恰幅のいい男性はアキラ達を見て、怯えたような声を上げる。
「ひっ! な、なんですか、あなた達!? もうごろつき達に食料なども全て持っていかれているので、何もないですよ!」
アキラ達は中にいたのがごろつきではないことに安心して、武器をしまった後に男性に話しかける。
「驚かせてごめんなさいね。ちょっと聞きたいことがあって来たのだけれど……」
「ああ、僕は冒険者のアキラ。彼女はベロニカです」
「……そうでしたか。私はここの店主をしている者です。ここで寝ているじいさんは屋上に住んでいた方なのですが──」
店主の話を聞くと、少し前にごろつきが現れてナジミの塔を占拠したのだという。
老人は痛めつけられたあと、放置されていたため宿屋で看病をしていたとのこと。店主はごろつきの代わりに食料や酒を調達するという条件で怪我もせずに過ごせているのだということだった。
「だからもうここには何も無いんですよ。じいさんに薬草を使おうにも連中にバレたら何をされるか分からないので、何も出来ないんです……」
店主は悔しそうな顔をして老人を見ていたが、そこには優しい目がたしかにあった。
ベロニカもその話を聞いてなんとかしてあげたいと思うが──
「多分だけど……もう薬草レベルでは厳しいわね。おじいさんの体力を考えると、多分効き目がほぼないと思うわ。『ホイミ』とかの呪文であれば、まだ効果はあるのだけれど、回復呪文が使えるのは妹なの……」
「そうだったのですか。ですが今から回復呪文を使える人をアリアハンで探すのも難しいですし、ごろつきがいるこんなところまで来てくれる人もいないでしょうし──」
「僕、回復呪文使えますよ」
「──どうすれば……って、え!? アキラさん、本当ですか!?」
「はい。まだ初級レベルしか使えないので、助かるかどうかが心配ですが……やらないよりマシなので使ってみましょう」
「ぜ、ぜひお願いします!!」
店主が深く頭を下げてアキラにお願いをする。
アキラとしてもボロボロになっている老人を目の前にして助けようとしないほど人でなしではないため、すぐに了承をする。
「じゃあいきますね……『ケアル』」
『ケアル』の部分は小声でつぶやいていたが、現れた光のエフェクトを見てベロニカが一瞬驚いたような表情をする。
光に包まれた老人は、傷が徐々に癒えていき、光が収まる頃には頬に赤みが差して落ち着いたような表情をしていた。
「ふう。これで多分大丈夫だと思いますよ」
「おおおお! ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
店主はアキラの手を取り、何度も頭を下げてお礼を言う。
実は店主にとって老人は恩人であったのだ。以前、旅の商人をしていた店主は、盗賊に襲われ身ぐるみを剥がされて路頭に迷っていた。
空腹でもう駄目だと思ったその時、たまたま通りかかった老人に助けてもらい、その後ナジミの塔で宿屋を経営する出資などもしてもらっていた。
その恩人がこのまま亡くなってしまうことだけは絶対に嫌だったのである。
そして、ある程度店主が落ち着いたところで、アキラはナジミの塔に来た理由を店主に話す。
「そうでしたか。ごろつき達は基本的に最上階のじいさんが住んでいた場所をねぐらにしています。もし誰かを連れ去ってきているのであれば、同じように最上階に連れて行くでしょう」
店主からごろつき達が住処にしているところと、ベロニカの妹がいるであろう場所を聞くことが出来たアキラ達は、このあとどこに行けばいいのかが分かり、少し安心する。
「じゃあ、これから助けに行きましょう。まずは妹さんが捕らえられている場所を確実に見つけてからですね」
「ええ。店主さんもありがとね」
「こちらこそありがとうございます。アキラさん、ベロニカさんもお気をつけて」
この世界での薬草はホイミと同じくらい回復する効果はあるのですが、使われる側に一定以上の体力(生存度)がないと使っても効果が薄い設定です。
逆にホイミなどの回復呪文はその設定がないので、薬草との差別化としています。
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