ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
まだまだ序盤も序盤の話なので、ぜひこれからもよろしくお願いします!
第十七話は少し長くなりました。
「あなた…………
ベロニカにそう告げられて戸惑うアキラ。
アキラは戸惑いながらも質問に質問で返すことをしていた。
「なんで……そう思うの?」
「だっておかしいじゃない。
……あなたを除いてね。一体どういうことかしら?」
アキラはナジミの塔での自己紹介のときを思い出していた。
セーニャに
なぜなら2人はドラゴンクエスト11のキャラクターであり、2人が双子の姉妹だということは
その様子をベロニカに見られており、反応が無かったアキラをベロニカは不思議に思っていた。
アリアハンに戻り、カナブン達に自己紹介したときにも、カナブン達は驚いていたのに、アキラはその場でも表情1つ変えることなくその場にいた。
そこで確信したのだ。
それでもセーニャの救出を手伝ってくれた人を無闇に疑いたくないという意識があったベロニカは、朝の2人きりになれるタイミングを見計らって質問したのであった。
アキラは事情を悟ると、目を瞑り、一呼吸置いてからベロニカに話し出した。
「そうだね。
「え……!?」
「でもそれは君達のことじゃなく、ベロニカに起こっているであろう現象のことをだけどね」
「私に起こっている……現象?」
「そう。君は恐らくだけど……
「──ど、どうして!?」
ベロニカは大きく目を見開いてアキラを見る。アキラは落ち着いて話の続きをしようとする。
アキラは
全てを正直に話すことが出来ないアキラにとって出来る唯一の方法であった。
「初めて会ったときから、見た目と話し方や仕草にギャップが有るなと感じていたんだ。
まるで、
「…………」
「あとは簡単だよ。
アキラは「ごめんね、誤解させちゃって」と頭を掻きながらベロニカに謝る。そして心の中では全て話せないことに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
その話を聞いて、ベロニカは驚いて口を開けたまま、ぽかんとした表情をしていた。
「べ、ベロニカ……?」
「え、あ、そ、そうだったの! ご、ごめんなさい。私、なんか疑い深くなってしまっているみたいで……せっかく善意でセーニャを助けてくれたあなたに問い詰めるようなことをしてしまって……」
「ああ、別にそれは大丈夫だよ。ベロニカの話を聞いて、疑問に思うのも当然だなって僕も思ったし。でも、これで誤解は解けたかな?」
アキラの言葉にベロニカは首を縦に振り、改めてアキラに謝罪をする。
しかし、アキラの方が内心罪悪感を持っていたことにベロニカは気付かない。
(いや、謝りたいのはむしろ僕の方なんだけどね……。というか本当に気を付けなきゃいけないな)
少し気まずくなってしまったが、アキラから色々と話を振ったりすることで、朝食後には昨日までの雰囲気に戻ることが出来た。
そして朝食を終えて、少し話をしていたときにセーニャが部屋から下りてきたのであった。
「おはようございます」
「あ!セーニャ、おはよ!」
「セーニャさん、おはようございます。身体は大丈夫ですか?」
「ええ、早めに寝たので疲れも取れたみたいです」
セーニャはまだ寝起きといった様子ではあったが、昨日よりも顔色が良くなっており、精神的にも安定している様子であった。
挨拶もそこそこにセーニャは身だしなみを整えに出ていく。とりあえず起きたということを伝えに来ただけだったようだ。
「セーニャさん、元気になったみたいで良かったね」
「ええ、本当に良かったわ。あの子は色んなトラブルに巻き込まれやすいから……」
セーニャが準備を整え、朝食を食べた後にルイーダの酒場へと向かうことにした3人。
ナジミの塔にいるごろつきへの対応がどうなったのかを聞きに行くためであった。
ルイーダの酒場に着いた3人は、受付に案内されカナブンのいる支部長室へと向かう。
部屋に入ると、そこにはルナもいた。
「おはようございます、カナブンさん」
「アキラさん、おはようございます。昨日の件でいらっしゃったんですよね?」
カナブンの問いかけに頷きながら、言われるがままにソファーに座るアキラ達。
肯定と受け取ったカナブンは続けて話す。
「今朝、正式に兵士による討伐が決まりました。セーニャさんの誘拐とナジミの塔の老人への殺人未遂の暴行が決め手になりましたね。
逃げられる前になんとかしないといけないので、あと1時間後には出発する予定です」
その言葉を聞いて安心した様子のアキラ達。
国が今回の件を重く受け止めてくれたこともそうだが、迅速に動いてくれることに対して、アリアハンという国自体が正常なのであるという証でもある。
「それで昨日はお話できなかったのですが、アキラさんが達成した緊急依頼の報酬についてです」
カナブンが言うには緊急依頼の場合、報酬も上乗せされるというのが通常である。
ただ、今回は事前に話をしていなかったので、解決後に報酬の話となったのだ。
「通常であれば、依頼者のベロニカさんが所定の手続きを踏み、依頼発行をします。
ただ、今回は緊急依頼ということだったので、
「ほ、報酬ですか……」
ベロニカは冷や汗をかく。言われてみれば依頼に対して報酬が発生するのは当然である。
しかし、ベロニカは完全に報酬のことを忘れていた。
「あの、えっと、その……」
「通常であれば、誘拐の救出なので、場所の難易度から考えても1万から3万ゴールドが相場でしょう。
しかし、緊急依頼であれば1.5倍から2倍は掛かりますね」
カナブンが冷静に相場の話をした途端、誰の目から見ても尋常じゃないくらいの汗をかきはじめるベロニカ。
その様子を見て、「あ、コイツ報酬払えないな……」とアキラ、カナブン、ルナの3人は理解した。
泣きそうな顔になっている
ベロニカの横では、セーニャは何のことか分かっていない様子であった。
「お金が支払えないとすると、それに相当する物品を出すことになりますね。
それも出すことが出来ないとなると……」
「で、出来ないとなると……?」
「
カナブンの追い打ちに、絶望的な顔をしたあと、下を向いてしまうベロニカ。
膝の上に置いてある両手で赤いスカートを握りしめながら──誰にも見えていないが──その目には涙を浮かべていた。
そして、ここでようやく事態が飲み込めたセーニャは焦った顔をし始める。
(これは……さすがに可哀想だなぁ)
アキラはセーニャを救うために動いたにも関わらず、その報酬でベロニカとセーニャが奴隷となってしまうことを良しとしていなかった。
そこで
「カナブンさん、報酬は
「え、ええ。大丈夫です」
「それは依頼を受けた側が
「ま、まぁそうなりますが、それでも基本的に私達ルイーダの酒場側も納得できるレベルでないとですね。
そうしなければ依頼を受ける側が不利になる場合もあるので」
カナブンの話によると、依頼者が被依頼者に対して事前に脅しを掛けるなどをして、報酬を安くする問題も可能性としてあり得るため、ルイーダの酒場側の審査も必要になるとのことだった。
なので、基本的に緊急依頼でも事前に報酬を決めるし、そもそもトラブルを避けるため国や貴族、ルイーダの酒場側から以外は緊急依頼が出されないというのが常であった。
実は今回に関しては、ごろつきにセーニャが誘拐されていたことの緊急性の高さと、依頼を引き受ける側がアキラだったためカナブンは大きなトラブルにならないと判断して報酬を後回しにしていたのだ。
それでも説明しなくてはいけないことはきちんと説明するのがルイーダの酒場側の決まりであり、最悪のこと──アキラがベロニカ達を奴隷にする決断をすること──があった場合は、カナブンの権限でアキラに対して納得できる報酬を用意するつもりであった。
その代わり、アキラに対してのカナブンの評価は著しく下がったであろうが、数日とはいえアキラの人柄に触れていたカナブンはそのようなことにはならないと信じていた。
そして目の前にある現実として、カナブンの予想通りにアキラが代替案を出そうとしていることに気付き、胸を撫で下ろしつつも言葉の続きを待つのであった。
「ベロニカ、セーニャさん。お2人の職業は〈魔法使い〉と〈僧侶〉ですよね?」
「え?ええ……そうよ」
「はい、私の職業は僧侶です」
アキラの急な質問に戸惑いながらもベロニカとセーニャはその通りだと答える。
その答えを聞いてアキラは軽く笑いながら提案をする。
「それじゃあ報酬なんだけど、お金の代わりに
「「呪文を……?」」
呪文を教えて欲しいと言い出すアキラにどういうことか分からずに聞き返す2人。
カナブンとルナもこの提案がよく分かっていなかった。なぜなら呪文とは教えられて覚えられることは
しかし、アキラにとってこの提案はベストなものだと思っていた。
「うん、それを今回の報酬にしようと思っているんだ」
「それは良いんだけど……呪文って教えられても覚えられる人はほとんどいないわよ?」
「も、もしかして……アキラさんの職業って〈賢者〉なのでしょうか?」
〈賢者〉。回復と攻撃の両方の呪文を使いこなせる上級職である。この世界の〈賢者〉は、〈魔法使い〉と〈僧侶〉の職業をマスターした人がなれる職業であり、通常であればその両方の職業の呪文は既に覚えているのである。
ただし、”悟りの書”という
セーニャはそう思い至り、アキラに質問するのであったが、アキラはすぐに否定する。
「いや、僕は〈賢者〉じゃないですよ。ただ、覚えられたら良いなってだけなので」
「……分かったわ。アキラも詳しくは教えたくないでしょうし。他には?」
「え? これで十分だと思ったんだけど……まだ足りないですか?」
アキラとしてはそれで十分だと思い、カナブンの方を向くと「ええ、それだけだとまだ足りないです」と言われてしまう。
ベロニカ達が上級職などに就いていた場合などであれば、その報酬で問題ないのだが、基本職では今回の報酬には釣り合いが合わないようであった。
「んー、じゃあ
「「「「出世払い?」」」」
その言葉の意味が分かっていない4人は、首を傾げてアキラの言葉を繰り返す。
「ええ。今後呪文を覚えるたびに僕に教えるというのはどうでしょうか? 僕としてはそれが魅力的な条件ですし、もちろんずっとではなくて今回の報酬分までで構いません。
つまり、
「ああ、そういうことですか。それなら十分問題ないですね。ベロニカさん達はどうでしょうか?」
「わ、私達からすると破格の申し出ですけど……アキラはそれでいいの?」
「うん、むしろこっちからお願いしたいくらいだからね」
お互いに納得したのを確認したカナブンは、今回の緊急依頼についての契約書の報酬項目に書き込む。
そしてベロニカとアキラのサインを貰うと、支部長のサインをして話を纏めるのであった。
カナブンとしてもベロニカ達が奴隷にならないようにある程度の誘導はしていたが、ここまで上手くいくとは思っていなかったので、ほっと胸を撫で下ろした。
「それでは今回の依頼に関しては以上となります。アキラさん、本当にありがとうございました」
カナブンとルナはアキラに頭を下げる。その様子を見てアキラは「こちらこそありがとうございました」と返事を返す。
そして、ルイーダの酒場を出た3人。そこでベロニカとセーニャがアキラに対して振り返る。
「「アキラ様、この度は本当にありがとうございました。私達、聖地ラムダの者として、このご恩を決して忘れません」」
声を揃えて、綺麗なカーテシーでお辞儀をする。
アキラはその姿を見て、2人の手伝いが出来てよかったと感じるのであった。
〜第一章 冒険者アキラ 完〜
【ステータス】
・名前:アキラ
・称号:
・冒険者ランク:E
・ジョブ:ものまね士
・レベル:5
・所持金:621G
・各種能力:
HP:31
MP:19
ちから:12
みのまもり:8
すばやさ:18
きようさ:12
こうげきまりょく:15
かいふくまりょく:15
みりょく:19
うん:22
【スキル】
・ものまね士スキル:2 【熟練度:3】
・剣スキル:2 【熟練度:12】 (剣装備時攻撃力+5)
・武術スキル:1 【熟練度:41】 (身体能力UP)
・特殊技能:ファイア、ケアル、ポイゾナ、ライブラ
・ユニークアビリティ:ものまね
【装備品】
頭:なし
身体 上:かわのよろい 上
身体 下:かわのよろい 下
手:なし
足:かわのブーツ
武器:どうのつるぎ
盾:かわのたて
装飾品①:収納の指輪
【所持アイテム】
やくそう:5個、どくけしそう:5個、キメラのつばさ:1個、
【予備の装備品】
ぬののふく、アルテマウェポン[劣化]
これで第一章が終了となります。
次回は1回休んで、その次から投稿を始めます。
ここからアキラの本格的な冒険がスタートする……はずです。
補足ですが、通常の依頼だとルイーダの酒場では仲介手数料が発生します。
ただし、今回のような緊急依頼となった場合、例外として仲介手数料が発生しない場合があります。
そこら辺は支部長に決裁権がある感じですね。
あと、ステータスのスキル表記を変えました。
ドラクエ8寄りのスキル表記になっています。
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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/
『テイルズ オブ デスティニー〜7人目のソーディアンマスター〜』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/218961/