ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
投稿予約日を間違えてました!
先程気付いたため、本日は12:00投稿しています!
次の日、早朝に起きたアキラはトレーニングをしてから朝食を食べていた。
しかし、いつもはこの時間に起きてくるベロニカとセーニャの姿がなかった。
(昨日、結構飲んだからなぁ。まだ寝てるのかな?)
そう思い、朝食を食べ終えたアキラは彼女たちを特に起こすこともなく、のんびりと過ごしていた。
初級者迷宮を攻略した次の日なので、休みにしようと伝えていたのもあり、各々の時間も大切だと思っているアキラはこの場にいなくても違和感を覚えていない。
少しすると、頭を抑えながら歩いているベロニカとまだ眠そうな顔をしているセーニャが食堂に現れた。
「おはよ〜」
「おはようございます」
「おはよ。ベロニカ大丈夫? 昨日結構飲んでたもんね」
ベロニカは二日酔いになっているようであり、ふらふらしながらアキラの前へと座る。
それでも食欲はあるようで、朝食をペロリと平らげたあとにデザートも食べるほどであった。
「よ、よく食べるね……」
「これくらい淑女にとっては当然よ! 食べれば二日酔いも少しはマシになるし!」
自身の言葉通り、彼女は食堂に入ってきたよりもかなり調子が戻ってきていた。
セーニャは軽い食事を取って、アキラと一緒にコーヒーを飲んでいた。
「そういえば今日は休みなんだけど、アキラは何かするの?」
「んー……武器を見に行こうかなって思ってるんだよね。Dランクに上がったし」
店売りの武器防具は、冒険者ランクに応じて購入できる装備に制限があり、昨日Dランクに上がったアキラは武器を新調しようと考えていた。
アルテマウェポン[劣化]はまだ自在に使いこなすことが出来ておらず、刀身が出せたのもポイズントード戦だけであった。
「あ! それなら私達も──」
ベロニカが私達も見に行きたいと言おうとしたとき、食堂に1人の男性が入ってくる。
あまりに慌てた様子だったので、ベロニカ達が話を中断するとその男性はアキラ達の方を見て近付いてくるのであった。
「あの……ラムダの里のベロニカさんでしょうか?」
「ええ、そうだけど?」
「よかった! 実は聖地ラムダの長老から緊急通信があったので急ぎお知らせに来ました!」
「……緊急通信?」
急に現れた男性はルイーダの酒場の従業員で、先程ベロニカ達の故郷である聖地ラムダの里から緊急通信があったため報告に来たのだった。
ルイーダの酒場は──支部ごとはもちろんのこと──国や重要な場所とのリアルタイムでの通信が出来るようになっており、何かがあったときにすぐに情報共有が可能であった。
ベロニカは手紙で現在の拠点にしているところを定期的にラムダの里へ送っているため、タイムラグはあるが大体の位置は長老たちには伝わっていた。
「内容としては、『世界樹について重要な問題が発生したため、今すぐ里へと戻れ』とのことです」
「「え!? 世界樹!?」」
ベロニカとセーニャはその内容に思わず立ち上がるが、アキラには何が重要かは分かっていなかった。
もちろん世界樹の存在は知っている。ただ、それにどんな問題があって、どのような弊害が起きているなど詳細が分からないため、反応が出来ないのだ。
「ベロニカ、世界樹に問題があるってどうい──」
「大変だわ。とりあえず急いで里に戻らないと!」
「ええ。今から準備をしましょう!」
アキラの話が耳に入っていないのか、すぐにラムダの里に戻らないといけないとベロニカはセーニャと話す。
事態が飲み込めていないが、彼女達が困っていることは理解出来たので、アキラは手伝おうとベロニカ達に伝える。
「じゃあ僕も宿を出る準備をしてくるよ。入り口で待ち合わせでもいい?」
「「…………」」
アキラの言葉にベロニカとセーニャは目を合わせたあと、気まずそうな顔をする。
なぜそのような顔をするのか分かっていない彼は、どうしたのかを尋ねる。
「あのね……実は……」
「私達の里は、里の者か特別な許可を得た方しか入れない場所になっているのです」
「それに里の場所も気軽に教えてはいけない掟もあって……その……」
「……僕は
アキラの言葉に彼女たちは頷く。そして自分がついていけないことをアキラは悟った。
(そうか……せっかくパーティーを組めたのになぁ……)
「分かったよ。ついていけないことは残念だけど、掟なら仕方ないよね」
「……ごめんなさい」
ベロニカ達は申し訳無さそうな顔をして、黙ってしまった。
場の雰囲気が最悪な状況になっていたが、アキラはにこやかに笑いながら彼女たちに話しかける。
「ううん、大丈夫だよ。むしろ今までパーティーを組んでくれて本当にありがとう」
「……アキラ」
「アキラさん……」
「湿っぽいのは良くないね! というか、もう二度と会えないってわけじゃないんだし」
アキラはDランクに上がった次の日にまさかベロニカ達と別れることになるとは思っていなかった。
だが、目の前で起こっていることは事実であるし、それであればきちんと受け入れて笑顔で別れようと思うことにしていた。
彼女たちもそれに気付き、笑顔で「ええ! 解決したらまた会いに行くからパーティー組んでよね!」と応えるのであった。
◇◇◇◇◇◇
ベロニカ達とパーティーを解散したアキラは、心にモヤモヤとした気持ちを抱いていた。
それが寂しいという感情であることは気付いている。
それも当然だ。この世界に来てから一番長く一緒にいた彼女たちと急に別れることになれば、誰しも抱く感情であろう。
(はぁ……これからは1人で旅に出ることになるのかぁ……)
これからどうしようか悩みながら歩いていると、何かにぶつかってしまい、尻餅をついてしまう。
「いってぇ……」
「いたた……ってすまない! 急いでて! 怪我はないか?」
アキラとぶつかった相手も同じく尻餅をついていて、頭を掻きながら謝罪をしていた。
立ち上がって見てみると、肩ほどまで伸びた金髪で赤を基調とした服を着た男であった。
おそらくアキラと同世代であろうと予測は出来るが、着ている服は明らかに上等な質であり、高貴な身分の人間であると分かった。
「そこにいたぞ! 全員集まれ!」
「……やべ、見つかったか! じゃあな!」
赤い服の少年はそのまま走っていった。
アキラは何事かと思いつつも服に付いたホコリを払っていると、少年を追ってきたであろう兵士に囲まれていた。
その中で少し豪華な鎧に身を包んだ兵士がアキラの前に立つ。
「え? 何か用ですか?」
「貴様! 先程王子と話していただろう! 王子はどこにいる!?」
「王子って……さっきの人ですか? あっちに向かっていったこと以外は僕にも分からないですけど……」
アキラは王子と呼ばれた少年が向かった先を指差すが、数人がその方向に向かい、アキラはさらに詰め寄られていた。
「それで貴様は王子とどういう関係なんだ?」
「どういうと言われても……今さっきぶつかったのは初対面ですけど」
「嘘を付くな! じゃあなぜあんなに親しげに話していたんだ!?」
「親しげも何も……ぶつかっただけですよ」
「……ほう。じゃあ質問を変えよう。
その質問に対し、アキラは背中に一筋の汗をかき、何も答えられなかった。
◇◇◇◇◇◇
「沙汰が下るまで、この中に入って待っていろ」
「……はい」
アキラはグランエスタード城の地下牢に連れて行かれていた。
縦横3mほどの牢屋の真ん中に腰を下ろしたアキラは、取り上げられなかった収納の指輪を触りながら考え事をしていた。
(やっちゃったなぁ……なんで
アキラは兵士に聞かれた際、王子と呼ばれた人物が向かった先と逆の方向を指差していた。
それは理屈ではなく、本当に
グランエスタード、王子、金髪、赤い貴族服──これを思い浮かべたときに彼の中では1人の人物が思い浮かんでいたことは否定出来まい。
(キーファ・グラン……多分だけど、彼のことだよね……)
ドラゴンクエスト7に登場したグランエスタード王国の王太子である。
原作でもよく城を抜け出しては、主人公やマリベル達と一緒に行動していたが、そのお陰で世界を元に戻すきっかけに貢献することが出来た人物。
そして、アキラにとっても印象が強い人物の1人でもあった。
(種……返してくれないよね……?)
頭の中で変なことを考えながら、ふふふっと笑う。
まだこの世界に来て1ヶ月ほどしか経っていないのだが、彼にとっては懐かしい出来事の1つであったように思えた。
(どうしようかな、これから……)
牢屋に入れられた初めての体験に少し落ち込みながらも、床に寝転んだアキラはこれからについて改めて考えていた。
ベロニカ達と別れて、彼としても何をして良いのか分からなくなっていたのである。
それだけ彼の中でベロニカ達を──一緒にいた期間が短いとはいえ──大切な仲間だと思っていたのであった。
心の中が空っぽになった感覚になっている自身を軽く笑っていると、足音が聞こえてくる。
その足音は近くまで進んできており、アキラの牢屋の前で止まる。
「おい、起きろ」
声を掛けられたのが自分だと気付いたアキラは身体を起こし、目の前にいる人物を観察する。
一般兵と思しき人物と──先程アキラを捕まえた少し身なり良い兵士であった。
「今から貴様を連れて行く。牢屋を開けるから、黙ってついてこい」
「…………」
アキラは牢屋に閉じ込められるよりかはマシかと思い、黙って兵士についていく。
しかし、歩いている途中でふとしたことに気付く。
(あれ? これでもし王子誘拐か何かの容疑で処刑とかになったら……ヤバい?)
そのことに気付いた途端に焦り始めるアキラ。
歩き方がぎこちなくなっているのを見た兵士が「さっさと歩け!」とアキラを急かす。
城の大広間のような場所まで連れて行かれたアキラは、目の前の豪華な階段を登り、さらに階段を登って3階まで来たところで大きい扉が現れた。
「これから陛下が直々にお会いになられる。貴様の処遇はそこで決まると思え」
少し身なりの良い兵士はアキラを脅すように話すと、扉の前にいた兵士にアキラを引き渡して立ち去る。
そして、扉が開けられるとそこには玉座に座った人物、その左右に1人ずつ立っている人がおり、その周囲を守るように近衛兵と思われる兵士が立っていた。
アキラは前に行くように急かされたが、目を閉じて一度深呼吸をするとゆっくりと歩き出す。そして、途中の場所で片膝を立てて座ると頭を下げる。
「…………面を上げよ」
声が聞こえたため、アキラは頭を上げ、そして玉座にいる王と思われる人物の顔を見ないように気を付けつつまっすぐ見つめた。
その横にいる人物が一歩前に出ると、書状を読み始める。
「それではこれよりキーファ王子誘拐事件について陛下直々に取り調べを始める。まず、お主の名前を述べよ」
「はい。アキラと申します」
「調べによると、ルイーダの酒場でDランクの冒険者ということであったが、相違無いか?」
「はい」
アキラは質問に淡々と答えていく。中には彼を引っ掛けるような質問もいくつかあったのだが、無難に答えることで上手く躱していった。
「……それでキーファ王子との関わりは一切ないと申すか?」
「はい。御座いません」
「ふむ……陛下、どうやら
「そうか」
「だから言ったでしょう。彼は私とぶつかっただけですと」
グランエスタード王の横にいたもう1人の人物──それはアキラが牢屋にぶち込まれるきっかけとなったキーファであった。
すべての調べが終わり、ようやく口を開くことを許されているようであった。
「だがな、お主がいつまでもフラフラとしておるから──」
「──ええ。だから巻き込んでしまったことを反省して、
「う、うむ。そうであったな」
アキラは玉座の3人の話を失礼にならない程度に観察していた。
原作のキーファはもう少し態度に幼さが見られていたのだが、この世界では凛とした雰囲気を纏っており、王子と名乗るに相応しいだけの品格を持ち合わせているようであった。
無実であることが立証されたと判断したアキラは、この場からすぐに立ち去りたい気持ちでいっぱいになっていたが、何も話さずに次にどうなるのかを待っていた。
「陛下、この者の
「おお、そうであった」
(……え? 今の話で無罪じゃないの?)
処罰という言葉に焦りを感じるアキラ。キーファもその言葉を聞いて流石に焦ったのか、「陛下!」と声を少しだけ荒げていた。
「キーファよ、落ち着け。処罰という言葉を使ったが、罰しようとは考えておらん。むしろお主にとっても良いことかもしれんぞ」
「良いこと……?」
「冒険者アキラよ。大臣がアリアハン支部長のカナブンより”期待の新人”であると聞いておる。そこで、そなたに依頼をしたいのだ」
「陛下……!? も、もしかして……」
「そうだ。この者をパプニカへ赴くお主の護衛として依頼をする」
物語だから仕方ないとはいえ、こういう話の主人公って次から次へとイベントが発生しますよね?
そして
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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
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