ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
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グランエスタード王はキーファの護衛をアキラに依頼すると話す。
それに対し、アキラは「え!?」と口に出しそうになるのを抑えるので精一杯であった。
「護衛は確かまだ1人足りなかったであろう?」
「そうですが……」
「それであればちょうどよいではないか? お主はどうだ?」
急にアキラに話を振られ、アキラは戸惑いながらも「大変光栄でございます」としか答えられない。
「……親父、卑怯だぞ。この場ではそう答えるしか選択肢はないじゃねえか」
「おやおや、ようやく口調を戻してくれたかな? 最近父としても寂しくてのう」
「ぐっ……陛下」
「冗談はともかく、この者──アキラに依頼しようと決めたのは他にも理由があるぞ」
「……理由?」
「そうだ。ルイーダの酒場の支部長から信頼を得ることは大切だが、この者は冒険者登録してから1ヶ月でDランクに上がったという
そのようなスピードで昇格する者を余は聞いたことがない。それにこの場での作法についても完璧だった。
以上の理由から、今回の件を依頼するのには妥当であると判断したのだよ」
グランエスタード王は「まあ他にもあるがのう」とぼそっと話していたが、その声はキーファには届いておらず、彼は腕を組んで考え事をしていた。
そして、アキラを見ると「本当にいいのか?」と不安そうな顔をして尋ねる。
アキラとしても今後やることが見えていない状況だったため、黙って頭を下げて了承の意を告げる。
「というわけだ。ルイーダの酒場への指名依頼はこちらで出して受理させておくのでな。早速準備をしておいてくれ」
「かしこまりました」
下がってよいと伝えられたアキラは謁見の間を後にして、城から出ようとしたところで1階の広間でキーファに呼び止められる。
アキラが振り返ると、キーファは申し訳無さそうな顔をして謝罪する。
「いきなり巻き込んでしまって本当にすまない」
「いいえ、大丈夫です。私もやることがなく、どうしようか悩んでいたところだったので」
「そうか。そう言ってもらえると私としても助かる」
依頼の詳細については後で宿に使いの者を送ると伝えられ、キーファと別れる。
宿に戻ったアキラは休みつつ、城からの使いが来るのを待つのであった。
◇◇◇◇◇◇
数日後、アキラ達はパプニカへ向けて出発準備中の船の甲板にいた。
出発までの数日間、アキラは装備を整え、初級者迷宮の浅い階層を探索することでレベルを10にまで上げていた。
攻略難易度が高いグランエスタードの初級者迷宮でも、浅い階層であれば今のアキラのレベルでも安全マージンを十分に確保した状態で探索が可能なため、レベル上げに
「アキラ!」
後ろを向くとキーファが手を上げながら船に乗り込んで来るところであった。
アキラは頭を下げてキーファに挨拶をする。彼の後ろには緑色の服に包まれた少年と緑と赤のワンピースにオレンジのストールを頭に着けた女の子もいた。
「数日ぶりだな。今回は急な依頼を引き受けてくれて本当に助かった」
「いえ、大丈夫です」
「あー、一応紹介しておくな。セブンとマリベルだ。お前と同じDランク冒険者で、俺とは腐れ縁の仲だ。そんで、こっちがアキラな」
「セブンです」
「マリベルよ。よろしくね!」
「アキラです。こちらこそよろしくお願いします」
お互いに自己紹介が終わったところで、キーファ達は荷物を部屋に置きに行く。
そして船の出発直前にキーファの部屋で今回の依頼についてのおさらいをするのであった。
「じゃあ今回の依頼について改めて話す。今回はパプニカ王国の王女と……その、なんだ」
「お見合いでしょ? いい加減照れるのやめたら?」
「だぁぁぁ! 別にいいじゃないか、照れたって!」
「とりあえずそのお姫様とお見合いをして結婚するんだっけ?」
「違う! それでお互いに了承すればだ! 俺はまだ結婚とか考えてないから、そもそも会う気すらなかったんだ。
だが親父──陛下がどうしてもとうるさいからな。それにアキラを巻き込んじまったし、今回だけ受けることにしたんだ」
キーファとマリベル、セブンの掛け合いは息が合っており、その様子を見たアキラは微笑んでいた。
「ところでアキラ……だったかしら? あなたは
「僕は16歳ですよ」
「あら、結構下かと思ってたら、同い年じゃない。だったら敬語は使わなくていいわよ。ちなみにセブンも同い年で、キーファは1歳上よ。」
「俺は年上だけど、公式の場じゃなければ敬語はいらないぞ。セブンもマリベルもそうだし、その方が俺も気楽だからな」
「そう? じゃあそうさせてもらうよ。それで話の続きだけど──」
「ああ、そうだったな。一応王女とのお見合いに関しては、うちの兵士がいるからそこまで気にしなくていい。
キーファは今回パプニカ側から”王族の洗礼”を一緒に行いたいという打診があったと告げる。
王族の洗礼とは、15歳から20歳の間に王族全員が
決まり事はいくつかあるが、メインとしては国の兵士や冒険者ランクC以上の者を同行者として連れて行ってはいけないなどがある。
今回はお見合いも兼ねて2カ国合同で行うことで親睦をより深めるという思惑もあった。
ただ、グランエスタード側でセブンとマリベルしか信用できる人物を用意できず、最低でもあと1人は欲しいと思っていたところにアキラが現れたため、今回依頼されることとなったのだ。
ルイーダの酒場のアリアハン支部長カナブンとグランエスタード支部長ルドウィグの推薦があったのだが、支部長クラスからの推薦というのは、それだけで一定以上の信頼を得ることが出来る。
各々の責任が重くなるため、支部長達もうかつに推薦することはしないが、アキラの人柄と実力を見た2人は信頼に足る人物であると判断していた。
アキラの背後関係は分からないのだが、冒険者になろうとする者はそういった人物も多い。
だからこそ支部長クラスには
「それで問題がなぁ……」
「問題?」
「パプニカの王女なんだけど、かなりのおてんば姫ってことで有名なんだよ。もし中級者迷宮に行ったときに暴走とかしたら……と思うとな」
「マリベルよりもおてんばなのかなぁ?」
「……セブン? それは冗談だってことでいいのよね?」
「うわぁ! 冗談、冗談だってば!」
中級者迷宮は宝箱などが出てくる。そこには極稀にレアアイテムなどもあったりするのだが、もちろん罠も仕掛けられていることもある。
罠は道中や宝箱自体に仕掛けられているので、もし宝箱を不用意に開けに行って罠が発動すると、それだけで中級者迷宮の攻略が出来なくなったりすることもあるのだ。
そんな危険なところにも関わらず、”王族の洗礼”を厳しいルールで行うのには理由がある。
兵士や高ランクの冒険者がいれば確かに安全に攻略することが出来る。しかし、王族として民のために一定以上の力があることを示すことと、そのことでさらに冒険者を増やすための宣伝も兼ねているのだ。
そして、自身の力で攻略することで自立を促し、困難な出来事にも冷静に対処出来るだけの器を身に付けるという思惑もあった。
「……つまりその王女様は宝箱を不用意に開けに行ったりする可能性があるということ?」
「親父からはそう聞いている。パプニカ国王がその可能性がかなり高いと言っていたみたいだし、王女1人では不安だったんだろうな。
俺としては、今回のお見合いも王族の洗礼を合同で行うための
(パプニカの王女かぁ……まぁ確実に
◇◇◇◇◇◇
パプニカまでの数日間の船旅は特に問題が起こることはなく、無事到着した。
船酔いが心配だったアキラだが、父親が漁師であるセブンが対策を事前に教えてくれていたこともあり、船酔いになることはなかった。
海のモンスターを見たのは初めてだったのだが、同船していた兵士達がすぐに始末していたためアキラ達の出番は一切なかったのであった。
「おおおお、キーファ王子! この度はわざわざお越し下さり、誠にありがとうございます。私はパプニカ王国の大臣テムジンと申します」
「ああ。わざわざ港までの迎え、ご苦労だった」
「いえいえ、お疲れのところ恐縮ですが、王都までの馬車を用意しておりますのでどうぞ」
キーファ達はパプニカからの迎えについて馬車に乗る。
港から王都までは数時間の距離のため、アキラは自然豊かな景色を眺めつつ到着まで時間を潰していた。
そして王都に到着したキーファ達は長旅の疲れを癒やす前にパプニカ城で国王への謁見が待っていた。
「ええええ! 国王への謁見なんて
「そうもいかないんだよ。パプニカ国王は、今回の洗礼に同行するメンバーにも会っておきたいということだったからな」
「ちぇ〜、私は堅っ苦しいのが苦手なのよね! セブンもそうでしょ?」
「まぁね。でも今回は行かないといけないなら仕方ないよ」
「もうセブンはいっつもそう! アキラだって嫌よね!?」
「確かに緊張するよね。得意ではないかも……」
「その割にはうちの親父との謁見の時は手慣れた感じだったけどな」
グランエスタード国王との謁見の際に、アキラが堂々とした振る舞いを見せていたと語るキーファ。
マリベルは「得意じゃないって嘘じゃない!」とアキラを責めていたが、本気で言っていないことが分かったため苦笑いで返していた。
これは彼女なりに全員の緊張──マリベル本人も含む──をほぐすための言動であり、キーファやセブンもパプニカ城の応接室に入ったときよりも随分柔らかい表情になっていた。
(マリベルって良いお姉さんって感じだね)
アキラはマリベル達の関係を羨ましく思いつつ、同時に彼自身も緊張がほぐれていることに気付いていた。
上手く全員が落ち着いたところで謁見の準備ができたと知らせが来たため、謁見の間へと向かうこととなった。
「グランエスタード王国王太子、キーファ・グラン様とその御一行がご入場されます!」
謁見の間の前にいた兵士が大きな声で到着を告げると同時に、目の前の大きな扉が開いていく。
キーファは手慣れたように謁見の間へと入っていき、部屋の途中で
アキラ達も続いて
「キーファ王子。この度はパプニカへのご来訪、誠にありがたく存じます」
「キーファ王子よ。私がパプニカ王だ。わざわざ来てもらって悪いな。面を上げて楽にしてくれ」
「はっ! この度は陛下への拝謁、誠に嬉しく思います」
キーファは立ち上がり、頭を下げながら挨拶をする。
アキラ達は基本的に話すことはないので、キーファの行動を真似するだけで問題はなかった。
パプニカ国王とキーファの王族としての話が続く。王族や貴族とはすぐに本題に入ることはない。
それは王族・貴族たるもの、常に余裕を持つべしという暗黙のルールのためなのだが、まずはお互いの国の簡単な話や時事についての話をある程度する。そうしてようやく本題に入るのである。
「おお、そうだ。キーファ王子よ、今回はレオナとの見合い話を受けてくれて助かったぞ。ここだけの話、噂のせいでなかなか受けてくれる国がなかったからな」
「こちらこそレオナ王女にお会いできるのを楽しみにしておりました」
「そうかそうか。その後の”王族の洗礼”にも付き合わせてしまってすまないな。そこにいる者達が今回の同行者か?」
「はい。私も信頼している
「ふむ……それだけ信頼している者達なら、我が国の兵達と模擬戦をしてもらっても大丈夫かな?」
「模擬戦……ですか?」
「ああ。今回は同行者をそちらに任せたのだが、大臣がうるさくてな。」
パプニカ国王は、テムジンがグランエスタード王国側だけで同行者を選定することに反対をしていたと話す。
そして、それを納得させるために来た際に模擬戦を行い、大臣を納得させるだけの力を示してほしいということだった。
アキラはその話を聞きながら、テムジンをちらりと見る。
(もし力を示せなかった場合、同行者を交代させようってことか……
キーファは数瞬の間のあと、「かしこまりました」と了承した。
このとき、国王とキーファの間で周りには気付かれないやり取りがされていたのだが、そのことに全員が気付くのはもう少し経ってからだった。
◇◇◇◇◇◇
結果から言うと、模擬戦はアキラ達の圧勝であった。
キーファを除いた3人とテムジンが選んだ兵士3人との団体戦での模擬戦。
普段の役割は、前衛のセブンと後衛のアキラとマリベル。今回のアキラは中衛役となり、マリベルを守りつつセブンの援護に徹していた。
冒険者風情と舐めて連携もせずに最初から全員で突撃してきた兵士達は、アキラの殺傷力のない『エアロ』で足止めをされ、その隙をついたセブンによって1人が叩き伏せられる。
『エアロ』の効果が切れてチャンスだと思ったところにマリベルの容赦ない『イオ』により、残りの2人も吹き飛ばされて模擬戦は終了した。
(え……わざわざ怪我させないように『エアロ』の威力を調整したのに、マリベルって容赦なさすぎ……)
これにはアキラだけでなくセブンも引いており、キーファは額に手を置いて呆れていた。
周りの空気に気付いていないマリベルは1人で「大勝利!!」と叫びながら右手を伸ばしてピースサインをしていたのであった。
「と、とにかくこれで文句はないな、テムジンよ」
「は、はっ!」
(ちっ。このままではわしの計画に支障が出てきてしまうではないか! バロンに言って
ドラクエ7の主人公の公式名はアルス?だったと思いますが、諸事情からセブンと変えました。
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