ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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▼前回までのあらすじ
グランエスタード国王から依頼を受け、キーファ達とともにパプニカ王国へと向かうアキラ。
しかし中級者迷宮の地下五階層にて、大臣のテムジンの指示でパプニカ王国賢者の一人であるバロンにより暗殺されそうになるレオナ姫。
アキラはレオナ姫やキーファ達にパプニカ国王へクーデターのことを伝えるよう言い、自身はバロンの足止めを行うのであった。



第二十五話

「この人数に囲まれて、どこまで保つかが見ものだなぁ」

 バロンはいやらしい笑みを浮かべながらアキラに話しかける。しかし、アキラとしては今の状況を作り出すためにあえて挑発したというのが正しかった。

 

(一番の問題は、バロンがレオナを追いかけて行ってしまうことだったからね。それを防げたのが収穫だ)

 

 挑発することで相手の思考力を奪い、選択肢を狭めるように誘導したことによって、レオナ達がすぐにピンチに陥ることはなくなったが、これからどうやって倒すかをアキラは考えていた。

 不意打ちで一人倒したため、残りは兵士九人とバロンの合計十人。幸いにも『スロウ』の効果がまだ残っているため、数を減らしつつ優勢を保つ作戦を考えていた。

 

「お前達……行け!」

 バロンの指示で兵士達がアキラに突撃する。アキラは自身に『ヘイスト』を掛けると、攻撃を躱しつつ反撃を仕掛ける。

 

「ぐっ!」

「ぐわっ!!」

 最初に突撃してきた三人をカウンターで戦闘不能にすると、相手が怯んだ隙に『ファイア』で二人を吹き飛ばす。これで残りは四人。

 

「ちぃ! 何をやっている!! ……『メラミ』」

 バロンがアキラに対し『メラミ』を唱える。咄嗟に『シェル』を唱えて魔法攻撃の威力を抑えるが、それでもアキラは少なくないダメージを受けていた。

 

「はっはっは! 今だ! やってしまえ!」

 アキラが剣を杖代わりに膝を付いたところを、兵士達がとどめを刺そうと突っ込んでくる。

 

「これで終わりだぁぁぁ──ぎゃ、ぎゃあああ!!」

 兵士がとどめを刺そうと剣を振り上げたとき、大きな火炎球が複数現れて兵士達に襲いかかる。火だるまになった兵士達は命に別状はなさそうだったが、炎が消えたときにはぐったりとした状態で倒れていた。

 

「い、今のは『メラミ』の炎!? なぜ貴様の様な冒険者風情が中級呪文を……それも()()()使()()()のだッ!!」

 バロンはアキラが『メラミ』を唱えたこともだが、同じ呪文を複数出現させたことに驚いていた。実際は『ものまね』を連発していただけだったのだが、バロンにはそれが分からないため、アキラが脅威に思えていた。

 

「……ふう。さすがに今のはヤバかったね。でも腐ってもお前も賢者なんだな。()()()()()()()()()使()()()()()()?」

 アキラは『ケアル』を自身に唱えながら立ち上がる。そして『メラミ』を『ものまね』することで、新たな魔法を習得できたことを実感していた。

 

 

 

     ◇

 

 

 

 同時刻。ルイーダの酒場のパプニカ支部にて。

 

「早くお父様にバロン達のことを伝えないと!」

 

 レオナは『リレミト』で戻ってくるとすぐに王宮へと向かおうとする。キーファ達も特に反対意見がないため、それに続く。

 キーファは城へ向かう道中で敵と戦う可能性が高いと考えていたが、城門までは戦闘が起こることもなく到着することが出来ていた。これはテムジンがレオナを始末するのに十人の兵士とバロンだけで大丈夫だと考えていたのもあったため、残りは自身の周りと王都を包囲する兵士に組み込んでしまっていたからだった。

 

「レオナ様、お帰りなさいませ」

 門番の兵士に出迎えられるが、挨拶を返さずにそのまま城内へと入っていく。しかし、謁見の間へと向かう途中でテムジンが道を塞ぐ。

 

「おやおや、姫様。そんなに急がれてどうなされたのですか?」

「テムジン……!」

 

 レオナはテムジンの様子がいつもと違うことに気が付いていた。バロンが裏切っていた以上、他にも裏切り者がいる。それはバロンと普段から一緒にいたテムジンが有力候補に入っていてもおかしくはないとレオナが考えていた。

 

「大臣……実はこの国で──」

「ちょっとお父様に用事があるのだけれど、今は謁見の間かしら?」

 キーファが説明しようとしたところで、レオナが言葉を被せて説明を遮る。

 

「陛下は謁見の間にて、他国の大臣とお会いなされているところですよ。もし急用であれば私がお聞きしますが?」

 テムジンが話の内容を聞こうとするが、レオナは彼を一瞥すると何も言わずに謁見の間へと早足で歩いていく。

 

「ひ、姫様……!?」

「おいおい、大丈夫なのか?」

 

 テムジンの声を無視して先に進むレオナに、キーファが大丈夫なのかと問いかける。

 

「今は一刻の猶予もないわ! 早くしないとこの国が……アキラ君が危ないのっ!」

 

 レオナの言葉を聞いて、キーファ達は黙って従うことにした。今はアキラを助けつつ、パプニカを救う方法は国王に会うのが最短である。

 パプニカ王国へのクーデターを伝え、その足でアキラを助けに行かなくてはいけないと考えているため焦るレオナ。

 

「お父様!」

 謁見の間の扉を守護する兵士を振り切り、扉を開けるレオナ。

 いきなり扉の方から大きな声が聞こえたパプニカ国王と他国の大臣は驚いて扉の方を見る。

 

「レ、レオナ……! 何をしに来たのだ! 今はラインハット王国の大臣と大事な話しているところだ! お主は下が──」

「──パプニカでクーデターが起ころうとしています! 早く対策を!」

「な、なんだと!?」

 

 レオナの報告を聞いたパプニカ国王はラインハット王国の大臣と顔を見合わせる。

 そして「ま、まさか……」と呟くが、真剣な顔に戻り、レオナに問いかける。

 

「レオナ……お主の報告は本当のことだろうな? なにか証拠でも──」

「──バロンが裏切りました」

「な、なんだと!?」

「それだけではありません。私のことを暗殺しようと地下五階層で兵士とともに囲まれました」

 

 あまりの衝撃なことに言葉を失うパプニカ国王。ラインハット王国の大臣もまさかこのタイミングで起こるとは想像していなかったため、驚きのあまり声を失っていた。

 

「し、しかし、それならばなぜお主達は大した怪我もせずに無事なのだ? ……ぬ、一人姿が見えぬが……」

「……アキラ君が残ってバロン達を引き受けてくれました。このことをお父様に早く伝えるようにと……」

「……そうか。大臣よ、わざわざ来てもらったというのに申し訳ない。これから我々も準備をしなくてはいけなくなった」

「ええ、心中お察しします。私もこの場に残り、出来る限りのことをお手伝いいたしましょう」

「……助かる」

 

 そして将軍を呼び、兵を集めるように指示をしたパプニカ国王は、レオナ達に自室で待機するように伝えると謁見の間を出ていってしまう。

 後を追ってきたテムジンも予想よりも早く事態が動き出してしまったことに、一瞬だけ焦りの表情を見せるがなんとか隠し、パプニカ国王の後を追うのであった。

 

「と、とりあえず報告は終わったな。陛下は部屋で待機してろって言われたけど、これからどうする?」

「もちろんアキラ君を助けに行くに決まってるでしょ!」

 

 キーファの言葉に対し、レオナは当然のことだとばかりにパプニカ国王(父親)の指示を無視すると言い放つ。

 マリベルとセブンは苦笑いをしていたが、同じ気持ちだったため、お互いに目を合わせて頷く。

 

「だったら早く行きましょ。陛下にバレたら大目玉よ?」

「そうだね。僕もアキラが心配だから──って、ちょっと待って……」

 

 セブンも当然アキラを助けに行こうとマリベルの意見に同調しようとしたが、何か引っ掛かることがあったため、途中で言葉を途切れさせる。

 レオナは早くアキラのことを助けに行きたいため、かなり焦っていたのだが、セブンの態度が気になるようで言葉の続きを待つ。

 

「これさ、もしかしたら──」

 

 

 

     ◇

 

 

 

「え、まさかこれでおしまいじゃないよね?」

「き、貴様ァァァァ!!!」

 

 バロンはアキラの言葉に激高していた。連れてきた兵士がやられてしまっただけでなく、自身の使った呪文でアキラが倒れないためだ。

 『シェル』の効果により、ダメージをある程度防ぎ、『ケアル』で回復するという方法を取っていた。

 激昂していた理由はもう一つある。バロンは『イオラ』、『ヒャダルコ』、『ベギラマ』、『ドルマ』、『ドルクマ』、『ジバリア』、『ジバリカ』など、実に多彩な攻撃呪文を放ち、アキラを追い込もうとしていたのだが、その直後に同じ呪文が返ってくるというある意味舐められていると取られてもおかしくない行動をされたからだ。

 

 ()()()使()()()()()()()()()使()()()と言わんばかりの挑発をされていると受け取ったバロンは、怒りが頂点に達していた。

 実際にはアキラが呪文を習得するために『ものまね』を使っているだけなのだが、そんなことは知る由もない。

 

「この……パプニカ大賢者のバロン様を舐めやがってぇぇぇ! 貴様は絶対に殺す!」

 

 殺気を放つバロンに内心冷や汗をかきながらも、余裕の笑みを浮かべるアキラ。

 そのことが更にバロンの冷静さを失わせていくのであった。ただ、いつまでも時間を取られているわけにはいかないため、そろそろ決着をつけようとアキラは動き出す。

 

(そろそろかな? 万が一()()を持っていた場合、正直勝ち目がないからね……)

 

 バロンといえば、殺人機械人形(キラーマシン)が有名である。呪文耐性がかなり高いキラーマシンが出てきた場合、魔法使い系であるアキラにはかなり不利になることは間違いない。

 その装甲を打ち破るだけの物理攻撃力もなく、習得した魔法だけでは太刀打ちできないであろうということは分かっていたからである。

 それでもこの状況を使って自身の攻撃の幅──『ものまね』による習得──を広げるチャンスを無駄にはしたくないとアキラは考えていたため、挑発することでバロンの呪文を引き出していたのであった。

 

「じゃあそろそろこれで終わりにするか…………『ファイラ』」

「う、うおおおおおおおおお!!!! な、なぜ呪文を連発で……」

 

 右手をバロンに伸ばしたアキラは、『ファイラ』を唱え、『ものまね』で連発するという先ほど兵士に使ったのと同じ戦法を取る。

 『ファイラ』の炎が幾重にも現れ、バロンに襲いかかる。そして、『ファイラ』が消えたときには倒れたバロンから肉が焦げるような臭いがしていたのだった。

 

「よし、あとは……レオナ達に追いつくだけだ……」

 

 バロンや兵士達とともにテレポで帰ったアキラは、ルイーダの酒場でバロンを拘束し、パプニカ支部の支部長──困惑どころか泡を吹いて倒れそうになっていた──に預けて、ルイーダの酒場を出るのであった。

 




遅くなりまして、大変申し訳ございません。
昨年の投稿再開のすぐ後にPCのデータが全て消えてしまい、ずっとヘコんでいました。
ストックも消えてしまったので、今後の投稿はストックを作りながらゆるゆると行っていきます。
きちんと完結まで書いていきます。
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