ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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いつもお読みくださってありがとうございます!
毎回感想をくださる方も、初めて感想を書いてくださる方も読んでいてとても嬉しい気持ちになります。

これからもよろしくお願いします!



第二十七話

「陛下、アポロです。」

「む……入れ」

「失礼します」

 

 パプニカ国王は作戦会議室で反乱軍をどうやって撃退するかを話し合っていた。

 そこには将軍や近衛兵、テムジン、そしてアポロと同じような格好をした女性がいた。

 

「マリン……君もいたのか」

「ええ、陛下の側には賢者が必ず一人付いている決まりですからね」

 

 マリンと呼ばれた女性はアポロと同じパプニカ賢者の一人であった。パプニカには数名の賢者がいるが、必ず一人はパプニカ国王の警護に就くことが決まっている。

 それはバロンも例外ではなかったのだが、テムジンがいつもそばに置いているため、彼だけは例外的にほとんど国王の警護に就くことはなかった。

 そのことが罷り通るくらいに、今のテムジンの権力は強くなっていたのである。

 

「アポロ……お主には魔法部隊の編成を任せていたはずだが、どうしたのだ?」

「はい、恐れながらこちらの冒険者アキラ殿が裏切り者のバロンを捕まえたとのことでしたので、その報告に参りました」

「おお! そうだったのか! して、バロンはどこにいるのだ?」

 

 パプニカ国王は喜びの声を上げる。二万の軍勢に囲まれている中、裏切り者を捕まえたという朗報はこの不利な状況を覆す可能性があったからだ。

 アポロはテムジンのいる位置をさり気なく確認しながら、パプニカ国王の問いに答える。

 

「はっ。バロンは現在ルイーダの酒場にて拘束されており、支部長自らが監視に当たっております」

「そうか! それではバロンを城に連れてきて尋問を──」

「──お待ちください、陛下」

 

 バロンを尋問すると言おうとしたところで、テムジンによって遮られる。

 

「む、どうしたテムジン?」

「恐れながら……これは推測ですがバロンは捨て駒にされている可能性がございます」

「なんだと?」

「そもそもこんな簡単に捕まるということは、大した情報など持っておりますまい。それよりもこの状況を覆す戦略を練らねば、いつ反乱軍が王都に攻め入ってくるか分かりませぬぞ!」

 

 テムジンの言葉に「む、むむう」と唸るパプニカ国王。テムジンとしてももしバロンに情報を吐かれでもした場合、自らの立場が危うくなる。

 それであればバロンを切り捨て、とりあえずこの場を乗り切る選択肢を取るしかなかったのである。

 しかし、アポロはそこでテムジンに追撃を仕掛けることにした。

 

「……おかしいですね、テムジン大臣」

「な、なにがじゃ!」

「アキラ殿がバロンから聞いた話によると、首謀者はあなただということだったが?」

「な……! な、何を根拠にそんなことを言っておるんじゃ! そんなことはバロンのでまかせに決まっておる!」

 

 アポロの言葉にテムジンは動揺するが、すぐにバロンが嘘を言っていると反論する。

 裏切り者が城内を混乱させようと味方を裏切り者だと言うケースもあり得た。バロンは城内の者によって尋問されたわけではないため、誤魔化すことが出来ないわけではない。

 実際にテムジンは大臣にのし上がるだけの頭の回転の速さがあるため、すぐに言い訳を思い付いていた。

 

「バロンは私を追い詰めたと思ったときに笑いながら話していたので、あながち嘘とも言えないと思うんですよね。

だって……これから死ぬかもしれない人間にわざわざ嘘の内容を話したりします? それも優越感たっぷりでしたよ」

 

 アキラはアポロの演技に乗っかるように嘘をついた。

 実際バロンはそのようなことは一切言っていない。カマかけのつもりで話し、テムジンの様子を伺うつもりだったのだ。

 そしてそれは周りにいたアポロ以外の人間──もちろんテムジンにとっても──に効果的な言葉だったようで、すぐにテムジンに対しての警戒が(あらわ)となった。

 

 マリンと近衛兵はパプニカ国王を囲むようにして立ち、文官はその後ろに隠れるようにして逃げる。

 将軍とアポロがテムジンの前に立ち塞がった。

 

「テムジン、これは一体どういうことか説明してもらおうか?」

「ぬ……ぬぬう……」

 

 パプニカ国王がテムジンに問う。悔しそうな顔をして唸るテムジンだったが、数瞬のあと態度を一変させ、低い声で笑い出す。

 

「ふふふ……やはりあのバロン(愚か者)を使ったのが間違いであったか」

「……それは自白と判断して良いな? 大人しく縄についてもらおう」

 

 将軍が剣の柄に手を置きながら、ゆっくりとテムジンの方に歩いていく。

 アポロやマリン、近衛兵達もまだ油断はしていないが、アキラだけは違っていた。

 

(ふう……これでこの場はなんとかなりそうだな)

 

 それは戦いに身を置いてまだ日が浅い転生者だからこその油断であった。

 

『ぐふふふ……大臣よ、少々手こずっているようだな』

「そ、その声は!」

 

 部屋に響き渡るような声がしたため、全員が周りを見渡すが何も見つけることが出来ない。

 

「な、何者だ! 姿を現せ!!」

 

 将軍が声を荒らげるが、特に何かが出てくる雰囲気もない。しかし、()()に明らかに異質な何かがいる気配だけは全員が確かに感じることが出来ていたのだった。

 

大臣(お主)にはまだいなくなってもらっては困るのでな。ここは一旦引くとしよう』

「はっ! ありがたき幸せ!」

 テムジンが姿見えぬ何者かに対して優雅に頭を下げたとき、足元に魔法陣が描かれ、光り出す。

 

「に、逃がすかっ!」

 しかし全員が気付いたときには遅かった。アポロや将軍がテムジンを逃さないように取り押さえに走るが、あと少しというところでテムジンは消えてしまう。

 

「く、くそっ!!」

 将軍が悪態をつくが、そのときは何もかもが遅かった。そしてそのすぐあとに作戦会議室の扉が乱暴に開けられ、叫ぶように声を荒らげる兵士が入ってくる。

 

 

 

 

 

「ほ、報告します! レオナ様が魔族と思しき者に……さ、攫われました!!」

 

 

 

     ◇

 

 

 

 キーファ達は王城にある医務室にて治療を受けていた。回復呪文を唱えてもらい、身体の傷は癒えていたがボロボロになった装備を見れば激戦だったことが伺える。

 三人が落ち込み項垂れているところに扉をノックをする音が聞こえる。

 

「……キーファ、マリベル、セブン。入るよ」

 

 キーファ達が顔を上げて開け放たれた扉から入ってくる人物を見る。

 そこには中級者迷宮で殿(しんがり)を務めてくれたアキラの姿があった。

 

「アキラ……無事だったのか」

「うん、お陰様でね」

 

 キーファがアキラの無事に安心するような声を出す。マリベルやセブンも安堵の表情を見せるが、なにか陰があるような様子であった。

 それにはもちろん理由があり、アキラも分かっていた。

 

「アキラ……ごめん。レオナが攫われちゃったの……」

「僕達の力が足りないばかりに……」

「マリベル……セブン……」

 

 アキラへ謝罪をするマリベルとセブン。本来謝罪をするべき相手はアキラではないのだが、中級者迷宮でレオナを助けるために真っ先に前に出たアキラに対して、自分達がレオナを守りきれなかったという事実に謝罪の言葉しか見つからなかったのだ。

 

「三人の姿を見れば分かるよ。必死にレオナを救おうと戦ってくれてたんでしょ? 僕だってテムジンを逃してしまったのだし、三人を責めることなんて出来ないさ」

 

 アキラの慰めるような言葉が三人の胸を(えぐ)る。しかし、どこかで少しだけ心が軽くなったような気がしたキーファ達だった。

 

「それよりも魔族が出たって聞いたんだけど、どんな特徴だったの?」

「えっと──」

 

 アキラが話を変えてレオナを攫った魔族の特徴を聞く。それにキーファが思い出しながら答えていく。

 

「全体的に太っていて、体の色が青かったな。背中には小さな羽が生えていて、頭からはツノが二本生えていたよ。あ、あと丸い目玉みたいな物をいくつも持っていたな」

 

(全体的に太っていて……青い? 丸い目玉みたいな物をいくつも……ってもしかして……!)

 

 アキラは魔族の正体がなんとなく分かってきていた。この世界がドラクエの世界ということと、魔物もそれに準じていたということでアタリをつけることが出来ていたのだ。

 しかし、今その正体を知ったところでレオナがすぐに助かるわけではないので、話の続きを聞くことにする。

 

「そっか。その魔族は他に何か言っていたりはしていた? レオナを攫うということは、何か要求があるとか?」

 

 元々暗殺しようとしていたレオナを攫うということは、何かの目的があるはずだとアキラは考えていた。

 キーファ達を戦闘不能にしたあと、いくらでも殺すチャンスがあったにも関わらず攫うだけで留めたということからも、すぐにレオナの命が危うくなるということはないであろうという推測していたのだった。

 

「ごめん……俺達はすぐに気を失ってしまったから、何も聞けなかったんだ……」

「そっか。じゃあ()()()なら知っているかもしれないな……」

 

 キーファ達が申し訳無さそうにアキラに謝るが、アキラはそれを特に気にしていなかった。

 それならば現在情報を持っていそうな者から聞き出せばいいと判断する。

 

「ちょっと! アイツ……って誰のことよ?」

 

 マリベルが質問したときには、アキラは医務室から出ようとしているところであった。

 しかしアキラはそのまま出ていかず、後ろを振り向いて答える。

 

 

 

「もちろん────()()()だよ」

 




これくらいのペースで投稿しつつ、ストックを溜めていけたら嬉しいです。
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