ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
「ここが……」
「うむ! 地底魔城じゃ!」
キメラのつばさを使って近くまで飛んできた一行。
キーファの声にバダックが答える。魔王ハドラーの居城だった場所であり、その後は封印されていた地。
そしてレオナが捕えられていると思われる場所であった。
「確かに封印が解かれているね」
「中からモンスターの気配もするわ」
地底魔城の入り口は真ん中がポッカリと空き、螺旋階段が続いている。
周辺には見張りが一切いなかったが、中からは明らかに邪悪な気配が漂っていた。
「じゃあ……行くぞい!」
バダックが場を仕切り、地底魔城へと行こうとする。
「いやいや、バダックさん! あなたは残ってください!」
「なぜじゃ! ワシはパプニカ一の剣豪じゃぞ! そのために陛下が行けと仰ったのじゃ!」
この場にいるバダック以外の全員が、「地底魔城へ連れて行ってくれ」言っていただけだろと思っていたが、剣を抜いてやる気満々なバダックにそのことは言えないのであった。
アキラは小さく息を吐いて、バダックの説得を始める。
「バダックさん、良かったらここで見張りをしていてくれませんか?」
「見張りじゃと?」
「ええ、今はモンスターがいないので大丈夫なのですが、もしレオナ姫を救出した際にここでモンスターと挟み撃ちになったら、僕達は絶体絶命です。
そのときにバダックさんがここで見張りをしていてくれたら、そういったこともなくなるのですごい安心なのです。レオナ姫を救出するのにバダックさんにしか任せられない重要な仕事なのですが……お任せできないでしょうか?」
アキラの提案に「むむう……」と唸っていたバダックだったが、最終的に
「じゃあお主達は気を付けて行ってくるのじゃぞ! 何かあればワシを呼ぶのじゃ!」
剣を振り回しながら任せろというバダックを背にし、アキラ、キーファ、マリベル、セブンの四人は地底魔城へと足を踏み入れるのであった。
◇
「た……たっかいわね〜!」
「ここでモンスターに襲われて、落ちたりしたらひとたまりもないよね」
マリベルとセブンは壁に手を付きながらゆっくりと螺旋階段を降りていく。中心側には壁も何も無いため、なるべく壁側に身体を寄せていた。
キーファやアキラも同様で、高所恐怖症でない人でもこれには恐怖を覚えるくらいの高さであった。
「それにしてもバダックさんにはあそこで見張りをしてもらってて正解だったよな」
「うん、万が一強敵が出てきたときは庇いきれないもんね」
バダックには地底魔城の入り口──正確には近くの森の中──で待機してもらっていた。
護衛騎士とはいえ、正直にあまり強いとは思えず、戦闘に参加してもらうのは厳しいと感じたための判断だった。
実はパプニカ国王も王都が囲まれている状況で、一人突撃しそうな雰囲気だったためキーファ達に押し付けていたのであった。
そのためアキラの提案は正しく、バダックは人知れず命拾いしていたことに気付くことはなかった。
「ようやく一番下まで下りてきたわね」
「もしかして帰りはこの階段を上るの……?」
「『ルーラ』と『リレミト』があるから大丈夫じゃないかな?」
セブンがうんざりしたような顔で帰りの話をしたが、アキラはすぐに否定する。
その事に気づいたセブンは嬉しそうな顔になり、「早く行こう!」とやる気になっていた。
「GUAAAA〜!」
「モンスターだ!」
少し歩くとそこはモンスターが徘徊するダンジョンとなっていた。
まるで
「……『ギラ』! ようやく倒したわね」
マリベルの『ギラ』で出てきたモンスターを一層する。
「ここはアンデッド系のモンスターが出るんだな」
「というかここってさ……」
「うん……多分だけど……」
全員が同じ感覚を持っており、しかしそれを口に出すのは
「とりあえず今はレオナを救出するのが優先だ! ここのことはまた後で考えればいい」
「ええ、そうね! ……ってここも行き止まり?」
「アキラがマッピング用の紙を持ってきてくれなかったら、完全に迷ってたね……」
「まぁこんな事もあろうかと思ってね」
アキラは万が一のことを考えて、マッピング用の紙を持ち込んでいた。
原作でも地底魔城は入り組んでおり、主人公達は迷っているようであったからだ。
一行はマッピングをしつつ、途中に出てくるモンスターを倒しつつ奥へと進んでいくのであった。
「…………この奥だな」
「ええ……そうね」
「
キーファ達は目の前の階段を上った先にレオナを
アキラ以外の三人は前回やられてしまっていたため、緊張からか汗をかいていた。
「三人とも大丈夫?」
心配したアキラが声を掛ける。明らかに大丈夫ではないのだが、ここを乗り越えないとレオナの救出は出来ない。
それを分かっている三人はぎこちないながらも頷く。
アキラはそれを察して、それ以上聞かなかった。
「じゃあ……行こう!」
アキラの号令で四人は階段を上っていくのであった。
◇
「こ、ここは……?」
「空が見えているわね」
階段を上ったアキラ達は空が開けた場所に到着する。
周囲を見ると、それはまさに
「ここは元々魔王ハドラー様が捕まえた人間達を奴隷にして戦わせていた場所だ」
「お前は……!」
声がした先から現れたのは、キーファ達が話していた特徴そのままの魔族だった。
太った体の色は青く、背中には小さな羽が生えており、頭からはツノが二本生えていた。
「レオナ!」
「アキラ君!」
魔族の後ろには結界檻に囚われたレオナがおり、青い顔をして座り込んでいた。
(やっぱり
アキラは予想が確信に変わる。キーファ達に聞いた特徴から当たりをつけていたが、ドラゴンクエストの世界が全て混ざった世界と認識していたため、確信には至らなかった。
そして、ゲームと現実は
「やはり来たか! しかし、パプニカ王女を攫えば強者が来ると思っていたが、貴様らとはな。ここでパプニカの精鋭を始末しておけば、あとは烏合の衆。今王都を包囲している
「モンスター軍団ですって!?」
魔族の言葉にマリベルが反応する。いや、正確には全員が驚いていたが、マリベルだけが声に出したのだった。
その驚きの声を聞いて嬉しかったのか、醜悪そうな笑みを浮かべて魔族は話し出す。
「ああ、そうだ! あれはモンスターを人間に変身させているだけなのだよ! こうしておけば表向きには人間族によるただの反乱にしか見えんからな!
そのために包囲している指揮官は人間族の貴族を使っているのだよ!」
「…………くっ!」
魔族の言葉を聞いたキーファは焦りの表情を見せる。それも仕方がない。人間族同士の戦いであれば、ある程度のところで話し合いの余地も見いだせるが、対魔物であれば話が違ってくるからだ。
「しかし貴様らにはもう関係のない話か……なぜならここで死ぬのだからな!」
「────ッ!」
魔族は手から目玉のようなものをいくつも取り出し、お手玉のように回しだす。
「光栄に思え……未来の魔王軍幹部である〝デス・アミーゴ〟様の手に掛かって死ぬことが出来るのだからな!」