ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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第三十話

「総員戦闘態勢! 事前に話していたとおりの布陣でいくぞ!」

「おうっ!」

 

 デス・アミーゴが身構えたため、アキラは戦闘開始と判断し全員に指示を出す。

 事前に彼はキーファ達と対デス・アミーゴ戦での対策を話し合っていた。

 キーファとセブンが前に出てデス・アミーゴの攻撃が後ろにいかないように受け持ち、マリベルが『ルカニ』でデス・アミーゴの防御力を下げながら適度に『ホイミ』を唱える。そして、アキラは────

 

「…………『スリプル』。……『ものまね』、『ものまね』、『ものまね』、『ものまね』」

 

 『スリプル』を唱えたあと、ひたすら『ものまね』を連発していた。

 デス・アミーゴは()()()()()()がよく効くというのが弱点である。そのためこの方法であればMP消費も少なく、ほぼ封殺できるのであった。

 実際にデス・アミーゴは眠りに落ちてキーファ達に攻撃されて、起きてはまた寝るといったことを繰り返しており、何も出来ていなかった。

 

 このことを客観的に見ると、アキラの『ものまね』はかなり強いように見えるが、『スリプル』と『ものまね』の間に他の特技か呪文が唱えられてしまうとそれを真似してしまうというデメリットが有る。

 アキラはそれを悟られないようにしているため、どの戦闘中でも余裕そうに見えて内心ではかなり冷や汗をかいていた。

 『ものまね』を封じるには、例えば『ものまね』が入る前に『ザメハ』などの周りに影響がない呪文で割り込みをする、爆弾岩に『メガンテ』などを唱えさせるなどといった強引な手段もあり得る。

 

(『ものまね』はリターンが大きいけど、その分リスクも高いから使い所を間違えないようにしないとね……)

 

「よし! 喰らえぇぇ!」

「ぐ、ぐおお……!」

 

 キーファの一撃でデス・アミーゴは致命傷を負う。マリベルは『ルカニ』を唱え終わったあとは特に何もすることはなく、キーファとセブンが地道に攻撃をするだけで終わるという単純作業であった。

 

「ぐ……ぐぞぉ……パプニカを……乗っ取ることが出来れば……俺様も……か、幹部にな……」

 

 デス・アミーゴは今にも死ぬ直前状態であった。何も出来ず、ボロボロの状態で倒れ伏していた。

 

「だ……だれか……たすけ……」

 

 その様子を見て、全員がいたたまれない気持ちになったが、相手は魔族である。

 心を鬼にして、キーファがとどめを刺そうとしたとき────

 

「うおっ! な、なんだ!?」

 

 キーファの剣が弾かれ、その勢いで数歩後退する。

 デス・アミーゴには黒い膜のようなものが掛かっていた。

 

『キ〜ヒッヒッヒ!』

「だ、誰だ!?」

 

 突如、甲高い笑い声が聞こえる。キーファ達は周りを見渡してみるが、そこには誰もいない。

 しかしアキラだけは聞き覚えのある笑い声に対し、眉間にシワを寄せていた。

 

『デス・アミーゴよ、随分と情けないではないか。幹部になると息巻いていたのはどうしたのじゃ〜?』

「ザ、ザ……様……? お、お助け……を……」

『ふむぅ。確かにこのまま我々が舐められてしまうのも良くないのう……そうじゃ! ()()()が力を授けてやるから、それで魔物兵団とパプニカ王都を落としてくるのはどうじゃ?』

「お……仰せのままに……だから助け……」

 

 デス・アミーゴは謎の声に従うと伝えると、彼を包んでいた黒い膜が内側に入り込んでいく。

 

「ぎゃぁぁぁあああ!!」

『キ〜〜ヒッヒッヒッヒ! これでパプニカ程度を落とせないようならそれまでということじゃな!』

『グブブブブッ……』

 

 苦しむような悲鳴をあげていたデス・アミーゴであったが、急に大人しくなり、何も言わずに立ち上がる。

 見た目の色が青から黒に変わり、黒い煙のようなものも彼から出ていた。

 

「…………」

『おお! 終わったか! ではパプニカを落としてくるのじゃ!』

「パプニカ……オトス……」

 

 片言で喋るデス・アミーゴはそのまま消えてしまい、正体不明の声の主もいなくなってしまう。

 突然のことにキーファ達は戸惑っていた。

 

「な、なにが起こったんだ……?」

「それもそうだけど……まずはレオナだよ!」

「そうね! レオナ、無事!?」

 

 全員でレオナのところに向かい、キーファとセブン、アキラの三人で結界檻を破壊する。

 

「レオナひ──」

「アキラ君!!」

 

 キーファがレオナに手を差し伸べて声を掛けようとした瞬間、彼女はアキラに抱きつく。

 あまりの突然のことにアキラは何も出来ずに固まる。

 

(や、柔らか──じゃ、じゃなくて……)

 

 自分の気持ちに素直になりそうな寸前で留まり、レオナに声を掛ける。

 

「れ、レオナ……無事で良かった。で、でも……あ、あなたはキーファの婚約者なので……」

 

 アキラが暗に離れるように言うが、レオナは離れない。

 どうしていいか分からないアキラは顔を真っ赤にしてあわあわしていた。

 

「ちょっとアキラ! 何やってるの!?」

「え!? いや、僕は何も……」

「そうじゃなくて! レオナが!」

「え? ……レ、レオナ!」

 

 あまりに不意の出来事に頭が真っ白になっていたアキラだったが、マリベルに言われてレオナをきちんと見ると抱きついていたのではなく、ぐったりとしてアキラにもたれかかっていただけだった。

 デス・アミーゴがレオナを閉じ込めていた結界檻は彼女の体力と魔力を消費して維持されていたため、賢者の卵のレオナからすると魔力はともかく体力の消費が著しかったのだ。

 すぐにマリベルが『ホイミ』、アキラが『ケアル』を掛けて、ようやく青白かったレオナの顔に赤みがさすのであった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「ん……」

「おお……姫様!」

 

 三十分後、レオナがようやく目を覚ます。

 アキラ達は地底魔城を『リレミト』で抜け出し、入り口でバダックと合流していた。

 

「バダック……ここ……は?」

「ここは地底魔城の入り口ですぞ! 姫様、ご無事でなによりです!」

 

 レオナはバダックにここが地底魔城の入り口だと言われて、何が起きていたかを思い出して周りを見渡す。

 そこにはキーファ、マリベル、セブン。そしてアキラの姿があった。

 

「みんな……助けに……来てくれたの?」

「あったりまえでしょ! 大切な仲間なんだから!」

「仲間……私が……?」

 

 マリベルの仲間という発言に言葉が詰まるレオナ。

 地下迷宮を一緒に行き、初めは迷惑を掛け、そのことを謝罪して受け入れてもらえた。

 そのあとも探索を続けていたが、レオナの中ではまだ他人として思われていると思っていた。

 

「え……! な、なんで泣くの!?」

「うわ、マリベルが笑顔で女の子を泣かしたよ……」

「……アレは恐怖だからな」

「ノーコメント」

「ちょっとあんた達ぃぃ〜!!!」

 

 マリベルが自身をからかう男性陣に怒りの表情を向ける。

 すぐにキーファ達が逃げようとしたとき、涙を流していたレオナが笑い出す。

 

「……ふふふっ」

「レ、レオナまで笑うなんて酷いよ……」

「ご、ごめんね。あなた達のやり取りを見ていたら、おかしくなってしまって……あははっ!」

 

 謝罪の言葉を口にしながらも笑いが止まらないレオナ。

 その様子にキーファ達だけでなく、バダックもつられて笑ってしまうのであった。

 

 

 

「……もう! 酷いんだからね!」

 

 ひとしきりマリベル以外の全員が笑ったあと、彼女はすこしだけむくれていた。

 そろそろ動く必要があると判断したアキラは、ある程度体力と魔力が戻ったレオナに状況を説明する。

 

「あの魔族がパプニカを……! それなら早くお父様に伝えなきゃ!」

「そうですな! 姫様もお元気になられたようなので、一刻も早くパプニカに戻りましょう!」

 

 レオナが立ち上がれることを確認し、一行はセブンの『ルーラ』でパプニカ城へと戻るのであった。

 




【小話:テムジンの行方】

テムジン
「デス・アミーゴ様! お助けいただき、ありがとうございます!」

デス・アミーゴ
「うむ。お前にはまだ死んでもらっては困るのでな」

テムジン
「ははぁ! ありがたき幸せ!」

デス・アミーゴ
「ではレオナ王女を結界檻に閉じ込めてくるから、お前はそこでおとなしくしていろ」

テムジン
「ははぁ! ………………行ったか。パプニカを落とすと息巻いていたから様子を見に来たのじゃが、きちんと監視はしていたか?」

悪魔の目玉
「…………」

????
「そうか、監視が大丈夫なら良いのじゃ……これから面白くなりそうじゃのう。キ〜ヒッヒッヒッヒ!!」
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