ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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早くて週一(土日のどちらか)での更新になると思います。
毎日更新できるようになりたいと切に願っています。



第三十二話

「俺達も行くぞ!」

「そうね! 負けていられないわ!」

 

 キーファの号令でマリベル、セブン、アキラ、レオナも飛び出していく。

 初めは王族であるキーファとレオナが前線に出ることに、誰もが良い顔をしなかった。

 しかし、彼らはパプニカ王国民が危険に晒されている状況で、自分達だけが隠れていることなど出来ないと突っぱねる。

 

 それに対し、マリベル、セブン、アキラは初めから止めることはしていなかった。

 二人がどういう性格なのかを分かっているし、ここで止めても勝手に前線に行ってしまうのだ。

 それならば近くで守っていられる位置にいてくれたほうがまだマシというものだ。

 

 結果、遊撃隊として戦場を動くことで、少しでも戦況を有利な状況へと持っていくための働きをするということで落ち着く。

 パプニカ王からはレオナを絶対に怪我をさせるなという厳命が出ていたのを彼女本人は知らない。

 

「まずは全員に補助呪文を掛けるよ! ──『ヘイスト』、『プロテス』、『シェル』」

 

 アキラは全員に補助魔法を掛け、少しでも戦いが有利になるようにしていく。

 だが、相手も非常に厄介であった。

 

「なにこいつら! 倒しても倒してもすぐに立ち上がってくるんだけど!」

「モンスターはいなくなるが、後方からすぐに増援がやってくるのか!」

 

 デス・アミーゴに支配されている兵士達は単純に戦うという動作しか出来ないのだが、倒しても傷が塞がってしまい、すぐ立ち上がってくる。

 モンスターは倒すことが出来るが、倒しても後方から増援部隊がやってくる。

 

「一旦引こう! このままだと無駄に体力と魔法力を失うだけだ!」

「でも引いてどうするのよ!?」

「……下がって、対策を考えるんだ! パプニカ兵達の実力なら、まだ保つはずだから!」

 

 アキラの提案にレオナが抗議するが、このままではジリ貧になることは目に見えている。

 それであればまだ消耗していない状態のときに、一旦下がって対策を練るという方が良いと話すアキラにレオナも渋々同意して、全員で後方へと下がっていく。

 そして、一旦王都の中へと入ったアキラ達は避難して誰もいなくなった民家を借りて、対策を練ることにした。

 

「……まずは現状を把握しよう」

「黒い霧を発している兵士達は、弱いけど倒してもすぐに立ち上がってくるわね」

「モンスターなら倒せるけど……でもすぐに増援が来るんだよね」

「アキラくん、あなたならどうするの?」

 

 レオナの言葉に全員がアキラを見る。アキラは目を瞑り、腕を組んで座っていた。

 

「ちょっと、アキラくん聞いてる?」

「……うん、聞いてるよ。今の状況を考えると、僕達は()()()()()()()()()()()()()()

「どういうこと?」

 

 レオナが詰めるようにアキラに返事を急かし、ようやくアキラが自分の考えを述べる。

 しかし、その言っていることが分からずセブンが率直にアキラへと問いかける。

 

「兵士を倒してもジリ貧。モンスターを倒してもジリ貧。それならどうすればいいと思う?」

「だからそれに対してみんなが悩んでるんでしょ──」

「そうか……! そういうことか!」

 

 煮え切らない意見を話し続けるアキラに、イライラしたマリベルが口を挟む。

 しかし、キーファがそこで何かに気付いたようだった。

 アキラはそれに対して静かに微笑みかける。

 

「キーファは分かったの?」

 

 セブンがキーファに問い掛け、キーファはアキラの顔を見て「俺が話しても大丈夫か?」と聞くような顔をする。

 アキラが頷くと、キーファが彼の代わりに口を開く。

 

「ああ、多分だけどな。そもそもの話を考えればいいんだ。兵士を操っているのは誰だ? モンスターを操っているのは誰だ?」

「そんなのデス・アミーゴに決まってるじゃ……ああ! そういうことね!」

 

 マリベルもようやく気付いた様子だった。そしてここまでくればセブンもレオナも同じく気付いていた。

 

「そうだ。雑魚を倒してもキリがないなら、()()()()()()()()()()()()()。つまりデス・アミーゴをな」

 

 キーファの答えに対し、全員のたどり着いた答えが同じだったのか頷いて答える。

 これで希望が見えてきたと思ったところで更に口を挟むのがアキラだった。

 

「まぁ問題もあるんだけどね」

「……問題ってなによ?」

「あの状況でデス・アミーゴがどこにいるか分かるのか?」

 

 アキラのシンプルな言葉に全員が「あ……」っと言葉を発して、それ以上の言葉を出すことが出来なかった。

 

「あと、恐らくデス・アミーゴは敵陣の後ろの方にいるんだろうけど、そこまでどうやって行くの?」

「……た、たしかに……」

 

 先程まで煮え切らない言葉ばかり出していたアキラにイライラしていたマリベルも、真っ当な指摘に対して何も言えなくなっていた。

 せっかく解決する方法を見つけたにも関わらず、新たに出てきた問題に対して更に頭を抱えるキーファ達であった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「くそ、キリがない!」

「援軍はまだなのか!?」

 

 《パプニカ王都防衛戦》が始まってからすでに一週間が経っていた。

 しかし、援軍が来る雰囲気が一切なく、パプニカ兵は少しずつ追い詰められていた。

 それも仕方がない。なぜなら倒れてもすぐに蘇る二万の兵に、倒してもすぐに後方からやってくるゾンビ系のモンスターに対して、為す術がないからである。

 

 幸いなのは相手の強さが大したことがないことではあるが、疲れを知らない敵軍は日中夜、所構わず攻めてくる。

 そのため七千の兵を常に出撃しているわけにもいかず、二交代で当たっていた。これがギリギリ数の暴力で押しつぶされないラインであった。

 だが、体力が持ったとしても、いつ来るかわからない援軍を待ち続けるのは精神的に堪えるものがある。

 

「右翼が押し込められて、徐々に下がってきています!」

「ええい! 少し早いが交代の兵に援軍を出させろ! 防衛ラインにまで押し上げたのち、交代をするのだ!」

「ははっ!」

 

 精神的に追い詰められることも重なり、パプニカ軍側は徐々に戦況が悪くなってきていた。

 こちらのほうが質は高いにせよ、それでも一人ひとりに出来ることは限られてくるのが戦争の常である。

 

「くそ……このままでは……」

 

 このままでは負けてしまう。そう思わざるを得ない状況に対し、どうすればいいか分からず、ただただ待ち続けるしかないパプニカ軍なのであった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「パプニカ……オトス……オトス……」

 

 後方でデス・アミーゴがブツブツと呟いていた。

 その横には他の兵と違い、すでに死体となっていたレオドールが控えていた。

 

「…………」

「パプニカ……オトセ……オトセ……」

 

 デス・アミーゴの言葉が変わる。その言葉に従い、レオドールが動き出す。

 彼が何かの詠唱を唱えたかと思うと、足元から六芒星の魔法陣が現れる。

 そして一筋の光が上空に舞い上がった。

 

「…………」

 

 レオドールが剣を掲げて、振り下ろした瞬間──上空に舞い上がっていた光が分裂して一斉に自軍の兵士達へと降り注ぐ。

 パプニカ兵の何人かがそれに触れてしまい、消滅していたが黒い霧を纏った兵士は消えること無く、その光を浴び続けていた。

 

「…………イ、ケ!」

「ウ……ウォォォォォオオ!!」

 

 レオドールが「行け」という言葉を発した途端に、光を浴びていた兵士達がそれまで一言も声を出すこともなかったのに、急に大声を出してパプニカ兵へと襲いかかってくる。

 

「な、なんだこの強さは!?」

「こっちを助けてくれ! もう保たない!」

「こっちも……ごはっ!」

 

 先程まで前進するのと、単純な〝戦う〟という行動しかできなかった黒い霧を纏った兵士が、その強さを一変させてパプニカ兵を倒していく。

 

「将軍! まずいです! 相手の練度が急に上がっています! このままでは前線部隊が全滅してしまいます!」

「分かっている! 一旦前線を下げて撤退するのだ! あと王都内の治安維持部隊を集めろ! 今は少しでも戦力が欲しい!」

 

 将軍は指示を出すと、自ら味方兵を助けるために前線へと馬を走らせる。

 

「魔法兵! 休んでいる者たちも今だけは前線部隊を助けるために動いてくれ!」

「弓兵部隊もだ! 矢を使い切るつもりで騎兵と歩兵の部隊を助けるのだ!」

 

 アポロと弓兵部隊の将軍は即座に指示を出して、前線部隊へのサポートを開始する。

 温存は必要だが、今この場をなんとかしないと全滅必至である。

 それならば出し惜しみをしている暇はないのだった。

 

「は、早く来てくれ……もう保たない……!」

 

誰かが呟いたこの言葉は、争いの音にかき消され、他の者の耳に入ることはなかった。

 




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英雄伝説 青薔薇の軌跡
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