ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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第三十三話

 パプニカ軍が苦戦して追い詰められている間、アキラ達はなんとかデス・アミーゴのところまで辿り着けないかを模索していた。

 

「くそっ! 周りは黒い霧を出している兵士ばかりじゃないか!」

 

 キーファは王都を囲んでいる兵士達を見張り用の高台から見つめて悪態をつく。

 デス・アミーゴがいるであろう後方まで辿り着くためには、二万の兵士とゾンビ系モンスターを倒さないと行けないため、その前に体力と魔法力が尽きてしまうのは目に見えていた。

 パプニカの兵士を前衛に出して一点突破をすることも考えられるが、多大な犠牲を強いてしまうこととそれでも辿り着けるかは分からない。

 

 そして、デス・アミーゴを倒す前にパプニカ王都が確実に落とされてしまうため、その案はすぐに却下されたのだった。

 

「もう! どうにかならないの!? なにか()()()とかあればいいのに!」

「…………()()()?」

 

 マリベルの焦った言葉に対し、レオナが反応を示す。

 

「……そうよ、それがあったわ! なんで気付かなかったのよ!」

「レ、レオナ、どうしたのよ?」

「抜け道よ! 抜け道があるの!」

 

 唇に指を付けて考え事していたレオナが、何かを思い出したかのように叫び出す。

 マリベルは隣で急に叫びだしたレオナを見て驚くが、彼女はそんなことは気にする素振りもなく話し続ける。

 

「それは本当か!?」

「ええ、昔お父様に教えてもらった王族だけが知っている秘密の抜け道があるの。方向もちょうど()()()()()()()だったと思うわ!」

 

 そう言いながら、兵士達がいる方向を指す。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()! さすがレオナ! 伊達にただの我儘姫じゃないわね!」

「……なんかその言い方には物申したいけど、まぁいいわ。今はそんな事言ってる場合じゃないもの」

 

 マリベルの悪気のない言葉に対し、レオナは彼女をジト目で見るが、優先度は低いと判断して話を流す。

 そこでセブンが口を挟む。

 

「その秘密の抜け道はどこにあるの?」

「……入り口はいくつかあるんだけど、本当に丁度良かったわ。()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 

     ◇

 

 

 

 アキラ達が地下の抜け道の探索を開始したのと同時刻のことである。

 

「そろそろ僕達も動くかな」

「お、ようやくか! このまま手を出さずにパプニカが滅ぶのを待っているのかと思ったぜ」

「そんなわけないでしょ。こっちも対策を立てたり、準備に忙しかったんだから」

 

 紫色のターバンを被った青年と緑色のおかっぱヘアーをしている青年が、ふざけながら仲良さそうに話をしていた。

 彼らの周りにはモンスターが複数おり、更にその後方には大人数の兵士が待機していた。

 

「で、どういう作戦でいくんだよ?」

「そうだね。…………なんてのはどうかな?」

「おまっ! それまじかよ……もしパプニカ(あっち)が気付かなかったらどうするんだよ……」

「そのときはこっちで()()を断てば良いのさ。……まぁ気付いていると思うけどね」

 

 紫色のターバンを被った青年は、爽やかな風に吹かれ、数歩前に歩きながらにこやかに笑っていた。

 緑色のおかっぱヘアーの青年は訝しげに彼を見る。

 

「なんで気付いているって分かるんだよ?」

「……風だよ」

「……風?」

 

 紫色のターバンを被った青年の言葉が理解できず、緑色のおかっぱヘアーの青年は首をかしげる。

 

()()()()()()()。風がそう教えてくれるんだ」

 

 振り返った彼は、ただそう答えて次の指示を出す。

 

「だからさ、そのフォローをしてもらってもいいかな?」

「……承知した。()()()とやらを阻むものは、俺が全て吹き飛ばしてやろう」

 

 紫色のターバンの青年の言葉に答えた者は、武器を携えて歩いていってしまった。

 

「お、おい! いいのかよ! 勝手に行かせちまって!?」

「彼なら大丈夫だよ。とりあえずうちの兵も預けるから、すべて終わるまでの()()()()をお願いしてもいい?」

「……え、お、おい!」

 

 緑色のおかっぱの青年は心配そうな顔をしていたが、紫色のターバンの青年は何も気にせずどころか、兵を預けるからあとは頼むと言ってテントへと入っていってしまった。

 

「たくっ! あいつは相変わらず自由人だな!」

 

 ぶつくさと文句を言っているおかっぱの青年だったが、その顔には笑みが浮かんでいるのであった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「この先か……?」

「ええ、この先に行けば出口のはずよ」

 

 アキラ達はレオナの案内で地下の抜け道を歩いていた。

 急がなくてはいけないのは分かっているが、ここで急いで体力を失っては元も子もないのである。

 そのため体力温存を優先することにしていた。

 

「ほら、あの扉よ!」

「あ、一人は危ないって!」

 

 レオナが指し示した先には扉があり、そこから地上へと上がれるようであった。

 出口を見つけて、我先に扉へと走っていくレオナを追いかける一同。

 アキラ達が来るのを待たずにレオナが扉を開けると、そこは森の中であった。

 

「ちょっと待ってって……森?」

「ええ、ちょうど彼らの後ろ側に出ることが出来たと思うわ」

 

 扉から出た一同は周囲を見回す。

 それはレオナの言う通り、デス・アミーゴ達の後ろ側まで回り込めたようであった。

 その証拠に王都側から戦いの音や声が聞こえてくる。

 

「それじゃあさっさと行くわよ!」

「ええ、ささっと倒しちゃうわよ!」

 

 今がチャンスと見たレオナとマリベルは、口を揃えてデス・アミーゴをすぐにでも倒しに行こうと言い出す。

 

「えっ……念の為偵察とかしたほうが……せめて戦う準備だけはしていかない……?」

 

 アキラは油断しないほうがいいと分かっているので、今にも走り出しそうなレオナとマリベルをやんわりと制止する。

 

「……じゃあアキラ君が偵察行ってきてよ」

「そうよそうよ! アキラが行ってきなさいよ!」

「……そう言われると思った。はぁ、まぁ良いんだけどさ」

 

 嫌そうな口調で偵察に行く準備をするアキラ。

 そして全員に見送られてたった一人で戦闘音がする方へと向かっていく。

 

(ま、僕もこれを狙ってたんだけど、ね。上手くいって良かった)

 

 アキラは自分の思惑通りに事が運び、少し嬉しそうな顔をする。

 

(さすがに王子(キーファ)王女(レオナ)をここまでの前線で戦わせるわけにはいかないもんね。マリベルは気付いていないと思うけど、()()()()()()()()()()()()()だし、あとの護衛は二人に任せておけば大丈夫でしょ)

 

 キーファとレオナは確かにレベルも上がっており、戦い慣れてきているとは思うが、あくまで一国の王族なのである。

 《王族の洗礼》のようなものであるならばまだしも、ここまで命の危険がある戦いに出させるわけにはいかないというのがアキラの判断だった。

 

「ま、僕も死ぬつもりはないけどね。でもこれ以上、()()()()()()()()()の思う通りにはさせたくないでしょ」

 

 ()()()()()()()()()。アキラはその特徴的な笑い方から、地底魔城でデス・アミーゴをあの状態にしたのは、二人であると予測していた。

 ドラゴンクエストのオリジナル漫画である『ダイの大冒険』と『ロトの紋章』に出てくる魔王軍の幹部クラスであり、正確は残忍かつ卑劣である。

 

(今の実力だと、あいつらには絶対に勝てないからなぁ。上手く退散してくれると嬉しいんだけど……)

 

「……やっぱり。そうは問屋が卸さないってやつだね」

 

 アキラはおかしいと思っていた。

 七千の兵で二万の兵やモンスターを相手に持ちこたえることがここまで出来るのかと。

 数の暴力には勝つのは難しい。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(だよね。俺でもそうするもんな)

 

 今、彼の目の前には大量の兵士とモンスターが待ち構えていた。

 そう、後ろ側に回って襲撃する作戦は読まれていたのだった。

 

「キ〜ヒッヒッヒッヒ! 馬鹿じゃのう! 誰でも思いつく作戦なら、対策を立てるのは当たり前じゃろうに!」

「グブブブブブ……」

 

 どこからともなく聞こえる声にイラッとした表情を見せるアキラ。

 しかし、今の彼に出来ることは()()()()()()()()()()()と思わせることである。

 

「……万が一でも気付かれたら危ないからね。()()()()()()()()()()()!」

 

 そう言いながら、アキラは自身に強化魔法(バフ)を掛けて、無数の敵を相手に突撃していくのだった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「アキラ君、遅いわね」

「まったく偵察にいつまで掛かっているのかしら?」

 

 待っているのに飽きてしまった女性陣にキーファとセブンは目を合わせて肩をすくめる。

 

(アキラ、大丈夫かな?)

 

 セブンはアキラのやろうとしていることをなんとなくだが勘付いていた。

 キーファとレオナを戦いに巻き込ませないために、一人で片を付けようと偵察と称して戦いに行ってしまった。

 もし彼がいなかったら、その役割は自分が担っていたかもしれないとセブンは心配そうな顔をする。

 

 後ろにはデス・アミーゴのみで、彼を倒せば全てが終わるならば、危険だが一人で行って不意打ち作戦で終わらせるのも悪くはない。

 だが、セブンは言いようのない不安に襲われていた。

 

(どうか無事に帰ってきてね)

 

 セブンは()()()()()()()()()()()()()に気付くことはなく、上を見上げてアキラの無事を祈るのだった。

 




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英雄伝説 青薔薇の軌跡
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