ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。



第三十五話

 アキラはデス・アミーゴと対峙していた。

 

「パプニカ……オトス……オトス……」

 

 見た目が黒くなっていて、より禍々しさに溢れたデス・アミーゴの見た目にアキラは冷や汗をかくが、ここまで来た以上やるしかないと気合を入れ直す。

 

(幸いにも周りのモンスターに関してはクロコダインがなんとかしてくれているから、安心してデス・アミーゴに集中が出来る!)

 

 デス・アミーゴから視線を動かしていないが、耳から聞こえる音からクロコダインが周りのモンスターを蹂躙しているのが分かっていた。

 すぐに蘇ってきてしまうのだが、クロコダインからすれば何匹いようがあの程度のモンスターのレベルならデス・アミーゴを倒すまでの時間を稼ぐのは問題無さそうだと判断する。

 ただ、デス・アミーゴは『獣王会心撃』を弾くほど強くなっているので、倒すための別の方法が無いかを考える。

 

(『スリプル』を唱えてみるか……?)

 

 デス・アミーゴは眠り系の呪文が効くので、地底魔城で戦ったときと同じように『スリプル』を唱えてみるアキラ。

 

「パプニカ……オトス……オトス……」

 

 しかし、今のデス・アミーゴには『スリプル』は一切効くことはなかった。

 ザボエラによって改造されているデス・アミーゴは眠り系の呪文や魔法に対しての耐性を持ってしまっていたのだった。

 

(……くそっ! やっぱり効かないか! それなら正攻法で戦うしかないのか……)

 

 アキラはある程度予測していたとはいえ、気持ちが落ちてしまうのも仕方がなかった。

 だが、すぐに気持ちを切り替えて次の手を考える。

 

(とりあえずデス・アミーゴの防御力を下げてから、攻撃を与えていこう!)

 

 ダメ元で『デプロテ』を放ってみると、デス・アミーゴには問題なく効いたので、『ものまね』を繰り返してデス・アミーゴの防御力を限界まで下げ続ける。

 そしてブツブツと呟いているだけのデス・アミーゴに向かって騎士団のレイピアを抜いて斬りかかる。

 

「喰らえ! 魔法剣『ファイア』!!」

「アガガ……!」

「よし! いけるぞ!!」

 

 アキラは自分の攻撃が効くことが分かり、続けて攻撃を与えていく。

 デス・アミーゴも反撃をしようと試みるが、スピードが地底魔城のときよりも落ちてしまっているのと『ヘイスト』が掛かっているアキラのスピードに対して攻撃が当たることはなかった。

 

「これでトドメだっ!」

 

 アキラが右からの切り上げをしたとき、デス・アミーゴによって刀身を掴まれてしまう。

 

「なっ!?」

「ガアアアッ!!」

 

 そのままレイピアごとアキラを引き寄せると、右腕をアキラに向かって叩きつける。

 アキラは咄嗟にレイピアを離し、両腕を使って防御をするが、デス・アミーゴの重い一撃に数メートルほど吹き飛ばされてしまう。

 

「がはっ!」

 

 受け身が取れず背中を強く打ってしまったアキラは息が一瞬止まってしまう。

 そのまま起き上がろうとするが、身体を上手く動かすことが出来ない。

 

(か、身体が……最後だと思って油断した……!)

 

 デス・アミーゴは動きこそ緩慢になったが、一撃の強さはザボエラ達によって大幅に強化されていた。

 それをデプロテによって防御力を下げ、炎属性の攻撃が通じると分かったアキラは、攻撃時に反撃されることを失念していた。

 

(は、早く起き上がらなくちゃ……)

 

 デス・アミーゴが近付いてくるのが分かっていたので、早く起き上がって臨戦態勢を取らないと絶体絶命となってしまう。

 そして上半身を起こしたところで、アキラ自身が大きな影に隠れていることに気付く。

 アキラが顔を上げると、デス・アミーゴが先程と同じく右腕を振り上げていた。

 

(く、くそっ! や、やられる……!)

 

 死を覚悟し、目を瞑る。デス・アミーゴが右腕を振り下ろして、アキラへトドメの一撃を放つ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は何をやっているんだ?」

「…………え?」

 

 瞑った目を開けてみると、アキラとデス・アミーゴの間にピンク色の巨体が立ち塞がっていた。

 

「クロコダイン……さん?」

「本当ならここまでやるつもりはなかったんだ、がな!」

 

 デス・アミーゴの一撃をクロコダインは片腕で防いでいた。

 そして反撃とばかりにデス・アミーゴを蹴り飛ばす。

 

「グググッ……」

「お前の相手は俺がしてやろう」

 

 クロコダインは倒れたデス・アミーゴに向かって持っていた斧を向ける。

 ちらりとアキラに目線を向けて口を開く。

 

「下がっていろ。後ろで回復をしているがいい」

「……はい」

 

 アキラはゆっくりと立ち上がって後ろに下がると、自身に『ケアル』を掛け始める。

 

(両腕……多分折れてるな。『ケアル』じゃ治らないかもしれない……)

 

 それでもやらないよりはマシだと、『ケアル』を『ものまね』し続けることで、痛みを少しでも紛らわせる。

 その間に立ち上がったデス・アミーゴはクロコダインと対峙していた。

 

「ふん、すでに満身創痍か。本来ならトドメだけを貰うのは俺のプライドが許さないのだがな。主の命を違えるわけにも行かぬ」

「ガブ……ニガ……オド……」

「いくぞ! 唸れ、真空の斧!!」

 

 アキラの攻撃だけでなく、先程のクロコダインの一撃も効いていたのか、もはや立っているのも精一杯のデス・アミーゴ。

 そんなデス・アミーゴに対して、クロコダインは油断をしないように真空の斧を掲げて聖句を唱える。

 すると刃の中央部に嵌め込まれた魔法玉がキラリと光り、激しい風が巻き起こってデス・アミーゴに襲いかかる。

 

「ガアア……」

 

 激しい風のせいで、デス・アミーゴは動くことが出来なくなっていた。

 そこにクロコダインが真空の斧を構えながら突撃していく。

 

「これで終わりだ!」

 

 クロコダインが真空の斧を振り下ろすと、デス・アミーゴは左肩から斜めに真っ二つとなる。

 そしてそのまま大きな音を立てて倒れ込んでしまうのだった。

 

「ガ……ア…………」

「デス・アミーゴが、消えて、いく……」

 

 常に黒い煙を放っていたデス・アミーゴだったが、本体自体が黒い灰となり、風に流されてゆっくりと消えていく。

 クロコダインとアキラはその様子を静かに眺めていたのだった。

 

 

 

     ◇

 

 

 

 パプニカ王都周辺では、ラインハット・グランバニアの両国による援軍もあり、かなりの余裕を持って対処できるようになっていた。

 もちろん黒い霧を纏った兵士はやられても復活し、モンスターもどんどん発生してくるのだが、兵士の数が増えたことによる数の暴力のほうが上だった。

 そして──

 

「ん? 黒い霧を纏った兵士達が灰になって消えていくぞ?」

「モンスター達もだ!」

 

 デス・アミーゴが倒されたことにより、周囲にいた兵士やモンスター達は消滅しだしていた。

 

「俺達は勝ったのか……?」

「そうだ! そうに違いない!」

「ああ、俺達の勝ちだ!!」

 

 周りにモンスター達がいなくなったあと、口々に勝利を確信していくパプニカ、ラインハット、グランバニア連合軍。

 今まで気の抜けない状態であったアポロも、その様子を見て安心したような顔つきになっていた。

 

(姫様達の姿が見えないのだが……まさか……)

 

 彼の予想は半分当たりで半分外れなのだが、それが分かるのはレオナ達が戻ってきてからのことである。

 

 

 

     ◇

 

 

 

(お……終わったのか……?)

 

 アキラはデス・アミーゴや周りのモンスター達が消滅したのを確認していたが、本当にこれで終わりであるかが半信半疑のような顔をしていた。

 そこに大きな手を差し伸べられる。

 

「立てるか?」

「は、はい……」

 

 手を差し伸べたのはクロコダイン。アキラは腕の痛みを堪えながらもクロコダインに起こしてもらう。

 

「これで一旦は終わったはずだ。俺は主の元に帰るぞ」

「…………」

 

 クロコダインの言葉に黙ったままのアキラ。

 それを訝しそうにしていたクロコダインが尋ねる。

 

「どうした?」

「……いえ、その。あなたの主というのは……?」

 

 アキラはクロコダインの主が誰であるのかが気になっていた。

 原作では何人かいたが、まさか魔王側ではないはずだとも確信していたための確認であった。

 

「……それは俺の口からは言えぬ。もし何かの縁があればまた会うこともあるであろう。そのときに主が認めれば、分かることもあるはずだ」

 

 クロコダインはそう言葉を残して去っていってしまう。

 アキラも後を追うことも出来たのだが、両腕を負傷している満身創痍の状態であったため、それ以上追求出来なかった。

 そしてクロコダインが去ったあと、そのまま立ち尽くすアキラのもとに怒りの表情をした二人の少女と、呆れた顔をした少年達が現れる。

 

「ア〜キ〜ラ〜く〜ん〜?」

「────ッ!?」

 

 恐る恐る後ろを向くと、そこには両腕を組んだマリベルと腰に手を当てて怒りのポーズを取っているレオナがいた。

 

「レ、レオナ、姫……」

「ちょっと! 様子を見に行ってくるだけって言ったじゃないの! なんでそんなボロボロの状態なの!? 周りにいたモンスターは一体どうなったの!?」

 

 レオナはボロボロ状態になったアキラに詰め寄る。

 アキラはその迫力に「え、あ、その……」としどろもどろの状態になってしまい、レオナ達の後ろにいたキーファとセブンに笑われていた。

 

「まぁそのくらいで許してあげなよ、レオナ」

「何言ってんのよ! 私達に嘘をついて一人で戦いに行っていたのよ!? もしアキラ君に何かあったらどうするのよ!」

 

 セブンが宥めるも、レオナは取り付く島もない状態である。

 そこに何かを察したキーファが口を開く。

 

()()()()()()()()()()()()()()()……そういうことだよな?」

「──それってどういう……」

 

 キーファの言葉にレオナは言葉を詰まらせる。

 だが、すぐに理解をしたようでアキラの方へと向き直る。

 そして、何も言おうとしないアキラに代わってセブンが説明を始める。

 

「これに関しては僕も分かっていて黙っていたことだから、ね。キーファやマリベルも気付いていないと思うよ」

「ああ、俺もさっき気付いたところだ」

「あの危険な状況で、パプニカの王女とグランエスタードの王子の命を危険に晒すようなことは出来なかったんだよ。それは二人を仲間として信頼していないということではなく、現実問題の話として()()なんだよ」

 

 ここまで話すと、流石にレオナも理解したような表情を見せた。

 何かあってからでは遅いし、仲間として以上に今後のパプニカとグランエスタードを治めていく二人を死の確率が高い場所に向かわせるわけにはいかないというのはアキラとセブンの判断だったのだ。

 だからこそ、後方の森でアキラのみ単身で突撃するという行動に出たのであった。

 

「──それでも! それでも、それならなんで言ってくれなかったのよ……」

「……アキラがそれを言ったら、二人は賛成してくれていたと思う?」

「それは……」

「……少なくとも俺は無理だな。アキラだけをそんなところに行かせるなんて、仲間としてもグランエスタード王国王子としても出来なかった」

 

 セブンの質問にレオナは答えることが出来なかったため、キーファが自身の気持ちも含めて代弁する。

 

「だからアキラは一人で行ったんだよ。何かあったときのために僕とマリベルを二人の護衛に残してね。多分アキラがいなかったら、僕がアキラと同じ行動を取っていたと思うよ」

「セブン……」

 

 アキラがこれ以上責められないようにセブンは自身も同じ行動を取っていたとはっきりと口にする。

 

「みんな……心配掛けてごめん。セブンが言ってくれていたとおり、みんなを信頼していなかったというわけではないんだ。あの場で気が付いたらセブンと目が合っていて、どちらがともなく行動をしていたってだけなんだよ」

 

 アキラはようやく口を開き、全員に謝罪の言葉を口にする。

 そう言われてしまえば、これ以上何も言えなくなるのがレオナ達の優しいところでもある。

 

「まぁとりあえずなんとか生き延びたしさ! これで一件落ちゃ──」

「アキラ君!?」

 

 言葉の途中でアキラが倒れて、そのまま意識を失ってしまう。

 デス・アミーゴとの戦いの怪我だけでなく、その前の雑魚戦も含めて体力やMPもかなり使っていたため、限界が来ていたのだ。

 レオナ達に名前を呼ばれているのを頭の片隅に残しながら、気を失っていくのを自覚したアキラであった。

 




遅くなり、本当に申し訳ございません。
前回の投稿で日間1位を頂いたのですが、そのときに出たマイナスなコメントでかなりモチベが下がってしまっていました。
全体の5%にも満たないのは分かっているのですけど、結構きますね。

なるべく気にしないようにして書いていくようにします!
嬉しいコメントや評価を何回も読み返したおかげで書こうという気持ちになれたので、皆様のお声が力になっているんだなと改めて実感しました!
本当にありがとうございます!
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