ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
なるべく更新頻度を上げていけるようにします!
「ん…………」
アキラが目を開けると、目の前には天井が広がっていた。
「ここは……?」と呟くアキラは、右手に重みという違和感を覚え、目線を右下に下ろすとそこにはベッドに頭を乗せながら眠っているレオナを見つける。
(たしか……僕はデス・アミーゴにやられて、そしてクロコダインが代わりにトドメを刺してくれたんだったな……)
気を失うまでのことを思い出していくアキラ。
自身の油断からデス・アミーゴに殺されかけ、クロコダインに助けられた。そして黒い霧を纏った兵士やモンスター達はパプニカ兵達に駆逐され、人間側の完全勝利となったこと。
その後、戻ってきたレオナとマリベルに説教されかけたところで事情を察したキーファと、ほぼ共犯と言ってもよいセブンのフォローを貰ったところで安心からかそのまま気を失ってしまっていた。
(そうだ……みんなに心配掛けてしまったんだよな。でも……)
アキラはレオナやキーファ、セブン、マリベル達が漫画やゲームのキャラクターだということは知っている。
知ってはいるが、彼女らをもうその目線で見ることなど出来なかった。目の前にいる彼女らを作られた存在だとは思いたくなかった。
中級者迷宮で、地底魔城でお互いに命を預けて戦ったことがその気持ちを更に加速させていたのだ。
レオナに握られていた右手をそっと解いて、寝ているであろう彼女の髪を優しく撫でる。
サラサラとライトブラウンの細い髪を指が通っていく。
「んっ……あれ、私寝てしまってた──」
そこでタイミングが良く──良いと言っていいのかは分からないが──レオナが目を覚まし、目を擦ったところでアキラと目が合う。
アキラはしまったという顔をしていたが、それはもう遅い。
レオナは自分が何をされているのかを、彼の右手が自分の頭に乗っていることで察する。
「え、アキラくん、目が覚めて……で、でも私の髪……え……?」
「あ、えっと、その……!」
起きたばかりで頭がきちんと働いていなかったとはいえ、寝ている
「ご、ごめ──」
「──待って!」
謝罪とともに手を離そうとするアキラを遮るレオナ。
「もう少し……このままじゃ、だめ……?」
そんなことを言われてしまったら、アキラとしては手を離すわけにはいかなくなり、「あ、はい」とそのまま受け入れる。
目が覚めたばかりの二人は、真っ赤な顔のまま目を合わせることが出来ずにいた。
「なになになに〜? あの二人、良い感じじゃない!」
「そうだな! これはあのおてんば姫にもついに春がやってきたのかな?」
「……もう二人ともやめなよ。良くないよ、こういうの」
アキラが目を覚ましたことを聞いたキーファ達は、アキラに顔見せしようとしたところで面白い場面に遭遇し、部屋の扉を少しだけ開けてアキラ達のやり取りを覗いていた。
面白がるマリベルとキーファ。それを
もちろんアキラの部屋には、レオナだけがいるわけはない。一国の王女が一人で男の寝ている部屋に滞在するなどあってはならないことなのだ。
そのため、部屋の中には複数名の侍女がいたため、アキラが目を覚ましたときに侍女の一人がキーファ達に知らせに行き、残りの侍女は部屋の中で空気と化しながらアキラ達の甘い空間で必死に無表情を貫いていた。
決して「姫様にもついにお相手が……!」とか「これで姫様もお淑やかになってくれれば」とか「私も
この甘い空間はレオナが満足する小一時間──実際は一時間超えている──ほど続いたとだけ記しておく。
◇
「ようアキラ、ようやくお目覚めか?」
「キーファ……うん、心配掛けてごめん」
キーファ達は空気を読んで、少し時間を潰してからアキラの部屋に入ってきた。
アキラはレオナとの時間をまさか覗かれているとは思わず、少しニヤニヤしているキーファ達に疑問を抱きつつも心配させたことを素直に謝罪する。
彼が気を失ったあと、すぐさま城に運ばれて回復呪文で折れた両腕を治療され、そのまま次の日の昼まで起きることはなかった。
レオナは少し取り乱していたが、命に別条はないという医師の判断により落ち着くも、目が覚めるまでできるだけ一緒にいると譲らず、途中で力尽きて眠ってしまったというのがここまでの話である。
「まぁ俺も言いたいことはあるけど、まずは全員が無事だったんだ。それを喜ぼうぜ」
「だね。もう駄目かなって何回か思ったけど、グランバニアとラインハットが援軍で来てくれたのも大きかったよね」
「そうね! あの二国の王子は親友同士でとても仲が良いって有名よね」
「グランバニア……と、ラインハットか」
アキラは自分の知っているグランバニアとラインハットの王子と聞いて複数名を思い浮かべる。
まずリュカとヘンリーの二人。そして、その息子達のことだ。
どちらのことを言っているのかが分からないが、概ねどちらかで合っているだろうと予測する。
「二国には後ほどお父様からお礼をすると思うわ。もちろんあなた達にもね」
「あ、そうだ。今回の件でパプニカ国王から呼ばれてるんだよ。お前が寝ていたから、目が覚めてからでいいってよ」
「そうなんだ……」
今回のパプニカ王国防衛戦の論功行賞も兼ねて、感謝の言葉を述べたいとのことである。
しかも今回はアキラが目を覚ましてから行うという、破格の優遇っぷりに「辞退したい」とは決して言えない空気にされてしまっていた。
それを理解してしまったせいで、顔をひきつらせながら「そうなんだ……」と呟くだけだった。
「まぁ体調も悪くなさそうだし、明日には始まると思うから今のうちに心の準備をしとけよ」
「そうそう! 今日は私達ももう部屋に戻るけど、イチャイチャの続きをするのは明日が終わってからにしなさいよね」
「「なっ……!?」」
その後には若干気まずい空気だけが取り残されてしまっていた。
「じゃ、じゃあ私も明日の準備があるから戻るわね」
「う、うん。そうだね」
「アキラくんもゆっくり休んで」
「あ、ありがとう……」
レオナも空気を察して、早々に自室へと戻ってしまう。
部屋にいた侍女達もレオナに付いて出ていったため、部屋にはアキラ一人だけが取り残されている。
(まぁとりあえず……生きててよかった……)
ベッドに寝転がりながら、なんとか生き残れたことに安堵するアキラ。
改めて考えてみると、今回の防衛戦は生き残れる可能性が低かった。
この世界にある程度慣れてきており、いくつか迷宮を攻略できていたとはいえ、まだまだ初級者から抜け出たばかりというレベルである。
そんなアキラがドラクエの知識やものまね士の能力があるとはいえ、生き残ることが出来たのはかなり運が良かった。
今回の戦いを振り返りながら、次第にまぶたが重くなっていき、その誘惑に流されるように夢の世界へと落ちていくのだった。
◇
「じゃあアキラとはここでお別れか」
「そうだね。短い間だったけど、キーファ達と会えてよかったよ」
キーファ達と握手を交わしながら、別れの挨拶をするアキラ。パプニカ王国防衛戦から一ヶ月が過ぎていた。
この一ヶ月で何があったのかを簡単にまとめると、論功行賞を行いつつ、戦後の後処理。そして途中になっていた〝王族の洗礼〟も無事に終えて、アキラの仕事はこれで終わった。
あと、パプニカ国王以外ではアキラのみしか知らない話なのだが、論功行賞後に彼はある人達と秘密裏に会っていた。
────────────
「やあ、初めまして……で良いんだよね?」
「そりゃそうだろ、お前が別で会ったことがあったらいつなのか逆に聞きたいわ!」
「だよねぇ。でもなんだろう、
アキラは図星を付かれて、一瞬心臓がキュッとなったが、すぐに冷静さを取り戻して誰だか分からないような顔をした。
「えっと、初めましてですね。アキラと申します」
「ほらな! 俺はヘンリー。ラインハット王国の王子といえば分かるか?」
「ううん……そっかぁ。あ、僕はリュカ! グランバニア王国の王子だよ! よろしくね!」
少し腑に落ちない顔をしたリュカであったが、すぐに屈託のない笑顔で自分の名前を告げる。
アキラはすぐに跪こうとしたのだが、リュカとヘンリー二人に止められて用意されたソファーに座る。
もちろん彼らの見た目の特徴で正体は分かっていたのだが、いきなり跪くとなぜ分かったのかと言われてしまうため、名乗られるまで待っていた。
「えっと、それで私に何か御用でしたでしょうか?」
「あ、そうそう。君に会っておきたくてさ」
「……私に、ですか?」
「そうだよ、
クロコダインが話していた〝主〟とはリュカのことであり、珍しく人のことを褒めていたのが気になって、パプニカ国王にお願いをして一席設けてもらったということだった。
つまり、ヘンリーは付添い兼リュカのお守りである。幼馴染である二人は、昔はわがままなヘンリーと無邪気なリュカというわんぱく王子で周りを困らせていたのだが、成長するにつれて大人になっていくヘンリーと違い、リュカはそのまま──いや、むしろもっと──無邪気に育っていった。
そのため必然的にヘンリーがリュカのお守りをするという関係が出来上がっていた。
「は、はあ……」
としか最初は返事が出来ないアキラだったが、リュカの無邪気な笑顔や話し方にどんどん引き込まれていく。
(そうか、リュカがなんでモンスターにすら好かれているのかって、
話で聞くだけでは理解出来ないリュカの魅力。会えば誰しも彼のことが好きになるだろう。
雰囲気や笑顔、話し方もだが、彼の一番の魅力は
その目で見られてしまうと、不思議と彼のことを受け入れてしまいたい気持ちになる。
それがリュカの強みであり、その強みをきちんとは理解していないことにアキラはある種の恐怖を覚えていた。
(もし彼がこの強みを自覚したら、この世界が彼に支配されてもおかしくなさそうだね……)
そんなことを考えながら話していると、気が付けばかなりの時間が経っていた。
「おい、もう帰る時間だぞ」
「あれ? もうそんな時間? じゃあ行かないとだね」
ヘンリーに促されて、二人は立ち上がる。
アキラも慌てて立ち上がり、リュカ達が退室するのを見送る。
「あ、そうそう。今日は会えて良かったよ。よかったらグランバニアに立ち寄ったときは顔出してね〜。アキラくんのことは
「
「は、はい!」
思い掛けず気に入られてしまったアキラだが、グランバニア・ラインハットという二大国の王子と顔見知りになれたことは喜ぶべきことだとポジティブに考えることにしていた。
とはいえ、グランエスタードやパプニカとも懇意にしている時点でありえないことなのだが、それにはまだ気が付いていないアキラである。
────────────
こうしてパプニカでキーファ達と別れたアキラはレオナにパプニカに留まるように引き止められていたのだが、今回のデス・アミーゴ戦やザボエラとゴルゴナが現れたことを考えて、今は少しでもレベルを上げていかないといけないと感じていた。
そのため、アキラは別の国へ行って迷宮を探索しつつレベルを上げ、魔王軍に襲われている国を少しでも救う手助けをしようとも思っていた。
(情報を聞いている限り、魔王軍はかなり喰い込んできているんだよね。でも、人間側もドラクエの勇者やそのパーティーメンバーがいるお陰でなんとかなっているみたいだね)
パプニカに入ってきている情報では、今回のように魔王軍側が人間側の国の重役以上に成り代わっていることがいくつかあった。
まずはラインハット、サマンオサ、ジパング、キングレオ、デルカダールなど、ここに挙げられていない国もある。
幸なことに今のところ全て撃退できているが、いつ滅ぼされる、もしくは乗っ取られてもおかしくない状況なので、油断をしてはいけない。
こうしてアキラはレオナに何度も引き止められながらもパプニカから違う国へと向かうのであった。
〜第二章 王族との関わり 完〜
【ステータス】
・名前:アキラ
・称号:
・冒険者ランク:D
・ジョブ:ものまね士
・レベル:11
・所持金:1,613G
・各種能力:
HP:67
MP:41
ちから:22
みのまもり:12
すばやさ:39
きようさ:24
こうげきまりょく:36
かいふくまりょく:36
みりょく:35
うん:37
【スキル】
・ものまね士スキル:3 【熟練度:86】
・剣スキル:3 【熟練度:89】 (剣装備時攻撃力+5、剣装備時会心率上昇)
・武術スキル:2 【熟練度:97】 (身体能力UP)
・特殊アビリティ:
白魔法(ケアル、ケアルラ、ポイゾナ、ライブラ、プロテス、シェル)
黒魔法(ファイア、ファイラ、ブリザド、ブリザラ、エアロ、エアロラ、ダーク、ダーラ、ルイン、ルインラ、スリプル)
時魔法(ヘイスト、スロウ、デプロテ、テレポ、コメット)
魔法剣(ファイア)
・ユニークアビリティ:ものまね
【装備品】
頭:騎士団の帽子
身体 上:騎士団の服 上
身体 下:騎士団の服 下
手:騎士団の手ぶくろ
足:騎士団のブーツ
武器:騎士団のレイピア
盾:かわのたて
装飾品①:収納の指輪
【所持アイテム】
やくそう:10個、どくけしそう:10個、キメラのつばさ:10個、おもいでのすず:3個
【予備の装備品】
アルテマウェポン[劣化]、てつのつるぎ、どうのつるぎ、かわのよろい上下、ぬののふく、かわのブーツ