ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:灰猫ジジ

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少し早いですが、何話かはこの頻度で更新していこうと思います。

も、もうお気に入りが100件超えたのですね。
ありがとうございます!



第四話

第四話

 

「……ん。朝、か……」

 

 目を覚ましたアキラはいつも目覚めている自宅と違うことに気付く。

 寝返りを打ちつつ、仰向けになり右手の甲を額に乗せた。

 

(そうだった。僕は……この世界(ドラクエ)に来たんだった)

 

 昨日のあまりに急な出来事に夢だと思いたかったが、すぐに現実だと実感させられる。

 だがいつまでも寝ているわけにもいかないと、粗末なベッドから起き上がり、身体の調子を確かめる。

 

(昨日早く寝たからかな? そこまで疲れはなさそうだ)

 

 アキラは部屋から出て、外にある井戸の水を使って顔を洗う。

 井戸の水は冷たく、目を覚まさせるには十分だった。

 昨日のうちに買っておいた手ぬぐいで顔を拭き、朝食を食べに食堂へ行く。

 

 朝食は卵とベーコンのような物を焼いたものと、玉ねぎのスープにパンである。

 食べ物が日本で食べるものとそこまで違いがないことに感謝をしつつ、全て平らげるのであった。

 

 朝食を食べた後、どうのつるぎとぬののふくを装備したアキラはルイーダの酒場に向かう。

 初心者迷宮はルイーダの酒場から旅の扉で向かうことが出来るからである。

 そして事前に地図や出現モンスターなどの情報をカナブンに聞こうとも思っていた。

 

「ああ、アキラさん。おはようございます」

「カナブンさん、おはようございます」

 

 挨拶をした後、初心者迷宮についての情報をカナブンに聞いた。

 カナブンは事前に用意してあったかのように資料を取り出してアキラに渡す。

 「情報を求めてきた方だけに渡している」とカナブンから伝えられ、ここでも冒険者としての選別をしているのだと納得した。

 

(さて……と。初心者迷宮は全部で3階層なんだな)

 

 初心者迷宮。全3階層からなり、出現モンスターはスライム、ドラキー、スライムベス、いたずらもぐら、おおなめくじ、ももんじゃの6種類。

 そして迷宮の最下層の奥にボスとしておおきづちがいる。

 ボスを倒して、最下層の魔法陣に乗れば試練のクリアとなる。

 

「あの……挑戦する人は大体どれくらいの期間でクリアできるのですか?」

「そうですね。平均だと10日間くらいですかね。ちなみに今まで一番早い人だと4日間くらいでクリアしていました」

 

 アキラは地図を見る限り、ゆっくり攻略しても10日は掛からない印象だったのだが、何かあるのかもれないと思う。

 罠は一切ないため、まずは戦うことに慣れることが必要だと思っていた。

 

(……あれ? なんでこんなに簡単に受け入れられているんだろう……?)

 

 今までほとんど喧嘩をしたことがなかったアキラは()()()()に関して、あまり恐怖を覚えていないことに気付く。

 だが今考えても仕方ないことなので、まずは初心者迷宮をクリアすることに専念しようと思うことにする。

 

「資料、ありがとうございました」

「はい。それでは早速初心者迷宮に行きますか?」

「はい。お願いします」

 

 迷宮の地図は借りることが出来たので、その他の資料をカナブンに渡したアキラは、初心者迷宮への入り口に案内される。

 部屋に入ると、そこには青い渦の光があった。

 

「これは”旅の扉”というもので、指定の場所まで移動が出来るようになっています」

「旅の……扉……」

 

 アキラは旅の扉の実物を見て、黙ってしまった。

 吸い込まれそうな雰囲気の旅の扉に対して、入ることへの不安があったのだ。

 それに気付いたカナブンがさり気なくフォローする。

 

「皆さん、初めは旅の扉(ここ)に入るのを躊躇されるんですよ。まぁ勇気出して入ってみればなんてことないので、気軽な気持ちで入ってみてください」

 

 「それでは」と言うと、部屋から出ていってしまった。

 アキラは数分悩んだが、行くしかないと勇気を出して旅の扉に飛び込んだ。

 すると目の前がぐにゃりと歪み、上下左右の意識が混ざったような感覚のまま、気が付いたら先程の部屋とは違った場所に移動していた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「うえ……気持ち悪い……」

 

 旅の扉で移動したときの感覚で酔ってしまったアキラ。

 吐きそうになりながらもなんとか我慢する。

 一旦座り、気持ち悪いのが治るまで休憩することにした。

 

(旅の扉で移動した部屋は安全地帯(セーフティーゾーン)で、モンスターが来ないと書いてあったからね)

 

 警戒をしなくて良いので助かると思いながら周りを見渡す。

 部屋一面が石で出来ているようで、床も石床になっていた。

 30分ほど休憩すると体調も戻り、動きも特に問題なさそうであった。

 

(じゃあ早速行ってみようかな)

 

 アキラは立ち上がり、部屋から出る。

 通路は幅4〜5mくらいあり、戦闘するのには一切支障がない広さである。

 左右の壁には一定の距離に松明の明かりがあるため、先も問題なく見ることが出来る。

 

 少し歩くと、青い塊がジャンプしながら向かってくるのが見えた。

 アキラはその段階で、武器を持っていないことに気付き、慌ててどうのつるぎを抜く。

 

(まずいところだった……急に襲われていたら混乱してやられていたかもしれない……)

 

 青い塊がすぐにスライムだと認識したアキラ。

 ゆっくりと近付きつつも、スライムが来るのを待ち構える。

 スライムとアキラが3mくらいの距離でお互いに止まる。

 

 サッカーボールほどの大きさのスライムは、特有のニヤけた顔を保ちつつ様子を見ている。

 

(……先手必勝でいくしかないな。こういうのは消極的になるのは絶対に駄目だ)

 

 社会人経験があるアキラは、初心者は消極的に行動して失敗するよりも積極的に行動したほうが良いと思っていた。

 決断したアキラはどうのつるぎを構えて、スライムに斬りかかる。

 右上から袈裟斬りをして、すぐにスライムから距離を取る。

 

 スライムはぷるぷる震えたかと思うと、そのまま消えてしまった。

 そして目の前には1枚の金貨が落ちていたのであった。

 




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