ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:ねここねこねこ

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本日二話目です!
四十話を一時間前に投稿しておりますので、まだの方はそちらを先に御覧くださいませ!


第四十一話

 アキラ達がサマルトリアを出て二日後、ローレシア王国謁見の間。

 

「レイドックの件は情報として入ってきていたが、本当のことであったか」

「……はい。いつ攻め込まれてもおかしくない状況となっております」

 

 ローレシア王と話しているのはムーンブルク王女プリン。

 サマルトリア王子のクッキーとアキラも傍に控えているのだが、今回救援要請をしているのはムーンブルクのため彼女が代表して話していたのだった。

 

「むうう……それならば急がねばならぬな……」

「それは……一体……?」

 

 「どういうことなのか?」という言葉を不吉な予感がして飲み込んでしまうプリン。

 そしてその予感は的中する。

 

「レイドック王国からムーンブルク王国へ宣戦布告がされたという情報が来ていたのだ」

「そ、それはいつでしょうか!?」

「──こちらにその情報が届いたのは昨日だったから、数日前には宣戦布告されていたと見て間違いない」

「貴方は……ロラン……!」

 

 謁見の間の扉が開き、そこから黒髪蒼眼の美男子が入ってくる。

 ロランと呼ばれたその青少年は身体付きがクッキーよりもがっしりしており、歴戦の戦士を思わせるものであった。

 

「おお、ロランよ。ようやく戻ったか!」

「ただいま戻りました、父上。プリンとクッキーも久しぶりだな」

 

 ローレシア王を父と呼ぶその青少年はまさしくローレシア王国第一王子であり、今回の件について情報を得るためにレイドックへ直接潜入して情報収集をしていた。

 彼が持ち帰った情報とプリン達が得ていた情報を付け合わせると、レイドックはムーンブルクを侵攻したあとにサマルトリアとローレシアへの侵攻もするつもりなのだということが明らかとなる。

 

「…………そうか。それは我が国としても看過出来るものではない。プリン王女よ、我がローレシア王国からは精鋭を四万援軍として出そうぞ!」

「陛下……! ありがとうございます!」

「サマルトリア王も出陣すると聞いておるでな。余も直々に総指揮を取ろうではないか! ロランよ! 戦の準備じゃ! お前には我が副官として現場の指揮を取ってもらうぞ!」

「はっ!」

 

 ローレシア王が援軍を決めたことで、ムーンブルク・サマルトリア・ローレシア連合軍の合計は約七万。

 レイドックには約八万の軍が集まっている。現状ではほぼ五分の状況である。

 しかし、もし本当にレイドックが魔族側と繋がっているのであればムドー軍が攻めてくることも考えられるため、思ったよりも好転しているとは言い難い状況だ。

 

(でもここまで来たらやるしかないわ……私達の国を滅ぼさせてたまるものですか……!)

 

 プリンは覚悟を決めてレイドックとの戦争に臨もうとしていた。

 ここにのちの歴史で語り継がれている〝アレフガルド戦役〟が幕を開けるのだった。

 

 

     ◇

 

 

 ローレシア王国とサマルトリア王国は援軍の準備のため、各王子も自国で対応を余儀なくされる。

 ロランもクッキーもプリンと一緒に戦争の最前線となるムーンブルクについていきたかったのだが、彼女のことを考えるのであればまずは自国で出来ることをしっかりとこなすことが大切であるため、ロランはそのままローレシアに残り、クッキーはサマルトリアへと戻ることとなった。

 

「じゃあ次は準備を終えて、ムーンブルクで!」

「ああ!」

「ええ!」

 

 三人は持っていた武器を掲げて、誓いを交わしていた。

 元々三人は〝ロト〟という勇者の子孫であり、血も繋がった親戚である。

 他の大陸にも〝ロト〟の子孫はいるとのことだが、アレフガルド大陸に残っているのはこの三国だけであり、昔から同盟を結んでいるほどに強固な仲であった。

 

 誰もこの三人の誰かが裏切るとは思っていないし、何年経ってもこの信頼は失われないと思っている。

 それは端から見ていたアキラでも同じように感じていた。

 

「じゃあ帰りましょう!」

「うん、急がないとだね」

「……! ええ! 急ぎましょう!」

 

 アキラの返しに喜びを隠せないプリン。

 サマルトリアに着くまでは王女としての対応を取っていたアキラ。

 しかしローレシアへの道中でクッキーが間を取り持ったこともあり、アキラは少しずつではあるがプリンへの態度が今までの仲間たちと同じものになっていった。

 ──実際はクッキーが堅苦しいのが苦手で、プリンの気持ちにかこつけて自身の思ったとおりに誘導しただけというのは野暮なので口を閉じておこう。

 

 結果、ロランともすぐに打ち解けることが出来たアキラ。

 プリンは王族ではない者で初めて仲間と呼べる人が出来たのだと感激していたが、キーファやレオナ達と比べるとまだまだアキラの中では仲間と呼べるものではないのかもしれない。

 だが、今回の戦争を乗り越えた先にきっと同じような気持ちになるのだろうとアキラは心の中で薄っすらと感じていた。

 

 ムーンブルクに着いたプリン達は早速ムーンブルク王に報告をする。

 

「────以上です」

「おお、そうか! あとは援軍が来るまでにレイドック軍がこちらに来ないことを祈るだけだな」

「ええ、我らは呪文がメインの軍となっているため、レイドックの歩兵師団に接近をされたらひとたまりもないでしょう」

 

 ムーンブルクは魔法主体の軍、サマルトリアは魔法と物理軍が半々、ローレシアは物理主体の軍となっている。

 レイドックはサマルトリアと同じ混成軍となっているが、質・量ともにサマルトリアを大幅に上回っている。

 だからこそ三国は連合を組んで立ち向かうことにしており、数もほぼ同じのため、魔族側が来る前に決着を付けられれば生き残る芽が出てくる。

 

「しかし、数が同じということはそれだけ均衡するということだ。それで時間が過ぎれば魔族側に隙を与えることになる」

「そうですね。そもそもの話ですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()のでしょうか?」

 

 当然の疑問である。

 色々な世界が混ざり合う前から魔族と人間は敵対関係にあり、極小規模ならともかく大きな視点で見れば手を組むことなどあり得ないのだ。

 

「そうせざるを得ない状況にレイドックが追い込まれた……ということか?」

 

 アキラの独り言を聞いたムーンブルク王とプリンは彼の方を向く。

 

「そうせざるを得ない……? 例えば……()()……とかか?」

「──!?」

 

 ムーンブルク王の言葉にアキラとプリンが反応する。

 

「そういえばロラン──ローレシア王子が言っていたわ! レイドック王子には仲の良い義理の妹がいたと。そして最近姿をめっきり見なくなったから、病に臥せっているのではないか?という噂が出ていたみたい」

「────呪いか! 確かにいにしえの禁呪に身体を動けなくして衰弱させる呪いがあると聞いたことがある……もしやその義理の妹に呪いを掛けられ、脅されている、ということか」

 

 半分は当たっていて半分は外れているのだが、レイドックが魔族側に付いたという理由としてはほぼ正解を導き出すムーンブルク王達。

 

「あの質実剛健なレイドック王とそれを支える王妃、そしてその二人の血を確かに継いでいるレイドック王子に限って、そのくらいの理由でもないと魔族側に付くなどは考えられん」

「……では一体どうすれば?」

「あの者達のことだ。必ず何か手を打っているはずなのだが……我らとしてもただ手をこまねいているわけにはいかないな。アキラ殿、そなたにお願いが──」

 

 レイドック王子の義理の妹を助ける手立てを考えて実行して欲しいと依頼をしようとしたところに知らせが入る。

 

「陛下! レイドック軍がムーンブルク国境を越えて進軍してきたと報告が入りました!」

「……くっ! 時間が足りぬか……!」

「それとサマルトリア軍とローレシア軍が北側の国境で合流! 明朝にはムーンブルク南のペルポイ平原で我らが軍と合流できるとのこと!」

 

 ムーンブルク王は今回の戦争の場所をムーンブルクとレイドックの中間地点にあるペルポイ平原で行おうと配置を進めていた。

 出来ればサマルトリア・ローレシアと合流後にレイドック軍が動いてくれること、その間にアキラに密かに動いてもらうことが出来れば御の字だったのだが、世の中そんな都合の良いことは起きない。

 不幸中の幸いにもレイドック軍の到着とほぼ同時にこちら側も合流できそうなので、ムーンブルクが大打撃を受けて戦力にならないということは避けられた。

 

「我らも二時間後には出陣をするぞ! 対策は道中で考えるぞ!」

「はっ!」

 

 

     ◇

 

 

 明朝のペルポイ平原。

 そこにはレイドック軍約八万、ムーンブルク・サマルトリア・ローレシア連合軍約七万の総勢十五万の軍勢が対峙していた。

 連合軍側から見て、左軍にサマルトリア軍約二万、右軍にローレシア・ムーンブルク軍約二万、中央にローレシア・ムーンブルク軍約三万が配置されていた。

 対してレイドック軍は右軍に約一万、左軍に約三万五千、中央に三万五千という少し歪な軍の配置を行っていた。

 

「むうう、これはどういうことだ?」

「……まずは左軍を数で押し切り、そのまま中央に流れ込む作戦か?」

 

 ローレシア王とムーンブルク王が話し合っている中、サマルトリア王は静かにその場を見守っていた。

 黙っているサマルトリア王へと意見を求めるローレシア王。

 

「サマルトリア王はどう思う?」

「…………」

「……む? 聞いておるのか?」

「あ、ああ。すまない。そうだな、私もそう思う」

 

 少し冷や汗をかいたような状態のサマルトリア王。

 ローレシア王は国境で合流したときから同じ様子のサマルトリア王を訝しんでいた。

 普段であれば決してこういった態度は取らず、むしろ積極的に意見を述べるタイプであったためだ。

 

 しかし今は言い争っている時間はない。

 レイドックが先に連合軍の左軍を倒そうとしているのであれば、こちらも数的有利なサマルトリア軍の右軍でレイドック左軍を壊滅させて右側から攻め込む作戦を取ろうと決めていた。

 そして各々がそれぞれ担当する場所へと向かうために天幕を出るところで──

 

「本当に……すまない……」

 

 サマルトリア王の静かな声だけが、平原へと消えていくのだった。

 




次は一時間後に投稿します!
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