ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜   作:灰猫ジジ

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第五話です。
よろしくお願いいたします。


第五話

(思ったよりも簡単に倒せたな。……どうのつるぎのおかげかな?)

 

 スライムを一撃で倒すことが出来たアキラは、金貨(ゴールド)を拾いつつほうっと息をつく。

 剣道を習っていたのもあり、少し勝手は違うがどうのつるぎの扱いもある程度出来ていた。

 この調子であれば初心者迷宮の攻略も出来そうだと思いつつ、先を進んでいく。

 

 先を進んでいくと、またスライムが来るのが見える。

 今度も一撃で倒そうと向かっていくと、その大きさに驚く。

 

(え……すごいでかいんだけど。同じモンスターでも大きさに差があるってこと?)

 

 初めに出てきたスライムはサッカーボールくらいの大きさだったのに対し、今目の前にいるスライムは膝くらいまでの大きさもあったのだ。

 さすがの大きさに攻撃しようか悩んでいると、スライムが軽く震えながらジャンプして向かってきた。

 

「うわっ!」

 

 アキラは必死になって右に避ける。

 避けた際の勢いが強すぎて、壁にぶつかる。

 右肩を軽く打ったが、痛がっている場合ではないとすぐに後ろを向く。

 

 スライムは上手く着地をするが、動きが緩慢なため、ゆっくりとアキラの方を振り向こうとしている。

 アキラは今しかないと、まだ振り向いていないスライムの背後にどうのつるぎで斬りかかる。

 

『ぴきーー!!』

 

 スライムは攻撃を受けて鳴き声をあげるが、気にせずに今度は左上から斬りかかる。

 そこでスライムは震えて先程と同じように金貨(ゴールド)を残し消えていった。

 

(今のは危なかった……。スライム相手でも油断はしてはいけないね)

 

 ゴールドを拾って、反省と考察を続けるアキラ。

 まず、スライムは大きさが一定ではなく、普段の動きがあまり速くはないが、ジャンプ攻撃になると勢いが出るため油断すると避けられない可能性がある。

 大きさに関係するのか、一撃で倒せる場合とそうでない場合があるが、スライムから手に入るお金は一律で1Gだということ。

 

(今分かるのはこれくらいだな。あとは追々考えるとして、今は警戒しつつ先に進もう)

 

 防御に関してはぬののふくという最低限の装備しかなかったのだが、ようやく今回のことで危機感が出てきたのであった。

 それからのアキラは慎重に攻略を進めていく。

 すべての部屋を回らず、階段を目指しつつ進むことにしていた。

 

 途中でスライムを8匹倒し、オレンジ色のスライムベスも5匹倒すことに成功していた。

 スライムは基本1〜2発で倒すことができ、スライムベスは2発攻撃することで倒すことが出来ていた。

 一旦休憩することにしたアキラは地図を広げる。

 

「今いるところがここだから、階段まではあと少しってところか」

 

 今のペースのまま行けば、あと1時間掛からずに到着できると予測を立てた。

 腕時計を見ると、時刻は14時を回っていた。

 お腹も空いてきたため、宿で作ってもらったパンに野菜とお肉を挟んだものを頬張る。

 

 いつモンスターが来るか分からないため、本当であれば休憩するのはあまり良くないと分かっていたが、アキラとしては疲労で集中力が切れてしまう方が良くないと判断したのであった。

 そして30分ほど休憩をしてから攻略を再開する。

 

 立ち上がったところで、ふらふらと飛び回る黒いコウモリのようなものが見えた。

 地下1階層で出現する最後のモンスターのドラキーである。

 飛び回りながら進んでくるドラキーを相手にするかどうか悩むアキラ。

 

(攻撃当たるかな……?)

 

 迷っていると、アキラと目が合ったドラキーが攻撃しようと突撃してきた。

 アキラはどうのつるぎを横向きにして、ドラキーの攻撃を防御しようとする。

 しかし、ドラキーの攻撃の勢いが強く、後ろに飛ばされる。

 

 2mほど飛ばされて尻もちをついたアキラは、まずいと思い、立ち上がると後ろを向いて走って逃げていく。

 息が続かなくなるほど全力疾走で逃げ続け、後ろを振り返るとドラキーは追いかけて来ていなかった。

 

「はぁ……はぁ……や、やばかった!」

 

 息を切らしながら、アキラは地図を確認する。

 幸いにも先程通ってきた道を戻っただけなので、すぐに道はわかった。

 

(それでも……この先には行けないな)

 

 某不思議のダンジョンでもふらふらとして読めない攻撃をしてくるドラキー相手に、今の装備では難しいと判断したアキラは、対策できるまではドラキーとは戦わないと決めた。

 次の階層までの道は他にもあるので、少し回り道をしてでも確実に行こうと決めたのであった。

 

 それからはドラキーに会えば逃げる、それ以外とは戦うというのを繰り返し、1時間半後、次の階層への階段部屋を見つけることに成功した。

 迷宮は階層ごとに地上に帰れる旅の扉が設置してあり、次回からは最後に到達した階層までであれば好きなところから始められる。

 アキラがドラキーに襲われたときに諦めて帰ろうとしなかったのは、これも1つの理由であった。

 

 そして地下2階層に下りたアキラは、そのまま旅の扉で帰るのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 旅の扉のワープの感覚にまだ慣れず、帰ってきたあと部屋を出て30分ほど椅子に座っていると、カナブンが通りかかる。

 

「アキラさん! 戻られたのですね! ……体調悪そうですが、大丈夫でしょうか?」

「ええ……ちょっと、ワープの感覚が…………慣れなくて」

「ああ、初めは苦労しますよね」

 

 カナブンも経験があるらしく、苦笑いをしていた。

 少し雑談をした後、「無理はしないでくださいね」と言って、カナブンは自分の仕事に戻っていく。

 アキラも体調が戻ってきたので宿に帰ることにしたのであった。

 

 宿に戻り、部屋に入ったアキラは今日の出来事について1人反省会をしていた。

 

「今日は初めてにしては悪くなかったと思うんだけど……問題はドラキーだよなぁ」

 

 ドラキーを何とかする方法を考えないといけないと思っていた際に、あることに気付いた。

 

(あ!!! カナブンさんにさっき聞いてみればよかったんじゃん! ……気持ち悪くてそこまでの余裕がなかった!)

 

 明日は迷宮に入る前にカナブンにドラキーの対処法を聞こうと思いつつ、夕食をとって早めに寝るのであった。

 

 

 

 

 

【本日の成果】

・アリアハン 初心者迷宮

討伐数:スライム18匹、スライムベス11匹

獲得G:40G

所持金:46G

 




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