ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜 作:ねここねこねこ
ボス部屋に足を踏み入れたアキラ。
部屋の真ん中には二頭身で紫の目出し頭巾のような形のフサフサのたてがみをしたモンスターが自身よりも大きなサイズの木槌を持って立っていた。
(あれがおおきづちか……あの木槌が当たったら痛いどころの騒ぎじゃない気がする……)
アキラはいつ戦ってもいいようにどうのつるぎを構えながら、慎重に部屋の中心に歩いていく。
だが、おおきづちはまるで決闘をこれから行うかのように、アキラが部屋の中心に来るのを待っていた。
そしてアキラが2mほどの距離で立ち止まったとき、おおきづちもようやく戦闘態勢に入る。
様子を見ているのか15秒ほどそのままどちらも動かずにいたが、我慢しきれなくなったおおきづちが左上から木槌を振り下ろしてきた。
アキラは咄嗟に右に避ける。そして体勢の崩れたおおきづちの左腕にどうのつるぎで斬りつけてすぐにバックステップで離れる。
おおきづちは少し痛がるそぶりを見せるが、アキラの方に振り向くと木槌を大きく上に構えて突進してくる。
そのままおおきづちはジャンプをして、空中で一回転したかと思うと、その勢いのままアキラ目掛けて木槌を振り下ろしてきた。
しかし、この攻撃パターンはアキラもゲームで見たことがあったため、かなりの恐怖感はあったものの左へと飛び避ける。
アキラがいたところは木槌が刺さり、地面の石床が割れてしまっていた。
(い、いやいや!
一瞬で逃げることで頭が一杯になるアキラだったが、そこからおおきづちが動かずにまごまごしているのに気付く。
おおきづちは石床に刺さった木槌が抜けずに焦っていた。
アキラは恐怖心を抑えて、後ろからおおきづちに襲いかかった。
背中を何回も攻撃しつつ、執拗に左腕を狙うアキラ。
あれだけ大きなサイズの木槌を持つとなると絶対に両腕がないとダメだろうと思い、片腕を攻撃し続ける。
そしておおきづちが木槌を抜いたとき、左腕はもう上がらなくなっており、右腕で木槌を持っていたが、持ち上げることができなくなっていた。
満身創痍のおおきづちに少し悪い気持ちがしたが、そのまま何回か攻撃を加えたところで倒れて消えていった。
そして8枚の
(ふぅ……なんとか倒せたね)
アキラはゴールドを拾い辺りを見回す。
そして部屋の入口の反対側の奥の地面が何か光っているのが見えた。
事前に聞いていたとおりの魔法陣が出ていたのであった。
「よし! じゃあ帰るか……ってあれはなんだ?」
魔法陣の先に何か箱のような物が置いてあるのを見つけたアキラは近付いてみる。
間違って魔法陣を踏まないように気を付けながら到着すると、そこには鉄で出来た宝箱のようなものがあった。
(これ……さっきまではなかったよね?もしかしておおきづちを倒したときの
少しわくわく気分で宝箱を開けるアキラ。
そこには短い棒のような物が入っていた。
「なんだこれ? 剣の……柄……のようなもの?」
剣の柄に似た棒があったが、刀身がないため、剣ではなく別の用途で使うものだろうと判断し、道具袋に仕舞うアキラ。
そして特にやることも無くなったので、喜びもそこそこに魔法陣に乗る。
すると魔法陣が強く輝き始める。
アキラは不思議と眩しいと感じることなくそのまま立っていると、光がアキラを包み込み、そのままアキラごと消えてしまうのであった。
◇◇◇◇◇◇
初心者迷宮の最深部にいたはずのアキラが、気が付くと見覚えがある場所に立っていた。
(あれ……? ここってたしかルイーダの酒場だよね?)
初心者迷宮に入る部屋の前にいたアキラは、初心者迷宮を攻略して戻ってきたのだと実感した。
とりあえずカナブンに報告をしなくてはと思い、カナブンがいるところを探して回る。
幸いにも酒場のいつものカウンターにいたため、すぐに見つけることが出来た。
「おお、アキラさん! 戻られたのですね!」
「はい…なんとか」
「怪我がなく良かったです。今日はどこらへんまで行くことが出来たのですか?」
「えっと……攻略できました」
「…………え?」
「初心者迷宮をクリアしてきました」
さすがのカナブンもその言葉に驚き、疑いの目を一瞬見せる。
だが、アキラが嘘を付くようなタイプには見えなかったため、初めに冒険者について説明した部屋につれていき確認をすることにした。
「アキラさん。正直にまだあなたが初心者迷宮を攻略できたということをにわかに信じることは出来ません。
ただ、それを確認する方法がありますので……恐れ入りますが、私が渡した通行証を見せてもらえますか?」
アキラは首に掛けて服の中にしまっていた水晶のペンダントを取り出してカナブンに渡す。
ペンダントは微かに青く光っており、攻略前とは雰囲気が変わっていた。
「おおおお……これは確かに初心者迷宮を攻略した証です。それにしても2日間で攻略するとは……一体どうやって……?」
「えっと……最後は少し無理したとは思うのですが、地図を見て、普通に階段を目指して進んでいただけです」
「進んでいただけって……アリアハン初心者迷宮の最短攻略記録ですよ!」
「あ、あはは……」
少し興奮するカナブンに対して、アキラは苦笑いをするしかなかった。
ふと思い出したアキラは宝箱に入っていた
「そういえばカナブンさん……ボスのおおきづちを倒した後に宝箱が出てきて開けたらこれが入っていたんですけど、何か分かりますか?」
「え、宝箱ですか? ……これは……なんでしょうか?」
アキラはカナブンに宝箱から手に入れた20cmほどの短い棒を渡すが、カナブンは見たことが無いようで「申し訳ございません。私には分かりかねます」と返されてしまった。
仕方がないと袋にしまったアキラは、カナブンから宝箱について質問を受けた。
素直に答えると、「これは攻略時間の最短記録を更新したため、ボーナスとして出たものですね」ということだった。
過去にも似た事例はいくつかあったということだ。
初心者迷宮には基本宝箱もモンスターからのドロップもない。だが、ある条件を達成したときのみ貰えるアイテムがある。
アリアハンの初心者迷宮では、その条件が”攻略時間”ということだった。
ただ、このことを周知してしまうと
このルールを破って誰かに教えてしまった場合、厳罰があるので決して口外しないようにとカナブンはアキラに強く伝えた。
「それはそうとして。アキラさん、初心者迷宮の攻略おめでとうございます」
「あ……ありがとうございます」
「アキラさんは初心者迷宮の攻略が出来たので、明日正式に冒険者登録の儀式をしたいと思いますがよろしいでしょうか?」
アキラは断る理由もないので、素直に頷く。
「明日の朝にルイーダの酒場に来てください」と伝えられ、アキラはルイーダの酒場を出た。
宿に戻ったアキラは、夕食に追加料金を払って少し豪勢にして1人でお祝いをするのであった。
◇◇◇◇◇◇
「あれ? カナブンさん。どうしたのですか?」
「いやね……今日初心者迷宮の攻略最短記録を更新した子が出てね」
「え!? あの4日間を更新したんですか!? たしか4日間でクリアした人って無謀に突っ込んでクリアはしたけど、その時の怪我が元でそのまま冒険者を辞めてしまった方でしたよね?」
「……ええ。ただ、
「うわ……それはまさに人外ですね……」
カナブンとルイーダの酒場の従業員はアキラについての評価を話していた。
“人外”といっても、一般人レベルの話だ。冒険者を生業にしているものからすれば、初心者迷宮など1日で攻略も可能なのである。
だが、それは
まだその加護を受けていない人が2日間でクリアすることなど、通常では不可能なのである。
「でも嬉しいですね。その期待の新人君が入ってくれれば、
「ええ。そうなれば私としても嬉しいですが……一応無茶をしないようにうちのスタッフで様子を見てあげましょうか」
「はい、カナブン
アキラがどんな職業に就くことが出来るのか。それを楽しみにしながら事務作業をこなしていくカナブンであった。
【本日の成果】
・アリアハン 初心者迷宮 “攻略済み”
討伐数:スライム16匹、スライムベス13匹、ドラキー9匹、いたずらもぐら7匹、おおなめくじ8匹、ももんじゃ3匹、おおきづち1匹
獲得G:142G
所持金:187G(夕食追加分-1G)
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