タイトルの(仮)はあのタイトル急増のものでして…正式なものが付くまではこの(仮)が付きます。
プロローグ 1
chapter1 Ritsuka side
『模擬戦闘終了お疲れ様でした』
機械音声が鳴り響くと同時に機械の扉が開く。
「ふへぇ…終わった…」
その中から現れたのはオレンジ色の特徴的な髪色をした少女だった。
「いやぁ、バイトの面接に行ったと思ったら飛行機に乗せられて。しかも急に眠くなって寝ちゃって。で、起きたら訳わかんない場所だし変なシミュレーション?みたいなのさせられるし……もう訳わかんない…」
彼女、名前は藤丸立夏。ごく平凡な大学2年生である。
は、そんなごく平凡とはかけ離れた怒涛の展開により極度の疲労状態に陥っていた。
「も〜〜〜無理…」
そう言うとその場にへたり込む。
(ダメ…頭ぼーっとする…ていうかフワフワする……)
先程のシミュレーションのせいだろうか何処か頭がスッキリしない。
(私、バイトしに来たんだよね…?献血しに行ったらなんか職員さん?に呼び止められて…)
事の始まりは、街で見かけた献血ルームから始まる。
何時もは献血などしないのにその日に限って何故かふらっと立ち寄ってしまったのが運の尽き、良いことしたなよし帰ろうと外に出ようとした所で献血ルームの職員の様な人物に呼び止められ、君にしか出来ない仕事があるんだ!的な事を言われ疑わぬまま(よし!頼られてしまったなら仕方ない!)等と間抜けな考えでほいほいと付いて行き。
「この始末…」
がくりと項垂れる、その顔は花のキャンパスライフ2年目の大学2年生がするものでは到底思えない代物である。
「もういい…もういいもん!なんか凄く眠いし不貞寝してやる!なぁにが君しか出来ない仕事よ!せめて何か説明くらいしなさいっての!何あのシミュレーション、化け物出るわ美男美女が出るわマンガみたいに剣からビームが出るわ!疲れた!寝る!おやすみなさい!」
そう自分以外誰も居ない廊下のような所で捲し立てると固い床に横になる。
(ふーんだ、別に床が固かろうが寝ようと思えば寝れるし!)
そう心の中で呟き目を閉じる。すると精神的疲労か肉体的疲労か、飛行機の中で眠っていたはずなのにすぐに眠気が襲ってきた。
(あ、やば。本当に寝ちゃう…)
今更ながら、見知らぬ場所のしかも床にうら若き乙女が無防備に眠ると言う、危機管理能力0と言っても過言では無い行為に焦るが時すでに遅し、襲い掛かる睡魔に為すすべもなく意識は微睡んでいくのだった。
chapter2 Olgamally side
ここは人理継続保証機関フィニス・カルデア。その所長室。すなわち自分の仕事部屋である。
「そういえば」
その仕事部屋に自分以外の声が響く。声のした方へ、自分の対面に目を向けるとそこには深い緑色をしたタキシードに身を包み同じ色をしたシルクハットを被った男…レフ・ライノールがソファに座って居る。
「今日最後の一般公募のマスター適性者が来るそうだよオルガ」
彼が告げるのは新たな仲間になるであろう人物の到来。
「そう…」
だが
「おや、あまり良い気分ではない様子かな」
そう、良い気分ではない。
「だって、たかが一般公募でしょ?魔術も使えないような人間が来た所で足手纏いになるだけよ」
むしろイライラする。
「ここは、人理を継続するためのひいては人類を守る機関、人理継続保証機関フィニス・カルデア!ただの一般人が踏み入る様な場所じゃない!それは貴方も承知のことでしょ?」
ここは一般にある様な機関ではない。人理を、人類を継続させ守り強く存続させる為に各国共同で設立された特務機関。
「その為に沢山の有能な研究員、そして優秀な魔術師達が集まってる。その中に何も知らない一般人が来た所で出来ることなんて何も無い。そうでしょ?」
「たしかに、ただの一般人ならそうだろうね」
レフが何か含みのある言い方をする。
「?ただの一般人では無い…ってこと?」
そう聞き返すと彼はいつもの柔和な表情でこう言った。
「なんと、マスター適性100%の人材だそうだ」
マスター適性
別名レイシフト適性。それはここカルデアで特に魔術師が関係のある言葉。
カルデアが人理を守る為の手段として選んだのは過去への介入。観測することが出来なくなってしまった過去…通称、特異点にレイシフトで飛びその原因を突き止め解決するそれがカルデアが人理を守る為に選んだ霊視転移…レイシフトである。
そして、そのレイシフトは誰でもできるわけでは無い。適性を検査し、しっかりとし適性を持つものだけが行うことが出来る。
その適性が100%つまりこれ以上ない程にレイシフトをする事に長けた人物という事。
だが
「それで?」
逆にいえばそれだけ。
「例えレイシフト適性が100%でも戦闘になった時足手纏いなれば意味がない。特異点に行けば戦闘になる事は必至と思っても過言では無い、そうでしょ?その中に魔術も使えない一般人が行ってもなにもならない」
カップに入った紅茶を飲む。口に入れると華やかな香りが口に広がり喉を潤す。
「だが、サーヴァントと契約出来れば話は違ってくるだろう?」
そうレフが返してくる。
「確かにそうね…マスターとなる事があれば戦力として数えても良いかもね」
彼の意見にそう返すと、彼は少し驚いた様に目を開く。
「ほう…君の口からそんな言葉が出るとは…いやはや」
そしていつもの柔和な表情に戻るとそう呟く。
「なによ…別におかしな事は言ってないでしょ…」
何か失礼な思考を感じ取りジトッとした視線を向ける。
「あぁ、君はなにもおかしな事は言ってないさ。ただ前の君ならもっとヒステリックになっていただろうと思ってね」
「…ふんっ失礼ね!私は別にもうこんな事でヒステリーなんが起こさないわよ」
「そうだね。やはりこれも彼…秋冬君の存在があったからかな」
と、彼は笑いながら言う。
彼の言う通り以前の私ならただの一般人が自分よりもマスター適性が高い…いやあると知れば心穏やかには居られなかっただろう。だけどそれは以前の話、今はもう違う。
「ふふ、私も秋冬君は面白い存在だとは思っていたが、まさか君の心を解きほぐしてしまうとはね…人は年齢では測れないと言ったところかな」
とまた笑いながら言う。
と、その時スマホのアラームが鳴る。
「ん、もうこんな時間だったのね」
「では、そろそろ行こうか」
「えぇ」
そう言ってソファから立ち上がる。
「あぁ、そうだもう一つ」
先に部屋を出たレフが振り向きながら
「最後のマスター君だけどね」
耳を疑う事を
「実は」
話した
「秋冬君の実姉だそうだ」
「はぁ!?!?」
chapter3 Shuto side
ガヤガヤと部屋が騒がしい。
それもそうだろう、この部屋にはここカルデアに居る全ての魔術師が集められてるのだから。
(そろそろ説明会始まるな)
今から始まるのは説明会。カルデアに集められた魔術師達に対するものだ。
(この説明会が終われば、等々始まるのか…)
不思議と手に力が入る。
(それにしても、朝から続くこの嫌な予感…どうしよう説明はもうオルガに聞いてるしここは退散してしまおうか…)
先程から襲う嫌な予感、それは今日に入ってから感じ出したもの。
(魔術師のカンは当たるって勇吾さんも言ってたし…)
「やぁ、秋冬」
と、どうしようかと右往左往していると不意に声を掛けられる。
「え?あぁ!キリュタリアさん!あれ?キリシュタリアさんも説明会に?」
話しかけて来たのはキリュタリア・ヴォーダイム。彼はここカルデアに集められた魔術師の中でも最も優秀な者たちが集められたAチームを束ねるリーダーであり、ここカルデアにおいて最も優秀な魔術師でもある。
(と言うか、時計塔でも屈指の魔術師だよなぁ)
そう、彼の能力は時計塔でも抜きん出ていた。
1000年続く魔術師の家系であるヴォーダイム家の若き当主でもあり、天体科の首席でもあり、前所長の一番弟子でもあるというトンデモな人物。
(よくもまぁ、こんな人物と友好な関係を結べてるよなぁ…いや、気のせいかも知んないけど)
そんなトンデモ人物だが何故か俺に対してよく話しかけて来てくれたりするのだ。
「説明は前所長から聞いているが、一応同じチームのメンバーが出席しているからね、私も一応顔を出してんだ。そうしたら君がソワソワと落ち着かない様子だったから話しかけたというわけさ」
「あ、ありがとうございます。でも良いんですか?Aチームの皆さんとは話さなくて」
と、聞くと少し困ったように笑いながら、「彼らとも話そうと思ったんだがね」と後方を見ると三者三様…いや、この場合五者五様か…が席に着き各々本を読むなどしていた。
「あれ?ペペさんとマシュは何処に?」
Aチームは全員合わせると8人、今ここに居るキリシュタリア、そして決まった席に既に着き好きなようにしているのが5人、つまり、あと2人足りないのだ。
「あぁ、ぺぺならほらあそこに」
と視線を向けた方を見るとぺぺは他の魔術師達と談話していた。
「マシュはまだ来ていない様だね」
と、もう一人について話す。
「そろそろ説明会始まるのに大丈夫かな…」
「まぁ、彼女なら大丈夫だろう。…と、そうだ秋冬先程ソワソワとしていたのには何か理由が?」
彼はこちらに少し興味を持った視線を向けながら聞いて来た。
「今更、説明会位で緊張する程君は度胸が無い訳ではないと理解しているからね。何があったのか気になったんだよ」
と、思わぬ評価を貰う。
(まさか、そんな風に思われてたとは…いやまぁ確かに説明会位で緊張はしな……いや、オルガが噛まないかなとかそこらへんを思うと…って!)
あれやこれやと思考を巡らせそうになるのを止める。今は目の前の人物に集中しなくては。
「その、朝から嫌な予感がしてて…それで落ち着かなくて…あ!説明会は関係ないと思います」
「ふむ…嫌な予感か。魔術師のそう言う類のものはよく当たると言うからね、私自身そういった経験がないわけではないし」
「そうなんですか?」
「あぁ、まぁ昔の話さ。それでその予感が強くなったりはしているのかい?」
「はい…時間が経つほど強くなって来てる気がします」
「そうか…」
思案する様子のキリシュタリア。そこに長身の人物が近づいて来た。
「あら、何々?2人して何話してるのよ」
「ペペ」
「ぺぺさん!」
「ハーイ」
と、笑顔を浮かべて手を振るのはAチームのメンバーであるぺぺさん…スカンジナビア・ペペロンチーノさんだ。
「で?で?何の話ししてたのよ?」
「実は」
「彼が落ち着かない様子だったので、話を聞いてたんだよ」
「はい、実は朝から嫌な予感がしてて…」
そう、ぺぺにも説明すると「あらそうなの?困ったわね…」と手を頰に当てる。
「魔術師のカンは当たるって言うわよね、何か事件でも起こるのかしら」
「ぺぺさん、縁起でもないですよ…」
「でも、嫌な予感してるんでしょ?」
「それは…はい」
「ふむ…何が起こるかは分からないが、用心するに越したことはないだろうね。すまないこんな事しかアドバイス出来なくて」
そうキリシュタリアが申し訳なさそうに言う。
「そ、そんな!謝らないで下さい!それに、話を聞いて貰って少し落ち着きましたから」
「そうか、なら良かった」
そう言うと、キリシュタリアは微笑んだ。
「ふふ、良かったわね。…あら、そろそろ説明会始まる時間ね。2人ともそろそろ席に着きましょ?」
そう、自分の時計を見ながら言うぺぺに倣い、自分の時計を見ると確かにそろそろ説明会が始まる時間だった。
「そうだね、では秋冬また」
「またね」
「はい、ありがとうございました」
2人と別れて席に向かう。
(結局、この予感は当たるんだろうか…いや、当たんない方が良いよな)
そんな風に考えながら席に着く。と、そこに
「立夏さん、着きましたよ」
「むにゃ…眠いぃ…」
と、先ほどに比べれば少し静かになった部屋で、聞き覚えのある声と同じく聞き覚えのあるこの場では聞こえない声が聞こえて来た。
「!?」
思わず振り向く、そこには自分の事を先輩と呼び慕ってくれる少女と此処にいるはずのない実の姉がそこに居た。
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