ロスト、それは都市が丸ごと消滅し大勢の人達とそこにある建物や土地が忽然と姿を消した原因不明の災害。なんの前触れもなく突如として起こったそれは、多くの人を悲しみの底に突き落とし、世界中に衝撃を与えた。ロスト発生後に何度も政府機関が調査に向かうも、帰還した人は誰一人としていなかった。しかし、残された定点カメラやロスト付近を警護する者の証言などから、ロストを中心として辺りには「タマシイ」と呼ばれる、ロストに巻き込まれた人の具現化した意思が存在することが判明した。その後、ロストの解明を志す人達がロストの調査から生還するための手段として守護するタマシイの育成が盛んに行われた。その際に、タマシイの能力向上に非常に有用な存在だとされる「エンゼル」と呼ばれる幼い子供たちがいた一--
わたしは今少し暗い建物の中で見つからないように身をかくしているの。なぜかって?それは・・・
「いやぁ!いやだぁ、来ないd・・・!!」チュドンッ!
「ふぅ、まぁこんなもんだろ。そろそろ帰るぞ!」
「あいよ。しかしこんなガキが何でタマシイを強く出来るんだ?」
「・・・」ピクッピクッ
「俺が知るかよ。とにかくこれで育成もかなり捗るってもんだ。」
「そうだな、倒しやすいザコな上に強化素材として最も有用だとは、全くエンゼル様々だな!」
「「ギャハハハ!!」」
ガチャン、と建物の大きなとびらがしまった。男たちの声が消え、私たちの大切な友だちがたくさんつれていかれちゃった・・・もう何度もつれていかれた所をみたせいか、私はどんなに悲しくても泣けなくなっちゃった・・・まわりを見ると、こわくてふるえている子、近くにいた子とぎゅっとしながら泣いている子があちこちいた。それもそうだよね・・・だって自分はタマシイのいくせいに使えるそざいだってこと、そのためにたくさんの大きな男の人たちとタマシイたちが私たちをつかまえようとすること、そしてつかまればそざいに使われてそのまま死んじゃうことが分かっちゃったから・・・いつかまた誰かが来たら次に捕まっちゃうのは自分かもしれないと思うと体がふるえて止まらないのは当たり前だよね・・・
「ぐすっ・・・もういやだよぉ・・・わたし死にたくないよぉ・・・!」
「もっともっと、友だちといっぱいお話したいのに・・・お出かけしたいのに・・・何でなの・・・わたしたち何も悪いことしてないのに・・・」
できるなら、今すぐみんなでここから逃げたい。逃げて、だれも来ないしずかな所でみんなと仲良くすごしたい・・・みんながきっとそう思っていた---
ガチャン!ギギギギ・・・
つかれてぐっすり寝ていた時にだれかがとびらを開けて入ってきた。みんなその音を聞いて急いで起きてかくれた。また、だれかが私たちをつかまえにきた来たんだ・・・!息をできるだけ小さくして見つからないようにしなきゃ!
「ねぇ、タクヤ・・・私やっぱり嫌だよ。いくらアキラ達を強くするためだとは言え、エンゼルたちを、あんな幼い子供たちを捕まえるの・・・」
「ユキ・・・俺だって出来ることならこんな事やりたくない。だが、そうしないと俺たちが殺られてしまうんだ。俺たちがロストに辿り着いてロストを閉じるためにはタマシイを強くしないといけない。そのタマシイたちを強くするためにも、エンゼルを素材として使う以外に方法はないんだ・・・」
「それは・・・分かってるけど・・・」
あの二人・・・おひげを生やした赤い服を着たおじさんと白いワンピースを着た青いかみのお姉さん・・・あの人たちも私たちをつかまえに来たんだろうけど、何でだろう?今までの人たちとはちがう感じがする・・・まるで私たちを捕まえることをいやがってるみたい・・・
「ロストが起きてこの世界は弱肉強食の風潮が高まった。そのせいでエンゼル達のような弱い奴らは人ではなく物のように扱われるようになってしまった。ユキはきっと、その考えが蔓延した今の世界を心で嫌がっているんだ。同じ目的で捕獲しに来る奴らもそいつらと同じことをしている自分自身も・・・」
「・・・ええ、そうね。いくらロストを閉じて幸せな日常を取り戻すためとは言え、誰かの命を生贄にするのは嫌、いえ、とっても嫌よ。それはタクヤも同じでしょ?」
「あぁ、当たり前だ。こんなこと、どんな理由であれ許されるはずがない。子供ってのは、どんな奴にも何でも出来る無限の可能性を秘めてるんだからな・・・」
「タクヤ・・・」
・・・あれ?・・・ぐすっ・・・わたし・・・泣いてるの・・・?んぐっ、なんでだろう・・・2人の話を聞いてると、なみだがあふれて止まらないよ・・・うぅっ・・・
「・・・始めよう、ユキ」
「・・・えぇ。アキラ、お願い。」
「シュイン!・・・はい、ユキさん・・・」
「・・・っ、エンゼルたちがこの建物内に居ないか探してちょうだい。」
「了解しました・・・」
ひっく・・・!あ、あれが、タマシイなの・・・?お洋服を着て、昨日来た男の人たちが持ってた鉄砲をもってる・・・まるで人みたい・・・だっておじさんとお姉さんと同じ、悲しそうな顔をしているんだもん・・・でも、タマシイのあの人なら私たちがかくれている所なんてすぐにバレちゃうよね・・・見つかっちゃったら、わたし・・・どうなっちゃうのかな・・・?
「・・・!!」ビクッ
「・・・ユキさん。エンゼルを1人発見しました・・・」
「あぁ・・・いやぁ・・・」ビクビク…
あっ・・・1人見つかっちゃった・・・!3人がかこんでる・・・このままだと、お友だちがあの人たちにつれていかれちゃう・・・でも、あの子はにげようとしない・・・いや、こわくてからだが動かないんだ・・・
「ねぇ、あなたはお友達っている?」
「えっ・・・ぐすっ、ひくっ・・・う、うん・・・いるよ・・・うっ」
お姉さんがしゃがんであの子とお話してる・・・もしかして、いたいことしないでくれるのかな・・・?
「そっか・・・あなたは私達が何をしに来たか分かる?」
「・・・あの男の人たちみたいにぼくたちをつれていくんでしょ・・・?ぼくたちのことを・・・そざいだって言って笑ってた人たちみたいに・・・」ビクッ
「・・・!タクヤさん、それってまさか・・・」
「あぁ・・・恐らく政府機関の連中だ・・・!」ギリッ
「・・・で、でもね・・・その・・・」
「?」
「お姉さんたちはあの人たちとはぜんぜんちがう・・・きっと、やさしい人たちなんでしょ?」
「俺たちが優しい人・・・どうしてそう思ったんだ?」
「だって、さっきぼくたちをつかまえることをいやだって言ってたから・・・」
「っ・・・そっか、聞こえてたんだね・・・」
「だからね・・・ぼく、お姉さんたちに『たおされたって、きにしないよ?』だって、ぼくたち『みんなのちからになれるんでしょ?』」
「・・・っ!それは・・・」
あの子、自分からつかまろうとしてるんだ・・・きっと、お姉さんたちのことを信じることにしたんだね・・・
「いいの?そうしたらあなたは・・・」
「・・・うん、いいよ。お姉さん、おじさん、お兄さん・・・」
「「「・・・」」」
「ぼくを・・・使って?」
「・・・分かったわ。おいで?」
・・・お姉さんとあの子がぎゅってしてる・・・やっぱり、あの子いなくなっちゃうのかな・・・でも、2人とも泣きながら笑ってるよ・・・もしかして、お姉さんのちからになれてうれしいのかな・・・?
「タクヤ、アキラ。少し離れて・・・この子を素材にするわ・・・」
「あぁ・・・分かった・・・」「はい・・・分かりました・・・」
あっ・・・!あの子、お姉さんにぎゅってされながら光につつまれていく・・・天国に行けそうなとてもキレイで・・・とても悲しい光に・・・
「お姉さん・・・『さよなら・・・ぼくたちのことじょうずにつかってね』・・・?」
「・・・っ、うん。任せて・・・?あなたのこと、絶対に忘れないから・・・この先もずっと・・・」
「お姉さん・・・ありがとう・・・」ニコッ
「うん・・・」ニコッ
・・・しばらく時間がたったら、お姉さんと笑いあってあの子はいなくなっちゃった・・・とっても幸せそうで悲しそうな顔をしてたよ・・・
「あ、あの・・・」ギュッ
「お、お兄さん・・・」ギュッ
「っ!き、君たちは・・・」
「・・・!何で・・・俺たちが怖くないのか?」
あっ・・・!あの双子ちゃんたち・・・どうして、どうしておじさんとお兄ちゃんの所にいるの・・・?もしかして・・・あの子たち・・・
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閲覧ありがとうございました。私の処女作はいかがでしたか?今回はアプリゲーム「消滅都市」のゲリライベントである「三つ子エンゼルの最期」をプレイして感極まったのをきっかけに執筆をしました。少しでも強化素材として何度も捕まり合成に回されるエンゼル達に対する見方が少しでも変わった方がいらっしゃったら嬉しいです。また、後日続編を投稿します。それではまた・・・