なんでもない母港のなんでもないお話   作:EXナイトファング

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黒き少女の恩返し

鉄血寮-初夏

 

ドイッチュラント「暑いわ!!去年の今頃こんなに暑かったかしら!!」

 

Z23「そういう事言ってると余計に暑くなりますよドイッチュラントさん…」

 

グナイゼナウ「確かに…去年より暑いみたいですね」

 

グナイゼナウは手元のタブレット端末を操作しながらそう呟いた。

 

ドイッチュラント「ほら!やっぱり暑いじゃない!シュペーは大丈夫なのかしら!!」

 

シュペー「私は大丈夫だから落ち着いて姉ちゃん…」

 

Z1「こうも暑いとなんか冷たいものが食いたくなるな!」

 

オイゲン「いいわね…私は重桜のカキゴオリが食べたいわ」

 

つい先日まで桜が母港を彩っていたと思えばもう夏の兆しが見え始めたそんなある日、鉄血のKAN-SENたちはとりとめ

のない雑談で賑わっていた。

 

シュペー「…」

 

ローン「どうしたんです?シュペー」

 

シュペー「あっ…えっ…っと…なんでもないよローン」

 

ローン「そうですか、何か私に出来る事があったら相談してくださいね?」

 

シュペー「うん…ありがとうローン」

 

シュペーはこんな平和な日常が好きだ。鉄血が…いや、この母港のみんなが大好きだ。

 

彼女は最近、賑やかだが穏やかな日々とみんなへの感謝を何か形に出来ないかと考えてぼーっと考え込む事が多かった。

しかし、なかなかその答えが出ることは無かった。

 

シュペー「ねぇローン、やっぱり相談に乗ってもらっていいかな?」

 

ローン「はい、もちろんいいですよ」

 

シュペー「ありがとうローン、それでね、私今鉄血のみんなに何かしてあげたいと思ってるんだ…でもなかなか何をし

たらいいのかわからなくて…」

 

ローン「そうですねぇ…だったらお菓子つくりなんてどうですか?これなら一度にみんなへ何かしてあげられるんじゃないんですか?」

 

シュペー「お菓子つくりか…私あまり料理とかやった事無いけど大丈夫かな…」

 

ローン「だったらダンケルクさんの所を訪ねてみるのはどうですか?彼女時々母港のみんなにお菓子つくりを教えてあげているそうですよ」

 

シュペー「ダンケルク?」

 

ローン「はい、グナイゼナウさんもこの前教わったそうですよ?」

 

シュペー「そうなんだ…ありがとうローン、早速ダンケルクの所に行ってみる」

 

ローン「頑張ってくださいね、私も楽しみにしてますよ」

 

思い立ったが吉日、シュペーは早速ダンケルクの元を訪れた。

 

 

ダンケルク「お菓子つくりを教えてほしい…?」

 

シュペー「突然でごめんなさい、用事がなければでいいんだけど…」

 

ダンケルク「特に予定はないし、今で構わないわよ」

 

シュペー「ありがとう…!」

 

ダンケルク「さてと…何か作りたいものはあるのかしら?」

 

シュペー「私あまり料理とかやった事がなくて…初心者でも作れるお菓子って無いかな?」

 

ダンケルク「そうね…だったら最近暑いし、アイスなんてどうかしら?」

 

シュペー「アイス…?簡単に作れるんだ…」

 

ダンケルク「ええ、基本的にはジュースを凍らせるだけで作れるから最初につくってみるには丁度いいんじゃないかしら」

 

シュペー「確かにそれなら私にも出来そう…」

 

ダンケルク「じゃあそれで決まりね!」

 

シュペー「うん…よろしく」

 

アイスキャンディーを作るのに必要な容器と木の棒を手際よく準備するダンケルク。作業をしながら彼女はシュペーに問いかけた。

 

ダンケルク「そういえばシュペーはどうしてお菓子つくりを?」

 

シュペー「鉄血のみんなに何かしてあげたくて…ローンに相談したらお菓子つくりを勧めてくれたの」

 

ダンケルク「そう…だったらみんなの好きなジュースを考えながら作ってみるのはどうかしら?やっぱりお菓子は食べてくれる人を想いながらつくるのが一番よ」

 

シュペー「食べてくれる人を想いながら…」

 

ダンケルク「そう、一番の調味料は愛情…なんてね」

 

シュペー「うん…考えてみる」

 

姉ちゃんは最近よくコーラを飲んでたな、オイゲンはさっきもカキゴオオリが食べたいって言ってたり普段も重桜によくお酒を飲みに行ってるから和風なのがいいかな?、ニーミはこの前イチゴを美味しそうに食べてたな、ローンはよくトマトジュースを飲んでたっけ、いつも一緒に居てくれる鉄血のみんなを想いながら冷蔵庫とにらめっこを続けるシュペー。

 

シュペー「レーベは…オレンジジュースが好きだったよね、グナイゼナウは確かいつも林檎を…」

 

ダンケルク「シュペーはみんなの事をよく見てるのね」

 

シュペー「うん…あまり意識してなかったけどそうみたい…よし、使うものは決まったよダンケルク」

 

ダンケルク「じゃあ早速型に入れて行きましょうか」

 

オーソドックスな棒状のもの、氷を作る時に使うトレー、変わったものではプラモデルのランナーを模したものなど、色々な型へジュースを入れて行く彼女たち。

 

ダンケルク「入れすぎないように気を付けてね?」

 

シュペー「うん…うわっ!」

 

ダンケルク「大丈夫!?」

 

シュペー「ギリギリでセーフだった…」

 

ダンケルク「ふふっ、焦らなくていいからゆっくりね」

そうして多少危なげこそあったももの、無事に注ぎ終わり、あとは凍るのを待つだけとなった。

 

ダンケルク「夕張の作ってくれた急速冷凍庫のおかげで10分くらいで完成ね」

 

シュペー「そんなものがあったんだ…」

 

ダンケルク「まだまだ面白いものは色々あるわよ?」

 

シュペー「気になるかも…」

 

ダンケルク「だったらまた今度別のお菓子つくりも教えてあげようかしら」

 

シュペー「うん…今日はすごく楽しかったからまた教えてくれると嬉しいな」

 

ダンケルク「そうね…だったら今度はクッキーでも作ってみる?」

 

シュペー「うん!よろしくね、ダンケルク!」

 

ダンケルク「こちらこそよろしくね!」

 

場所は戻って鉄血寮

 

ドイッチュラント「あーつーいーわー!!!」

 

ヒッパー「暑い暑いうるさいっての!」

 

Z23「ですから皆さん騒いだ方が余計に暑く…」

 

オイゲン「ヒッパーは胸が涼しそうで羨ましいわね」

 

ヒッパー「はぁ!?」

 

ローン「ふふっ、平和ですねぇ…」

 

変わらず賑やかな鉄血寮、そこに一人の少女が戻ってきた。

 

 

シュペー「みんな、アイスキャンディー作ってきたからよかったらどうかな?」

 

ドイッチュラント「アイス!?シュペーが作った!?」

 

シュペー「うん…ダンケルクに教わってつくってきたんだ」

 

ドイッチュラント「なんて愛らしいのかしら我が妹…アンタたち!ありがたーく受け取りなさい!」

 

ヒッパー「暑かったから丁度いいわね、ありがとうシュペー」

 

シュペー「ううん…私こそいつもみんなにお世話になってるから…そのお礼、はい、ヒッパーにはプラモデルみたいな

やつ」

 

ヒッパー「へー…こんなのもあるんだ…なんだか食べるのがもったいないわね…」

 

ドイッチュラント「シュペーのつくってくれたアイスを残すなんて言語道断よヒッパー!」

 

ヒッパー「食べるっての!…なかなか美味しいじゃない、やるわねシュペー」

 

シュペー「えへへ…ありがとう…」

 

ローン「アイスにしたんですね」

 

シュペー「うん、相談に乗ってくれてありがとうねローン、はい、トマトジュース味」

 

ローン「意外とアイスにしてもおいしいんですねぇ…こちらこそ美味しいアイスをありがとうございましたシュペー」

 

Z1「くぅ~!冷たくて美味いぜ!」

 

グナイゼナウ「涼しくなっていいですね」

 

Z36「絶対零度の甘美なる剣…感謝する!」

 

シュペー「みんな喜んでくれたみたいで良かったな…!」

 

こうしてシュペーの恩返しは無事成功に終わり、鉄血寮には一足早い夏の風が吹いた…

 

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