《人格形成に関わる一部の記憶と感情を消去します。消去開始。ーーー成功しました。》
《基本人格ーーー“選択中…”、容姿ーーー“ランダム…”、能力ーーー“只今確認中…”ーーー確認が終了しました。『基本人格“中立・善”、容姿“女性”、能力“××××”』ーーー今から存在を構成します。》
「ーーー…っ……」
頭が割れる程に痛い。その酷い頭痛で微睡んでいた意識が強制的に覚醒させられる。
頭を抱え少しでも揺らさない様に気を使いながらゆっくり体を起こすが、どうせならばとそのまま緩慢な動作で立ち上がる。頭痛で起こされるなんて最悪な目覚め方だ。
「てか、此処どこよ?」
周囲をぐるりと見渡しても目印になりそうな物は見当たらず、空を覆い尽くす木々と視界を塞ぐ草花しかない。
現実逃避も兼ねて視線を逸らし、自分の体を見てみる。しかし私の体は綺麗なものだ。あの悲惨な事故で負った怪我は一つも無く、あの死にそうな苦痛も消えていた。自分の体なのに何となく言い様のない違和感はあるが、今は怪我がない事を良しとしよう。しかし私は何で事故に遭ったのだろう?何かを助けたかった様な気がするんだけど…。ーーーまあ、考えても仕方ないか。思い出せない物は無理に思い出さない方が良い、きっと今は忘れた方が身の為なんだろう。
暫くするとやっと頭痛も消えて、考え事をする余裕が出てきた。
怪我が無い事や周りの景色等を踏まえ、一つの仮説を立てる。
どうやら私はあの事故で死んでしまい、異世界へと“転生”した。多分だけどこの世界には魔法とかがあるファンタジーな世界だと思う。だって、私の周りを幾つかの光る球が飛んでいるから。こいつは私が目を覚ました時から側に居て、私の周りをふわふわと漂っていた。くるくると飛んでいる光の球は意思があるらしく、色とりどりに光ってファンシーな雰囲気を醸し出している。
「んなベタな…もうちょっと捻った設定持って来いって…。」
ぼやきながらこれからどうしようか考えていると、水色の光の球も寄って来て私の周りをふよふよと飛んでいる。しばらくすると桃色の球と一緒に遊び出した。え?何こいつらめっちゃ可愛い。
あまりの可愛らしさについつい指先でつつくと、驚いた様に飛び上がり指を警戒する二色の球。え?何こいつらめっちゃ可愛い。
「怖くないよ~?一緒に遊ぼ~?」
指先をちょいちょいと曲げて話し掛けると、私の顔と手を交互にさ迷い、迷った末に指ではなく私の頬に遠慮がちに触れてくる。少し擽ったいけど、遠慮がちな仕草が可愛い。
楽しく戯れ癒されてから、先伸ばしにしていた『これからどうしようか』を考える。
「誰か助けてくれないかな~…」
「あら、こんな所に人間が居るなんて珍しいわね?」
これからが思い付かず他力本願になっている所に聞こえる声、普通に食い付くよね!
ガバッと勢いよく振り返り、声の主を見る。
「こんにちは、可愛いお嬢さん?」
赤く燃える様に鮮やかな長い髪、宝石の様に輝くエメラルドの瞳が印象的な絶世の美女が居た。美女って声も綺麗なんですね…。