美女(名前はプレシアさんと言うらしい。)に事情を説明し、『目が覚めたら此処に居た事』、『自分の名前も思い出せない事』等様々な事を混乱しながらも伝えた。
プレシアさんは纏まりがなく要領を得ない私の話を疑う事なく穏やかに微笑み頷きながら聞いてくれた。
「じゃあ、貴方は名前も何もない転生者って事かしら?」
「多分、ですけど…。」
「そうよねぇ、お家も無いのは困るわね~」
「えーと、野宿…ですかね…。」
「女の子が一人で森の中に居る何て危険だわ!」
「森…やっぱり森の中なんだー…。」
「そうよ、どうせなら私の家にいらっしゃいな!」
「………え?」
プレシアさんの言葉に思わず目を見開き彼女をガン見してしまう。確かにプレシアさんは穏やかで優しいし美人だしだ。出会って数分だけど私の彼女への好感度はマックスに近い。
でも、私が嘘を吐いているとは思わないのだろうか?出会って数分の女をそんな簡単に信じても良いのだろうか?
「そんな簡単に信じても良いんですか?嘘を吐いてるかもしれないですよ?」
「あら、嘘を吐いているの?」
「否、吐いてないですけど…。」
「じゃあ大丈夫よ、私は貴方を信じるわ。」
「プレシアさん……。あの、本当に有り難う御座います。」
「良いのよ。今日から宜しくね、“イオン”ちゃん。」
「イオン…?」
「そう、今日から貴方の名前は“イオン・サージュ”よ。」
何か自分には似合わない位に可愛い名前を付けて貰った気がする。
名前を付けて貰えたのは凄く嬉しいけど、どことなくプレシアさんの顔色が悪くなったような…。
プレシアさんの変化が少し気掛かりに感じ、じっと見つめていると私の視線に気付いたのか苦笑しながら『名付けは魔力を消費する』と教えてくれた。
「イオンちゃんは私の魔力の3分の2を持って行ったの、だから少し疲れただけよ。」
「す、すみません…。」
「大丈夫よ。私は人よりちょっとだけ長生きだから、直ぐに回復するわ。」
「そうなんですか…良かった…。」
私の所為で具合が悪いままだったとしたら、すごーく申し訳なくてやっぱり野宿を選ぶ所だった。
「イオンちゃん、お家に帰ったら貴方のスキルとか色々見せてくれる?」
「スキル…?何かよく分からないけど、分かりました。」
どうやら此方に転生した人は、稀に『スキル』を得るらしい。
私にも『スキル』があるらしく、それを鑑定し使い易い様に組み直してくれるらしい。
「イオンちゃんのスキルはどんな物かしらね~?」
「分からないけど、役に立つのがあれば良いな。」
斯くして、私は異世界で師匠とお家を手に入れたのだった。