今からそう遠くない未来、日本。
政府は学校教育制度を廃止し、多くの学校を強引に潰していった。
学生達は立ち上がり、反発したが、反対した生徒は皆処刑された。
政府への怒りが爆発した学生達はついに、武器を取って立ち上がった。スクール・ウォーズの始まりである。
戦争の始まりから、多くの血が流れた。そしてこれからも多くの血が流れ続けるのだろう。
ジリリリリ!と、寮内に鳴り響く音で目覚めた俺、白城 幸一は、この私立快星高校に通う二年生だ。
戦争が始まって、寮ぐらしになってからは俺も、朝にはきっちりとした時間に起きられるようになった。
起きてすぐ制服に着替えた俺は、朝食を摂るために寮の食堂へと向かう。
食堂に着くと、入り口の所に人が立っていた。同級生の高木 有素(たかぎ ありす)だ。
「遅いわよ、何してたの?」
「起きて着替えてた。あと俺が遅いんじゃない。お前が早すぎるんだ」
有素はいつも早く起きていつも俺を待っている。俺は朝の目覚ましの時、6:00にはきちんと起きているから遅すぎることはないはずだが、この間、有素に何時に起きてるのか聞いてみたら5:00らしい。アホだ。
「仕方ないじゃない、毎朝リボルバーの射撃練習しないと気分悪いんだから」
「熱心な事でございますねー」
「そうかしら?あんたが冷めすぎなだけよ」
「そうか?」
「そうよ。それより早く入りましょ、席がなくなっちゃうわ」
「そうだな」
カウンターでパンとスープを受け取って空いている席に二人で座ると、前から声をかけられた。
「おー、幸一に有素じゃねーか、夫婦揃って朝食か?」
…クラスメイトの海斗だ。別に夫婦って言われるのも嫌なわけじゃないけど面倒なので否定しておくことにする。
「「誰が夫婦だ」なのよ!」
…ハモるなバカ。
「お前らほんと仲良いよな…まあ早く食っちまえ、いつ政府軍が来るかわからんぞ」
「そうするよ」
「夫婦ってなんなのよ夫婦って…」
いつまで文句言ってんだ。
そんな感じで談笑しながらの、いつもの朝食の風景だが。
突然、ウー、と低い音で校舎内にサイレンが響く。この学校に…いや、この国で学校に在籍している者なら、そのサイレンの意味は誰もが知っている。
『生徒諸君、政府軍の接近をレーダーが捉えた。2学年第5,4小隊の生徒は武器を持って、野戦服に着替えて…』
とアナウンスが鳴り響く。2学年第5小隊、つまり2-5は俺たちのクラスだ。そのアナウンスを全て聞き終わる前に皆は慌ただしく動き回り"戦争"へと向かう準備をする。俺も食べかけのパンと飲みかけのスープを後に、武器庫へと向かった。
武器庫からカービンライフルを持ち出し、弾薬を補給する。そのあとは、平均的な学校の3倍はあるグラウンドに2学年第5,4小隊が集結し、指示を受ける。
説明を聞けば、レーダーに捉えられた政府軍は西から来ているらしい。そこで、俺が指揮する分隊を含む小隊連合が受けた指示は「偵察」だ。
敵の勢力を探ってこいということらしい。攻撃が可能であれば先手を取る。要は"殴り込み"に近い。
説明の後は解散し、各分隊が命令に従って行動を起こす。俺の分隊も当然、すぐに偵察へと向かった。