わたしたちのお母さんは精霊なんだよ   作:六導

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もし、精霊の狂三がマスターになったら結構強いのではと思って書いてみました。
細かい設定の違いはあると思うのでご容赦ください。


第一話

人気のない深夜の森の中で息を切らせ周囲をしきりに確認している少女が一人いた。

その少女は黒髪で左右非対称のツインテールに赤と黒を基調としたドレスを着た、とてもこの鬱蒼とした森の中にいるような人物とは思えない可憐な少女だった。

しかし、彼女はただの人間ではない。

彼女の名は時崎狂三、ASTという組織からは最悪の精霊と呼ばれる存在だ。

 

 

「はぁ、はぁ、何とか逃げ切りましたわね」

 

私は五河琴里さんの天使の圧倒的な火力によって手酷い反撃を受けてそのまま逃走するという無様な結果を晒してしまっていた。

 

「逃げ切ったはいいのですが、これからどうしましょうか」

 

まず、考えるべきは失った『時間』の補充でしょう。

私はあの戦闘で多数の分身達を失い、天使である刻々帝【ザフキエル 】に大きなダメージを負ってしまった。

ならば、それの補充と修復をしなくてはならないが今の私は戦える戦力が少ない。この状態でまたASTや真那さんレベルの敵に狙われれば正直に申しましてかなり不味いですわね。

 

「となると気付かれない程度に少しづつ補充していくしかありませんわね。・・・はぁ、士道さんに会うのは大分先になりそうですわね」

 

あの邪魔さえなければ、彼を手に入れて私の目的に大きく近づけたかもしれないのに、そう思ってしまうがそれはしかたないと自分に言い聞かせて私は取り敢えず手頃な町に向かおうとした時、突然目の前の空間に亀裂が走った。

その一瞬の出来事に私が驚愕している間に抵抗する間も無くその空間の亀裂に吸い込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うっ、ここはどこですの?」

 

私が目を覚ますとそこは先ほどの森とは違い、どこかの町の裏路地にあるゴミ捨て場の上に放り捨てられたように私は寝転がっていた。

周囲を見渡しても誰もいない。

自分の体に異常はない。

あの空間の亀裂に吸い込まれてどこか別の場所に移動したということでしょうか、私は足に力を入れて立ち上がり影に溶け込み、自身のこの状況とこのあたり一帯を調べることにした。

 

この時の私はもっと大きな異変に気付いていなかった。

 

 

 

 

あの路地裏で目を覚ましてから一週間が時が経過した。

 

「私がいた世界とは別の世界でなのでしょうか・・・ここは」

 

私は日が少し傾きかけた頃の街を一人ぶらりと歩きながらこの1週間のことを振り返る、時喰みの城で少しずつ時間を補充しながらこの辺りを調べたが、調べれば調べるほどにここが自分が元いた世界ではないという事実が明らかになった。

まず、時代が私のいた時代よりも過去にいること。

これは周りの人間や新聞などで確認したから間違い無いでしょう。

 

もっとも大きな理由が私がいた世界で起きたあの大災害が起きていないということ。

過去に戻っているが時代的にはもうあのユーラシア大空災が起きているはずなのにそのことを全く知ることができなかった。

 

そうした私がいた世界のと違いが多数存在することを確認した私はここが元いた世界ではないと考え始めていた。

そしてここが別の世界の場合、私は何があっても元の世界に帰らなくてはいけない。

だって・・・そうでないと。

 

「君、ちょっといいかな?」

 

そうした私の思考を打ち切るようにその男は私に話しかけてきた。

 

見た感じは温かな笑みを浮かべた少しチャラい男

しかし、私には分かる。

この男は人を殺したことがある。

そう確信できる雰囲気を私は今、この男の笑みから感じ取っていた。

 

「あら、なんでしょうか?」

 

しかし私はあえてこの男に笑顔で応じた。

 

「いや、あんまりにも君が綺麗だったからさ、ちょっとお茶でもって思ってさ」

 

「あらあら、それはステキですわね。是非お願いしますわ」

そうして私は新たな情報を得るために男の誘いに乗ることにした。

 

 

 

 

 

 

「呆気ないですわね」

 

古びたマンションの一室で私は足元で気絶させた先ほどの男を見下ろしながらため息をついた。

 

 

数分前

私は男の誘いに乗り男の部屋にやってきた。

すると周りの音が聞こえなくなったことに不審に思っていると男は懐から取り出したナイフで切りつけようとしてきたが私はそれを難なくかわしてから男の頭を軽めに殴って気絶させた。

 

「しかし、魔術ですか」

 

私は気絶した男、名前は相良豹馬というらしい。

この男は魔術師で"とある儀式の生贄"の為に私に声を掛けたということを私は豹馬を刻々帝の能力である十の弾【ユッド】で調べて知ることができた。

そして男はまぁ概ね小物といった感じですが私のいた世界にはない概念である魔術の知識と

 

「聖杯戦争ですか」

 

何でも過去の英雄をサーヴァントとして召喚し最後の一騎になるまで争い、そしてその勝者にはあらゆる願望を叶える権利が与えられるらしい。

 

もしその話を誰かに聞かされたら完全に冗談でしようと笑う所ですが

私は部屋にある道具や血で描かれた魔法陣をもう一度見つめてながら

 

「この部屋に貼ってあるお札の音消しの結界とやらは本物の様ですし。なら、その話が本当なのだとしたら私を元の世界に帰ることも可能という事でしょうか」

 

しかし、そこで問題となるのが

 

「マスターの資格である令呪ですわね。私はそれを持っていませんし、どうしましょうか。私は何ともしても元の世界に帰らなければいけないのですけれど」

 

でなければ、今までの自分の行い全てが無駄になってしまう。

なら、試しにと私は男が持っていた古びた本を手に取り、そこに書かれていた呪文をものは試しにと問えてみることにした。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。手向ける色は"黒" 降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

私は古びて、所々滲んでいたり虫喰い状態の本に書いてる詠唱を最後まで行う。

この現状を打破できる力が欲しい。

何より私の目的の為に

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつ五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝 三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

 

すると床に血で描かれた魔法陣が輝いた。

 




Requiemコラボでエリセちゃんを入手し、速攻でスキル上げして素材の骨と杭を使い果たしてしまった。

だが、悔いはない!

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