特殊特異点 生命回帰煉獄 ■■■■■   作:青い灰

2 / 2
新たなる第二の獣

 

 

「来たね」

 

 

管制室に飛び込むように入ってきた

立香たちを見て、ダ・ヴィンチが苦い顔をする。

最も、それ以上に深刻そうなのは沖田だったが。

 

 

「ダヴィンチちゃん、何が起きたの!?」

 

「詳しいことは私もまだだ。

 彼から改めて聞くことになる」

 

 

管制室に、赤衣の弓兵が入ってくる。

その顔もまた、深刻だった。

 

 

「エミヤさん!」

 

「何があったか、エミヤは見たの?」

 

「……………あぁ、唐突だった。

 私も未だに混乱しているが、

 今は一刻を争う。説明するぞ」

 

 

エミヤが語り始める。

夜中の食堂で仕込みを終え、

それぞれの部屋へと戻ろうとしたこと。

その時に、黒衣の襲撃者に

ブーディカが襲われたこと。

 

 

「黒い襲撃者………

 ブーディカさんがやられたんですか……?」

 

「ジャック・ザ・リッパーの宝具だった。

 だが、私のスキルで誰か分かった。

 ……………私も、目を疑ったがね」

 

「ジャックじゃなかった………?

 あの霧はジャックの宝具でしょ?」

 

「それを限定的に使える人物がいるって……え?」

 

 

その言葉に、その場にいた全員が目を見開く。

驚愕でしかない、その事実は。

 

 

「橘 真機。

 彼が、私たちを襲撃した犯人だ。

 この場に来ないのが、その証拠」

 

「「「─────!!」」」

 

 

沖田が唇を噛む。信じたかった。

〝そんな筈ない〟と。

だが、その確かな感覚が真実を突きつける。

 

 

「沖田くん、真機くんとのパスは!?」

 

「────繋がって、ません………!!

 あの時、もしやと思って

 同化を試みましたが…………!!」

 

「そんな………」

 

「沖田くんが受肉していたのが救いだったね。

 魔力供給が絶たれてる。

 カルデアのサーヴァントとして設定しておくよ」

 

 

全員の思考を、何故、が支配する。

その時だった。

その女が、管制室へ入ってきたのは。

全員が、振り向いた。

 

 

「あらあら、皆様お揃いのようで………

 僭越ながら、この殺生院キアラ。

 状況の説明に参りました」

 

 

魔性菩薩。

あの電子の海の支配者がそこにいた。

その場の空気が一気に変わる。

 

 

「「「「「えぇ……………」」」」」

 

「ふふ、ソワカソワカ………」

 

「き、キアラさん?

 今そんな空気ではないような………」

 

「ご安心下さい、詳細は私も把握しています。

 おそらく、この事態については

 私が説明するのが適切かと思いまして」

 

「心配しかないんだけど」

 

「………取り敢えず、話を聞かせてもらおう」

 

「承知致しましたわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず、この事態…………

 私の知る限りのことをお伝えします。

 まずは真機様の身に起きていた異変について」

 

「異変?」

 

「えぇ、それについては英霊の方で

 気づいている方も多い………のですが、

 なにせ真機様ご本人が『黙っていてくれ』の

 一点張り。

 ですがこのような事態になってしまった」

 

「待って下さい、マスターの身に異変!?

 私が気づかない筈がありません!」

 

 

マスター(真機)のサーヴァントとして、

沖田はその誇りがあった。

それに、気づけなかったことが屈辱だった。

 

 

「無理もありません。

 貴方に一番ひた隠しにしていたのですから」

 

「え…………」

 

「何もかも背負い込むのは真機様の悪い癖。

 それは皆様の方がお分かりでしょう?」

 

「聞かせて。真機くんの身に何が?」

 

「それでは事の顛末から。

 今回の直接的な原因ですからね」

 

 

キアラが片目を瞑り

珍しく真剣な目付きで語る。

 

 

「私が聞いた所によると、始まりは

 第7特異点、めそぽたみあ、でしたか?」

 

「ウルク………だったよね」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 

ダヴィンチがキーボードを叩き、

バイタルサインを確認する。

ほとんど自動で行われるが、

それはかなり精密なもの。

そして、データが見つかる。

 

 

「…………!

 な、なんだ、これは………!?」

 

「ダヴィンチちゃん、どうしたの!?」

 

「第7特異点からのバイタルが異常なんだ!

 夜中の心拍数がとんでもないことになってる!

 脈拍もどんどん低下してる………!?

 これは……………っ!?」

 

 

全員が映し出されたホログラムの

データを見上げる。

心拍数がどんどん減少していき

───そして、昨日の夜。

 

 

「「「「!?」」」」

 

「そ、そんな………心臓が、止まっています!」

 

「馬鹿な!今まで私たちが見ていたのは……」

 

「おかしい!

 生命活動が止まってない………

 だからアラートが鳴らなかったのか!?」

 

「き、キアラさん!

 これの原因って………」

 

「えぇ、第7特異点で、貴方がたは

 獣の一体と対峙した……そうですね?

 その獣の目覚めた時、真機様は傷を負った」

 

 

全員が思い出した。

 

次々と増殖していく黒い牛若丸に

沖田を庇って大きく肩から腰まで斬られた彼を。

何故、あれだけの傷を負っておきながら、彼は。

 

 

「えぇ、少し身体を見せてもらいましたが、

 あれは人間では、いえ、たとえ英霊であろうと

 耐えられるものではないほど酷いものでしたね。

 身体が泥のような黒い紋様に侵食されて」

 

「泥………!?

 まさか、ケイオスタイドに侵食されたのか!」

 

「だ、だけどティアマトは倒した筈です!

 あの黒い泥も全部消えて」

 

「適合した、からですよ。その泥に。

 正確には泥を取り込んだ、ということですね」

 

 

エミヤの脳裏に、冬木の聖杯が浮かぶ。

あの、全身黒づくめのサーヴァントが。

 

 

「馬鹿な………!!

 この世全ての悪に呑み込まれたようなものだ!」

 

「だからそうだと言っているのですが?

 残された獣の悪意を取り込んでどうなるか。

 それは貴方がたが出会った牛若丸とやらを

 思い出せば分かると思います。

 はっきりと、言わせて頂きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新たな第二の獣が確立しました。

 目覚める前に、

 真機様を殺害することをお勧めします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。