軍事国家、作ります!   作:たーなひ

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セバスの判決考察ニキが多くて助かります。
非常に助かるんですが、みんなセバス死ぬ説推しすぎじゃない?誰かセバス無罪放免説唱えるやつおらんのか?異議ありぃ!

多分描写せずにぼかす感じになりそうです。好きに想像してね♡


ナザリック劇場開演のお知らせ

 

「接触に成功した?……良くやった!!」

 

 

「……一仕事終えたところで済まないんだが、どうやら王国で大きな動きがありそうだ」

 

 

「冒険者達が八本指の拠点を襲撃するらしい。ジルケットやシスヴェル達には手を貸すように伝えてあるが、万が一に備えて徘徊しておいてくれ」

 

 

「いや、助ける必要は無い。ウチのモンだけ回収してくれれば良い。……あ、そうそう。1人はテリーに付いてやってくれ。………そうだ。回収出来るようにな」

 

 

「任せたぞ」

 

 


 

 

クライム達が娼館を強襲した次の日、青の薔薇の面々がラナーの部屋に勢揃いしていた。

 

部屋の主であるラナーが口を開く。

 

「ラキュース。実は準備が整い次第、早急に例の件に当たってほしいの」

 

例の件…というのは、八本指の拠点を襲撃するという話だ。

 

「なんでだ?確か昨日聞いた話では、一箇所ずつ極秘裏に襲撃していくという計画ではなかったか?」

 

イビルアイが問いかけた。

 

「実は昨晩、想定外の出来事が起こって、計画を一部変更する必要があると考えているんです。というのもーー」

 

ラナーは昨晩の娼館強襲の件を話す。

昨晩、クライムはかの有名なブレイン・アングラウス、謎の老人セバスと共に八本指の息のかかった娼館を強襲し、見事成功させたのだ。

その成果として奴隷売買部門の長であるコッコドール、六腕の1人である“幻魔”サキュロントを捕らえることが出来た。

 

 

「やんじゃねぇか、童貞」

 

「ああ、ガガーランの言う通りだ。六腕の1人を捕らえるとは大金星だな」

 

 

口々に褒めてくれるが、正直クライムはいたたまれない気持ちになっていた。というのも、彼は殆ど何も出来ていなかった。おそらく自分が居なくても、ブレインとセバスだけでなんの問題もなく解決出来ていただろう。

 

「すごいわね、クライム。しかしブレイン・アングラウスとと出会って、共に行動するなんて、どういう運よ」

 

「サキュロントを一撃で倒したってことは、王国最強の戦士と互角の勝負をしたというアングラウスの実力は本物ってことだ。だったらよう、俺としてはそのアングラウスですら勝てないと言い切ったそのセバスってじいさんの方に興味があるんだけどな」

 

「…まぁ、その辺は置いておきましょう。ラナー、計画の一部を変更ってことは、襲撃する場所を選定し直すってこと?」

 

「はい。今日中に同時に襲撃をかけて、一気に落とすべきだと考えています。時間が経てば経つほど相手にとって有利になるだけでこちらには不利ですから」

 

この部屋にいる全員が絶句した。

昨日の話では、手が足りないから一箇所ずつ襲撃するしかないという話だったはずだ。

 

「い、いや、王女さんよぉ。手が足りないという話じゃなかったのかよ?夜中の内に協力してくれるところが出てきたのか?冒険者を雇うというわけにもいかないだろ?」

 

そもそもとして、冒険者がこんな風に組織の襲撃をしたりするような人間同士の争いには首を突っ込んではいけないという決まりがある。

アダマンタイトである最高位冒険者に限り、組合が追放など出来る訳がないので黙認という形が取られている。

 

「白銀なら戦力としては申し分無いけど、それでも合わせて8人。1人がアダマンタイト級と言われる六腕を1人で相手にするには不安が残る」

 

「かと言って衛士や兵士を巻き込むのは愚の骨頂。どの貴族に八本指の息がかかっているのか明確ではない以上、声をかけるのは不味い」

 

貴族と癒着しているのだから、貴族が推薦する兵士の中に八本指のスパイがいたとしても全くおかしくない。むしろその可能性が高い。

 

「ふん。信頼できるのはガゼフ・ストロノーフとその直轄の兵士ーー戦士たちぐらいだろうが……いや、直轄の者たちもどれぐらい信じていいことやら」

 

「本当にそうね。結局のところ、相手の勢力がどれぐらいか分からないために対策が打てない。しかし、このまま調査をしているだけでは王国が完全に腐敗してしまう。八方塞がりの結果のもぐら叩きだものね」

 

「おっしゃる通りです。ですから、信頼出来る貴族の力を借りようと思っております」

 

「そんな貴族を知っているのか?王女よ」

 

「はい。イビルアイさん。多くを知っているわけではないのですが、たった2人だけ信頼できる貴族を存じております」

 

「へぇ、ラナー。それは誰なの?貴女が見落とすわけがないとは思うけど、信頼はできてもそれなりの力がなければ意味がないわ」

 

「恐らくその辺は大丈夫でしょうね。それと王国戦士長をお呼びします」

 

「それは納得できる」

 

「それと、兵士長も」

 

「兵士長……って事はその信頼出来る貴族ってシスヴェル侯爵?」

 

「確かにあの人なら信頼出来そう」

 

「というか、この2人に息がかかっていたら、もはやどうしようもない」

 

「シスヴェル侯は今日は城に来ていないはずなので…。クライム。レエブン侯を呼んでください」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

結局集まった主戦力は蒼の薔薇、白銀、レエブン侯お抱えの元オリハルコン級冒険者達、クライム、ブレイン・アングラウス、ガゼフ・ストロノーフ、ジルケット・メロリアル。これらを8つに分け、それぞれが拠点を襲撃することになる。

基本的には2人で1組だが、白銀に限ってはそのまま3人チームで動くことになっている。他チームが混ざるよりも連携が取れることと、チーム自体の安全を考えてのことだ。

 

 

ラキュースから作戦内容の説明を受ける。

内容は、八本指の所有する八箇所の建物を襲撃し、制圧するというもの。

 

 

「よう、童貞」

 

説明を聞き終え、一種の使命感に燃えていたクライムに声がかかる。

そんな呼び方をする人間は1人しかいない。

 

「ガガーラン様、どうされたのですか?」

 

「なーに、緊張してるかもしれない童貞の尻でも叩いてやろうかな、と思ってな」

 

そんな気遣いが出来るなら呼び方も変えてほしい……なんて思っていると、また新たに声がかかる。

 

 

「また会ったな、少年」

 

「ラジリア様」

 

「ロゼルで良いよ、ロゼルで。そんでそっちは初めましてだな、かの有名なブレイン・アングラウスに会えて嬉しい限りだ」

 

「こちらこそ、名高い白銀に会えて光栄だ。なるほど……どちらも強いな。確かにアダマンタイト級冒険者の戦士に相応しい」

 

「そりゃどうも」

 

感覚が麻痺していたが、ガガーランもブレインも知らぬ者なし、白銀と並ぶ程の有名人なのだ。クライムは、そんな人間達と知り合いということを改めて実感した。

 

さらにさらに、新たな声がかかる。

 

 

「なんだなんだ、有名人ばかりじゃないか」

 

ジルケット・メロリアル。

 

まさに王国の有名人オールスターズ。それもクライムは全員と知り合いである。

 

ふと、今自分達がいる場所だけぽっかりスペースが空いており、自分達を遠巻きに見ていることに気付いた。

当然だろう。これほどの超級の戦士達が一堂に会すことなど無いので尻込みしてしまうのも無理はない。というかクライム自身も出来たら早く立ち去りたいぐらいだ。

 

 

「ジルケット・メロリアルか。()()()()()だな」

 

「こちらこそ()()()()()()()()()。よろしく、白銀」

 

ジルケットとロゼルが握手を交わした。

 

 

「ブレイン・アングラウス、御前試合では良いものを見せてもらった」

 

「止せよ。俺は負けたんだぜ?それに……あんたならガゼフにも勝てたんじゃないか?」

 

その言葉にクライムは驚くが、冗談を言っているような雰囲気では無い。

自分ではどちらが強いのか分からないが、ブレイン程の戦士なら分かるのかも知れない。

 

「ま、戦士としては『勝てなかった』とは言えんわな」

 

「それもそうだ」

 

「オイオイ、こんだけ英雄級の戦士が居たんじゃ俺の影が薄れちまうじゃねぇか」

 

「何を言ってるんだ蒼の薔薇のガガーラン。お前も十分強いだろうに」

 

「ハッハッハ、お褒めに預かり光栄だよ。じゃあな、童貞」

 

そう言ってガガーランはのっしのっしと歩いていく。

 

 

それに続くように、それぞれの班が続々と出発して行った。

 

 

 


 

 

「…で、俺達が襲撃するのは金融部門の拠点で間違い無いんだな?」

 

「間違い無いな。本当に大事なものは別の場所に移してあるそうだから全部燃やしても大丈夫らしいぞ」

 

「それなら安心だ」

 

白銀は後ろを続くレエブン侯の兵達に聞こえないように小声で話す。

 

これは本当に偶然だ。

偶々割り当てられたのが金融部門の拠点だったのだ。

八本指の金融部門に潜入しているテリーにも情報は入っているはずだから心配する必要は無かったんだが、念のために確認を取っておいた。

 

 

襲撃する建物の前に到着すると、一先ず息を潜める。

 

 

「じゃあ、まず俺達が先に侵入する。しばらくしたら来てくれ」

 

兵士達が了解の意を示したので、さっさと侵入する。

 

六腕は一箇所に集まっているらしいし、警備も置いていないそうなのですぐに終わるだろう。

 

 

 

 

何人かの見張りを倒したら、もう人の気配は無くなってしまった。

後は適当に資料でもかっぱらって任務は完了となる。

 

 

 

「…………おい」

 

「どうした?」

 

建物内を探索していると、シルクと呼ばれる男がロゼルを呼ぶ。

 

「聞いてた話と違うぞ」

 

「……何がだ?」

 

「この部屋に資料が大量に置いてあるはずなんだが、一枚も無い」

 

「……………テリーに確認を取るぞ」

 

 

 

 

「ーーーロゼル」

 

「どうだった?」

 

「間違い無い。この部屋には大量の資料があるはずだ…と」

 

「第三者か」

 

「どうする?」

 

「…………一先ず指示を仰ぐか」

 

 


 

 

 

「ーー資料が消えた?」

 

『はい』

 

「間違い無いのか?」

 

『はい。テリーにも確認をとりました』

 

「……テリーに付いてる1人を除いて、後2人御庭番衆がそっちにいるはずだ。そっちからの報告があってから連絡するから一先ず待機で頼む」

 

『了解致しました』

 

資料が消えた……別に資料が奪われることは全く問題無い。

ただ消えるという事態自体が問題だ。

テリーが何かをしたわけではないので、第三者であることは確実。

となると……プレイヤーか?

例の『セバス』という執事がいることからこの国に手を出しているのは確実だ。例えば、その目的が八本指の乗っ取りだとするなら資料を奪う事自体に疑問はないし、その手段も持っているだろう。

裏組織というのが非常に便利な事はこの100年で学んだ事の一つだから、そういう目的なら分からなくは無い。

 

なら、乗っ取り時に運が良ければテリーを介して間接的に接触出来るか…?………いや、必要無いな。手紙を渡した以上そちらの返事を待った方が誠実だろう。

 

 

『がぶりえる王』

 

「おぉ、式尉か。どうした?」

 

王都で八本指の拠点を徘徊して情報収集をするように伝えてある御庭番衆の1人だ。

 

 

『推定50レベル程のメイド服を着たモンスターが蒼の薔薇のガガーラン、ティナ、イビルアイと交戦中です』

 

……意味がわからん。

 

「………戦況は?」

 

『蒼薔薇が優勢です。もうすぐ決着がつくかと思います』

 

……分からん。なんだよメイド服のモンスターって。

50レベルぐらいならプレイヤー関連とは断言しにくいしな。

 

一先ずどんなのか見てみるか。

 

「視覚を共有してくれ」

 

『はっ』

 

そうして映ったのは、確かに言った通りのメイド服を着たモンスターだ。容姿を見るに恐らくは虫系……いや、蜘蛛人(アラクノイド)か?

 

だが、もうほぼ決着がついたようだ。

 

 

『回収致しますか?』

 

そう聞かれて迷う。

確かにプレイヤー関連だと断言は出来ないが、逆に無関係だと断言することもできない。

回収して尋問をするのが一番良い手なんだが、もしアインズ・ウール・ゴウン関係だった場合には非常に不味い。

 

 

「そうだな………お?」

 

 

突然人影が現れた。

赤いスーツを着ており、中々センスの良い仮面を着けている。そして鋼鉄を思わすような尻尾が、それは人間では無く、悪魔である事を知らせてくれる。

 

例の蜘蛛人を起こすと、蜘蛛人は虫に連れられて去って行った。

 

 

『追跡しますか?』

 

「いや、それは少しリスクが大きい。それより、奴らの会話を聞くことは出来るか?」

 

『………イビルアイが2人に逃げるように指示を出しました』

 

まぁ、それはそうだろう。

明らかにレベル100近い強者だ。イビルアイなら強さの片鱗を感じとれるだろうからな。

 

これもプレイヤー関連か?……いや、そう考えるべきだな。

八本指の拠点に現れたということは、資料を奪ったのもコイツらという可能性が高くなった。

 

冷静に分析しているとイビルアイが魔法を撃ち出すが、無効化能力で無効化されてしまった。

 

そして例の悪魔が手を横に振ると、黒炎が逃げた2人を焼き尽くした。

 

 

「何の魔法だ?」

 

『恐らく〈獄炎の壁(ヘルファイヤーウォール)〉かと』

 

「ふーん」

 

アレだけでアダマンタイトでも死ぬのか……あんなにすぐ死ぬものだからもうちょっと高位の魔法を使ったんだと思ってたんだが…。

 

 

悪魔の煽りに激昂したイビルアイが突っ込むか、突如膨れ上がった巨大な腕がイビルアイを殴り飛ばす。

 

あらあら…。逃げた方が良いと思うんだが………いや、無理か。〈次元封鎖(ディメンジョナル・ロック)〉で転移も出来ないし、素で逃げ切れるはずも無い。

あーあ、イビルアイも死んじゃうのか……。ウチの戦力にしてやっても良かったんだがなぁ……。

 

またイビルアイが魔法を撃つが無傷で終わる。

 

そして悪魔の爪が伸び、「あっコレ死んだな」と察しがついた。

 

 

『助けますか?』

 

「いや、良い。死体でも回収出来たら良いんだがな」

 

 

ここからどう頑張ってもイビルアイが生き残るルートは無い。

いや、確かにウチが介入すれば問題無く救出出来るが、その場合アインズ・ウール・ゴウンと敵対する恐れがある。

野良悪魔だと確定しているならともかく、この状況でイビルアイを助けるのはリスクが大きすぎるのだ。

 

 

 

さらばだイビルアイ……グスッ。別に会ったこともないから愛着無いけど……。

 

 

 

イビルアイに心の中で別れを告げた瞬間の事だった。

 

 

悪魔とイビルアイの間に何かが落ちて来たのだ。

 

 

土煙が晴れると、そこに立っていたのは黒い全身鎧(フルプレート)と二本のバスターソードを見に纏い、胸に最高位冒険者の証をぶら下げた男。

 

 

漆黒の英雄、モモンであった。




モモンさまぁ♡
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