軍事国家、作ります!   作:たーなひ

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今日の午前中にも一話出してるのでそちらを見てない方は先に見てください。アレね?将軍顔合わせのヤツね?

キリが良いのでちょっと短め。


報告会

エリカたんとハプニングがあってから、一週間が経過した。

あの後は普通に付き人として付き合ってくれることになった。もう一度言う。付き合ってくれるようになった。大事なことなのでもう一度言います。()()()()()()()()()()()()()()。……………虚しくなるからやめよう。なんか惨めだ。

 

そんなわけで、この一週間エリカと色々な事を試していた。

その間にわかった事がいくつかある。

まず、基本的にはゲームと殆ど同じ仕様であること。例えば取得してない職業の武器は使えないし、装備出来ない。

物理法則的には殆どのものが現実に即しており、ゲームでは存在しえない空気抵抗だったり水圧だったりが存在する。しかし魔法は使えるし、ギルド武器を使えばギルドの設定を弄るコンソールが出てくる。物理法則が息してないんだよなぁ。

イメージとしては、現実世界にこの国が世界を超えて転移して来た…といった感じだろうか。

スキルなんかも問題無く使えることは確認済みだ。

 

 

 

現状では特に大きな緊急性のある問題が無かった事は、〈伝言(メッセージ)〉による連絡が無かったことからも分かる。

そして今日は一週間の国内外調査が終了する日だ。

 

探検隊とカルロスの報告を将軍達と共に聞くために集まっていた。

 

 

「よし。まずは国内の状況から聞かせてもらおうか」

 

「かしこまりました。率直に申し上げますと、殆ど問題はございませんでした。気候の変動や地質の変化によって農作物に影響が出る…ということはありません。しかし……」

 

「どうした?」

 

「食料、そして金が不足しております。いえ、正確にはこれから不足する可能性がある…といったところでしょうか」

 

 

……まあ、食料に関しては分かってた問題だ。だがそれは最悪国土を拡張して農地を増やせば問題無い。

しかし、金か……。そんなに貧乏では無かったはずなんだが…。

 

「食料は分かるが、金…というのは?」

 

「はい。がぶりえる王が金貨を大量に消費した影響で、国内の財力が大きく低下しております。それを補填するのに資金源が必要なのですが、現状、資本をエクスチェンジボックスに投入する以外の金策が無いのです」

 

「……カルロス貴様、がぶりえる王のせいで財政難に陥ると、そう言いたいのか?それは不敬ではないか?」

 

「い、いえ、そのようなことは……」

 

「やめろ神楽。カルロスが言った通りアレは私が後先考えずに召喚したせいだ。カルロスの言った事は正しい」

 

「はっ」

 

「よし。国内の問題としてはこれぐらいか。解決策は後で考えるとして、外の報告を聞こう」

 

「はっ!六連星を代表して、畜生道がご報告致します!まず、この周辺にはアンデッドが多数湧いておりました」

 

「ふむ。エルダーリッチとかか?」

 

「いえ、殆どがスケルトンなどの低位のアンデッドでした」

 

スケルトン…ただの雑魚モンスだな。レベルが低い地帯だったりするんだろうか。

 

「なるほど。続けてくれ」

 

「はっ。6手に分かれて捜索したところ、私の班が商人と思しき集団と接触する事が出来ました」

 

ほぉー。第一村人か。

 

「彼らから地図を買い取る事が出来ましたので、ご覧下さい」

 

地図ゲットしたの!?それはデカい。

ユグドラシルじゃ自力で埋めないといけなかったからなぁ…。

 

あれ?『買い取った』って言ったよな?

 

「買い取ったって、金なんか持っていたのか?」

 

「いえ、彼らを護衛する代わりに地図を貰いました」

 

なるほど。やるじゃん畜生。

 

「それでこちらが地図になります。」

 

 

どれどれ。

 

端っこしか載ってないな。もっと内陸部は載ってないのか…。

 

 

「こちらのカッツェ平野と呼ばれる平野が我々が転移して来た場所になります」

 

ふむ……。

 

「それでその後は?」

 

「はい、バハルス帝国なる国に入りまして、そこで情報収集をきていました」

 

帝国……国があるのか。すぐ北にある国がバハルス帝国ということか。なるほどなるほど。

 

「詳しくはまた後で聞こう、それで他の班は?」

 

「はい。修羅道の班がリ・エスティーゼ王国のエ・ランテルという都市で情報収集を行なっておりました」

 

ほう。この一番近い都市か。なるほどなるほど。

 

「そしてスレイン法国に天上道、竜王国に地獄餓鬼道が行きました。残りは都市を見つけられず、土地や周囲のモンスターなどを調査しておりました」

 

「なるほど。報告ご苦労」

 

すげぇ。こんなにスムーズに情報が集まるとは……。

360度囲まれてるとは言え、この右も左も分からない状況では美味しいな。

 

 

「で、警戒が必要な強者はいたか?」

 

「いえ、居ませんでした。最大でもレベル15程度かと思います」

 

なるほど。強者は居ない…と。

 

うーん、他にプレイヤーは居ないのか?俺だけだと少し…いや結構寂しいんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

六連星から集めた情報を集めると、次のようになる。

 

この周辺は人間種の国で、竜王国の向こう側には獣人(ビーストマン)の国があるらしい。ちなみに獣人にとって人間は捕食対象のようだ。

人間種は劣等種なので、この端っこに追いやられている。

王国と帝国は、つい最近一つの国から分裂したらしい。

冒険者組合、冒険者なるものが存在する。

スレイン法国は人間至上主義で、亜人や異形種は駆除の対象である。

スレイン法国は宗教国家である。

過去に500年前に六大神、400年前に八欲王、100年前に魔神など、強大な存在が現れたらしい。

モンスター、人間含めレベルが低い。

魔法はユグドラシルと同じものだが、第三位階が使えれば良いと言われるぐらいレベルが低い。

 

と言った具合だろうか。

 

特に気になるのは六大神やら八欲王などの、強大と言われる存在の事だ。100年ごとに歴史に現れているのは不自然過ぎる。たまたまということもあるが、なんと今年がちょうどその100年の周期の年らしい。

こうなるとますます臭い。プレイヤーが100年ごとに転移している…なんて事もあるかとしれない。

ユグドラシルの魔法があることがその仮説を裏付けているようにも思う。

 

後、レベルが低いというのも気になる。ただのNPCなのか、この世界ではこれが普通なのか。早い話、歩兵部隊のレベルは30なので、彼らに侵攻させれば強者を炙り出すことも出来るだろう。流石にやらないが。

 

 

 

 

彼らによると、ちょうどカッツェ平野全てに被さるようにこの国は存在しているらしい。つまり、元々カッツェ平野だった部分がほぼ丸ごと神の国と入れ替わったということになる。

 

 

おそらく、この世界の人間はビビり散らかしているだろう。

ほんの一瞬、ほんの一瞬でアンデッドの巣窟だった平野に国が建っているのだから。

 

だが、これは明らかに厄介ごとだ。

こんなポッと出てきた得体の知れない国を歓迎する筈もない。

それに俺は天使だ。基本的には人間だが、スレイン法国的にそれがセーフなのかアウトなのか微妙な所だろう。

 

 

そもそも権力が俺にしか無い超超絶対王政状態だから、俺が方針を決めれば反対などなくその通りに国が動き出せる。貴族がいたりしたら大変だろうことは目に見えているからその点はラッキーだ。

 

 

 

 

直近では、食料と財政の問題が挙げられている。

だが、それは簡単に解決するのだ。

それは貿易。

六連星の情報では、ユグドラシルのアイテムは付加価値含めて漏れなく超高額で売れる。金貨などの質もユグドラシルの方が高い。それにエクスチェンジボックスがあるから最悪金貨には困らない。

他国と取引する事が出来れば、食料も輸入出来るし、財政も周り始めるだろう。国内の金貨との交換比率なんかは後で決めれば良いはずだ。

 

うん、貿易良いじゃん!

そうと決まれば他国に使者を送らないと!

 

 

てんしょーけんおーしょーねんしせつー♪♪

 

 

_______________________

 

 

 

「神官長!神官長!!」

 

ある国のある中枢、一人の男が“神官長”の男を呼んでいた。いや、叫んでいた。

これは珍しい事で、その焦った様子から緊急性の高さが窺える。

 

「神官長!」

 

「………どうしたのだ騒々しい」

 

顔を顰めながら怪訝そうに問いかける。

 

走ってきたようで、その男は息を切らしていた。

息を整える間もなく、男は一大事は報告した。

 

 

 

「…カッツェ平野に、突然…く、国が現れました!!」

 

 

________________________

 

 

〜ある国〜

 

 

「何?それは本当か」

 

「いかがしましょうか、皇帝陛下」

 

「そもそも、それは確かな事なのか?」

 

「間違いございません。つい昨日までは間違いなく普通のカッツェ平野で、冒険者達も向かっておりました」

 

_______________________

 

〜またある国〜

 

 

「むぅ…。信じられんな」

 

「ちょ、うるさいですよ!」

 

「……私を揶揄っているのか?」

 

「いや、私だって信じられませんよ」

 

「…法国がまた何か変な事でもやっているのか?」

 

「さぁ?」

 

 

 

カッツェ平野に突如国が現れた事は、瞬く間に周辺国家に知れ渡っていた。




今のうちに、国の文明レベルとかを説明しておこうと思います。

この国は住宅地、工業地区、農業地区、商店街の4つに分けらる。
住宅地は全て高層マンション。これは少ない土地の中に出来るだけ人口を詰め込む…ということを考えた末にこうなった。
工業地区には生産系の工場が立ち並ぶ。ユグドラシルでは素材を注ぎ込めば武器やら道具なんかが出来た。
農業地区の農地は全て温室内にあり、天候に左右されない。狭い土地で人口に合うように生産力を追求したら温室という最高クラスの設備にせざるを得なかった。
商人NPCはアーケード街に集めて出店させた。イメージは銀座とか道頓堀とか。
国土の周りを20メートルほどの壁で囲っている。
見かけの文明レベルは現代レベルだが、実際は魔法やデータやツールなんかでそれっぽくしているだけなので、技術によって発展しているという訳では無い。

って感じで考えてるんですけどどうでしょう?
転移後の世界の人にとっては近未来的な感じにしたかったんやけど、こうして想像してみるとあんまりオサレじゃないんですよね。無難に中世ぐらいの方が良いんかね?
もし良ければ意見下さい。

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