白と七人の歌姫   作:火の車

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関係

 休日ってのは怖いくらい早く終わる

 

 まぁ、毎日休日みたいな俺だからだろう

 

 そんな俺は今日も屋上で寝転んでる

 

燈(あー......)

 

 良い感じに風が吹いてて気持ちがいい

 

 もう完璧な昼寝日和だ

 

燈(マジで寝そう......まぁ、いいや。)

 

 俺はそう思い目を閉じ

 

 意識を落として行った

__________________

 

 目を覚ますと

 

 俺は夕方の少し薄暗い学校にいた

 

 人の気配を感じない

 

燈(誰もいないのか?)

 

 周りを見渡しても、

 

 夕日に照らされた廊下しか見えない

 

 てか、なんでこんなとこにいるんだ?

 

黒猫「__にゃー。」

燈「ん?黒猫?」

 

 今の状況を整理してると、

 

 目の前に黒猫が座っていた

 

 何と言うか、妙に貫禄がある

 

 俺よりもはるかに年上みたいだ

 

黒猫「にゃ。」

燈「?」

 

 黒猫はついて来いとばかりに首を振った

 

 そして、廊下を歩き始めた

 

 俺はそれについて行くことにした

__________________

 

 黒猫はゆっくり歩き

 

 少し時間をかけて屋上まで来た

 

 なんで、ここに連れて来たんだ?

 

燈(特に変わったところはない。)

 

 俺がいつもいる、ただの屋上

 

 変わった所なんて全くない

 

黒猫「にゃー。」

燈「なんだ__!?」

黒猫「......」

 

 俺がいつも寝てる場所に

 

 さっきまでいなかった何かがいた

 

燈(あ、あれは、俺?)

 

 あれは寝てる俺だ

 

 俺か疑わしいくらい穏やかに寝てる

 

 間抜けな面してやがる

 

?『__白。』

燈「!!!」

 

 背筋に少し寒さを感じた

 

 本能が何かを訴えかけてきてる

 

 しかも、この声、知ってる

 

燈(なに......!?)

 

 俺の背後にいた気配はいつの間にか消え

 

 眠ってる俺の横に移動していた

 

 なぜか気配の正体の顔が見えない

 

 影がかかってやがる

 

燈「......これは。」

 

 確信した、これは夢だ

 

 俺はそれが分かると、少しため息をついた

 

 俺が俺を見てる時点で気付けよ......

 

?『__しの__白__』

燈「......時間か。」

 

 周りの景色がまるで

 

 テレビの砂嵐みたいになっていく

 

 夢から覚める時間みたいだ

 

燈(バカな夢見たな__)

 

 俺は体が宙に浮くような感覚を感じながら

 

 眠りから覚めて行った

__________________

 

燈「__ん......」

 

 目を覚ますと、

 

 今度はまだ日が高い昼の屋上だった

 

燈(たくっ、もうちょっといい夢見せてくれよ。猫と戯れる夢とか。)

こころ「何の夢を見てたの?」

燈「っ!?」

こころ「あら?」

燈「......な、何してやがる?」

 

 驚いてつい飛びのいちまった

 

 マジでびっくりした

 

こころ「燈に会いに来たのよ!」

燈「なんでだよ。」

 

 こいつ、マジで何考えてるか分からねぇ

 

 なんだよ、会いに来たって、怖いわ

 

燈「はぁ......」

 

 俺はため息をつきながら腰を下ろした

 

 ちょうどよかった

 

 俺もこいつに聞きたいことがあったんだ

 

燈「あの辺にいた動物、どうなった?」

こころ「あたしの家にいるわ!みんな元気よ!」

燈「そうか。」

 

 なら、よかった

 

 あの辺には結構な数の動物の気配があったし

 

 これで殺処分される動物も減っただろ

 

こころ「燈は本当に動物が好きね!」

燈「まぁな。」

こころ「素敵なことよ!」

燈「そうか。」

 

 俺はそう答えて空を眺めた

 

 空は青いねぇー

 

 てか、今何時だ?

 

燈(この太陽の位置......もう昼か。)

 

 結構寝たな

 

 なんか体中が痛いし

 

 昼からは保健室で寝るか

 

香澄「__佐渡くーん!お昼だよー!」

彩「か、香澄ちゃん、早いよ!」

燈「騒がしいやつが来やがったな。」

香澄「あー!こころんもいる!」

彩「あれ?今日は一緒にいるんだ?」

燈「勝手にこいつが来たんだ。」

 

 俺は固まった肩を回しながらそう言った

 

 戸山とピンクは首をかしげてる

 

彩「それにしては2人の距離近いね?」

燈「あ?そうか?」

こころ「そんなことないわよ?」

彩「え?いや、近いよ?肩当たってるし。」

燈「......ん?」

 

 そう言えばそうだ

 

 なんか自然過ぎて気付かなかった

 

燈「離れろ。」

こころ「いやよ。」

燈「いや、なんでだよ!」

香澄(あれ?こころん、少しむくれてる?)

こころ「あたしはここにいたいわ。」

燈「勘弁してくれ。」

 

 なんだってんだこいつは

 

 元からこういう奴だったような気もするが

 

 なんだ?

 

燈「おい、腕掴むな。疲れる。」

こころ「いいじゃない!」

燈「良くないから言ってるんだよ。」

彩「わ、わぁ、仲良しになったね!」

こころ「えぇ!」

燈「それはない。」

 

 無視してたら事実を捻じ曲げられる

 

 何勝手に仲良くなってんだ

 

こころ「むぅ~、ひどいわ!」

燈「事実だろ。俺とお前の間には何もない。」

香澄「そうなの?」

燈「あぁ。俺とこいつの関係は何も変わらない。」

彩「うーん?」

燈「どうした、ピンク。」

彩「何と言うか......」

 

 ピンクは考えるような動きをし

 

 首をひねって、少しうなった後

 

 口を開いた

 

彩「こころちゃん、恋する乙女みたいに見えると言うか......」

こころ「!?///」

燈「あ?」

彩「いや、ほんとに何となくなんだけどね!」

燈「何頭の中ピンクなこと言ってるんだ。ピンクなのは外側だけにしとけ。」

彩「ひどいよ!?って、まだ名前覚えてなかったの!?」

燈「言われてないから。」

彩「私の名前は丸山彩だよぉ!」

 

 丸山彩か

 

 よし、覚えた(気がする)

 

燈「って、なにしてるんだ?」

こころ「ふぇ......?///」

燈「顔赤いぞ。風邪でもひいたか?」

こころ「い、いえ、そんな事ないわ......///」

燈「......?」

 

 嘘だな

 

 今まで色んな人間の状態を見て来たが

 

 この状態は良くないときのだ(多分)

 

燈「嘘ついてんじゃねぇよ。」

こころ「~!///」

香澄、彩「えぇ!?」

 

 俺はこころの額に手を当てた

 

 そして、温度を感じるのに集中した

 

燈「ほら、熱あるじゃねぇか。さっさと保健室行くか帰れ。」

こころ「あ、燈......///」

燈「あ?」

こころ「き、今日は帰るわ......///」

燈「ん?あぁ。じゃあな、こころ。」

香澄、彩「!?」

こころ「えぇ///」

 

 こころはふらふら歩きながら屋上から出て行った

 

 様子が変過ぎるな

 

 まぁ、あの保護者みたいな奴がいるし

 

 大丈夫だろ

 

燈「どうした?」

香澄「い、いつから、そんなに仲良くなったの?」

燈「別になってねぇよ。」

彩「いやいやいや。」

燈「?」

 

 戸山と丸山は首を振ってる

 

 何してるんだ、こいつら?

 

彩「おでこ触ってたし。」

香澄「名前も呼んでたよね?」

燈「名前はあいつが呼べって言ったんだ。」

香澄「そ、そうなの?」

燈「あぁ。」

 

 俺は深くうなずいた

 

 すると、2人は少し考え始めた

 

香澄(これってー......)

彩(こころちゃんの片思い、だね。)

燈(そろそろ保健室行きたい。)

 

 それから、

 

 俺は2人に意味の分からん質問をされ

 

 なんだかんだで、保健室に行ったのは

 

 昼休みが終わってからになった

 

 あいつら、意味わかんねぇ......

 

 

 


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