白と七人の歌姫   作:火の車

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初日

 一ノ瀬に追い出されて一晩が経った

 

 俺は新しく済むことになったアパートの一室で目を覚ました

 

燈(__あの野郎、急に追い出しやがって。)

 

 俺は寝ても覚めても奴への復讐を考えてる

 

 次あった時、出会いがしら食らわせる

 

燈(そう言えば、あいつ学校がどうのこうの言ってたな。)

 

 俺はそう思い、時計を確認した

 

 その時計は8:25分と表示されていた

 

燈「......」

 

 確か、登校時間って8時30分だったな

 

 完全に遅刻でだなー

 

燈「ま、いっか。」

 

 まぁ、行くだけ行けばいいだろ

 

 俺はそう思って立ち上がり

 

 色んな用意をして、アパートを出た

__________________

 

 俺はアパートを出て

 

 桜の木が並ぶ道を歩いてる

 

燈(まさか、今更学校とはなー。)

 

 制服なんて着たのいつ以来だ?

 

 確か、最後は中一くらいだな

 

燈(ふぁ~。眠い......)

 

 春って季節はどうしても眠くなる

 

 いい感じに暖かいからか

 

 俺は春の陽気を感じつつ

 

 花咲川に向かい歩いて行った

__________________

 

 ”花咲川”

 

 花咲川は始業式の真っ最中

 

 春休み明けからか、

 

 生徒間には浮ついた空気が流れている

 

紗夜『__それでは、最後に転入生の紹介を......』

燐子「あの、氷川さん......」

紗夜「はい?」

 

 紗夜は燐子に呼ばれ

 

 後ろに振り向いた

 

紗夜「どうかしましたか?」

燐子「その、転入生の人がまだ来てなくて......」

紗夜「えぇ?」

燐子「連絡もつかないらしくて、その......」

紗夜「全く、どんな人なんですか!」

燐子「お、落ち着いて......」

 

 燐子は慌てて紗夜をなだめている

 

 紗夜は常識外れの転入生にご立腹だ

 

 ドンッ!!!

 

紗夜、燐子「!?」

 

 その時、何者かが裏口のドアを叩いた

 

 音を聞いただけでわかる、かなりの威力だ

 

「な、なんだ!?」

「ご、強盗!?」

紗夜『皆さん、落ち着いてください!』

有咲「でも、これはヤバいですって!」

燐子(こ、怖い......)

 

 瞬間、裏口のドアが破壊された

 

 鉄製のドアが外れて倒れ

 

 かなりへこんでいる

 

燈「__おー、なんかいっぱいいる。」

 

 そこから顔をのぞかせたのは

 

 花咲川の制服に身を包んだ

 

 白い髪の男子生徒だった

 

 ”燈”

 

 ドアをこじ開けて

 

 建物の中に入った

 

 なんか、すごい見られてる

 

燈「?」

紗夜「あ、あなたは誰ですか!」

燈「ん?」

 

 少し間が空いて

 

 なんか、水色の髪の女が話しかけて来た

 

 誰だこいつ?

 

燈「なんか、ここに来いって言われたから来た。」

燐子「という事は、転入生の方......ですか。」

燈「多分それ。」

 

 転入生か何かは知らんが

 

 まぁ、そうなんだろ、多分

 

 てか、なんか雰囲気おかしくね?

 

紗夜「あなた、何考えてるんですか!?」

燈「?」

紗夜「なんで、ドアを壊したんですか!」

燈「あー、何か迷って、声したから。」

有咲(ドア壊した理由それ!?)

 

 この建物広いんだよなー

 

 迷っちまったじゃねぇか

 

紗夜「ドア壊した挙句、遅刻もして、あなたには常識がないんですか!?」

燈「んー。」

紗夜「しかもその制服!ちゃんと着なさい!」

燈「えー。」

 

 なんか、すごい怒られてるよ

 

 学校来た初日だぞ?

 

 いやー、すっごい

 

紗夜「聞いてるんですか!?」

燈「あ、ごめん。聞いてなかった。」

紗夜「あなたは......!」

 

 なんか、女がワナワナしてる

 

 これは、あれだ

 

 唐揚げにレモンかけた時の一ノ瀬だ

 

燈「まぁまぁ、そう興奮するなって。カリカリしてると顔にしわ寄るぞ?」

紗夜「だ、誰のせいだと......!!」

燐子「ひ、氷川さん、落ち着いてください......」

有咲「み、みんな見てますよ!}

紗夜「......」

 

 いやー、学校って難しいな

 

 こいつはあれか、

 

 中学の時にいた委員長みたいなやつ

 

 あの時も結構、小言多かったなー

 

 そんな事を考えてると、

 

 俺の携帯が鳴った

 

燈「ん?」

 

 一ノ瀬からメールだ

 

 なんか書いてる

 

 学校で守る事?

 

・物を壊さない

・丁寧な言葉で話す

・暴力を振るわない

・ルールを守る

・お勉強する

 

 という事が書いてある

 

 とりあえず、もう手遅れだな

 

燐子「と、取り合えず、皆さんに挨拶をしてみてください......」

燈「挨拶?それは敬語を使う奴か?」

燐子「え?えっと、はい......」

燈「分かった。」

 

 俺は黒髪の女に言われ

 

 壇上?に上がった

 

 うわー、すごい人数

 

 てか、一ノ瀬からメール来てる

 

燈「ボクハ佐渡燈デス。」

有咲(す、すっげぇ片言。)

燈「えーっと?コレカラ、ヨロシク。」

 

 よし、一ノ瀬のメール通りに言えたぞ

 

 これは勝ったな、間違いない

 

 俺はそう思い、壇上?から降りた

 

燈「あれでいいのか?」

燐子「は、はい......」

理事長「君が、佐渡燈君か。」

燈「お、あんたが理事長とか言う奴か。」

理事長「あぁ、よろしく。」

 

 なんか、優しそうなおっさんだ

 

 おっさんは俺について来いと言ってきた

 

 俺はおっさんについて行った

__________________

 

 おっさんに案内されたのは

 

 理事長室という部屋だった

 

 俺はそこのソファに座らされた

 

理事長「__取り合えず、君は聞いた通りの子だね。」

燈「あー、一ノ瀬から?」

理事長「あぁ。」

 

 じゃあ、話は早いな

 

 俺の事も分かってるだろ

 

理事長「君は地図は読めるかね?」

燈「まぁ、多少はな。」

理事長「じゃあ、これを。」

 

 おっさんは俺に何かの紙を渡して来た

 

 どうやら、建物内の地図らしい

 

理事長「今回のドアの件は水に流すから。今後、気を付けてくれ。」

燈「へーい。」

理事長「それと、君はどのクラスに行きたい?」

燈「クラス?」

理事長「Aから始まるんだが、どこがいい?」

燈「そうだなー......Aだな。」

理事長「そうか。分かった。」

 

 おっさんはそう言って椅子から立ち上がり

 

 俺もソファから立ち上がった

 

理事長「案内しよう。ついておいで。」

燈「おう。」

 

 俺はおっさんについて

 

 理事長室を出て行った

__________________

 

 しばらく歩き

 

 俺は教室の前まで来た

 

 そして、おっさんと一緒に

 

 教室に入った

 

燈「__おぉ、ここが教室か。」

担任「あの、自己紹介をお願いします。」

燈「自己紹介?」

 

 名前言えばいいのか?

 

 いや、間違いなくそうだ

 

燈「佐渡燈だ。」

担任「......」

クラスメイト「......?」

燈「?」

 

 なんだ、この雰囲気

 

 全員、何か首をかしげてるぞ

 

理事長「もう少し、何か言ったらどうだ?」

燈「何か?」

 

 何かねー

 

 うーん、何かあるか?

 

燈「(こいつらに話すことは)ない。」

理事長「そ、そうか。」

担任「じゃあ、何か佐渡君に質問ある人ー?」

香澄「はい!」

燈「?」

 

 なんか、変な髪型の女が手を挙げた

 

 それにしても、なんだ、あの髪型は

 

香澄「キラキラドキドキしてますか!」

燈「んー。」

 

 キラキラドキドキねぇ

 

 てか、なんだそれ

 

燈「良く分からん。」

香澄「そうですか......」

 

 なんだよ、キラキラドキドキって

 

 こいつ、頭悪そうだな(特大ブーメラン)

 

 まぁ、それから色々あり

 

 俺は指定された席に座った

 

燈(__あー、やっと座れた。)

香澄「よろしくね!佐渡君!」

燈「あー、猫耳女。」

香澄「猫耳って、私!?私は戸山香澄だよ!」

燈「あ、そう。」

 

 よし、名字は覚えた

 

 てか、やっぱ髪型が引っ掛かる

 

香澄「あと、この髪は星だよ!」

燈「星?」

 

 これ、星だったのか

 

 じゃあ、こいつはもういいや

 

 俺はそう思い、窓の外を見た

 

香澄(あれ?)

燈(あ、雀いた。)

香澄「ねぇ、佐渡君?」

燈「あ?」

香澄「何か話さないの?」

燈「もういい。興味ない。」

香澄「え?」

 

 俺はそう言って

 

 大きくあくびをした

 

燈(今日は口うるさい水色女にオドオドした黒髪、理事長のおっさん、星型の女がいた、と。)

 

 俺は一ノ瀬にそうメールを送った

 

 これから、めんどくさそうだなぁ

 

 これが、登校初日の俺の感想だった

 

 

 


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