”イギリス”
?「__ば、バカな!」
とある町に建つ豪邸の一室
そこで、1人の男が叫び声をあげた
その声は悲鳴にも怒号にも聞こえる
??「誤算だった、とでも言いたそうだね。」
?「報告には無かったが、まさか生きながらえてたとは......」
男は下唇を噛み険しい顔をしている
もう1人の男は涼しい顔をして様子を伺っているようだ
?「奴の存在が知れれば、私の立場は......」
??「......」
?「どうにかして、殺さないと......」
??「......報告書は以下の通り。後は好きにすればいい。」
?「あぁ、助かった。まだ、あれの存在はバレていない。まだ間に合う......!」
男は机上の電話を手に取り
焦った様子を隠せないままどこかへ電話をかけた
?「久しいな、ジャック。」
ジャック『__ヘイ、どうしたんだい、小住。』
小住「お前の腕を見込んで頼みがある。日本にいるある人間を殺してほしい。」
ジャック『人間?またかい?』
小住「あぁ、データはもう送った。報酬は弾むぞ。」
ジャック『まぁ、どうせ楽な仕事だろう。ターゲットの名前は?』
小住「......名前は佐渡燈だ。」
ジャック『オーケー。』
そうして、小住は電話を切り
ホッと息をついた
??「......随分な焦りようだね。」
小住「ふん。あいつに任せればあんなもの恐るるに足らん。」
??「まぁ、精々頑張ってくれ。」
もう一人の男はそう言って部屋を出て行った
その後、小住は忌々し気な顔をした
小住(イレギュラーが生きながらえやがって......!)
小住の歯ぎしりの音は大きく
綺麗な部屋の中に響いた
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”燈”
体育祭とやらが終わり、
俺は自堕落な生活を再開していた
燈「......」
今日は学校に行く気も起きずに
制服に着替えたは良いが
なんだかんだ、その辺でボーっとしていた
燈(何してるんだろ、俺。)
あの日から、全てが狂った
頻繁にしてた喧嘩もする気が起きない
何にもやる気が起きない
蘭「__あれ、佐渡。」
燈「美竹か。」
蘭「なんか、ミイラみたいだね。」
通りかかったと思われる美竹は
若干呆れたような顔をしながら
そんな事を言ってきた
燈「相変わらず、失礼な奴だな。」
蘭「仕方ないでしょ。見たまんまなんだから。」
燈「......ふん。」
俺は美竹から目線を外し
またボーっとし始めた
蘭「はぁ......」
燈「?」
美竹はため息をついたかと思えば
俺の横に腰を下ろして来た
なんだ、こいつ
蘭「何か悩んでるなら聞くよ。暇だし。」
燈「......別に悩んでない。」
蘭「どうせ、前に負けたことでしょ?そんなにショック?」
燈「っ!!」
美竹にそう言われると
少し、頭が痛くなった気がした
痛いところを突かれたってこういう事か
蘭「誰だって負ける時はあるって。てか、佐渡は拗ねるタイプじゃないでしょ。」
燈「......拗ねてねぇよ。」
蘭「?」
燈「ただ......自分の存在意義が分からないだけだ。」
蘭「え?」
俺は驚いた顔の美竹を横目に、
ベンチから立ち上がった
そして、ゆっくり背中を向けた
燈「帰る。」
蘭「ちょっと待って。」
燈「あ?」
美竹は俺を引き留めたかと思うと
持ってる鞄の中を漁り始めた
そして、何かを俺に差し出して来た
蘭「これ、来てみない?」
燈「なんだこれ?」
蘭「ライブのチケット。今度ライブするんだ。」
燈「......ふむ。」
蘭「もしかしたら、元気になるかもしれないよ?」
燈「......」
バンドか
音楽なんてほとんど聞かないし
興味があるかと言われれば、ない
蘭「興味ないだろうけど、来てみなって。ね?」
燈「......まぁ、いいぞ。(やることないし。)」
俺は美竹からチケットを受け取った
いくつかバンドが出るみたいだ
これのどれかに戸山とかもいるのかもしれない
あいつらもライブ近いとか言ってたし
燈「じゃあな。」
蘭「うん__っ!」
燈「どうした__!」
俺が振り向くと、
美竹の体勢が極端に傾いていた
俺は咄嗟に地面と美竹の間に腕を挟んだ
燈「......何してるんだ。」
蘭「い、いや、人にぶつかられて。」
ジャック「__オーウ!ごめんなさーい!」
美竹がぶつかったと指を指した方には、
身長2mはありそうな巨漢が立っていた
黒々とした肌に瞳の色
多分、アメリカ人とかだろう
燈「......?」
ジャック「地図を見ていて前が見えてませんデシタ......」
蘭「い、いえ。大丈夫です。」
ジャック「カップルの時間を邪魔して申し訳ないデース。」
燈、蘭「は?」
外国人は肩を落としながらそんな事を言った
カップル?そんな奴どこにいるんだ?
蘭「は、はぁ!?違います!///」
ジャック「おーう、そ、そデスカ?」
燈「?」
美竹の奴は何を大声出してるんだ?
てか、この外国人
どこかで......
ジャック「ワタシはここで失礼シマース!ごめんなサイ!」
燈「......」
蘭「は、はい。」
外国人は陽気な表情のまま、
どこかへ歩いて行った
なんか、変な奴だったな
蘭「あ、あたしは行くから!」
燈「そうか。じゃあな。」
蘭「ライブ来るまでにその辛気臭い顔直してなよ!」
美竹はそんな事を言いながらどこかへ走っていった
あんなケース背負って、元気な奴だ
俺はそんな事を思いながら、
家に向けて歩きだした
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その晩、俺はいつも通りココ達に飯を出し
食べてる様子を眺めていた
この時間だけは心が休まっていい
燈(__それにしても、ライブか。)
俺は手に持ってるチケットを見た
こんなライブが出来るって事は、
あいつらはバンドとしての価値があるって事か
燈「......すごいな。」
ほんと、素直にすごいと思う
誰でも認める実力でここまでになる
俺には出来る気が全くしない
ココ「にゃ~?」
燈「うん?どうした?」
ココ「にゃー!」
燈「え?俺が笑ってる?」
ココ「にゃ!」
ココは嬉しそうに俺の膝に乗ってきた
てか、別に笑ってはなかったと思うが
どうなってるんだ?
ナキ、レナ、ルル「にゃ~!!」
燈「って、うわ、お前ら!ここに対抗して__」
3匹は俺の顔に飛びついてじゃれて来た
こいつら、マジで動くようになったな
子供の成長速いって言うが、これほどかよ
燈「はは、お前やっぱ可愛いな。」
俺は少しだけ苦しいと思いながら
しばらくの間、ココ達とじゃれて遊んだ
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少し日数が経ち、ライブ当日になった
俺は必要な準備を済ませて、
ライブハウス?という場所に来た
かなり人間がいて鬱陶しい事この上ない
燈「__どこに行けばいいんだ?」
まりな「あれ?君は......」
燈「あ?」
俺がきょろきょろ周りを見てると
何か年上っぽい女が話しかけて来た
なんかこいつ、顔芸とかしてそうだな
燈「なんだ。」
まりな「いや、君、佐渡燈君かな?」
燈「そうだ。」
まりな「あー!やっぱり!道理で白い髪だと思った!」
女は俺のに近づいて来て、
手を差し出して来た
燈「......金か。」
まりな「ち、違うって!チケット!」
燈「チケットは......これだ。」
まりな「お、忘れずに持って来たね!偉い偉い!」
燈「......」
なんだこいつ
初対面で人をガキ扱いしやがって
......いや、文句言うのはやめよう
なんか、こいつ不幸の匂いするし
まりな「ついて来て!お友達が待ってるよ!」
燈「?」
俺は女に連れられ、
なんか立ち入り禁止って書かれたドアに入った
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蘭「__来たね、佐渡。」
ドアに入ると、すぐそこに美竹がいた
壁にもたれかかって、何かカッコつけてる
様になってる、のか?
蘭「てか、私服それしか無いの?ダサいよ。」
燈「お前ほんとに失礼だな。別にいいけど。」
蘭「いや、いいんだ。」
一応、言っておく
俺の私服はほとんどパーカーとズボンだ
別にそれを疑問に思った事はない
香澄「__あ!佐渡君だー!」
こころ「燈ー!」
燈「......」
戸山とこころは俺を見つけるなり、
すごい勢いでこっちに走ってきた
俺はそれを避けるように横に飛んだ
こころ「なんで避けるの?」
燈「殺意を感じた。」
香澄「えー!そんなことないよー!」
燈「どうだか。」
俺はため息をつきながらそう言い
そして、美竹の方を見た
燈「おい、俺は何でここに来たんだ?」
蘭「いや、どうせ迷子になるだろうからって有咲が。」
燈「否定はしない。」
蘭「いや、して欲しいんだけど。」
レイ「__あれ、佐渡君?」
燈「和奏?」
美竹と話してると和奏が歩いてきた
すごい堂々としてるけど、いつも違いを感じない
自然体って感じがする
レイ「少しは元気になった?」
燈「見ての通りだ。」
レイ「じゃあ、あんまり元気じゃないね。」
燈「......」
なんで分かるんだ、こいつ
まさか、エスパーってやつか
レイ「今日は楽しんで、それで元気になってくれればいいよ。」
燈「お前ら次第だ。」
彩「__あれ!?佐渡君!?///」
燈「あ、もう知ってたわ。」
彩「え?」
戸山とこころがいた時点で、
前に話してた丸山もいるのは予想できた
だから、別にもう驚くこともないな
彩「って、そうじゃなくて。なんでここに!?」
燈「美竹に呼ばれた。」
彩「そうなんだー!」
丸山は嬉しそうな顔をしてる
何がそんなに嬉しいんだか
変な奴だな
レイ「仲良しなんだね。」
燈「そうか?」
レイ「うん。友達、いたんだね。」
燈「何をもって友達か分からん。」
レイ「そうだった。佐渡君はそんな感じだよね。」
和奏はそう言ってきた方に体を向け
少し手を挙げた
レイ「また、会おう。私はステージにいるけど。」
燈「あぁ。」
和奏は手を振りながらどこかへ歩いて行った
バンドマン?って感じがする背中だな
バンドマンを知らないんだがな
蘭「あ、そろそろ来る頃だ。」
燈「?」
蘭「ここの角を__いや、案内するよ。ついて来て。」
燈「あぁ。」
俺は美竹にそう言われ、後をついて行った
そろそろ、ってどういう意味だろう
__________________
暫く通路を歩き、あるドアの前に来た
向こうから人間の声が聞こえる
俺がそんな事を思ってると、
美竹はゆっくりドアを開けた
ましろ「__あ、佐渡さん......!」
燈「倉田?」
蘭「見に来るって言ってたから案内役してもらおうかなって。」
ましろ「ま、任せてください。絶対に離れません......!」
蘭「あ、うん。ありがとう(?)」
倉田は凄い食い気味で美竹に詰め寄った
美竹、若干だけど引いてるな
俺からすると面白いだけだが
蘭「ま、まぁ、よろしく。すぐ迷子になるから。」
ましろ「はい!行きましょう、佐渡さん!」
燈「あぁ、分かった。」
俺は先を行く倉田の背中を追った
白い髪少ないから追いやすいな
とか、そんな事を考えてた
__________________
ちょっと移動して
俺と倉田は2階席まで来た
そこに4人の女が立っていた
ましろ「お、お待たせ......!」
つくし「あ、戻ってきた!」
七深「なんで疲れてるの?シロちゃん?」
透子「体力不足っしょ~!」
瑠唯「......あなたは。」
燈「......ちっ。」
そう言えば、バンドしてるって言ってたな
だったら、仲間がいても不思議じゃない
だが、こう言う奴らか
ましろ「あ、紹介します。この人たちは__」
燈「いい。」
ましろ「え?」
燈「......一斉に言われても覚えられない。」
俺はそう言って、倉田以外の4人から目をそらし
出来るだけ、倉田だけを見るようにした
燈(金持ちの気配は落ち着かん。)
ましろ「......///(す、すごく見られてる///)」
透子「......あっ。(あー、この人かー。)」
七深(しろちゃんのー。)
つくし(スケベの正体!)
瑠唯「......」
あっちの4人、かなり俺の方を見てる
何か狙ってるのか、いや、殺気はない
ただ興味があるとか、そう言う感じだ
燈「おい、倉田。」
ましろ「は、はい///」
燈「ライブはいつ始まるんだ。」
ましろ「えっと、もう少しで__!」
燈「!」
倉田が喋ろうとすると
突然、照明が落ちて会場が真っ暗になった
なんだ、ライブが始まるのか?
七深「......様子がおかしいかも。」
燈「!」
ましろ「た、確かに、少し暗すぎるかも......」
瑠唯「最低限の灯りもついていないわ。まるで、ブレーカーが落ちたみたいに。」
会場は異様な雰囲気に包まれている
全員、困惑してるのが見え見えだ
そんな時、遠くで何かを振るう音を感じた
燈「っ!伏せろ、お前ら!」
Morfonica「っ!」
俺は5人を突き飛ばし
姿勢を低くして周りを見渡した
燈「これか。」
つくし「な、ナイフ!?」
燈「理由は分からんが、俺狙いみたいだ。」
ましろ「え?」
ジャック「くくっ、仕事開始だ。」
理由も何も分からないし
誰が仕掛けてくてるかもわからない
だが、なぜか、向こうは俺を狙ってる
燈(......面倒だな。)
俺はそんな事を思いながら
少しの間目を慣らすことに努めた