白と七人の歌姫   作:火の車

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修行

 あの日、俺は結局あいつらの楽屋で気を失った

 

 それから目が覚めたら病院にいて、

 

 何故か、体は元通りになってた

 

燈(__あれは、何なんだったんだ。)

 

 俺は学校の屋上であの事を考えてる

 

 赤い水の中に沈んでるような感覚

 

 そして、記憶のない外国人との戦い

 

燈「......全く分からん。」

 

 最近、かなり言われるだが、俺は馬鹿だ

 

 そんな俺がいくら考えたって無駄だ

 

 何たって、バカだからな(ドヤ)

 

咲「__何1人でドヤってるの?」

燈「おわっ!!な、なんでここにいる!?」

咲「同じ学校の生徒なんだから当たり前でしょ。」

燈「あ、そっか。」

咲「......相変わらず馬鹿だね。」

 

 戸山咲は呆れたような声でそう言ってきた

 

 取り合えず、バカは否定しない

 

 てか、こいつは何でここに来たんだ

 

燈「それで、何しに来たんだ?サボりか?」

咲「そんなわけないでしょ。翼に怒られるし。」

燈「じゃあ、なんだ?」

咲「君に用があるんだよ。」

燈「?」

 

 戸山咲は俺の前に座った

 

 その動作だけでも、こいつの凄さが分かる

 

 一切の隙がなかった

 

 全てが戦闘に昇華されてる

 

 そりゃ、強いわけだ

 

咲「正確には、君が用がある頃じゃないかと思って。」

燈「!」

咲「前のあれ、気になってるよね。」

 

 こいつ、マジでエスパーなんじゃないか?

 

 滅茶苦茶ベストタイミングで来やがった

 

 流石にびっくりしたぞ

 

燈「分かってるのか?あれの正体が。」

咲「まぁ、大体。」

燈「あれは何なんだ?」

 

 これを知っておくのは役に立つ

 

 前の一件での外国人の言葉からして

 

 一回だけで終わるとは考えずらい

 

咲「あれは君の持って生まれた才能のリミッターが完全に外れた状態。」

燈「才能?なんだそれ?」

咲「気配を完全に消すことができる。」

燈「そんなことできるわけないだろ。そこそこな期間気配を頼りにしてきてるが、完全に消せる奴なんていなかったぞ。」

咲「私もそうだった。けど、君は実際に消した。私ですら感知できなかった。」

燈「そんなことが?」

 

 信じがたいが、嘘をついてるようにも見えない

 

 本当にそんな事が出来るって言うのか?

 

 でも、確かにそれくらいの事をしないと

 

 あの外国人との差は埋まらない

 

咲(ただ、この男の才能って呼ばれるものがあれだけなのか。)

燈「ん?どうした?」

咲「なんでもないよ。」

燈「そうか。」

咲(......ちょっと、面白そう。)

 

 なんだ、こいつ、なんで笑ってやがる

 

 なんか面白い事があったのか?

 

 てか、笑った顔まで恐怖を感じて来た

 

咲「ねぇ、ちょっと鍛えてみない?」

燈「は?」

咲「君って所謂、天才ってやつだからさ、伸ばしてみたくなった。」

燈「ふーむ......」

咲「......そろそろ、退屈してたんだよね。」

燈「っ!!」

 

 俺が唸ってると、

 

 戸山咲は低い声でそんな事を言った

 

 その瞬間、体中に鳥肌が立つのを感じた

 

咲「私、強くなりすぎちゃったみたいでさ、相手がいないんだよ。だから、退屈で仕方ない。」

燈「そ、そうなのか。」

咲「だから、思ったんだよ。自分で作ればいいじゃんって。」

燈「が、ガンバレ。」

咲「それで、良い素材が出て来たと。」

燈「......」

咲「付き合ってくれるよね?」

燈「......嫌__」

咲「あ、いいんだね。ありがとう。」

燈「」

 

 あ、話は聞いてくれないみたいだ

 

 逆らったら殺されそうだし、

 

 言うこと聞いとこ......

 

 俺はそんな事を思いながら頷き

 

 放課後、体育館に来いと言われた

__________________

 

 あれから時間が経ち

 

 なんだかんだで放課後になった

 

 俺は気が重いまま体育館の前に来た

 

燈(......俺は死ぬかもしれん。)

 

 マジで今、死を覚悟してる

 

 外国人もやばかったのに、

 

 さらにヤバい戸山咲と対面するだと?

 

 死ぬだろ(確信)

 

咲「__何1人で遊んでるの?」

燈「うわぁぁぁあ!!!」

咲「......うるさい。」

 

 今、一瞬だけ心臓が止まった

 

 魂がどこかへ飛んでいったぞ

 

 あー、焦った

 

咲「まぁ、入りなよ。」

燈「......分かった。」

 

 俺は戸山咲にそう言われ、

 

 死刑囚の気持ちで体育館に入った

__________________

 

 体育館の中では剣道部が練習している

 

 竹刀の音とか声が凄いうるさい

 

 そんな声出して舌噛まないのかね

 

 俺はそんな事を思いながらその真ん中を通った

 

咲「さてと、始めようか。」

燈「......あぁ。」

咲「さっきから何でそんなに元気ないの?」

燈(こいつ、朝の会話忘れてやがる。)

 

 と、いくら愚痴った所でこいつには勝てない

 

 それにこの先を考えれば強くならないといけない

 

 まぁ、頑張ろう__

 

咲「まぁ、君は体力だけはあるし。実践を積むよ。」

燈「あーもうなんでもいいよ(投げやり)」

 

 いや、死ぬかもしれない

 

 前の時点で加減してあれだぞ

 

咲「精々、才能を呼び起こすことに集中するんだね。」

燈「条件なんて知らんが、やるだけやる。」

 

 才能を呼び起こすってなんだよ

 

 あれの条件なんて全く知らないんだが?

 

咲「じゃあ、行くよ。」

 

 ”別視点”

 

 咲は一気に燈との距離を詰めた

 

 体育館の床がきしむ音は

 

 踏み込む足の強さを表している

 

咲「ふっ。」

燈「っ!」

 

 振られた竹刀は風圧と共に燈の目の前を通過した

 

 これには燈も冷や汗ものだ

 

燈(ま、前より速いだと?!)

咲「ほら、さっさとあれになってよ。」

燈「これなるためにやってるんだよな!?お前の戦闘欲求のためじゃないよな!?」

 

 燈は焦った顔のまま回避を続けている

 

 その間にも見えない速さの剣撃が飛び続けている

 

燈(避けろ避けろ避けろ!!!)

咲(回避性能上がった?)

 

 咲の竹刀はことごとく空を切る

 

 周りが見てもわかるほどに、

 

 今回、スピードが上がっている

 

 だが、当たらない

 

燈(集中集中集中集中)

咲(雰囲気が違う。すごく集中してる。)

燈(......あれ?)

 

 激しい攻撃の雨の中、

 

 燈は違和感を感じた

 

燈(なんか、ブレてる?)

 

 燈の目からは、

 

 竹刀が少しブレて見えている

 

 この変化に燈は戸惑っている

 

咲(少し、試してみよう。)

燈(取り合えず、一発手を出して脱出しねぇと!!)

咲「!!」

 

 燈は一歩踏み込み

 

 咲との距離を詰め......

 

燈「ガッ!!!」

 

 燈の顔は見事に竹刀に衝突し、

 

 鼻から出血しながらその場に崩れ落ちた

 

部員「お、おい!思いっきり倒れたぞ!?」

部員2「だ、誰か担架!!」

女子部員「し、死んだんじゃ......?」

咲「......」

 

 周りが騒然とする中、

 

 咲は一人だけ笑みを浮かべている

 

 誰にも気づかれていないが、

 

 その様子は異常だ

 

咲(私の攻撃より速くあそこまで踏み込めるなんて、まさか......)

 

 咲は少し考えるようなそぶりを見せ

 

 倒れている燈の方をじーっと見た

 

咲(まぁ、今日はこれで終わりかな。)

燈「」

咲「うわ、酷い。誰がやったんだろ?」

部員「咲先輩っすよ!?」

 

 咲はとぼけたようにそう言って

 

 その後、燈は保健室まで運ばれ

 

 目を覚ましたのは1時間後だった

 

 

 

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