白と七人の歌姫   作:火の車

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拷問屋

 ”イギリス”

 

 イギリスの豪邸の一室

 

 そこで、薄汚い笑い声が響いた

 

小住「__はーはっは!やった、やったぞ!」

??「......」

小住「奴の顔を見たか?あの無様な顔を!!」

??「......無粋なやり方だね。関係のない動物まで巻き込むなんて。」

 

 ??は静かな声でそう言った

 

 その表情は少し怒りの色が見える

 

 それを見て、小住は気持ち悪い笑みを浮かべた

 

小住「仕方ない犠牲だよ。元はと言えば、あれが存在するのが悪いんだ!」

??「......そうか。」

 

 ??はそう答えると、

 

 小住から目を離し、ドアの方に歩き

 

 部屋を出る直前、小住にこう言った

 

??「......殺せるといいね。あなたの汚点を。」

小住「殺すさ。なんせ、今回送り込んだのは、あれの天敵だからな。」

??「......」

 

 ??は静かに部屋を出て行った

 

 その後も小住の独り言が続いた

__________________

 

 ”友希那”

 

 あの夜から一晩明けた

 

 私はあの後、家に送ってもらって

 

 すぐに部屋に籠った

 

友希那「......っ。」

 

 私はあの現場に立ち会ってしまった

 

 思い出すだけでも吐きそうになる

 

 それほどに残酷な光景だった

 

 思い出したくなくても思い出してしまう

 

リサ「__友希那ー?起きてるー?」

友希那「り、リサ、ノックをしてちょうだい。」

リサ「あ、ごめんごめん!って、どうしたの友希那!?」

友希那「なに?」

リサ「すごいクマだよ!?」

 

 リサは私の顔を抑えてきた

 

 首が痛くなるからやめてほしい

 

友希那「......眠れなかったのよ。」

リサ「ど、どうしたの!?」

友希那「何も、ないわ。」

リサ「昨日も帰ってくるの遅かったし......まさか、あの不良に何かされたの!?」

友希那「っ!」

 

 リサから彼の名前が出た時、

 

 私の身体に電気が走ったような衝撃があった

 

 それは、すぐに熱に変わっていった

 

リサ「あいつ、友希那に手を出すなんて!もう警察に__」

友希那「彼を侮辱しないで!!」

リサ「!!」

友希那「何も知らないのに好き勝手言って楽しいの!?リサは彼の何を見たって言うの!?」

リサ「え、友希那......?」

友希那「......気分が悪いから、今日は出て行って。」

 

 私はそう言って布団の中にもぐった

 

 頭がグルグルして何が何かわからない

 

 ただ、彼が侮辱されるのが許せなかった

 

 彼は本当は優しくて、

 

 皆が言うような危ない人物じゃない

 

友希那「......っ。」

 

 昨日の顔を思い出すと、

 

 不思議と涙が零れてくる

 

 出来れば、あんな姿は見たくなかった

 

 あんな姿にさせた人物が憎くて仕方なかった

 

 この気持ちが何なのか、全く分からない

 

リサ「ゆ、友希那......」

友希那「......」

リサ「学校には、体調不良って言っとくね......」

 

 リサはそう言って部屋を出て行った

 

 それと同時に机に置いてあった携帯が鳴った

 

友希那(何なの?)

 

 私は携帯を手に取り、画面を確認した

 

 そこには、戸山さんの名前があった

 

 私は不思議に思いながら電話に出た

 

香澄『ゆ、友希那先輩ですか!?』

友希那「え、えぇ。どうかしたの?」

香澄『その、燈君がどこにいるか知ってますか!?』

友希那「え?佐渡君?どうして?」

香澄『私の従姉の咲ちゃんが、今日、燈君が学校に来てなかったらまずいって言ってて!それで、来てないんです!』

友希那「え......?」

 

 私は戸山さんの言葉を聞いて寒気がした

 

 昨日のあの笑い声、心当たりとすればそれ

 

 そして、分かったと言う言葉

 

香澄『友希那先輩!?』

友希那(い、行かないと!!)

 

 私はベッドに携帯を投げ捨て、

 

 急いで家を出て行った

__________________

 

 ”咲”

 

 ほんとにまずいことになった

 

 まさか、燈があいつの元に行くなんて

 

 流石にこれは予想外だった

 

咲(つまり、これは燈が成長したって事。)

 

 気配を追う精度が上がったって事

 

 何が起点か全くの謎だけど、

 

 私が追えない気配すら追うようになってる

 

咲(でも、まだまだ足りてない。)

 

 燈の戦闘能力は少しは上がってる

 

 並みの相手なら勝つことが出来た

 

 でも、今回の相手は強い

 

 通常時の燈より遥に強い

 

咲(才能があっても能力が発動しきれないと殺される。今、燈を殺されるのは私としても阻止したい。)

 

 それにしても、どこにいるか分からない

 

 気配、目撃情報、どれもあてにならない

 

 燈があいつの元に向かったのは昨日の夜

 

 誰かが見てるわけない

 

咲「__ん、あれは?」

 

 走り回ってる途中、

 

 私は香澄に言われた特徴の人物がいた

 

 彼女は確か......

 

咲「湊友希那だね。」

友希那「!」

咲「大体わかるよ。燈の事でしょ。」

友希那「......えぇ。」

 

 湊友希那は頷いて私の方を見た

 

 彼女は昨日のあの光景を見てる

 

 燈を探してるのは想定内

 

咲「何か心当たりはある?」

友希那「ないわ。」

咲「まぁ、そうだよね。」

 

 燈は絶対、自分の問題に他人を巻き込まない

 

 短い期間関わって分かったけど、

 

 燈はポリシーをきっちりと持ってる

 

 それは正しく、善人、いや、純粋

 

 ヒーローに憧れて真似する子供

 

 可哀想なくらいに純粋

 

咲「ん?」

友希那「携帯?」

 

 考え事をしてる途中、

 

 私の携帯が鳴った

 

 この音はメールで設定してる

 

 私は携帯を出して画面を確認した

 

咲「これ。」

友希那「佐渡君から?__!?」

 

 私の携帯画面には、

 

 『探しに来るな、横暴女。』

 

 そう書かれていた

 

友希那「こ、これ......」

咲「......(ベキィ!!)」

友希那「!?」

 

 私は携帯を握りつぶしてしまった

 

 いやー、口の悪い弟子を持つと大変だよ

 

 全く、燈......

 

咲「......殺す。」

友希那(こ、怖いわ......)

咲「絶対に見つけて、殺す。」

 

 私はそう呟いて大きく深呼吸をした

 

 そして、全身に思い切り力を入れた

 

咲(私を舐めない事だよ、燈。気配を探れなくても、本気を出せばそれ以外を探れるんだよ。)

友希那(な、なんて気迫なの......!?)

咲「......多分、見つけられる。」

友希那「え?」

咲「付いてきたいならついて来て。」

 

 私はそう言って、

 

 燈の何かを感知しつつ、

 

 湊友希那を引き連れて行った

__________________

 

 ”とある場所”

 

 とある、実験室の様な場所

 

 そこには、多くのものが置かれている

 

 薬品に器具、そして、拷問器具

 

 拷問器具はその中でも異彩を放っている

 

?「__いやー、久し振りだねぇ。」

 

 そんな部屋の中で男が声を出した

 

 その男は金髪に眼帯、片手には手袋をつけている

 

 隙間から見える顔は極めて美形だ

 

 男は部屋の一片を目を細めて眺めた

 

?「それにしても、弱いねぇ、キミィ。」

燈「うっせぇ、ド変態......ゴホッ!!!」

?「あっはっは!毒が回って来たみたいだね。」

燈(......相変わらず、クソだぜこいつは。)

 

 燈は血を吐きながら男を睨んだ

 

 男は特に気にする様子もなく、

 

 笑いながら燈の前に立った

 

燈(まさか、こいつが、メイソンが日本に来てたなんてな......)

メイソン「それにしても......」

 

 メイソンは燈の全身を見て後、

 

 落胆したように大きなため息をついた

 

 そして、椅子に座った

 

メイソン「あんなに可愛らしかったのに、今はこんなことになって......」

燈「......死ね、くそ野郎。」

メイソン「ははは、あの猫を殺されたのがそんなにショックかい?」

燈「っ!!!」

 

 メイソンのその言葉に反応し、

 

 燈は縛られてる腕に力を入れた

 

 鎖は大きな音を鳴らし、部屋に響き渡った

 

メイソン「取れないだろう?君を可愛がるために用意した特注品さ。」

燈(......クソ。)

メイソン「見た目は別人になってしまったけれど、そこはまた直そう!」

燈「......」

 

 メイソンは燈に近づき

 

 そして、頬に手を添えた

 

 それはまるで、愛する恋人にする行動だ

 

メイソン「さぁ、僕の愛を受け止めて、シャーロット。」

燈「......」

 

 メイソンは燈の耳元でそう呟いた

 

 その部屋には鎖の音と燈の歯ぎしりの音が

 

 大きく、重苦しく響いていた

 

 

 

 

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