白と七人の歌姫   作:火の車

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2人の時間

 メイソンの一件から数日が経ち

 

 7月に突入した

 

 俺は学校に来た瞬間に生徒会に呼ばれた

 

 生徒会室に行くと、水色、黒髪、戸山、市ヶ谷がいた

 

有咲「__さて、なんで呼ばれたか分かるな。」

燈「分からん。」

 

 と、言いつつ

 

 もうパターン的に察してきた

 

 どうせ、勉強しろとかだろ

 

有咲「......お前、大丈夫か?」

燈「?」

有咲「何がとは言わないが、前の無断欠席の日の事だ。」

紗夜「私も事情は伺いました。」

燐子「ひどい事件が......あったって。」

燈「......」

 

 どうせ、咲が話したんだろう

 

 全く、余計な事しやがって

 

有咲「別に今、無理して学校に来ることもない。落ち着くまでもう少し休んでもいい。」

燈「......別に、大丈夫だ。」

香澄「で、でも、顔色悪いよ?」

燈「いつも通りだ。思い出せ。」

 

 いつも飽きるほど文句言うくせに、

 

 こんな時だけ優しさ出すのはやめてほしい

 

 今はそんな事は求めてない

 

紗夜(それにしても、彼、少し変わったかしら?)

燐子(なんだか、少しだけ落ち着いた気がする......)

燈「俺は何も変わってない。今まで通り、好き勝手にする。」

 

 俺はそう言って椅子から立ち上がり、

 

 ドアの方に歩いた

 

燈「......まぁ、ありがとよ。」

有咲、紗夜、燐子、香澄「!?」

 

 俺はそう言って、部屋を出た

 

 そして、いつも通り屋上に向かった

__________________

 

 屋上に来て、俺は腰を下ろした

 

 やっぱり、この場所は落ち着く

 

 人間はほぼ来ないし、静かだし

 

咲「__相変わらず、黄昏てるね。」

燈「......なんだ、いたのか。」

咲「気付いてたでしょ。」

 

 咲はそう言って建物の上から飛び降りて来た

 

 こいつ、自分の服装を忘れてやがるのか

 

 俺はため息をつき、咲に話しかけた

 

燈「もう少し服装を気にしろ。変な目で見られるぞ。」

咲「......私の事、変な目で見る?」

燈「俺じゃなかったら、って言っとく。」

咲「まぁ、燈はそうだよね。」

 

 咲はそう言って俺の横に座った

 

 別に咲を避ける必要はないし

 

 俺は気にせず遠くを眺めた

 

咲「それで、体の調子はどう?」

燈「もう怪我は完治してる。普通だ。」

咲「そう。ならいいや。」

 

 咲はそれから黙った

 

 俺も特に話すこともないし

 

 ボーっと遠くを眺めた

 

 そうしてる内にチャイムが鳴った

 

 でも、咲は動こうとしない

 

燈「......チャイム鳴ったぞ。」

咲「いいよ。気分じゃないし。」

燈「......また怒られるぞ。」

 

 俺はため息交じりそう言った

 

 だが、咲は変わらず動かない

 

 全く、よくわからん奴だ

 

 俺はそんな事を考えながら目を閉じた

 

 咲は気配を消してるのか、

 

 あんまり何も感じない、静かだ

 

咲「......ねぇ、燈。」

燈「なんだ。」

 

 しばらくすると、

 

 咲が話しかけて来た

 

 俺は目を開けて、咲の方を見た

 

咲「燈は、これからどうする気なの?」

燈「......さぁな。」

咲「......」

 

 これから、か

 

 別にこれと言ってやることもない

 

 したいこともない

 

 時間を食いつぶしていくだけだろう

 

咲「したいこと、無くなったでしょ。」

燈「!」

咲「分かるよ。その気持ち。強くなりすぎると、何もなくなるから。」

燈「......そうかもな。」

 

 特に俺にはその感覚が強いかもしれない

 

 俺のあれはほぼ確実に勝つ能力

 

 そうそう、あの状態で負けることはない

 

 それはそれで、退屈だ

 

咲「今、燈と対等なのは私だけだよ。」

燈「そうだな。」

咲「今や、私達の世界には私達しかいない。2人きりだね。」

燈「言い回しがらしくないな。」

 

 珍しく女らしい所を見せてくるな

 

 いつもは鬼か何かかと思うのに

 

 今日は何かが違う

 

燈「......何が狙いだ?」

咲「......」

燈「らしくない。いつものお前と違う。何しに来た。」

 

 咲との間に面倒な駆け引きはいらない

 

 まぁ、咲は隠そうとしてる様子もない

 

 咲は少し気を吐き、遠くを見始めた

 

咲「最初は興味もなかった。」

燈「あ?」

咲「でも、今は強くなって、私と同じ、もしかしたらそれ以上の世界にいる。」

 

 懐かしい話だ

 

 そんなに時間が経ったわけじゃない

 

 でも、妙に懐かしさを感じた

 

 それほど、濃密な時間を過ごしてたんだろう

 

咲「私と付き合おう、燈。」

燈「......なに?」

咲「相性は抜群だと思うけど。」

 

 ほんとにこいつは何を言い出すんだ

 

 俺はため息をついた

 

燈「......悪いが、断っとく。」

咲「......なんで?」

燈「もう、大切な奴を作るのが嫌だからだ。」

咲「!」

 

 俺がそう言うと、咲の気配が乱れた

 

 動揺してるみたいだ

 

 余計に珍しい

 

燈「俺が大切に思った奴はみんな死ぬ。母さんもサマンサもココも、全員、死んだ。だから、もう大切な奴が死ぬのは嫌だ。」

咲「......」

燈「そして、もう1つ理由があった。」

咲「!」

 

 俺はデカい溜息を付き

 

 呆れた声で先にこう言った

 

燈「お前、からかってるだろ。」

咲「あ、バレた?」

燈「最初からなんとなくな。ちょうどよかったし、乗ってみた。」

 

 咲の少し弾んだような気配

 

 どうせ、冗談だと思ったよ

 

 俺の事を元気づけようとしたのは分かるが

 

燈「やっぱ、咲には話をしやすい。考えなくていいしな。」

咲「まぁ、燈の本音は分かったよ。」

 

 これ、普通の男ならトラウマになるな

 

 てか、こいつの冗談は冗談に聞こえない

 

 恐ろしい女だ

 

燈「お前、絶対にさっきの他の奴にするなよ。」

咲「しないよ。私が冗談言う相手は少ないし。」

燈「友達いないんだな。」

咲「燈ほどじゃないよ。」

燈「失礼だな。」

 

 まぁ、否定はできないんだが

 

 咲も同レベルという事を忘れないで欲しい

 

 こいつも友達少ないからな?

 

咲「ていうか、よくよく考えると燈はないね。」

燈「ひどい言われようだな。まぁ、俺も咲だけはないが。」

咲「うわ、今、傷付いた。ジュース。」

燈「年下にたかるなよ。」

咲「冗談だよ。」

 

 咲は冗談か判断しづらい顔でそう言った

 

 こいつ、段々と面倒な人間になってきてるな

 

 まぁ、別にいいんだが

 

咲「まぁ、少しは元気出たでしょ?」

燈「程々にな。」

咲「なら、いいや。で、いつ戦う?」

燈「そればっかだな。まぁ、いつでもいい。」

咲「じゃあ、今すぐだね。」

燈「は?__って、うお!」

 

 咲は木刀をすごい速度で振った

 

 俺じゃないと首から上が飛んでたぞ

 

 俺はそんな事を思いながら咲を見た

 

咲「どうせ時間あるし、思い切り戦おう。」

燈「この戦闘馬鹿が!」

咲「ほら、油断してると死ぬよ。」

燈「当たらねぇよ!」

 

 俺は集中力を高めた

 

 その瞬間、俺から見た咲の時間が止まった

 

 動きがはっきりと見える

 

咲(やっぱり当たらないか。)

燈「シュ!」

咲「!」

燈「ちっ。」

 

 咲は俺の蹴りを木刀2本で受け止めた

 

 流石の反応だ

 

 止まった時間の中に踏み込んできやがった

 

 やっぱり、一味も二味も違う

 

咲(燈は本当に強くなった。私を本気じゃなくてもあしらってる。一体、どこまで行く気なんだろう。)

燈「っ!」

 

 少しの攻防の後、突然、咲が止まった

 

 そして、見たことがない構えになった

 

 これは、本気か

 

咲「見せてあげるよ、私の本気。」

燈「いいだろう。」

 

 俺もいつもより深く構え

 

 咲の方に全神経を集中させた

 

 この時間は中々に楽しい

 

咲「......奥義。」

燈(止まれ。)

 

 咲は俺の方に飛び込んできた

 

 流石に止まった時間でも動いてくる

 

 でも、スローだ

 

燈「そこだ!」

咲「っ!!!」

 

 俺は咲の木刀を思いっきり殴った

 

 木刀は真っ二つに折れ

 

 そして......

 

燈、咲「あっ......」

 

 とんだ木刀はタンクに突き刺さり

 

 綺麗な穴が2つ開いた

 

翼「__な、何の騒ぎですか!?__って、えぇ!?」

燈「......おい、咲。」

咲「やばいね。というか、終わったね。」

翼「あなた達......!」

燈(あ、終わった。)

 

 その後、俺達は生徒会室に連行され

 

 生徒会からすごい説教を受けた

 

 そして、理事長のおっさんは倒れた

 

 結局、俺達への説教は5時くらいまで続いた

 

 

 

 




新しいシリーズ始めました。
興味があれば、見てみてください

https://syosetu.org/novel/232404/
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