白と七人の歌姫   作:火の車

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帰ってきた友人

 俺は何をしてるんだろう

 

 最近、こんな事ばかり考えてる

 

 学校に行って、退屈になって

 

 狙われるようになって狂った

 

燈(......なんなんだろ。)

 

 それで、今度は何も感じなくなった

 

 残ってるのは多少の情

 

 人を殺せるまでになった力

 

 そして、生き抜くための本能のみ

 

燈「......シュッ。」

 

 俺は軽く拳を突き出した

 

 拳にはもちろん、何の感触もない

 

 けど、これが人間に当たれば凶器になる

 

燈(......面倒な体だな__)

 

 ピンポーン

 

 俺がそんな事を考えてると、

 

 家のインターフォンが鳴った

 

 俺は体を起こし、ドアの方に歩いた

 

燈(どうせ、和奏か湊だろ。)

 

 俺はそう思いながら、ドアを開け

 

 そこにいる人間を確認した

 

慎吾「__やぁ、燈!」

燈「......」

 

 パタン、と俺はゆっくりドアを閉めた

 

 そして、鍵を閉めた

 

慎吾『ちょっと、燈!?』

燈「何しに来た。」

慎吾『日本に帰ってきたから会いに来たんだよ!』

燈「......胡散臭い。」

慎吾『ひどいね!?』

 

 一ノ瀬は家の前で何かを騒いでる

 

 俺は少ししてゆっくりドアを開け

 

 一ノ瀬の方を見た

 

慎吾「いやー、久し振りだね。」

燈「3か月くらいだし、そうでもないだろ。」

慎吾「あはは、そうだったかな!」

 

 相変わらず、よく笑う奴だ

 

 表情筋が千切れてやがんのか?

 

燈「それで、今日は何だ。」

慎吾「あ、そうそう!今日は彼女を紹介したいんだ!」

燈「......なんだ、女か。」

慎吾「あー!待って待って!」

 

 俺がドアを閉めようとすると、

 

 一ノ瀬は必死でそれを止めて来た

 

 お前の女の紹介なんていらねぇよ

 

 勝手に世帯持って勝手に幸せになっとけ

 

オリビア「オリビアです。佐渡燈さん。」

燈「日本語上手いな。そのなりで。」

オリビア「恐縮です。」

燈「まぁ、ほっとくのもあれだ。上がれ。」

慎吾「あぁ、お邪魔するよ。」

 

 俺は一ノ瀬とオリビアを家に入れた

 

 特に何かあるわけでもないが

__________________

 

 俺は2人を入れた後、

 

 壁にもたれていつもの体勢になった

 

慎吾「わぁ、意外とキレイにしてるんだね。」

燈「散らかすほど物がないんだよ。(......?)」

オリビア「もう少し持ち物を持つべきですね。」

 

 このオリビア、異様な気配を感じる

 

 ただモノじゃない

 

 ナキ達も警戒して押入れから出てきてない

 

燈(何者だ?)

オリビア「何か?」

燈「なんでもない。」

 

 もしかしたら、経験者なのかもな

 

 どういう世界にいたかは知らないが

 

燈「それで、お前は何しに日本に戻ってきた。」

慎吾「言ったじゃないか。彼女の紹介だって。」

燈「お前の結婚やらには興味がないんだが。」

慎吾「もう少し興味を持ってほしいんだけどね......」

 

 一ノ瀬は肩を落としながらそう言った

 

 全く、めんどくさい構ってちゃんだ

 

オリビア「是非ともお姉ちゃんと呼んでください。」

燈「なんでお前まで乗り気なんだ。」

 

 一応、紹介的なのをしとくと、

 

 オリビアは長い銀髪に茶色と青のオッドアイ

 

 年齢は分からないが、相当若い

 

慎吾「どう?仲良くなれそうかい?」

燈「別に、どうでもいい。」

オリビア「私は問題ありません。」

慎吾「うんうん!なら大丈夫だね!」

燈(こいつ、頭大丈夫か?)

 

 ピンポーン、と

 

 俺が一ノ瀬に呆れてるとインターフォンが鳴った

 

 今日は客が多い日なのか?

 

慎吾「おや、お客さんみたいだね?」

オリビア「私が出ましょうか。」

燈「いらん。俺が出る。どうせ知り合いだ。」

 

 俺はそう言って立ち上がり、

 

 来客の対応に向かった

 

燈「__誰だ。」

友希那「佐渡君!」

こころ「大丈夫なの!?」

彩「な、なんだか大変だったって!」

ましろ「わ、私、いてもたっても......!」

蘭「も、もう大丈夫なの!?」

レイ「み、みなさん落ち着いて。」

香澄「燈君、こまってますよ!」

咲「......落ち着きがないね。」

燈「......」

 

 ドアを開けると、なんかたくさんいた

 

 何の大所帯だよ

 

 俺の家、そんなに広くないんだぞ

 

燈「何しに来た。」

蘭「何しにって、香澄が佐渡が大変だって言うから。」

友希那「急いで集まったのよ。」

燈「別に何もねぇよ。」

オリビア「__おや、お客様がこんなにたくさん。」

ボーカル組「!!??」

燈「何出てきてんだ。」

彩「さ、佐渡君?そ、その人は誰......?」

燈「あ?」

 

 彩は震えた声でそう聞いてきた

 

 変な喋り方してるな

 

燈「こいつは__」

オリビア「私は佐渡燈さんのお姉ちゃんです。」

燈「いや、ちげぇよ。」

 

 俺は溜息を付きながらそう言った

 

 こいつ、テンションが変わらない割には

 

 何と言うか、茶目っ気があるやつだな

 

こころ「取り合えず、話は中で聞くわ。」

燈「いや、狭いんだが__」

オリビア「どうぞ、お入りください。」

燈(勝手に決めやがった。)

 

 俺は内心そう思いつつ

 

 拒否する理由もないので全員家に入れた

__________________

 

慎吾「おや、お客さんがたくさんだね。」

彩「えぇ!?」

燈「なんだ。」

 

 部屋に入り、一ノ瀬を見た瞬間

 

 彩がデカい声を出した

 

 和奏と咲、美竹も驚いた顔をしてる

 

レイ「一ノ瀬慎吾さん?」

燈「なんで知ってるんだ?」

蘭「いや、知らない人の方が少ないって。湊さんたちが特殊なだけで。」

友希那「一体誰なの?」

 

 湊の疑問ももっともだ

 

 なんでそんなに驚いてるのか分からない

 

レイ「17歳で陸上10種競技で金メダルを獲得。その性格と身体能力からキングオブアスリートと呼ばれた超天才だよ。」

蘭「合計得点、9877点。この記録は未だ破られず、アンタッチャブルレコードになってる。」

咲「一時期は社会現象にもなってたね。」

燈「へぇ。」

 

 全く知らなかった

 

 こいつって、まともな事してたのか

 

 てか、スポーツって、意外過ぎるだろ

 

慎吾「いやー、懐かしいなー、あはは。」

燈「超天才だってよ。面白いな。」

こころ「そんなすごい人ともお友達なのね!燈は凄いわ!」

ましろ「私はよくは知らないですけど、すごいんですね......?」

燈「んー。」

 

 やべぇ、一ノ瀬にそんなイメージ無い

 

 胡散臭い年上くらいだったんだが

 

咲「高校卒業と同時に陸上を引退。それからはボクシングの世界に行って、15戦でウェルター級の世界王者の座に付いた。」

燈「ほう、ボクシング。」

咲「でも、8度目の防衛の後、王座を返上して謎の引退。それ以降、消息は一切不明。通算成績、23戦23勝23ko。」

慎吾「おぉ、詳しいね。」

 

 一ノ瀬は驚いたようにそう言った

 

 咲が詳しいって事は相当強いって事だ

 

 マジでこいつすごかったのか

 

彩「なんで、引退しちゃたんですか?まだまだ若かったのに。」

燈「別にいいだろ。そいつの人生だし。」

慎吾「君はもう少し僕に興味を持ってほしいな。」

燈「嫌だ。」

 

 俺はそう言ってから、

 

 香澄たちの方を見た

 

燈「見ての通り、そこのオリビアは一ノ瀬のだ。俺には関係ない。」

友希那「そうみたいね。安心したわ。」

彩「びっくりしたよぅ......」

慎吾「あはは、申し訳ないね。」

 

 一ノ瀬は笑いながらそう言った

 

 なんだ、これの意味が分かってやがるのか?

 

慎吾「あ、そろそろ僕は時間なのでお暇しようかな。」

燈「時間?自由気ままなお前が?」

慎吾「今日は偶々予定が入っててね。明日からは何もないよ。」

燈「あっそ。」

慎吾「それでは、失礼するよ。」

オリビア「失礼いたします。佐渡燈さん、お姉ちゃん呼び、考えておいてくださいね。」

慎吾「絶対に嫌だ。」

 

 俺がそう言うのと同時に、

 

 一ノ瀬とオリビアは家から出て行った

 

 たくっ、何しに来やがったんだ

 

レイ「それじゃあ、私達はどうしますか?」

燈「帰ればいいだろ。用もないんだし。」

友希那「これから、佐渡君にご飯を食べさせるために外食するのもいいわね。」

こころ「あら?燈は小食なの?」

友希那「えぇ、異常に食べないわ。」

ましろ「それは、よくないですね......!」

彩「うん!男の子はいっぱい食べないと!」

香澄「そうだよ!」

咲(......そうなんだ。)

 

 なんか、話がややこしい事になってきた

 

 いや、マジで勘弁してほしいんだが

 

友希那「行くわよ。」

香澄「行こ!燈君!」

燈「嫌だ。」

咲「......来ないと、感情が無くなってる事バラす。」

燈「......(め、めんどくせぇ......)」

 

 俺は咲にそう言われ頭を掻いた

 

 今でもこのめんどくささなのに

 

 バラされたらどうなるか分かんねぇな

 

燈「仕方ないな、行くよ。」

こころ「決まりね!」

ましろ「行きましょう......!」

燈「腕引っ張んな。」

 

 俺はこころたちに腕を引っ張られつつ、

 

 8人と外食に出かけた

 

 ちなみに行ったのはラーメン屋だった

__________________

 

 ”慎吾、オリビア”

 

慎吾「__君から見て、燈はどう写った?」

 

 燈の家から出てすぐ、慎吾はそう問いかけた

 

 オリビアはそれに静かに答えた

 

オリビア「穏やかな雰囲気の奥に確かな獰猛さも感じました。確かに強いです。」

慎吾「あぁ、燈は本当に強くなった。自らの野生をコントロールし、心も確かに成長過程にある。」

オリビア「それについてですが__!」

慎吾「......」

 

 慎吾はオリビアの口をふさいだ

 

 そして、静かにこういった

 

慎吾「分かってる。一つ間違えれば燈の感情が消えることくらい。」

オリビア「......」

慎吾「でも、彼の苦しんだ奴隷時代そして母親を失った悲しみはそれほどの事をしないと埋められない。」

 

 慎吾は目を細めながらそう言った

 

 そして、オリビアから一歩離れた

 

慎吾「もう少しだけ様子を見よう。」

オリビア「......かしこまりました。」

慎吾(責任は果たす。どうか、頑張ってくれ、燈。)

 

 慎吾はそう祈りつつ歩いた

 

 その影は喧騒の街の中に消えていった

 

 

 

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