白と七人の歌姫   作:火の車

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違和感

 夏とは、不良が元気になる季節だ

 

 浮足立った学生とかを食い散らかして

 

 思う存分遊びまくる、三下のパターンだ

 

燈(__とか、思ってたんだけど。)

不良「よぉ、白い悪魔ぁ......!」

 

 俺は今、不良の集団に囲まれてる

 

 最近の奴はチャレンジャーが多いんだな

 

 わざわざ俺を見つけて喧嘩吹っ掛けるなんて

 

燈「......」

不良2「おーおー!すかしちゃってよぉ!」

不良3「俺達なんて眼中にないってか!?」

燈(大正解。)

 

 俺の事をよく分かってるな

 

 分かってるついでに帰らせてほしい

 

 今日は水を買いに行っただけなのに

 

燈「......やめとけ。」

不良1,4「あぁ!?」

燈「死ぬぞ、お前ら。」

不良たち「っ!?」

 

 不良たちの表情が曇った

 

 何となく、俺の雰囲気を察したのか

 

 だったら逃げて欲しいんだけど

 

不良「関係あるかぁ!お前ら!かかれぇ!!!」

燈(だよな。)

 

 普通の奴じゃ逃げるほど感じてくれない

 

 勢いよくこっちに攻撃を仕掛けてきてる

 

燈(......この辺か。)

不良たち「うぐあっ!!!!」

 

 俺は不良たちに足をひっかっけ、

 

 低くなった顔面を縫うように全員に蹴りを入れた

 

 時間が止まってればこんなのもたやすいな

 

燈「......あっ、やべ。」

不良たち「」

 

 周りを見ると不良たちは気絶してる

 

 道端に放置してたら邪魔だし、

 

 もう少し端でやればよかった

 

燈「取り合えず、端に寄せて帰ろっと。」

彩「__あ、あれ、佐渡君?」

燈「彩?」

 

 振り向くとジャージを着た彩がいた

 

 汗もかいてるし、運動でもしてたのか

 

彩「そ、それって......?」

燈「落ちてた。」

彩「え?でも__」

燈「落ちてた。」

彩「そ、そっか(?)」

 

 彩は何かを察した顔をした

 

 騒がないならそれでいいだろう

 

 俺はそう思い不良たちから目線を外した

 

燈「彩は何してるんだ。」

彩「え?えーっと、そのー......」

燈「......?」

 

 彩は分かりやすく目をそらした

 

 どうせ運動だろうになんで隠すんだろう

 

 意味が分からん

 

彩「......それが、最近、太っちゃって......///」

燈「太った?」

彩「こ、声が大きいよ!!///」

燈「??」

 

 別に太ってるように見えないんだが

 

 見た目の変化も全くないし

 

燈「別に変らないだろ。」

彩「変わってるの......結構......」

燈「ふむ。」

彩「佐渡君?」

 

 俺は彩に近づいた

 

 彩は首をかしげてこっちを見てる

 

燈(分からん。)

彩(す、すごく近い......///)

燈(細すぎて軽く小突いてもへし折れそうだな。)

 

 女の感覚と言うのはよくわからん

 

 最近になってよく思う事だ

 

 俺の理解できない行動を良くとる

 

彩「そう言えば、佐渡君ってかなり細いよね?」

燈「そうか?」

彩「うん、羨ましい......」

燈「?」

 

 見た感じ、俺と体重変わらなそうだが

 

 何が羨ましいのか分からん

 

彩「ね、ねぇ、佐渡君って__」

慎吾「__おや、燈じゃないか!」

燈「一ノ瀬、とオリビアか。」

彩「!」

オリビア「こんにちは、佐渡燈さん。」

 

 オリビアはそう言って頭を下げて来た

 

 丁寧な事だ、いらねぇけど

 

慎吾「そっちの君は丸山彩ちゃんだったね!燈と仲良くしてくれてありがとう!」

彩「い、いえ、こちらこそ!」

燈「お前らは何してるんだ。」

オリビア「私達は観光です。時間を持て余していますので。」

 

 オリビアは静かな声でそう言った

 

 こいつら、マジで暇なのか

 

 いや、一ノ瀬もずっと事務所にいたが

 

燈「暇人どもが。」

慎吾「あはは、手厳しいな。」

オリビア「慎吾様、例の物を差し上げては?」

慎吾「あ、いいね!」

燈、彩「?」

 

 慎吾はそう言って鞄からあるものを出した

 

 そして、それを俺の前に出した

 

燈「なんだこれ?」

慎吾「スイーツバイキングの招待券だよ。」

燈「スイーツバイキング?」

彩「こ、これって......!」

慎吾「おや、丸山ちゃんは知ってるみたいだね。」

 

 こいつらは何の話をしてるんだ

 

 てか、スイーツバイキングってなんだ

 

オリビア「高級ホテルのものです。味は保証しますよ。」

燈「そうか(?)」

慎吾「丸山ちゃんも行くと良いよ。燈と仲良くしてくれてるお礼と言う事で。」

彩「え、いいんですか!?」

慎吾「あぁ、勿論!」

 

 一ノ瀬はそう言って歩き始めた

 

 オリビアもその後ろに続いた

 

慎吾「それじゃあ、僕たちは失礼するよ。2人で楽しんできてくれ。」

燈「取り合えず貰っとく。」

オリビア「あ、お姉ちゃん呼び__」

燈「それはしない。」

 

 そうして、2人はどこかへ去って行った

 

 自由奔放な奴らだな(人のこと言えない)

 

燈「......おい、彩。あんまり物欲しそうな顔をするな。」

彩「っ!///(ば、バレてた!?///)」

燈「心配しなくても、これ2人用だ。行くぞ。」

彩「う、うん!」

 

 俺と彩はその場を離れ、

 

 一度彩の家に向かう事になった

__________________

 

 彩の家に寄ってから、

 

 俺達は書かれてるホテルまで来た

 

 いかにも金持ちが集まりそうな感じだ

 

 今更、嫌な感じはしないんだが

 

彩(__こ、こんなに綺麗なの!?)

燈「おい、彩。これはどうやって使うんだ。」

彩「え?それは受付に行くんじゃないかな?」

 

 受付ってどこだ

 

 ホテルとか来たことないし、よくわからん

 

ホテルマン「__あの。」

燈「?」

ホテルマン「一ノ瀬様のご招待でしょうか?」

燈「あぁ、そうだが。」

ホテルマン「でしたら、こちらへどうぞ。お席をご用意しております。」

 

 スーツの男はそう言って、

 

 向こうの方をに誘導してきた

 

彩(な、なんてビップ待遇......!!)

燈「行くぞ、彩。」

彩「う、うん。」

 

 俺と彩はスーツ男について行った

__________________

 

 スーツ男に案内されたのは、

 

 窓際にある席だ

 

 高い階層だし、町がよく見える

 

彩「わぁ、綺麗!」

燈(落ちたら一間の終わりだな。)

 

 彩は楽しそうに景色を見てる

 

 こんな高い場所早々来ないだろうし

 

 珍しいんだろう

 

燈「食わないのか?別に時間は腐るほどあるが。」

彩「あ、そうだね!食べよっか!」

燈「あぁ、好きなだけ食っとけ。タダだし。」

 

 俺がそう言った後、

 

 彩は食ベ物を取りに歩いて行った

 

 慌ただしい足取りで大変そうだ

 

燈(さてと。)

 

 俺は背もたれにもたれ、

 

 窓の外に目を向けた

 

燈(......綺麗ってなんだろう。)

 

 さっきの彩の言葉を思い出す

 

 彩はこの景色を見て綺麗と言っていった

 

 でも、俺は別に何とも思わない

 

 ただ建物が並んでる、それだけだ

 

燈「......っ(また、これか。)」

 

 俺の中でなにかが割れる感覚があった

 

 最近、急にこんな感覚に襲われる

 

 そしてその度、何も感じなくなる

 

燈(俺は一体どうなるんだ。何者になるんだ?)

 

 このまま感情が消えれば、

 

 果たして、俺は俺のままでいれるのか

 

 それとも......

 

彩「__あれ?佐渡君とりにいかなかったの?」

燈「あ、帰ってきたのか......って、なんだそれ。」

彩「えへへ、取ってきすぎちゃった!」

 

 彩は笑いながらそう言って、

 

 盆をテーブルに置いた

 

 俺が見た限りでも結構な量がある

 

彩「じゃあ、いただきます!」

燈(マジで食うのか、この量。)

 

 俺は別に思ってないが、

 

 こいつ、太ったって言ってなかったか?

 

 いや、別になんでもいいんだが

 

彩「ん~!美味しい!」

燈「......」

 

 彩は幸せそうにケーキを頬張ってる

 

 一ノ瀬も間のいいもの持ってきたな

 

 これは食わせ甲斐があるってやつだろ

 

燈「そんなに美味いか?」

彩「うん!佐渡君も食べなよ!」

燈「?」

彩「はい!あーん!」

 

 彩はそう言いながら、

 

 すごくいい笑顔でスプーンを出して来た

 

彩(って、これ、私が使ったスプーンだ!///)

燈「あー。」

彩「!?///」

 

 俺はスプーンに乗ってる物を食べた

 

 甘い、果物の味がする

 

 感想はこれくらいだな

 

彩(あ、あわわわわ!///)

燈「これが、彩の好きな味か。」

彩「え、あ、うん......///」

燈「......好きなように食べたらいい。」

 

 俺はそう言って目を閉じた

 

 ”彩”

 

 私は今、すっごく困ってる

 

 その理由は今持ってるスプーン

 

彩(こ、これで食べていいのかな......?///)

 

 さっき佐渡君が使ったスプーン

 

 これを使ったら間接キスになるわけで、

 

 その、佐渡君を好きだから美味しい

 

 けど、戸惑ってしまう

 

彩(か、考えたって仕方ないよ!ま、丸山彩、行きます!///)

 

 私は意を決してそのスプーンを使った

 

 なんだか、更においしく感じる

 

 まさか、佐渡君の力!?(※違います)

 

彩(これならいくらでも食べられそう!)

 

 私はそう思って、

 

 スイーツを口に入れた

 

 本当に全部美味しくて、

 

 幸せな時間を過ごせた

__________________

 

 ......まではよかったんだけど

 

燈「__食いすぎだ。」

彩「ご、ごめんなさい......うっ。」

 

 私は食べ過ぎて動けなくなりました

 

 今は佐渡君におんぶしてもらってます

 

 我ながら情けない......

 

燈「まぁ、値段以上に食っただろうし、損はないな。」

彩「あ、あはは......」

燈「取り合えず、風当たって休むぞ。」

 

 佐渡君はそう言って私をベンチに座らせた

 

 取り合えず、気持ち悪さは収まってきた

 

彩「ごめんね......」

燈「別にいい。気にしない。」

 

 佐渡君は表情を変えないままそう言った

 

 やっぱり、佐渡君は優しい

 

 こんなに面倒な私にも付き合ってくれるもん

 

燈「今日は楽しかったか?」

彩「え?」

燈「......」

彩「あ、うん!すごく楽しかった!」

燈「良かった。」

 

 私がそう答えると、佐渡君は頷いた

 

 表情が変わらないから分からないけど

 

 安心してる、かな?

 

彩「佐渡君はどうだった?」

燈「食ってる彩を見るのは悪い気分じゃなかった。」

彩「そ、そっか......///」

 

 恥じらいもなくこんなこと言われると、

 

 私もかなり恥ずかしくなってくる

 

 そう言えば、佐渡君って私に結構優しいよね

 

彩(も、もしかして!///)

燈「......?」

彩「さ、佐渡君ってさ。///」

燈「なんだ。」

彩「私の事、好きだったりしない......?///」

燈「あ?」

 

 って、何聞いてるの!?

 

 佐渡君、表情変わらないけど

 

 絶対に困っちゃってるよ!

 

彩「ご、ごめん__」

燈「前はそうだったかもしれない。」

彩「ふぇ......?///」

 

 佐渡君は静かな声でそう言った

 

 私は驚きで体が硬直して、

 

 顔が何だかプルプル動いてる

 

燈「でも、今は違う。」

彩「......!」

燈「今は好きとも嫌いとも思わない。それだけだ。」

彩(こ、この顔......)

 

 一見すれば無表情

 

 だけど、どこか暗い気がして

 

 影があるような気がする

 

燈「もう、だいぶ良くなっただろ。」

彩「う、うん......」

燈「ここはもう、彩の家の近くだ。俺はここで帰る。」

 

 佐渡君はそう言って私に背中を向けた

 

 そしてゆっくり歩き始めた

 

燈「じゃあな、彩。」

彩「さ、佐渡君!!」

燈「ん?」

彩「あ、いや......なんでもない。」

燈「そうか。」

 

 佐渡君はゆっくり歩いて行った

 

 段々と背中が小さくなって

 

 しばらくすると見えなくなった

 

彩(......あれ?)

 

 佐渡君の姿が見えなくなって、

 

 私はある違和感に気が付いた

 

 そして、さっきの言葉を思い出した

 

彩(前は、そうだったかもしれない......)

 

 そうだ、佐渡君は今までと違った

 

 佐渡君会うたび私を可愛いって言ってた

 

 でも......

 

彩(今日は可愛いって言われてない......)

 

 前に佐渡君の家に行った時も言われてない

 

 あの事件の日から、一回も言われてない

 

 学校で会った日も、言われなかった

 

 偶然かもしれないけど、だけど......

 

彩(現実感がなくて信じられなかったけど、咲ちゃんが言ってたことが、本当に......?)

 

 私は佐渡君が歩いて行った方向を見つめながら

 

 しばらく、その場に立ち尽くしていた

 

 

 

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