”事務室”
月の光が差す部屋
そこに2人の男女の影があった
オリビア「__まだ、起きてらしたのですね。」
慎吾「あぁ。中々寝付けなくてね。」
慎吾は薄く笑いつつそう言った
オリビアは無表情のまま突っ立っている
そのオリビアを見て、慎吾は険しい顔になった
慎吾「......オリビアの目に燈はどう写った?」
オリビア「......慎吾様の思う通りかと。」
慎吾「......」
慎吾は目を固く閉じ
意を決したように口を開いた
慎吾「君と同じ、という事か。」
オリビア「はい。佐渡燈は超越者の領域に踏み込んでおります。」
慎吾「......そうか。」
慎吾は眉間を抑えた
その表情はさらに険しいものになっている
オリビア「もう、第2段階。第3段階に移行したその時が彼の終わりでしょう。」
慎吾「......時間がない、という訳か。」
オリビア「タイムリミットは......どんなに甘く見積もっても7日です。」
慎吾(......どうにかしなければ。)
慎吾は目を細め窓の外を見た
その目には少し涙が浮かんでいた
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”燈”
昨日の蘭とましろは何だったんだ
気配がひどく乱れてたし、
目の光が若干だが無かった気がする
燈(__っ!ま、またか......)
また、何かにヒビが入る音がした
なんか、気分が悪いな
まるでガラスが割れる寸前のような感覚
俺に何が起きてやがるんだ
燈「......気にしても仕方ないか。」
バカがいくら考えても仕方ない
頭を使う時間すら無駄だ
燈「......何か用か、咲。」
咲「__あ、気付いてたんだ。」
俺が名前を呼んですぐ、
窓を開けて咲が家に入ってきた
とうとう玄関すら無視するのか
咲「相変わらず無表情だね。」
燈「お前は知ってるんだろ?今の俺の事を。」
咲「......うん、知ってる。」
咲は小さく頷いた
そして、俺の額に指をあてた
咲「......っ!(また、消えてる......!?)」
燈「......」
咲(しかも、この力......人間を超えた何か、それと......くっ!!!)
燈「!」
突然、咲の体から血が噴き出した
こいつ、接触して俺の中身を探りやがったか
流石に危ないっての
咲「......とんでもないものを飼っちゃったね。」
燈「飼った?ペットはナキ達しかいないが。」
咲「そうじゃなくて、体内。心の中。」
燈「??」
こいつは何を言ってるんだ?
俺の心の中に何かいるってのか?
そんなわけないだろ
咲「バカバカしいと思う気持ちも分かるけど、燈の中のそれドンドン噛み砕いてるよ。」
燈「......なに?」
噛み砕いてる?
心当たりはある、だが
本当にそんな事があるって言うのか?
咲「......このままだと死ぬよ?それはあまりに強すぎる。」
燈「そうかもな。別にどうでもいいが。」
咲「......自殺願望でもあるの?」
燈「いーや、ない。」
俺は壁にもたれ
少しだけ目をつぶった
燈(そうか、何かいるのか。ここに。)
俺の中にいるやつは俺が嫌いなのか
それとも窮屈でイラついてるのか
暴れたがってるのか......
どれにしても、俺には関係ない
燈「ただ、生きる事にも死ぬことにも執着がないだけだ。」
咲「......」
燈「俺は過去に一回死んでるんだからな。」
咲「......!!」
燈「......なーんて、嘘だよ。」
俺は笑みを浮かべながらそう言った
別に面白いとか嬉しいとかでもないが
咲の驚いた顔ってのは珍しいな
咲「......うざい顔してるね。」
燈「人が2回死ぬわけないって、バカな俺でも分かるぞ?」
咲「......ぶった切る。」
燈「やめろ、ナキ達に被害が行く。」
俺は咲の刀を止めた
もう、刀を抜かせることも許せないか
咲(速過ぎる......もう、時間をものにした。)
燈「俺は今から出かけるが、咲はどうする?」
咲「帰るよ。私、猫に懐かれないから。」
燈「悲しいな。」
その後、俺と咲は家を出た
そして、咲は家に帰って行った
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俺は少し歩きハンバーガーの店に来た
なんか、脂っこいにおいがして気持ち悪い
っと、ここに来た理由を忘れてたな
燈「__待たせたな、和奏。」
レイ「あ、来たね。」
今日、ここに来た理由は勉強だ
一ノ瀬が帰って来たし、一応な
レイ「勉強しよっか。」
燈「あぁ。」
俺は和奏の前に座り、
なんかの本を開き、筆箱を出した
燈「ほれ、これでどうだ。」
レイ「あ、ちゃんとやって来たんだね。」
燈「俺は言った事はほとんどやる。」
レイ「ぜ、全部じゃないんだね。」
和奏は苦笑いしながら、
俺がやってきた問題を見た
そしたら、更に笑った
レイ「良く出来てる。全問正解。」
燈「そうか。」
俺も成長したな
やっと、中2くらいになれた
高2なんだがな
レイ「今日は新しいことしようか。」
燈「あぁ、頼む。」
レイ「じゃあ、まず、74p開いて。」
それから、俺は勉強を始めた
取り合えず、2次関数とやらはよくわからん
なんで、あんな形になる?
誰があんなのを考えやがったんだ
レイ(__あ、集中切れた。)
燈「全く分からん。」
レイ「仕方ないよ。今までしてる事とは質が違うから。」
燈「そうか。」
勉強というのは奥が深いな
次から次にネタが出て来やがる
しかも、1つ1つが深すぎる
燈「お前らはこんなことを今までしてたのか。」
レイ「そうだよ。皆、これをして育ってる。」
燈「......正直、馬鹿にしてた。」
レイ「え?」
俺はポツリとそう言った
和奏は首をかしげて俺を見てる
燈「ぬるま湯につかって甘い蜜を吸う連中、そうとしか思ってなかったが......苦い事もしてやがる。」
レイ「まぁ、佐渡君から見ればそうかもね。」
燈(取り合えず、勉強に関してはもう拷問に等しい。)
俺は体を伸ばした
あんまり時間が経ったわけでもないのに
全身にガタが来やがる
レイ「__あれ?」
燈「?」
レイ「佐渡君の目、黄色だっけ?」
燈「あ?そんな訳ないだろ。しっかり見ろ。」
俺は目を見開いて和奏に見せた
俺の目の色は深い青色
黄色なんて服ですら持ってない
レイ「気のせいかな?」
燈「なんかと見間違えたんじゃないのか?」
周りを見ればこの空間には黄色が多い
なんかと色が混ざっても不思議じゃない
レイ「見えたんだけどな。」
和奏は首をかしげてそう言った
マジで見えたのか?
疲れてんじゃねぇか?
燈「さて、勉強はやめだ。疲れた。」
レイ「あはは、珍しく音を上げたね。」
燈「あぁ、勘弁してくれ。」
俺はそう言って席を立ちあがった
そして、机に金を置いた
燈「ありがとな、和奏。」
レイ「うん。(......あれ?)」
和奏の声を聞いた後、
俺は席から離れ店を出た
”レイ”
今、何か違和感を感じた
ありがとな、はいつも佐渡君が言う言葉
でも、何かが違う
レイ(......例えば。)
佐渡君の事件の話は聞いてる
そして、感情が無くなってることも
それが原因で自ら命を絶つとしたら
いや、佐渡君にそんな頭はない
彼は生死に全くの固執はない
レイ(なら、何が起きてるんだろ......)
私はその場でいくつもパターンを考えた
でも、今の時間じゃ
私は一切何の答えも出すことが出来なかった