白と七人の歌姫   作:火の車

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退院

 病院に来て2日目

 

 腹の傷は完全に塞がって

 

 寝てろと言われたが暇で仕方がない

 

彩「__佐渡君!」

燈「あ?彩か。」

彩「おはよう!」

 

 今日の彩は髪を下ろして、

 

 いつもよりフリフリした服を着てる

 

 すごい派手な服だ

 

燈「ふーむ......」

彩「ど、どうしたの......?///」

燈「......80点。」

彩「痛い!」

 

 俺は彩の顔をじーっと見た後、

 

 軽くデコピンをした

 

 彩は目の端に涙を浮かべながら

 

 額を抑えてる

 

彩「な、なんで!?」

燈「目の周りが赤い。泣いたのが分かるから80点。」

彩「そ、それくらい許してよぉ!」

燈「でもまぁ、可愛さは120点だ。可愛いぞ、彩。」

彩「!///」

 

 俺は少し笑いながらそう言った

 

 なんか、今日の彩すごい可愛い

 

 中々見ない服装ではあるが

 

燈「さてと、もうすぐ此処ともおさらばだ。」

彩「も、もう治ったんだね。」

燈「あぁ、ほら塞がっただろ?」

彩「!?///」

 

 俺は服をめくって、

 

 風穴があいてた腹を見せた

 

 うん、完璧に塞がってる

 

 でも、古傷は消えないみたいだな

 

彩(あわわわ!///佐渡君のお腹......細い、腹筋凄い、かっこいい......///)

慎吾「__やぁ!燈!迎えに来た......よ?」

彩「っ!?///」

燈「お、一ノ瀬。」

慎吾「えっと、何をしてるのかな?」

燈「塞がったかの確認だ。」

慎吾「あ、そうなんだ(丸山ちゃんの顔はそう言ってないけど。)」

 

 俺は捲ってた服を戻し

 

 ベッドから飛び降りた

 

 長い間寝るのが初めてで体が鈍ってる

 

慎吾「車を用意してるよ。丸山ちゃんも乗ると良いよ。」

彩「ありがとうございます!」

燈「帰るか~。」

 

 俺は少し背伸びをして

 

 1日世話になった病室を出て行った

__________________

 

 病院を出て、車に乗った

 

 その途中、一ノ瀬が口を開いた

 

慎吾「あ、燈に言い忘れてたことがあるんだ。」

燈「ん?なんだ?」

彩「?」

 

 一ノ瀬は何か思い出したようにそう言い

 

 いつも通り笑った顔のまま、

 

 次の言葉を口にした

 

慎吾「実はね、燈の帰る家は今日から変わるんだ!」

燈「あ?そうなのか?まぁ、別にいいが。」

慎吾「もう荷物も運んだよ!」

燈「行動早いなおい。」

 

 こいつ、昨日の今日でもう回復か

 

 実は俺と一緒なんじゃねぇのか?

 

 一応、俺と戦えるわけだし

 

燈「それで、どこになるんだ?」

慎吾「僕達の家だよ!」

燈「......ん?」

彩「達?」

 

 少しだけ引っかかった

 

 俺と一ノ瀬なら達なんて使わない

 

 てか、使ったらキモイ

 

慎吾「あ、僕とオリビア結婚するんだよ。」

燈、彩「......は(え?)」

慎吾「それで、燈は僕達の養子になったから!」

燈「はぁぁぁぁぁ!?」

彩「えぇぇぇぇぇ!?」

 

 俺はかなり驚いた

 

 鼓膜が粉々になる程、声を出し

 

 一ノ瀬の方を凝視してる

 

燈「おい、どういう事だ!?いや、結婚するのは良い、おめでとう。だが、養子ってなんだ!?」

慎吾「僕の扶養家族になるって事だけど?まぁ、今まで通りだね☆」

燈「今まで通りだね☆、じゃねぇよ!!」

 

 やべぇ、こいつ頭のネジ外れてる

 

 てか、オリビアは何でオッケーしたんだ

 

 いや、あいつもあいつでやべぇからだ

 

燈「......まぁ、もうそれでいい。」

彩(さ、佐渡君が動揺してる。)

燈「折角だし、お前らが幸せになるか監視しててやるよ。」

慎吾「あはは、ありがとう。」

 

 一ノ瀬はそう答えると、

 

 窓の外に視線を移した

 

 それと同時に車が止まった

 

慎吾「ついたようだ。ここが。」

 

 車のドアが開き

 

 そこにある建物がはっきりと見えた

 

慎吾「僕達の家だよ。」

燈「お、おぉ......」

 

 車を出て、

 

 俺はそう声を漏らした

 

 普通にいい家でリアクションが取ない

 

 他と比べてデカめではあるな

 

香澄「__燈君!」

燈「あ?香澄?」

こころ「燈ー!」

友希那「佐渡君!」

蘭「おはよう、燈!」

レイ「やっぱり、すぐに起きたね。」

ましろ「こ、こんにちは......」

燈「......は?」

 

 俺は家から出てきた奴らを見て呆然とした

 

 なんでこいつらがいるんだ?

 

オリビア「おかえりなさい、慎吾さん。」

慎吾「あぁ、ただいま。準備は出来てるかな?」

オリビア「はい、皆様が献身的にお手伝いをしてくれたので。」

燈「お、おい、なんでこいつらがいるんだ。」

慎吾「え?燈の復活記念パーティーをしようと思って。」

燈「......」

オリビア「ほら、入ってください。燈さん。」

燈「......うん。」

彩(す、すごく動揺してる。)

 

 俺は何が何だか分からないまま

 

 取り合えず、家の中に入った

__________________

 

 家の中はなんか新しい匂いがする

 

 テーブルにはたくさん飯が乗ってて

 

 全部、すごい美味そうだ

 

 それはいいんだが......

 

燈「離れろ、お前ら。」

香澄、こころ、蘭、友希那、彩「嫌!」

燈「......なんでだ。」

 

 俺はこいつらに拘束され

 

 ソファから動けない状況になってる

 

 正直、すごい邪魔だ

 

 てか狭い

 

慎吾「あはは、モテモテだね、燈。」

燈「そうじゃねぇだろ。助けろや。」

オリビア「女の子を無下にするものではありませんよ?」

蘭「そうだよ、燈。」

燈「そう言う問題じゃねぇだろ。」

 

 なんだ、こいつら

 

 気配が凄い歪んでやがる

 

 蘭とましろのが移ったみたいだ

 

レイ「ほら、取り合えず食べなよ。」

燈「あ、もうスルーなんだな。まぁいいや。」

レイ「はい、あーん。」

燈「あー。」

 

 俺は和奏に出された唐揚げを食べた

 

 絶対に作ってると思ったが、マジであった

 

 てか、滅茶苦茶うめぇ

 

燈「美味い。」

レイ「オリビアさん、すごく料理上手でね。」

オリビア「いえいえ、それほどでも。」

友希那「こっちもあるわよ。」

こころ「燈!これも食べなさい!」

彩「これも!」

香澄「私のがいいよね?」

燈「お、おい。」

 

 なんか、次々、食べ物が出て来る

 

 けど、言いたいことがある

 

燈「こんないっぺんに食えるか!」

香澄「あ、そっか!」

燈「気付けよ!そして離れろ!」

彩「嫌だよ!」

燈「......あぁ、そうか。」

オリビア「!」

燈(時間止めて脱出しよ。)

 

 俺は時間を止めた

 

 こうすれば隙間を見つけ......

 

ボーカル5人「きゃ!」

燈「ふん。」

 

 逃げる事だってできる

 

 マジで便利すぎる

 

 しかも、前よりもすごくなってる気がする

 

オリビア「流石ですね、燈さん。」

燈「なんか、前よりもパワーアップしてる。」

オリビア「それは、完全に掌握したからですよ。その証拠に瞳が私と同じようになっています。」

燈「そうなのか。」

 

 鏡見てないから知らんかった

 

 まぁ、でも、見えるしいいや

 

 色なんてどうでも

 

オリビア「その、時間を止める能力でしょうか。悪用してはいけませんよ?」

燈「しねぇよ。もう、こr__」

オリビア「女の子のスカートをめくったり。」

燈「いや、したことねぇよ!」

慎吾「あはは。」

燈「笑ってんじゃねぇぞ!」

ボーカル5人「逃げないで!」

燈「っ!(こ、こえぇ......)」

 

 それから、俺は飯を食ったり

 

 こまめにあいつらを避けたりして

 

 パーティーを楽しんだ(?)

__________________

 

 しばらく時間が経ち、

 

 外はもう陽が落ち真っ暗になった

 

 今はと言うと......

 

オリビア、ボーカル組「......zzz。」

 

 俺と一ノ瀬以外、全員寝た

 

 まぁ、準備とかしてたみたいだし

 

 疲れてたんだろ

 

慎吾「いやぁ、可愛い寝顔だね。役得だよ。」

燈「そうだな。」

 

 俺はだるさを感じながらそう答えた

 

 俺も疲れたんだよ、逃げ回るので

 

慎吾「燈が楽しそうで僕は嬉しいよ。やっと、笑った顔を見れた。」

燈「まぁ、楽しくない事はない。」

慎吾「......そっか。」

 

 一ノ瀬は安心した様にそう言った

 

 こいつ、いつまで俺の事気にしてんだ

 

燈「おい、一ノ瀬。」

慎吾「どうしたんだい?」

燈「結婚、おめでと。」

慎吾「!」

 

 俺が小さな声でそう言うと、

 

 一ノ瀬は驚いた様にこっちを見た

 

 こいつは俺を何だと思ってやがるんだ

 

 そんな驚く事ないだろと思った

 

燈「だから、祝いになんかやる。」

慎吾「いや、いいよ。お金ないでしょ?」

燈「......だから、一番大切なものをやる。」

慎吾「え?」

燈「......母さんがくれた名前。」

慎吾「っ!!」

 

 一ノ瀬の気配が揺れ始めた

 

 まぁ、驚いてるんだろうな

 

 こいつ、俺のことよく知ってるし

 

慎吾「それは、本当に大切なものじゃないか。そんなものを僕になんて。」

燈「いいんだよ。俺にはお前がくれた名前がある。」

慎吾「!」

燈「(ましろ)はお前らが何かに使ってくれ。」

慎吾「燈......」

 

 一ノ瀬は俺を見てる

 

 視線的に分かる

 

 何を感動してるんだか

 

慎吾「分かった。白は僕たちの子供が出来たら、名付けることにするよ。」

燈「......あぁ。」

 

 俺はそれを聞くと立ち上がり

 

 リビングのドアの方に体を向けた

 

燈「じゃあ、俺は寝る。部屋どこだ?」

慎吾「階段を上がって左、一番奥の部屋だよ。」

燈「おう。」

慎吾「ありがとう、燈。」

燈「......別に。」

 

 俺は小さくそう言ってから

 

 ゆっくりドアを開け、

 

 言われた部屋に行った

__________________

 

 俺は与えられた部屋に来た

 

 窓からは月明かりが差し込み

 

 なんか落ち着いた感じがする

 

燈「......これでいいだろ、母さん。」

 

 指輪も名前も他の奴にやった

 

 でも、それでいい

 

 新しい手に渡って、幸せになってくれれば

 

 俺も母さんも嬉しい

 

ましろ『__あの、燈さん......?』

燈「ん?ましろか?」

ましろ『はい、入ってもいいですか......?』

燈「あぁ、いいぞ。」

 

 俺がそう言うと、

 

 ドアを開けてましろが入ってきた

 

燈「なんか、元気ないな。」

ましろ「......はい。」

 

 今日、騒がしいあの5人と対照的に

 

 ましろはなんか元気がなかった

 

 でも、なんか気配の奥に歪んだものを感じる

 

ましろ「......私、怖いんです。」

燈「怖い?」

ましろ「燈さんが、死んだらって......」

燈「?」

 

 ましろはスカートを掴みながらそう言った

 

 なんか小さく震えてて、

 

 目の端から涙が浮かんでる

 

ましろ「あの鉄骨が燈さんのお腹を貫いた時、本当に死んじゃうかと思いました......」

燈「心配するな。俺も死んだと思った。」

ましろ「......それに、燈さんの過去も。」

燈「あー......一ノ瀬か。」

 

 余計なこと喋りやがって

 

 一番、困ることになるんだが

 

ましろ「それを聞いて、燈さんが死んじゃいそうになって、私は凄く怖かったです......」

燈「なんかすまん。」

ましろ「......だから......」

燈「!」

 

 完全に油断してた俺は

 

 ましろにベッドに押し倒された

 

 一瞬、状況が理解できなかった

 

燈「ましろ、どうした?」

ましろ「私は、燈さんを残したい......どんな形でも。」

燈(残す?__!)

ましろ「わぁ......///」

 

 ましろは俺の服をめくり

 

 肌に指を這わせてきた

 

 なんか、背中がざわっとした

 

ましろ「燈さんは綺麗ですね......///」

燈「なに、しやがる。」

ましろ「これから、燈さんを残すんです......///」

 

 ましろはそう言いながら服を脱ぎ

 

 青色の下着が見えて来た

 

 てか、デカい

 

ましろ「私が燈さんの赤ちゃんを産めば、燈さんは残りますよね......?///」

燈「は?」

ましろ「そうすれば、1人になりませんよね......?///」

燈(......何言ってんだ?)

 

 ましろは虚ろな目のまま顔を赤くして

 

 荒い息のまま俺の体を触ってくる

 

燈「やめろ。後悔するぞ。」

ましろ「......しません。」

燈「!」

ましろ「だって、私は燈さんのモノですから。」

燈「?」

ましろ「私は燈さんのモノ、燈さんも私のモノになる。そうすれば、誰も文句なんて言わないですよね......?///」

 

 ......やばい

 

 こいつ、正気じゃない

 

 気配的には狂ったメイソンに近い

 

ましろ「燈さん、私と一緒に......///」

燈「__!」

 

 ましろはそのまま俺に顔を近づけ

 

 月で出来た影が綺麗に重なったのが見えた

 

 

 


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