白と七人の歌姫   作:火の車

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新しい体験

 今日はこころと出かける日だ

 

 どこに行くかは聞いてないが、

 

 取り合えず家の前で待ってる

 

燈(今日はどこ行くんだ?)

 

 本当に今日は何も聞いてない

 

 ただ、家の前で待ってろと言われた

 

 あいつの考えてる事はよくわからん

 

 ていうか、そろそろ時間だ

 

こころ「__燈ー!」

燈「......???」

こころ「迎えに来たわよー!」

 

 不自然な風切り音とこころの声

 

 それは全部、上から聞こえてくる

 

 俺はゆっくりと上を向いた

 

 そこで、俺の目にはデカいヘリが移った

 

燈(......なんだあれ?)

 

 なんであんなデカいヘリが来るんだ

 

 あいつ、やっぱりまともじゃねぇ

 

 常識がねぇ(人のこと言えない)

 

こころ「これに捕まりなさい!」

 

 こころがそう言うと

 

 ヘリからはしごが下りて来た

 

 分かった、これは考えても無駄な奴だ

 

燈「取り合えず、行くか。」

 

 俺は完全に思考を停止し

 

 ヘリに向かってはしごを上って行った

__________________

 

 はしごを上り切り

 

 俺はこころのいるヘリに乗り込んだ

 

 中は物凄く広く

 

 これにいくらかけてるんだって思った

 

こころ「よく来たわね!燈!」

燈「よく来たじゃねぇよ。なんでヘリで来るんだよ。」

こころ「あら?男の子は皆ヘリコプターが好きなんじゃないの?」

燈「お前、俺を何歳だと思ってる?」

 

 いや、精神年齢が低い自信はあるが(?)

 

 でも、別にヘリは好きでも嫌いでもない

 

 どっちかと言うと自転車の方が好きだ

 

 ......乗れないけど

 

こころ「あら?じゃあ、ジェット機の方が良かったかしら?」

燈「そう言う問題か?」

 

 やばい、俺がツッコミやってる

 

 これは俺のキャラじゃない

 

 いや、こころには割とそうか?

 

燈「まぁいい。今日はどこに行くんだ?」

こころ「あら?言ってなかったかしら?」

燈「言ってないから聞いてるんだよ。」

 

 俺は溜息を付きながらそう言った

 

 だが、こころは笑ったままで

 

 なんか楽しそうに椅子に座ってる

 

こころ「今日はとーっても素敵な場所に行くわ!」

燈「あ?素敵な場所?」

 

 何言ってるか分からないが

 

 もう考えても仕方ないだろ

 

 俺は半ばあきらめて椅子に座った

 

燈「まぁ、取り合えず行こうぜ。(どこか分からんし。)」

こころ「えぇ!」

 

 こころは元気にそう頷くと

 

 俺の上でに抱き着いてきた

 

 見たことあるから知ってたけど

 

 こいつ、マジでデカい

 

燈「離れろ。」

こころ「いやよ!」

燈「いや、なんでだよ!」

こころ「あたしは燈の近くにいたいの!」

燈「えぇ......(困惑)」

 

 最近、不思議に思うんだが

 

 こころとかボーカルやってる奴は皆こういう事を言ってくる

 

 そう言う人種なのか?

 

こころ「さぁ、行くわよ!」

燈「もうなんでもいい。」

 

 俺は呆れながらそう言うと

 

 ヘリが動き出すのを感じ

 

 こころの言う素敵な場所に向かって行った

__________________

 

 なんか長い時間ヘリに乗り

 

 俺達は森の奥に下ろされた

 

 周りには木、草、木ばかりで

 

 人の気配なんて全く感じない

 

こころ「__ここよ、燈!」

燈「は?家?」

 

 大自然の中に不自然なデカい家

 

 なんかの冗談かって言うくらいデカい

 

 ていうか、なんでこんな所に家あんだよ

 

こころ「さぁ入りましょ!」

燈「あぁ(?)」

こころ「~♪」

 

 こころは鼻歌を歌いながら家に入り

 

 俺も後に続いて家に入った

 

 この時、いくつかの気配を感じた

__________________

 

燈「__お、おぉ。」

 

 家の中はかなり綺麗で

 

 昔に連れていかれたパーティーを思い出す

 

 ていうか、未だに金持ちの感じになれない

 

 どうしてもメイソンを思い出す

 

こころ「燈ー!こっちに来てー!」

燈「あぁ、分かった。」

 

 俺はこころに呼ばれ

 

 右側にある部屋に歩いて行った

 

 

 部屋に入ると、

 

 そこはテーブルがたくさんある

 

 多分、飯を食う部屋だ

 

こころ「美味しいご飯を用意したわ!たくさん食べて!」

燈「いや、多いんだよ。」

 

 テーブルの上には大量の飯がある

 

 肉も魚も野菜もともかく何でもある

 

 流石にこんなに食えないぞ、俺

 

こころ「はい!燈!」

燈「お前、人の話聞かない奴だろ。」

こころ「美味しいわよ?」

燈「あぁ、分かった。聞かないんじゃない聞こえてないのか。」

 

 俺は何か色々なことを諦め

 

 取り合えず近くの椅子に座った

 

 こころは俺の前に飯を置いて行き

 

 笑いながら俺の方を見てる

 

燈(取り合えず、食うか。)

 

 俺は近くにある肉に手を伸ばし

 

 それを口の中に入れた

 

 正直、これが何味か全く分からないが

 

 取り合えず美味い事だけは分かる

 

こころ「味はどうかしら?」

燈「美味い。」

こころ「そう!よかったわ!」

 

 俺がそう答えると

 

 こころは嬉しそうにそう言ってきた

 

 なんでこんな嬉しそうなのか分からないが

 

 俺はとりあえず飯を食っていった

 

こころ「そう言えば、燈は動物が好きだったわよね?」

燈「あぁ。」

こころ「じゃあ、たーくさんの動物を呼ぶのもいいわね!犬とか猫とか!」

燈「あぁ。」

 

 俺はこころの話を聞きながら飯を食う

 

 だが、何か違和感を感じる

 

 何故か、ものすごく眠いんだ

 

燈(......なんだ?)

こころ「......」

 

 異常な眠気を感じる

 

 しかも、体に上手く力が入らない

 

 なんだ、これ......?

 

こころ「......準備しておいてよかったわ。」

燈「なに......?」

 

 俺が眠気と格闘してると

 

 こころは静かな声でそう言ってきた

 

 こいつ、様子がおかしい

 

 美竹とかと同じ気配を感じる

 

こころ「燈、あんまり薬が効かないのね。大きな動物も眠らせる薬なのだけれど。」

燈「お前、何か盛りやがったな......!」

こころ「えぇ、そうよ。でも、これは燈のためなの。」

燈「は?__!!」

 

 俺がこころを睨むと

 

 こころは俺の目を塞いできた

 

 それで、更に眠気が強くなった

 

こころ「今は眠って、燈。」

燈「ぐっ、この......野郎。...。」

 

 俺は意識が段々遠くなっていき

 

 いつの間にか意識を失っていた

 

 ”こころ”

 

 燈が眠った

 

 さっきの睨んでたけれど

 

 今は可愛らしい寝顔で寝ているわ

 

こころ「......黒服の人、燈を寝室に運んで。」

黒服の人「かしこまりました、こころ様。」

 

 あたしは眠っている燈を預け

 

 黒服の人は燈を運んでいった

 

こころ「これで、もう大丈夫......」

 

 あたしはそう呟いた

 

 これでもう、燈は大丈夫

 

 そんな事を考えながら

 

 あたしは燈が眠ってる寝室に向かった

__________________

 

 ”燈”

 

燈「......んっ」

 

 ......頭が妙にすっきりしてる

 

 こころ奴、どんな薬盛りやがったんだ

 

 ただでさえ俺は毒も薬も効かねぇってのに

 

 その俺を簡単に眠らせられる薬だと?

 

 ありえないだろ

 

燈「......なに?」

 

 目を覚ますと

 

 俺は知らないベッドの上にいた

 

 まだ感覚が戻ってきてない

 

 体がないみたいだ

 

 そんな事を考えてると

 

 横から楽しげな声が聞こえて来た

 

こころ「起きたわね、燈♪」

燈「なんだ、いやがったのか。」

こころ「えぇ、ずっといたわ。」

燈「っ!?」

 

 横にいるこころが俺の前に姿を見せた

 

 だが、そのこころの姿は服を着てなくて、下着だけと

 

 いつぞやの水着みたいだ

 

燈「なんでこんな事したんだ?」

こころ「燈とここに住むためよ?」

燈「は__っ!?」

 

 こころはそう言った後に

 

 俺の上に跨ってきた

 

 この目、美竹とかと一緒だ

 

 妙に濁ってて、よく分からない目だ

 

こころ「燈はここであたしと一生過ごすの。そうすれば、燈は危ない目に遭わないし悲しむこともないわ。ねぇ、いいでしょう?」

燈「いい訳ねぇだろ。」

 

 俺は冷静にそう答えた

 

 流石にここに一生は勘弁だ

 

 残りの奴らと出かけないといけないし

 

 一ノ瀬たちの様子も見ないといけないし

 

 ナキ達の世話もしないといけない

 

こころ「え、なんでなの?」

燈「残念ながら、監禁はもうごめんなんでな......!!」

こころ「!!」

 

 俺は感覚の戻らない体を無理やり動かした

 

 なんか痺れているが

 

 メイソンの毒から動いた経験が効いてる

 

 段々、体の感覚が分かってきた

 

燈「俺は致死量の毒を受けても動いた男だぞ?今更睡眠薬なんぞ、効いて溜まるか。」

こころ「......なんで。」

燈「あ?」

 

 俺がそう言うと

 

 こころはうつ向いて小さな声で何か言った

 

 声が小さすぎて聞き取りずらい

 

こころ「なんで、あたしを拒むの!?あたしは燈のためにしてるのに、燈さえ守れればいいのに!!燈さえ生きてれば他なんてどうでもいいのに!!!なんでなんでなんで!!??」

燈「落ち着け。」

こころ「!!!」

 

 俺は叫んでるこころの頭に手を置いた

 

 最近学んだんだが

 

 こういう時は優しくすればいい

 

 まぁ、よく分かってないんだが

 

 何となく、そんな感じがする

 

燈「一度しか言わないからよく聞け?」

こころ「え......?」

燈「俺はお前も大切な友達だと思ってる。」

こころ「!」

 

 俺がそう言うと

 

 こころは目を見開いた

 

 少し泣いてたのか目が涙で光ってる

 

燈「正直、金持ちは嫌いだが、お前だけは特別だ。」

こころ「特、別......?」

燈「あぁ。多分、俺が好きな金持ちはお前くらいだ。」

こころ「す、好き......!?///」

燈「?」

 

 なんか、こころの顔が赤くなってる

 

 なにに反応したか分からないが

 

 気配が柔らかくなったしいいだろ

 

燈「だからまぁ、今日は普通に帰らねぇか?俺、もう少し友達と遊びたいし。」

こころ「分かったわ......///燈がそう言うんだもの、仕方ないわ......///」

 

 こころはそう言い俺に抱き着いてきた

 

 こいつが抱き着いてくるのはいつもだが

 

 下着で抱き着くのはヤバいんじゃないか?

 

 俺はそんな事を考えた

 

こころ「......今日のところは家に帰すわ///でも......///」

燈「ん?」

こころ「少し、思い出を作りたいわ///」

燈「!!」

 

 こころはそう言って俺を押し倒して来た

 

 俺は体に力が入らず

 

 簡単にこころに力負けしてしまった

 

燈「お、おい、こころ?」

こころ「大丈夫、子供は出来ないわ///だから......んっ///」

燈「っ!!」

 

 こころはそう言いながら

 

 顔を近づけ唇を合わせてきて

 

 俺の服をゆっくり脱がせてくる

 

 この状態じゃ時間を止めても力が足りなくて逃げられない

 

 やばい、どうしよう

 

こころ「大丈夫、あたしに全部任せて♡気持ち良くしてあげるわ♡」

燈「ちょおい、こころ__」

こころ「愛しているわよ、燈♡」

 

 それからの事はよく覚えてない

 

 ただ、昔の記憶があってもそれに嫌悪感を感じる事はなくて悪い気はしなくて

 

 なんか、不思議な感覚だった

 

 

 

 


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