白と七人の歌姫   作:火の車

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慈善活動

 あの日からクラスの奴らは俺に何かしらのことを仕掛けて来ることはなくなった

 

 それどころか、俺を見て怖がるようになった

 

 聞いた話では3階から落ちて無事な俺が異常らしい

 

燈「__ということなんだが。」

慎吾『まぁ、君が悪いね。』

 

 俺は定期連絡で一ノ瀬に最近のことを話した

 

 最近した会話とか、色々

 

 すると、一ノ瀬は即答でそう言ってきた

 

慎吾『いいかい?君の感覚は異常なんだ。普通の人間にその感覚で接してたらそりゃ反感を買うよ。』

燈「ふむ。」

慎吾『全く、君は悪い意味で期待を裏切らないね......』

燈「なんかすまん。」

 

 人間社会は難しい

 

 一ノ瀬の説明を受けて、なんとなく理解した

 

 あれは嘘でも気にするなとか

 

 そう言う言葉をかけるもしくは、

 

 関わらないのが正解だったらしい

 

慎吾『それで、そのA君には謝ったのかい?』

燈「目すら合わせてない。」

慎吾『うん、知ってた。』

 

 一ノ瀬の声色から呆れてるのがわかる

 

 それにしてもどうするか

 

 正直、何か仕掛けてきてくれる方が良かった

 

 怖がられるのが一番居心地が悪い

 

慎吾『まぁ、停学とかはしてないし及第点だよ。もう少し普通の感覚を学んで欲しいけど。』

燈「それは......何とかする。」

慎吾『おや?(珍しく反省してるのかな?)』

燈「寝る。」

慎吾『あぁ、おやすみ。』

 

 そう言って、俺は電話を切り

 

 携帯を放り投げ

 

 そして、布団の上に寝転んだ

 

燈(さて、どうするか。)

 

 一ノ瀬は謝れと言ってたが

 

 もうそんな段階じゃないのはわかる

 

 多分、謝りに行ったらまた何かが起きる

 

燈「ふーむ。」

 

 全く分からん

 

 何をどうするのかいいんだろう

 

燈(明日考えよう。)

 

 俺は目を閉じた

 

 そして、少しずつ意識を落としていった

__________________

 

 朝になった

 

 俺は学校へ行き、理事長室にきた

 

 そして、扉を蹴り破り部屋に入った

 

燈「__ということがあった。」

理事長「」

 

 俺がまくし立てるように話すと、

 

 おっさんは目を丸くして固まった

 

 それを見て俺は軽くデコピンをした

 

理事長「はっ!気を失ってた!」

燈「何言ってんだ?」

理事長「いや、なんでもない。それで、君は何しにここへ?」

燈「俺に普通の感覚ってやつを教えろ。」

理事長「え?」

燈「なにかないか?」

 

 俺が尋ねると

 

 おっさんは何かを考え始めた

 

 そして、数秒ほど経った

 

理事長「少し荷が重いかもしれないが、彼女らに頼んでみよう。」

燈「?」

理事長「着いてきてくれ。」

 

 俺はそう言われ

 

 おっさんの後について部屋を出て

 

 何処かに向かって歩いた

__________________

 

 少し歩いて着いたのは生徒会室だ

 

 俺はおっさんと一緒に部屋に入った

 

理事長「失礼する。」

燐子「理事長......?」

有咲「と、佐渡?」

 

 生徒会室には黒髪と金髪ツインテール、口うるさい水色がいた

 

 なんでわざわざこんなとこ来たんだ?

 

理事長「申し訳ないんだが、彼に普通を教えてやってくれないだろうか?」

紗夜「普通?」

有咲「あー(察し)」

理事長「勿論、お礼はする。」

 

 それからおっさんは3人に頼み込み

 

 やっとのことで受け入れられた

 

 話が終わると、おっさんは部屋から出て行き

 

 俺は椅子に座らされた

 

紗夜「__それで、あなたは何を知りたいのですか?」

燈「普通の感覚だ。」

燐子「普通の感覚とは、なんでしょう......?」

燈「......喧嘩しない事?」

有咲「アバウトだなー。」

 

 そう言われても

 

 分からんものは分からん

 

紗夜「取り合えず、彼のおかしい部分を言っていくのはどうでしょう?」

燐子「なるほど......」

燈「なんでもいい。さっさと教えてくれ。」

 

 おかしい部分

 

 これは役立つ情報かもしれない

 

燐子「まずは、言葉遣い......でしょうか。」

紗夜「敬語も使えませんしね。」

燈「ふむ。」

有咲「物を壊すな。扉とか。」

燈「......ふむ(?)」

 

 それから、

 

 3人は俺のおかしいところを言っていった

 

 正直、俺からしたら普通のことばっかで

 

 何が悪いのかは分からなかった

 

 そういう事として受け取ることにしよう

 

紗夜「__こんな感じです。」

燈「なるほどな。」

有咲「理解できたか?」

燈「してない。」

燐子「え......?」

燈「だが、俺が思う事の反対の事をすればいいと言うのは分かった。」

有咲「あー、なるほどな。」

 

 いや待て、これが分かっても解決できるのか

 

燈「じゃあ、今の状況をどうにかするにはどうすればいい。」

燐子「それは......流石に難しいです......」

紗夜「話を聞いた限り、かなりの事をしてしまいましたし。」

有咲「慈善活動でもすれば?」

燈「じぜんかつどう?」

 

 何だその言葉は聞いたことがないぞ

 

燈「なんだそれは。」

有咲「簡単に言えば、良いことしようって事だ。」

燈「いいこと?」

有咲「例えば、何かの手伝いしたりとかな。」

燈「それに何の意味があるんだ?」

有咲「ちょっと考えろよ?」

燈「?」

 

 金髪は俺の近くに来た

 

 そして、話しを始めた

 

有咲「今のお前はクラスメイトを馬鹿にしたくそ野郎、それに加えて3階から落ちても平気な化け物ってイメージを持たれてる。」

燈「ふむ。」

有咲「正直、馬鹿にしたことについてはもう謝るとかの問題じゃねぇ。だからこそ、イメージ払拭に着手する。」

燈「なるほど(?)」

有咲「じゃあ、まずは......」

 

 金髪は部屋の端にある段ボールを指さした

 

 俺はそれを見て首を傾げた

 

有咲「それをちょーっと資料室まで運んでくれよ。」

燈「なんでだ?」

有咲「おいおい、私らは生徒会だぜ?私らの言うこと聞いてれば大丈夫だって。」

燈「そうなのか?」

燐子(い、市ヶ谷さん......)

紗夜(完全にパシリにしようとしてますね。)

燈「そう言うなら、分かった。」

紗夜、燐子(信じた!?)

有咲「じゃあ、そこの段ボール5個頼むな。」

燈「分かった。」

 

 俺は机に鞄を置き

 

 そして、言われた通り、

 

 段ボール5個を持ち上げた

 

有咲、紗夜、燐子「!?」

燈「てか、資料室ってどこだ?」

有咲「あ、あぁ、案内する。」

紗夜(ひ、一人で全部?)

燐子(一個でも運ぶの大変なのに......?)

燈「?」

 

 水色と黒髪が驚いた顔をしてたが

 

 俺は気にすることなく金髪について行った

__________________

 

 この荷物を持って廊下を歩いてると、

 

 やけに視線が集まってくる

 

 なるほど、これがじぜんかつどうか

 

「あいつって、あの......」

「3階から落ちても無事だった......」

「うそ、あんな重そうなの5個も持てるの?」

「や、やっぱり、化け物なんじゃ......」

 

 いや、違うな

 

 これ、完全にやばいやつ見る目だな

 

有咲(やっべ、これは割と誤算だったかも。)

燈「おい、金髪。」

有咲「な、なんだ?」

燈「これ、大丈夫なのか?」

有咲「こ、これからだよ。千里の道も一歩からってのがあるし。」

燈「そんなのがあるのか。」

 

 まぁ、いつかいい感じになるんだろ

 

 頭よさそうな奴が言ってるし

 

 俺はそう思い、荷物運びをした

 

 その間、色々コソコソと言われてたが

 

 まぁ、聞かなかったことにした

__________________

 

 じぜんかつどうを初めて一週間

 

 良い事するのに意味を求めるなと言われ

 

 俺は色々なことを市ヶ谷に指示された

 

 学校周りのゴミ拾いをしたり、

 

 教師の手伝いをしたり

 

 なんか色々したが

 

有咲「__ダメでした。」

紗夜「まぁ、そうでしょうね。」

燈(一体、何が悪かったんだ?)

 

 まさか、不良にじぜんかつどうは無理なのか?

 

 絶対にプラスにならないとか

 

有咲「失敗の原因は元の印象が悪すぎただな。」

紗夜「控えめに言って最低以下ですからね。」

燈「ふむ......」

燐子(あれ?若干だけど傷ついてる?)

紗夜「ですが、まぁ、真人間には近づけましたし。よかったんじゃないですか?」

有咲「時間が何とかしてくれるのにかけよう。」

燈「......分かった。」

 

 俺は椅子から立ち上がり鞄を持った

 

 そして、生徒会室から出た

__________________

 

 学校を出ると外はもう暗くなっていた

 

 4月はまだ結構陽が落ちるな

 

 俺はいのんびり歩いている

 

燈(__ふむ。)

 

 やはり、俺に人間社会は向いてないのだろうか

 

 元々、住んでる世界が違ったし

 

 所謂、場違いと言う奴だったのか

 

燈(自覚はしてたが、まさかここまでずれてるとは。)

 

 学校なんて楽勝だと思ってたが

 

 ここまで俺が苦戦するなんて

 

 過去に喧嘩でもこんな苦戦はなかった

 

燈(やっぱり、俺の生きる世界じゃないな。)

A男「__う、うわぁ!!!」

燈(ん?この声は......)

 

 だいたい、20m先からA男の声が聞こえた

 

 俺は声のした方に歩いて行った

 

?「__殺されたくなかったら金出せ!」

A男「お、お金なんて持ってないです......」

?「さっき財布出してたの見てたんだよ!」

A男「ひぃ!!」

?「この包丁が目に入らねぇか?殺されたくなかったらさっさと__」

燈「__何やってんだ、こんなとこで。」

?「へ?___ぐふぅ!!!」

A男「!?」

 

 俺はA男の前にいた男を蹴り飛ばした

 

 刃物を持ってるし顔を隠してる

 

 中々に手慣れてるやつだな

 

 俺はそんな様子を見てから口を開いた

 

燈「学校周りで遊んでんじゃねぇよ。おもちゃなんて振り回しやがって。」

?「こ、この、なにしやがる......って。」

燈「......」

?「お、おおお、お前はぁ!!!」

 

 なんだ、こいつ俺のこと知ってるのか?

 

 ならちょうどいいや

 

?「し、白い悪魔ぁ!?」

A男「え?白い悪魔......?(それって......)」

?「な、なんでお前がこんな学校に!?」

燈「友人の勧めだ。って、そんなことより......」

 

 俺は?に顔を近づけ

 

 ?を睨みつけて、

 

 少し声を低くい声でこう言った

 

燈「ここは俺のシマだ。暴れたってことは、な?」

?「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」

 

 ?は蜘蛛の子散らすように逃げていった

 

 俺はしゃがんだ状態から立ち上がり

 

 歩きだすために一歩踏み出した

 

A男「お、おい!」

燈「なんだ?」

A男「な、なんで助けてくれたんだ......?」

燈「あ?」

 

 A男は恐る恐ると言った感じでそう聞いてきた

 

 不思議に思い、

 

 俺は少し首をひねって、こう答えた

 

燈「特に理由はない。」

A男「え?」

燈「市ヶ谷が良い事するのに理由を求めるなって言ってた。だから、お前を助けたのに理由は特にない。」

A男「!!!」

燈「それだけか?」

A男「ま、待ってくれ!し、白い悪魔って......」

燈「あー......一応、俺の事らしい。」

 

 俺は頭を掻きながらそう言った

 

 これ気に入ってないんだよな

 

 あんまりかっこよくないし

 

燈「もういいだろ?じゃあな。」

 

 俺は軽く手を振りながら歩きだした

 

 さて、明日からどうするか......

 

A男(佐渡、あいつ......)

 

 俺は頭を悩ませながら、

 

 自宅に向かって歩いて行った

 

 

 

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