2学期になってから色々あった気がする
あのバカとかましろのストーカーとか
なんか、すごい疲れた気がする
燈「ふぁ~ぁ......ねむ......」
今日は学校に復帰する日だ
色々あったが、真面目に生きないとな
授業の内容は一切わからんが、頑張るか
燈「__おーい、市ヶ谷はいるかー?」
有咲「いや、なんでここに来るんだよ!」
生徒会室に来るといつも通り、市ヶ谷たちがいた
なんで来るんだよって聞かれても
ここくらいしか来る所がないからとしか言えない
燐子「ま、まぁまぁ......そんなに大きな声を出さなくても......」
燈「そうだ。俺がお前や香澄くらいしかクラスで喋る奴がいないのは知ってるだろ?」
紗夜「堂々としてますね。」
有咲「もうちょっと友達作れっていつも言ってるんですけどね......」
紗夜(市ヶ谷さんがそれを言うんですね。)
市ヶ谷は頭を抱えながらそう言ってる
こいつ、人のこと言えないんじゃないか?
俺と同じくらい友達少ないし
有咲「行くところないなら体育館でも行ってろ。」
燈「体育館?なんでだ?」
有咲「咲さんいるだろ。」
燈「あ、そっか。」
朝練?ってやつをしてるんだっけか
あいつも好きだよなー
こんな朝から剣道とか
燈「ま、暇だし行ってみるか。」
有咲「あぁ、行け行け。」
燈「じゃあな~。」
俺は軽く手を振りながら生徒会室を出て
市ヶ谷に言われた通り体育館に向かった
__________________
体育館の下駄箱には大量の靴があった
剣道部は意外と人数が多いのか?
とか、そんな事を考えながら練習をしてる所まで歩いた
燈(うお、やってるやってる。)
体育館の中は踏み込んだ足の音とか
「エイ!」みたいな声も聞こえる
あれは所謂、掛け声ってやつか
意味があるかはどうかはよくわからんが
まぁ、楽しそうでいいな
燈「おーい、咲ー。」
咲「燈?珍しいね、ここにくるって。」
燈「市ヶ谷に暇ならここに行けって言われた。」
咲(あぁ、燈のおもりを押し付けた感じね。)
燈「?」
なんか、咲にジッと見られてる
寝癖でもついてるのか?
気にしないけど
咲「燈がここで何するの?」
燈「考えてない。市ヶ谷に言われたから来ただけだし。」
咲「......相変わらず、何も考えてないんだね。」
燈「俺が頭を使うわけないだろ。使ったところでたかが知れてるし。」
咲「堂々としてるね。」
咲は呆れたようにそう言ってきた
なんか、水色にも言われた気がする
別に堂々としてるつもりはないんだけどな
燈「この剣道部、お前より強い奴いるのか?」
咲「そんなの、言うまでもないでしょ?」
燈「いないな。良くても並くらいか。」
咲「これでもマシな方だよ。私が来た頃なんて弱いのしかいなかったし。」
燈「お前から見ればそうなるだろ。」
まぁ、咲が鍛えたなら納得だな
咲が異常なだけで、普通の人間基準なら強い方だろ
?「__と、戸山部長!」
咲、燈「?」
咲と少し喋ってると、部員の男が駆け寄ってきた
眉毛太くて......眉毛太いって感じだ
それ以外は特に特徴はないな
咲「村上、どうしたの?」
燈「むらかみ?それがこいつの名前か?」
咲「うん、村上武志。男子の方では1番強い......らしい。」
燈「へぇ。」
こいつが......
まぁ、他のに比べたら気配は大きいか
普通の唐揚げかデカいから揚げか位の違いだが
武志「今日は、折り入ってお話が。」
咲「?」
燈(なんだ?この雰囲気。)
太眉毛は咲の正面に立った
すごい真面目な顔をしてる
俺、邪魔か?
咲「なに?」
武志「戸山部長とは同じ学年で今まで同じ部活で剣道をしてきて、接点は多かったと思います。」
咲「そうでもないと思うけど。」
武志「いえ、あります!」
燈「??」
この眉毛は何をしゃべってるんだ?
話を聞いた感じ、咲と同い年っぽいが
なんで今このタイミングであんな話したんだ?
武志「その中で、俺と部長の間には深い絆があります!」
咲(そうなんだ。)
武志「高校卒業ももうそこまで迫っています。だから......!」
咲「?」
太眉毛は拳を握り込み、咲を真っすぐ見た
なにする気だ?
武志「俺の、彼女になってください!1年生の時から、ずっと好きでした!」
燈「!」
咲「......」
こ、これは、告白ってやつか
初めて生で見た
なるほど、こういう感じなのか
咲「ごめん、無理。」
武志「な、なんで!うちは剣道道場の家系で__」
咲「別に剣道はどこでも出来る。そもそも、私は自分より強い人間しか認めない。」
武志「......!」
燈「?」
咲が喋り終わると、太眉毛は俺の方を見た
なんだ?
あれか、空気読んで離れてくれ、的な?
だとしたら悪いことしたな
武志「......その人間は、彼なんですか?」
燈「ん?」
咲「と、言ったら?」
え、どうなってるんだ?
いやいや、俺は関係ないだろ
なんでこっちを見るんだよ
武志「佐渡燈君......僕と戦ってください!」
燈「え?」
武志「君に勝って、手に入れなければならないものがあるんです!」
燈「......」
こいつ、良い眉......じゃなくて、目をしてる
正直、咲の何がそんなに良いかは分からんが
でも、こいつにとっては大切なんだろう
燈「......いいだろう。」
武志「!」
燈「お前の全力をぶつけてこい。勝負は......剣道で良いか。したことないけど。」
咲「へぇ、おもしろそう。」
どうしよう
取り合えず、竹刀を使う事で手加減はする
だが、それでも全然足りないぞ
極限まで手加減しねぇと
咲「じゃあ、ルールは一本勝負。降参した方が負け。もし、燈に勝てたら、何でも言うこと聞いてあげるよ。」
武志「!」
燈「いいのか?(あいつ死ぬかもしれないぞ?)」
咲「別にいいよ。(手加減はするでしょ?)」
咲の奴、鬼だな
シレっと降参するまでって言ってるし
眉毛が降参しなかったら本気で死ぬぞ
武志「負けないよ、佐渡燈君......!」
咲「燈、防具......はいらないか。」
燈「あぁ、いらん。」
武志「なっ!(防具なしだって!?)」
咲「じゃあ、竹刀だけ貸してあげる。」
燈「おう。」
俺は咲から竹刀を受け取った
にしても、これで戦うのか
なんて言うか、やりずらいな
武志「多少の怪我は許してもらうよ。」
燈「別にいい。」
咲「それじゃあ、位置について。」
そう言われ、眉毛と俺は体育館の真ん中の方に移動した
”咲”
燈と村上はお互いに位置についた
正直、力の差は歴然
村上が勝てたら控えめに言って奇跡
咲「じゃ、お姫様を守る気で戦ってね。」
燈「柄じゃねぇだろ。」
燈は溜息を付きながらそう言う
ちょっとした冗談なのに
まぁ、なんでもいいや
私は燈の剣道の素質を見たいだけだし
武志(防具なしなんて、舐められたものだ......!絶対に負けるわけにはいかない......!)
咲「じゃあ......構えて。」
燈「......」
武志「......っ!!」
咲「!!」
燈と村上が構えを取った
けど、それを見て驚いた、村上も驚いてる
だって、あの構え......
咲(私が使ってる、抜刀術......!)
信じられない
あれを燈に見せたのは一回だけ
なのに、寸分の狂いのない、正しい構えをしてる
武志(あれは、部長の......!?)
燈(こんな感じだったろ、咲。)
咲(ありえない。)
あれを極めるのに、私は5年かかった
けど、燈は1度見ただけで身に付けようとしてる
これが、天才とでもいうの?
咲「......始め。」
武志(あ、あれを使えるというのか?いや、無理だ!初めてだと言ってた!ハッタリだ!)
咲「!(出た。)」
村上は開始の合図と同時に前に出た
多分、あの構えをハッタリだって思ってる
それはそうだよ
それくらい、異常なんだから
武志「はぁ!!」
燈「......!」
武志、咲「!」
武志(......やっぱりだ!)
村上が動いて、燈も動いた
けど、早すぎる
あの抜刀術は距離がそこまで長くない
燈と村上の距離は4mはある
いつもの燈ならともかく、竹刀を持った状態じゃ、届くわけない
武志(これは無視だ!振り切った瞬間、切って落とす!!)
咲(村上のタイミングはドンピシャ。ちょうど竹刀が当たらず、カウンターを入れられる。)
武志(勝った......!これで__)
燈「!」
燈が、完全にモーションに入った
でも、やっぱり間合いに入ってない
これは__
武志「__ぐはぁ!!!」
咲「!!?」
燈「......ふぅ。」
武志「が、は......!?」
空を切る
そう思った竹刀は村上の胴をとらえ
村上はあり得ない声を上げ、後ろに倒れた
全く見えなかった
けど、少し離れてる私にまで衝撃が伝わってくる
でも、なんで......
燈「驚いた顔してるな、咲。」
咲「......なんで、あれが当たるの?」
燈「簡単なことだ。竹刀振った瞬間に腕の関節全部外して、長くした。それで、すぐに再生するってわけだ。」
咲「......」
全く参考にならない
あれを再現するには、あの回復力に常人離れしたパワーもだけど
まず、燈の世界を持ってるのが大前提
時間停止にも等しい感覚がないと、あれは成立しない
咲(威力はそのままであの射程......おかしいね、どう考えても。)
燈「あれ、死んでないよな?」
咲「大丈夫だよ。真剣ならともかく、ただの竹刀だから。」
武志(一撃で、完敗......か。なんで、これほどの才能を持つ男が、何故、どの世界にも名前がないんだ......)
これほどとは思わなかった
このまま剣道の世界に引きずり込みたい
けど、この才能を1つの世界に閉じ込めるのも勿体ない
それくらい、輝かしい才能
燈「中々いい暇つぶしになった。これは返すぞ。」
咲「うん。」
燈は竹刀を渡して来た
暇つぶし、か
まぁ、私でやっと戦いになるくらいだし
むしろ、暇つぶしになったのも奇跡かな
燈「そろそろ香澄が来るし、俺は行く。じゃあなー。」
咲「うん。また私と戦おうね。」
燈「気が向いたらな。」
そう言って、燈は歩いて行った
本当に、強くなった
最初はあんなに弱かったのに
ちょっと鍛えたらあれだもん
咲「......ちょっと、勿体なかったかも。」
そう呟いた後、私は自分の練習に戻った
次戦ったら、1撃くらいいれて
それで、行く行くは自分の力だけで、超越者を超えようかな